2017年2月28日火曜日

甲種関東追跡! 東武70000系日比谷線直通用通新型車




2017年2月25日から28日未明にかけて行われた、東武手鉄道70000系日比谷線直通用新型車の関東圏追いかけ撮影のレポートです。神奈川県内から秩父鉄道を経由して、東武鉄道へ引き渡されるまでを撮影しました。

羽生駅の留置線に停車中の東武70000系
羽生駅の留置線に停車中の様子

25日に徳庵より出発

今回出場したのは、日比谷線直通用に使われている20000系系列置き換え用の70000系の第一編成です。2017年度より運行開始を予定しています。東武鉄道では久々の近畿車輛が製造です。25日土曜日に関東へ向けて出発しました。

近畿車両のある徳庵からはDE10形1500番台1750号機が牽引しました。吹田貨物ターミナルで一旦運転停車し、EF65形2000番台2093号機にバトンタッチしました。

26日朝に関東へ

快晴の神奈川へ

相模川を通過する東武70000系甲種輸送
相模川を通過する
ここのところ大きな遅延に見舞われることも多い東武鉄道の甲種輸送ですが、遅延などもなく26日朝には神奈川県へ入りました。この日は快晴で、気持ちの良い空の元甲種輸送を見ることが出来ました。

E231系と並走する東武70000系甲種輸送
E231系との並走
相模川橋梁では東海道貨物線を走行する東武70000系と、東海道本線営業列車のE231系1000番台が並んで走るところを見ることが出来ました。東戸塚からは東海道本線別れ、横浜羽沢貨物駅で夜までの長時間の運転停車となりました。

いよいよ埼玉へ

東海道貨物線を走る東武70000系甲種輸送
東海道貨物線を走る
夜に横浜羽沢駅を出発し、この日の終着駅の熊谷貨物ターミナルへ向けて走ります。横浜羽沢ではEF65形2093号機から2097号機にバトンタッチしました。

JR線内の動画

27日いよいよ東武鉄道へ

快晴の秩父線

秩父鉄道を走る東武70000系甲種輸送
青空の秩父線を走る
風が若干あったものの前日の26日に続き、快晴の下で甲種輸送を見ることが出来ました。牽引機は東武500系の第一編成と同じ、デキ100形108号機とデキ500形506号機が担当しました。

いよいよ東武鉄道へ

羽生駅に到着した東武70000系甲種輸送
羽生駅に到着
ここでも遅れなどは特になく、東武鉄道への引き渡し駅の羽生駅に到着しました。すぐに片側の機関車が切り離され、留置線まで推進運転されます。

作業をする近畿車両の社員方
作業をする近畿車両の社員方
今回も自走で南栗橋工場まで回送するため、近畿車両の社員の方たちがすぐに作業を開始しました。500系の時は養生を剥がすだけでしたが、今回は違います。500系の甲種輸送では反射板が取り付けられていなかったのですが、今回は付いていたためまずはそれを外します。次にスカートの真ん中部分を取り外します。そして警笛用のホーンの取り付け作業に入っていました。この写真にはありませんが、大きなラッパ状の空気式のほうを取り付けていました。今までは日比谷線に直通する車両は東武も東京メトロも密着自動連結器でしが、70000系も13000系も密着連結器になりました。連結器には近畿車両と塗装があるので、近畿車両からの貸し出し品のようです。

東武鉄道70000系とりょうもう
りょうもとの並び
到着直後には特急りょうもうの特別塗装車輛と並ぶ一幕もありました。また写真を見ていただくと分かると思いますが、養生はフロントガラスの最低限の部分になっています。すぐに剝がせるよう、今回も最低限のものとなっているみたいです。

秩父線内の甲種輸送の動画

この後今回も自走での回送となりました。営業が完全に終了した、深夜に回送です。東武70000系と東京メトロ13000系は車両の大幅な共通化が図られています。東京メトロ13000系の東武線内での試運転も終わっているので、自走回送での問題はあまりなかったかもしれないですね。

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新技術の操舵台車でカーブ攻略 日比谷線新型車両仕様紹介




2015年6月17日に東京地下鉄(東京メトロ)と東武鉄道は日比谷線向け新型車両の仕様について発表を行いました。その新型車両の東武70000系と東京メトロ13000系の技術面について解説します。
記事作成日: 2015.06.17/記事更新日: 2017.02.28

