2020年11月18日水曜日

進む川越工場からの移行 東武9000系9108F甲種・試運転レポート




 東上線川越工場の廃止による南栗橋工場への移行に関連すると思われる、東武9000系9108F甲種輸送や乗務員訓練による試運転などをレポートします。

東武9000系初の本線へ

9月には東武9050系の本線系統でのPQ台車を使った深夜試運転が行われましたが、11月に入り本線へ東武9000系が甲種輸送され、本線での日中の乗務員訓練が実施されました。

東武9000系は有楽町線直通用に製造されたため、今までは東上線を中心に乗り入れ先の路線での運用しか行われいませんでした。しかし、今回の甲種輸送や乗務員訓練で、初めて東上線以外の東武線での運行が行われました。

これは川越工場廃止により南栗橋工場で検査を実施し、検査前の回送や検査後の試運転を実施するための措置だと思われます。

小川町以北の単線区間を行く

森林公園駅に停車中の東武9000系9108F回送
森林公園駅で発車を待つ9108F
11月12日に東武9000系9108F森林公園検修区を出発して、寄居駅を目指します。

連結器にアダプタを装着する東武9000系9108F
連結器にアダプタを装着する
翌日は秩父鉄道の電気機関車を使い秩父鉄道線を走行するので、森林公園出発時にはあらかじめ並型連結器のアダプタが寄居側の密着連結器に取り付けられています。一方池袋側は連結器ごと自動連結器に交換されています。

東武8000系と行き違いをする9000系
8000系とのすれ違い
東上線小川町以北へは普段入線しないため、とても貴重です。途中8000系ワンマン車とのすれ違いもありました。

森林公園~小川町間の動画での様子

30年ぶり?甲種輸送でいよいよ本線へ

秩父鉄道デキ500形と連結する東武鉄道9000系9108F
寄居駅でのデキ500形との連結作業
寄居駅に一晩留置され、翌日に秩父鉄道を経由して南栗橋工場を目指します。秩父鉄道線内は自走出来ないため、秩父鉄道の電気機関車による甲種輸送で寄居から羽生駅まで運ばれます。

東武9000系と50000系以外は南栗橋工場でも検査をしていたため、甲種輸送は日常的に行っていました。しかし、9000系は川越工場での検査のされていため、今回の甲種輸送は9108Fの場合約30年ぶりだったと思われます。

羽生駅到着後は自走により、その日のうちに南栗橋工場へ回送されていきました。この日の回送が、初めての本線での走行となりました。

寄居での連結から秩父線内甲種輸送

本線で乗務員訓練開始

春日部駅で東武100系スペーシアと並ぶ東武9000系
春日部駅で東武100系スペーシアと並ぶ
11月16日からは東武本線「南栗橋~春日部」間での乗務員訓練が実施されました。春日部駅での折り返しでは、今までありえなかった車両たちと並ぶ様子も見ることが出来ました。

自動連結器を装着する東武9000系
自動連結器を装着したまま
甲種輸送で片側のみ自動連結器に交換されていましたが、乗務員訓練の試運転時も自動連結器が装着されたままとなっていました。

本線での乗務員訓練の様子

今後9000系9108Fがすぐに返却されるか一旦工場で検査されるか不明ですが、本線での9000系の走行は日常となっていきそうです。

2020年11月10日火曜日

東上線新駅「みなみ寄居」 ホンダ自動車からの要望で設置




東武鉄道は2019年6月3日に東武東上線「男衾~東武竹沢」間に、ホンダ自動車からの要望で2020年秋に新駅を設置することを発表し、2020年10月31日に「みなみ寄居」駅として開業しました。設置経緯や、駅について紹介します。
記事作成日: 2019.06.23/記事更新日: 2020.11.10