北千住駅に到着する東武20000系
東京メトロ03系と共に置き換え予定の東武20000系

大幅な仕様統一へ

東武鉄道と東京メトロは日比谷線を現行の18メートル車8両編成から20メートル車7両編成へ変更するにあたり、新型車両を投入すると発表していました。今回は新型車両の仕様について発表しました。

今回投入されるのは東京メトロ13000系と東武鉄道70000系です。現在行っているドア位置など最低限の2社間の仕様共通化から大きく進め、車内設備から台車などの足回りまでと、大幅な共通化が行われます。製造メーカーも今回統一されることとなり、近畿車輛が両社の車両の製造を行います。

ただし、外観のデザインに関してはそれぞれ違ったデザインとなっています。車両導入時期は2016年から2019年の予定です。

車内設備の改良点

・冷房能力強化
・座席の幅を拡大
・荷棚の高さをやや低く
・座席横の仕切りを拡大
・ドア上全てに液晶3画面
・全車両端の席を優先席へ
・全車両にフリースペース設置
・連結面や座席横の仕切りを透明な強化ガラスへ


乗り心向上のため座席幅の拡大やクッションの変更などが行われます。車内の仕切りの大型化や強化ガラスを使ったデザインとありますが、イメージ画像を見る限り東京メトロ1000系のデザインを小改良したもののようです。

ドア上には多言語での案内や多くの情報を提供できるように、17インチのワイド液晶3画面がドア上全てに設置されます。近年は車内案内用液晶のワイド化が進んでいますが、液晶3画面を並べるのは初だと思います。

東武70000系側面のピクトグラム
ピクトグラムが高い位置へ
車椅子スペースは現在2箇所ほどですが、大型荷物や車椅子・ベビーカー用にフリースペースが全車両に1箇所設置されます。さらに車両端は全て優先席となります。優先席の位置統一は、乗り入れ列車によってまちまちの状況が改善される反面、端っこ好きにはちょっと辛い仕様統一です。また、ホームドア設置を見越してだと思いますが、フリースペース設置位置の表記は、高い場所になっています。Wi-Fiも導入されましたが、当面は外国人向けのものとなっています。

カーブ攻略で新技術を投入

13000系と70000系には、東京メトロ・東武の両社にとって初の技術などが盛り込まれています。

操舵台車

東京メトロ1000形用操舵台車の小型模型
東京メトロ1000形用操舵台車の小型模型
矢印の部分がリンク機構
日比谷線は急なカーブが多く、今まではそのために普通の車両より短い18メートルの車体を使用してきました。20メートルの車両に変更するにあたり、急カーブを克服するための新技術が採用されています。それは操舵台車とオール0.5Mです。

通常の台車は2本ある車軸が平行に固定されてるのに対し、操舵台車はカーブを曲がるときに台車が可動することで、車軸の向きを変えることが出来ます。これによりカーブを滑らかに通過できるだけでなく、騒音や振動なども抑えることができます。写真の矢印の部分がリンク機構によりカーブにさしかかると、2軸あるうちの片側1軸分車輪の向きが自然と変わります。

高速走行を行う特急列車やリニアモーターカーでは日本でも採用例がありましたが、通勤列車には東京メトロ1000形で初めて採用されたました。今回導入されるのは1000形用をベースに狭軌向けにしたもので、狭軌を走る一般的な通勤電車では初めての採用となります。

0.5M

この0.5Mは操舵台車同様に1000形で初めて採用されたもので、東京メトロの狭軌車両・東武の車両としては初めての採用となります。

東武70000系用台車SC107 (TRS-17M)
新型台車SC107 (TRS-17M)
一般的な電車は各車軸にモータが付いているモーター車と、各車軸に一つもモーターが付いてないトレーラー車があります。今回は台車の片側の車輪が可動するという構造を採用したため、通常なら1両あたり4つのモーターを載せられるところに、2つしか載せることが出来ません。さらに上下の激しい地下鉄を走行するため、通常よりもパワーが求められるます。そこで、全車両のうち全ての台車の片側にモーターを載せることで1両あたり0.5M、編成全体で見ると実質5M5T相当とすることで解決しました。全ての台車が同じ仕様のため、車輛すべてが同じ形式の台車を使用しています。

0.5M車はJR西日本でも採用していますが、編成を調整しやすくするためなど別の意図で採用されたため、1両あたり片側の台車に2つのモーターを装備する配置となっています。