ホンダの自動車工場のための新駅

みなみ寄居駅(ホンダ寄居前)駅舎
みなみ寄居駅(ホンダ寄居前)駅舎
東上線に新駅が設置されるのは「武蔵嵐山~森林公園」間に2002年のつきのわ駅以来で、18年ぶりの新駅となります。周りには本田技研の寄居工場があるだけで、本当に何も無いところです。駅名は「みなみ寄居」で、副駅名が「ホンダ寄居前」となっています。

駅が設置されたのは「男衾(おぶすま)~東武竹沢」間のちょうど中間あたりです。みなみ寄居駅と名乗っていますが、「寄居→玉淀→鉢形→男衾→みなみ寄」と、かなり離れているのが分かります。東武鉄道のHPの説明には「寄居町の南側に位置する駅として分かりやすく、また親しみを込めて“南”を平仮名で表記しました。」とありますが、ホンダの工場名が寄居工場なので寄居を入れたかったのではないかと思います。

みなみ寄居駅開業記念ヘッドマークの付く東武8000系
開業記念ヘッドマークが付く8000系
駅開業時にはヘッドマーク付きの列車が運行しました。

ホンダ再編で必要に

ホンダ寄居工場は山に囲まれた場所にあり、アクセスは工場脇を走る2車線道路の国道254号線がメインとなっています。工場に勤める方達は、自動車やバスでの送迎でしかアクセスできません。

さらにホンダは工場の再編を進めており、4000人ほどが勤務される埼玉県狭山市の工場の機能の大部分を、この寄居工場と三重県鈴鹿工場に集約します。そのため単純計算で1000人以上の方が、新たに勤務されることになります。

17年11月、ホンダが東武に東上線の活用などの相談を持ち掛け、両社で協議を開始。新駅開設に至った。建設費用はホンダが負担する。事業費用は非公表。
埼玉新聞ウェブ版2019年6月3日記事より引用

それ理由がでしょうが、上記のように駅の建設費用はホンダ側が負担する形になっています。

簡素だがしっかりした駅舎

みなみ寄居駅を出発する8000系
駅を出発する8000系
駅の構造は1面1線です。発表された時点では駅になりそうな用地部分に柵があるだけで、駅の構造物は何もありませでした。2020年1月頃から工事が本格化し、1年しないで構造物が出来てしまいました。

みなみ寄居駅駅舎
駅舎小川町側
駅は3階建ての構造で1階が入口、2階が改札階、3階がホンダ寄居工場への連絡通路となっています。工期が非常に短かったのですが、駅の出来栄えは決して悪くありません。また、駅の周りは本当に何もなく、国道254号に続くアクセス用の道路と工場に隣接するビオトープだけです。ちなみにビオトープには入ることは出来ません。

みなみ寄居駅ホンダ寄居工場連絡通路
改札階から見た連絡通路
ホンダ寄居工場は高台にあるので、このような形で通路が繋がっています。面白いのはトイレの場所、トイレは駅舎になく工場門横にあります。なので、ちょっとドキドキしながらトイレを借りる形となります。自分もちょっとドキドキしながら借りて使いました。

暫定運賃計算で特殊な改札

乗る方向ごとに色分けされたみなみ寄居駅改札
乗車方向で違う改札

暫定措置として運賃計算が特殊です。池袋方面から降車・へ乗車する場合は、東武竹沢駅での乗降として計算されます。寄居方面から降車・へ乗車する場合は男衾駅として計算されます。そのため乗降時には改札が別々になっています。

更にICカードの場合は改札を間違えないようにすればよいのですが、切符の購入時も複雑なルールがあります。池袋方面の場合は券売機で切符を購入すれば良いのですが、寄居方面の場合は乗降車駅証明証で乗車する形となります。

東上線で乗降駅証明証が設置されているのはみなみ寄居駅だけなので、この暫定措置が続いてる間だけとなっています。

寄居商工会は川越方面直通の要望も

東上線の川越方面からの電車は小川町駅止まりで、寄居方面には同駅で寄居駅行きに乗り換える必要がある。柴崎会長は利便性向上の観点から「新駅設置を機に、従業員のためにも、朝夕だけでも、川越方面から新駅に直通する電車の運行を検討していただきたい」と要望した。
 埼玉新聞ウェブ版2019年6月3日記事より引用