東武鉄道70000系 SC107(TRS-17M)台車のブレーキ部
ディスクブレーキ
ブレーキは一台車に二種類装備されています。路面ブレーキが片側の車輪に一つ、モーターが装着されていない側の車軸にディスクブレーキが装備されています。このディスクブレーキには特徴があり、わざとがたつきがあるように取り付けられています。このモーターがついていない側が稼働する車輪なので、カーブ走行時は台車の枠に対し車軸が斜めになります。そこで通常車軸に対してきっちり垂直に撮りけられるディスクに遊びを作り、車軸に対してある程度斜めになっても平気にするようにすることで、ディスクに力がかかり過ぎないようになっています。

PMSM

消費電力削減のため出力205kWのPMSM(永久磁石同期モーター)を採用しました。これにより東武20050系や東京メトロ03系と比較すると、25%の駆動系消費電力の削減を見込んでいます。東京メトロでは千代田線16000系や銀座線1000系で採用されていますが、東武鉄道では30000系に試験的に1両が組み込まれているのみでした。70000系で東武鉄道の通勤車としては、初の本格採用となります。

東武70000系のVVVFインバーター
東武70000系のVVVFインバーター
PMSMと言えば東芝製の電装部品で固めるという状況がしばらくありましたが、VVVFインバーターは三菱製が採用されています。

ATO

ホームドア設置完了後の自動運転を見越してATOの準備工事が行われています。東武の本線系統の車両では、70000系が初のATO搭載車になる見込みです。

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2017年2月23日木曜日

14系二度目の甲種輸送レポート JR北海道から東武鉄道へ




2017年2月20日より東武鉄道向けの14系の甲種輸送が実施されました。

波乱の北海道

前回は2016年10月にJR四国より12系と14系客車を購入しましたが、今回はJR北海道からの購入となりました。車両は急行「はまなす」に使用されていた14系500番台です。スハフ14-501・オハ14-505・オハ14-504・スハフ14-508の4両が、北海道手稲にある札幌運転所より輸送されてきました。

「札幌運転所~函館駅」間はJR貨物のDF200形108号機が牽引し、機関車付け替えをする函館で半日ほど長時間停車をしました。正式なダイヤが公表されているわけではないので正確には何とも言えませんが、これは抑止による長時間停車だったようです。

函館からはEH800形14号機にバトンタッチされ、一路青森を目指しました。本来よりも大幅に遅れたために、湯の里知内信号場に停車する甲種列車と北海道新幹線「はやぶさ」がすれ違う一幕もあったようです。

半日遅れて朝に関東へ

青函トンネルを抜けて津軽線内も日中の回送となりました。50系を使った「海峡」がなくなって以来、日中の客車列車の通過は遅延時などを除き非常に少ないものとなりました。今回はEH800形との組み合わせもあり、非常に貴重な運行となりました。

高崎線内を走るEH500形と14系
ちょっとだけ雪が乗っている
青森信号所からはEH500形35機にバトンタッチです。JR東日本が自社の保有する客車の場合は、EF81形やED75形と自社で保有する機関車で回送します。JR貨物保有のEH500形と14系という組み合わせも、非常に貴重な組み合わせです。

大宮操車場で連結をする東武鉄道14系
大宮操車場での連結作業
函館駅での抑止による遅延は回復されず、関東圏には出発から2日後の22日午前中の到着となりました。甲種輸送のため最高速度が75km/hに制限されていたので、その点でも回復は難したかったのかもしれません。

JR東日本の車両が方向転換するときは宇都宮線や高崎線から入った列車が常磐線に入り、武蔵野線を経由して一周して大宮駅に戻ってきたりします。しかし、そういったことはせず、大宮操車場で機関車を前後反対に付け替えました。

与野駅近くのレール運搬用のチキなどを入れ替える場所で行うかと思いましたが、さいたま新都心駅のすぐ近くで行われました。連結時は非常に滑らかで、流石いつも貨物列車を連結させているJR貨物の運転手さんです。また、普段の信号所のような姿でなく、操車場本来の機能を使っている姿に、ちょっと感動しました。一時間ほど停車した後に、熊谷貨物ターミナルに向かって出発しました。

関東圏での映像

最初の写真を見て頂くと端っこに185系が映っているのが分かります。今では高崎線でのも見ることの難しい185系との国鉄コンビが撮れて、とても嬉しかったです。

秩父鉄道から東武鉄道へは一日で

熊谷貨物ターミナルについた次の日、23日に東武鉄道へ向けて出発しました。今回も秩父鉄道を経由して東武鉄道の羽生駅まで輸送されましたが、一日で一気に運ばれていきました。牽引を担当したのはデキ500形2両ですが、今回は黄色の502号機と茶色の505号機と特別編成コンビでした。