寄居商工会は川越方面への直通列車の要望だしています。確かに昔は池袋駅から寄居駅までの特急が一日数本走っていた頃もあり、それより遡れば秩父鉄道直通もありました。現在東上線は小川町駅で運行系統が分断されており、10両編成で運行する「池袋~川越~小川町」と4両編成の「小川町~寄居」に分かれています。

東武鉄道8000系81119F
「小川町~寄居」間で活躍する
4両編成の東武鉄道8000系81119F
 小川町駅で対面乗り換えできるので、あまり不便はありませんが、乗り換えが無ければ便利なのも事実です。しかし、東上線の武蔵嵐山~小川町駅間の中間地点から、小川町駅までは単線で列車本数に限界があります。今も殆どの時間で毎時4往復程度と、運行本数いっぱい近くで走っています。編成の長さも小川町駅で変わるため、一部時間の増発や行先変更などはあっても直通列車はなかなか難しいと思います。

2020年10月3日土曜日

JR東日本 初の電気式気道車GV-E400系投入へ




2015年5月19日にJR東日本は新潟・秋田地区へ新型電気式気道車を投入すると発表しました。電気式気動車の本格採用はJRでは初めてで、2019年8月よりGV-E400系として、営業運転を開始しました。
記事作成日: 2015.05.19/記事更新日 2020.10.03

初の電気式気動車GV-E400系

新潟地区で運行を開始した
GV-E400系
投入されるのはハイブリッド気道車ではなく、新型電気式気道車です。仕組みとしてはディーゼル発電機で発電した電気を使い、モーターを駆動する方法です。国内ではJR貨物所有のDF200形ディーゼル機関車が採用している方式です。従来の気動車と比べこの方式を採用するメリットは電車の技術を流用することができ、部品などの共通化が可能になることです。逆にデメリットしては構造が違うため、従来の気道車との連結が難しくなると思われることと、ディーゼルエンジンだけでなくモーターなども積むのでコストが上昇すると思われることです。ただ、メンテナンスや部品共通化も含めた運用コストで、こちらを選択したのだと思われます。

ハイブリッド気動車が今回採用されなかったのは大型蓄電池の分コストがかさむだけでなく、停車加速が多い普通列車だとリチウムイオン電池の痛みが激しくなり、運用コストも更にかさむからだと思われます。特に山岳線だと電池の痛みや重量によるデメリットは大きくなります。

ハイブリッド気動車は電池を積んでる分駅停車時や発車時のエンジン使用を抑え、騒音を低減しています。しかし、蓄電池を最低限しか積んでいない電気式気道車は、発車時など電機が大量に必要になるタイミングでエンジン音をフル回転するので、普通の気動車とほぼ同じで結構うるさいのも特徴です。

車両形式名は400番台となりました。HB-E210系やHB-E300系の次の第四世代として、400番台となりました。GV-E400形が両運転台タイプの1両で運行できるタイプ、GV-E401形とGV-E402形が片側運転台の2両以上で運転するタイプです。

新型車両仕様

小川町駅留置中のGV-E400系
試験で八高線に貸し出されている
秋田地区用GV-E400系

最高速度: 100km/h
主発電機: 290kw
主電動機: 95kw
エンジン出力: 331kW(450PS)/2,100rpm

投入数: 1両編成×19編成、2両編成×22編成、計63両
投入時期(新潟地区): 2017~2019年度
投入時期(秋田地区): 2020年度

GV-E400系とキハ110系
GV-E400系とキハ110系
車体は軽量ステンレス製ですが、今までの形式と違いすそ絞りはありあません。丸みの無いデザインなので、キハ110系を彷彿させます。スカートとスノープロ―は一体型で、密着連結器と電気連結器を装備します。電気連結器は一段タイプです。