羽生駅からは前回と同じく電車によるプッシュプル編成での回送です。前回は8000系4両と800系3両と14系・12系を3両づつ運びましたが、今回は800系2編成で4両一気にとなりました。

私としては羽生駅の留置線が10両編成までなので、今回もてっきり2回に分割すると思っていました。800系はM比が高いので、8000系4両と客車3両に800系3両の場合と、800系2編成と客車4両の場合では、どちらも5M5Tで同じMT比になります。そのため今回は一回で回送ができたようです。

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2017年2月19日日曜日

万能特急583系・485系 国鉄交直流特急の終焉




2017年のダイヤ改正で485系の最後の定期運用が消滅となりました。そして更に団体臨時として比較的頻繁に運行していた583系も引退が発表されました。こうして国鉄型交直流特急は終焉を迎えようとしています。今回は国鉄型交直流特急の歩みにスポットを当てたいと思います。

583系わくわくドリーム号
583系臨時列車

ビジネス特急151系登場

交直流特急の話をする前に、簡単に電車特急について触れたいと思います。80系湘南電車が運行開始し、長距離列車にも電車化の波がやってきました。

そんな中で需要がひっ迫する東海道線の増発計画が持ち上がり、機関車より軽くダメージの少ない電車での特急という方向が決定されました。そして従来の乗り心地が悪く煩いというイメージを覆すことも目標に、1957年に151系が開発されました。151系は最高速度110km/hで、東京~大阪間のスピードアップに貢献しました。151系は完成時から最高速度に余裕を持って設計されたため、まだまだスピードアップの余地を完成時から残していました。

この時の先頭車両のデザインはボンネット型でした。高速化に伴い空気抵抗を減らすことや、ボンネット部に機器を収納しスペースを有効利用しつつ万が一の事故に対応するためのデザインです。

その後上越線などの山岳線対応車としてモーター出力などを強化した、161系が1962年に登場しました。

初の交直流特急481系

80系を皮切りに長距離列車への電車化の波がやってきたわけですが、それは交直流電車にもやってきました。交直流急近郊型、急行型電車と登場し、最後に登場したのが交直流特急型電車です。

151系をベースにし、仕様的には交直流対応以外はほぼ同一設計で開発されたのが481系です。151系はのちに勾配線区対応の161系が登場しましたが、481系ではモーター出力を120kwとし、最初から勾配線区に対応としました。その他の違いとして回送用の運転台を中間車に搭載し、横川~軽井沢間の将来的に入線を見越し連結器の強化が行われています。

様々な行先の列車を連結する多層列車を念頭に、先頭車両を増解結を考慮した貫通型にするか議論がされました。この時は増発する方向で非貫通型となり、登場時は見た目も151系と殆ど変わらないまま登場しました。

最初に1964年登場の交流50Hz対応型481系、次に1965登場したのが60Hz対応型の483系、その次に1968年に登場したのが今回引退する485系が登場し、最後に横川~軽井沢間の機関車との協調運転装置を搭載した489系が1971年に登場する流れとなっています。

最効率を目指した583系

481系交直流特急電車が登場し日中走る長距離列車の多くは電車になりましたが、寝台列車は客車のままでした。寝台列車に使われる寝台車は、当然日中の旅客輸送には使えないので日中は場所をとります。この当時各路線の需要は増える一方で、車両基地に寝かしておく車両はなくしておきたい状況でした。

ボックスシート運用だった
臨時快速「あいづ」

そこで登場したのが581系で、兎に角人を効率よく運ぶ設計です。車内は夜は3段の寝台とし、日中は向かい合わせのボックスシートとする構造です。編成が複雑にならないように、食堂車を除くとモノクラスの編成です。先頭車両はこの時初めて貫通型となり、この貫通構造が485系や183系と波及していきました。1968年登場の581系は交流60Hz対応、1968年登場の583系は交流50Hz/60Hz対応の形式です。なので、485系と583系はほぼ同時期に登場した兄弟者なのです。

こうした極限まで効率を追求した車両設計は、ここでピークを迎えました。

明暗を分けた未来

昼行特急用として登場した485系ですが、新幹線の登場で幹線輸送の役目終えたこと、短編編成による高頻度運転や国鉄民営化と、様々な時代の変化訪れてもその万能性から様々な用途で活躍しました。短編成を中心としたローカル線区の特急列車、全国どこでも電化区間なら走れる性能を生かした臨時列車やイベント用列車への改造と様々です。さらに国鉄がJRに分割されたことで、全国区を走れる車両の登場が、必要とされなったのも大きかったと思います。