GV-E400系のヘッドライトと警笛と行先表示器
警笛は屋根上
ライト類はLED
今のところ寒冷地を中心に投入されているので寒冷地対策だと思いますが、警笛類は屋根上に設置されているだけでなく、保護用の板も上部に設置されています。

ライト類は前照灯も尾灯もLEDタイプです。行先表示器は最近採用の進むフルカラーLEDではなく三色タイプに近いもので、コストが削減されているようです。

GV-E400系のVVVFインバーター
VVVFインバーター
構造的にはハイブリッド気道車から、蓄電池を抜いたものとほぼ同様です。実際エンジンはDMF15HZB-Gで、HB-E210系と同じものを採用しています。ただ、台車や主電動機やインバーターは違うものを採用もしています。特にインバーターはSiC素子を使用したものとなり、最新の技術が適応されています。

GV-E400系台車
動台車のDT87
E233系などと似たデザイン
全車両0.5Mで車両のうち片側の台車だけにモーターが搭載されていて、もう片側は付随台車でモーターが搭載されていません。つまり1両あたりのモーター出力は、95kw×2の190kwとなっています。カタログスペックだけを見るなら、走行性能はE231系に近いものだと思います。

起動加速度は従来のキハE120系と同じ1.58km/hと、それより速く一昔前の通勤電車並みの2.3km/hの切り替えが可能です。この機能はハイブリッド気動車にも搭載されています。

また、ハイブリッド気動車がモーターと蓄電池で回生ブレーキが使えるのに対し、電気式気動車は最低限の蓄電池しか搭載していないので、それは出来ません。搭載電池もアルカリ蓄電池で、リチウムイオン電池ではありません。ただ、抑速ブレーキ時にはモーターをブレーキに使い車内の機器で電力を使用する、抑速制御モードを備えています。

埼京線で既に無線信号システムのATACSが導入され、ローカル線でも無線信号システムの開発が進められており、海外では一部導入もされています。GPSとその補助衛星の準天頂衛星みちびき用と、次世代閉塞用のアンテナ取り付けの準備工事が既にされおり、将来的に対応が可能となっています。

投入路線(新潟地区)

羽越本線(新津~酒田)、信越本線(新津~新潟)、米坂線 (米沢~坂町)、磐越西線(会津若松~新津) 

置き換えられた
只見線キハ40系

2019年8月より営業運転を開始し、2020年3月のダイヤ改正で上記路線すべてのキハ40系の置き換えを完了しました。

投入路線(秋田地区)

奥羽本線秋田駅停車中のJR東日本キハ40系
置き換え対象と思われる
秋田地区のキハ40系

津軽線 (青森~三厩)、五能線 (東能代~川部)、奥羽本線(秋田~東能代、弘前~青森)

解説

部品納入予定次期として、先行納入が2017年9月からの3両分、2019年3月から60両分の納入を求めていました。そのため2018年から試運転を行い、少数の車両による営業運転が2019年8月から、本格投入による営業運転が2020年3月のダイヤ改正となりました。

置き換え対象はキハ40系が中心です。これにより従来タイプの気動車キハE120系の配置転換も実施され、只見線の新潟地区・福島地区両方に集中投入されました。従来の気動車との共通運用が難しくなるのと将来の只見線全線復旧も見据え、運用をシンプルにする思惑もあったのかもしれません。

現時点では63両の投入となっていますが、将来的には150~250両(今回の63両は含めて)の投入を検討しているとも発表しています。

車両の導入発表と同時に公募の発表も行われました。公募はJR東日本が支給する、「ブレーキディスク・ブレーキライニング・列車無線・ATS」以外で行われ、車両全体から台車や車体などのパーツ単位の「設計・製造・保守(40年以上)」についての提案を、国内外から受け付けました。