485系3000番台特急白鳥
特急「白鳥」
こうして特急運用としては北海道新幹線開業を期に消滅した特急「白鳥」までと、長い間第一線として活躍しました。この白鳥は最高速度140km/hだったことを考えると、最高速度110km/hでも更に余裕を持った設計だった151系の血脈が、最後まで生きたと感じさせられます。2017年に最後の定期運用である快速運用が消滅した後も、ジョイフルトレインとしては活躍を続け、まだまだ歴史は続きます。

対照的だったのが583系です。極限まで高めた効率性があだとなり、時代の波にのまれてしまいました。特急用としては見劣りするボックスシートに、居住性の悪い三段寝台などで行き場をなくしました。ただ廃車にすることもできず、近郊型列車として改造されました。そして生まれたのが食パン顔の珍車419系や715系です。

ただし、問題があったのは極限まで高めた効率性であり、電車という点ではありません。電車であるが故にどんな時間帯でも運行できるのは、大きなメリットです。一般寝台列車として最後まで残っているサンライズエクスプレスも電車であり、485系同様に電化区間はどこでも走れるというメリットがあるために、今日まで臨時列車としては生き残ることが出来たのも事実です。さらにJR西日本と東日本クルーズトレインも電車であることを考えると、電車寝台自体は間違いのないコンセプトだったと思います。ただ、行き過ぎた効率化が問題だったのです。

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2017年2月15日水曜日

新宿線10-300形4次車デビュー 10-300R廃車へ




2015年5月8日に東京都交通局は都営新宿線10-300形4次車の運行を5月19日から行うと発表し、19日から運行を開始しました。これにともない10-300R形や10-000形が廃止になったことを紹介します。
記事作成日: 2015.05.08/記事更新日: 2017.02.15

10-300形4次車について

都営新宿線九段下駅停車中の10-000形4次車
10-300形の導入により
10-220Fも廃車となった
10-300形は老朽化した10-000形を置き換えるために、新宿線のデジタルATC化に伴い2005年から運行を開始した車両です。1・2次車はJR東日本のE231系をベースに設計され、3~5次車はE233系ベースとなりました。

導入計画については東京都交通局が3年ごとに発表する経営計画で発表され、2013年度に3次車を3編成と2015年度に4次車を3編成導入する予定と発表されていました。その後更に2016年度に3編成の4次車と、2編成の5次車が導入されました。

導入目的は一つ目に古くなった10-000形と10-300R形の置き換えで、二つ目は混雑緩和です。なので、初期の10-000形が8両編成なのに対して、3次車からは全ての編成が10両編成で導入されました。

大きな変化の無い4・5次車

3次車に変更されるときにベースの車両が変ったため、内装もLED照明化やドア上に案内用の車内液晶の装備するなど大きな変更が加えられました。4次車は基本的に3次車に準ずる内装で、一番大きく変った点はドア上の液晶モニタが二画面になった点です。5次車に関しては内装の軽微な変更と、ホームドア設置に向けたTASCが最初から装備されている点です。

置き換えの進む珍車

新宿駅停車中の10-300R形
10-300R形
2015年5月19日に10-300形4次車第一編成導入されたことで、10-340Fが2015.05.26頃に10-300R形としては最初に廃車になりました。それを皮切り2015.06.23には10-350Fと、順次廃車になっていきました。

10-300R形車は新宿線のATC更新の際に、10-000形の比較的新しい車両8両と新型保安装置を搭載した10-300形ベースの先頭車両2両を組み合わせて作られたものです。車体こそ10-300形ですが中身は10-000形に極力合わせたものだったので、改造して中間車8両を新造するのは費用対効果が低いと判断されたのだと思います。ちなみに山手線の6ドア車と交換で組み込まれたE233系ベースのE231-4600は、改造した上でE235系に組み込まれました。似たような例でも車両の使用年数や中身の違いで異なる結果になったようです。

さよなら10-300R形

10-300R形 Final Runステッカー
10-300R形 Final Runステッカー
2月頃からは10-300R形最後の編成として活躍していた10-330Fの先頭車や側面に、「10-300R形 Final Run」のステッカーが貼り付けられ一般営業運転に入っていました。そして、2017年2月14日にラストランを迎えました。賛否のあった珍車ですが、これで幕を閉じました。

引退直前の映像


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