八高線で試験開始

GV-E400系の屋根上アンテナ
上二つの台座が準備工事のもの
真ん中二つが営業運転で使用されるもの
半円状のが今回の試験用
一番下の白くて丸いのがドコモの携帯アンテナ

車両の紹介で次世代閉塞システム用の準備工事が行われていると紹介しましたが、八高線で踏切の制御システムに絞った試験が2020年9月から開始されました。2021年1月までの試験予定です。

 従来ローカル線の踏切では、線路にある車上子を通過するとケーブルで踏切に信号が送られ、遮断機が開閉していました。踏切内に車が止まっているなど非常時については、踏切近くにある特殊信号機が発光し運転手が手動で非常ブレーキをかけていました。

今回の試験ではGPSのような衛星測位システムを使って車両の位置を特定し、踏切の近くの場合は携帯電話の回線を使って遮断機を制御します。踏切内に車が止まっているなど非常時は、携帯電話回線を使って列車に情報が送られ、自動で非常停車出来るようにするものです。携帯電話の通信が不能になった場合は、列車は非常停止し踏切も遮断機が下りるようになっています。

メリットとしては地上子やケーブルが無くなるので、メンテナンスが楽になることです。これにより初期投資とメンテナンス費用が20%低減できるとなっています。ケーブルが無い分物理的な障害にも強いはずです。

一方で携帯回線の影響をそのまま受けるので、災害時の安定性などは未知数な部分もあります。

JR北海道も導入へ

JR北海道もキハ40置き換え用として同じ仕様の車両を導入すると発表しました。詳しくは関連記事のほうをお読みください。

※関連記事
JR東日本が八戸線キハ40置き換え車両を公募 その狙いは?
JR北海道新型気道車の概要発表 JR東日本と共通化へ
JR東日本 新型蓄電池車EV-E801系男鹿線へ投入

2020年9月29日火曜日

三ヶ尻線甲種輸送終了 今度はどこから電車を運ぶ?




 三ケ尻線どうして部分廃止になったかや、今後どこから甲種輸送する可能性があるかについてを紹介します。


石炭輸送と終わる三ヶ尻の役目

デキ100形108号機に取り付けられた三ヶ尻線甲種輸送最後を記念するヘッドマーク
最後の甲種輸送を記念するヘッドマーク

三ヶ尻線は「武川~熊谷貨物ターミナル駅」間を結ぶ、秩父鉄道の貨物線です。旅客と貨物線を持つ私鉄は数少ないので、珍しい路線と言えます。

秩父線の本線方面影森駅からは、秩父でとれた石灰石を太平洋セメントの工場のある三ヶ尻駅まで運んでいます。そして川崎のJR扇町駅から石炭を熊谷貨物ターミナル駅を経由し、三ヶ尻駅まで運んでいました。貨物以外にも東武鉄道の新型車両も三ヶ尻線を経由して運んでいました。

石炭輸送が2020年春にトラック輸送に変更されたため、定期運行が無くなる上に老朽化が進んでいるとして「三ヶ尻~熊谷貨物ターミナル駅」間を廃止すると決めました。2020年9月30日を貨物輸送の終了の予定日としています。

また、鉄道を使った石炭輸送も北海道にある日本唯一坑内採掘を行う釧路コールマインが専用線での石炭輸送をやめたため、秩父鉄道とJR貨物が運行するこの路線が最後でした。なので、日本での鉄道石炭輸送の歴史を幕を閉じました。日本の鉄道史としても非常に大きな出来事の一つと言えると思います。

※露天掘りの炭鉱は国内にいくつかあります。

三ヶ尻線廃止で熊谷連絡線もそのうち復活?

三ヶ尻線が部分廃止されたことで、秩父鉄道の甲種輸送ルートは変更するしかありません。新型車両の導入時だけでなくSLパレオエクスプレス用のC58形をJRに委託して高崎で整備してもらっているので、送り込みの際にもJRとの接続は必要です。

JR高崎線秩父鉄道連絡線
熊谷駅にある連絡線
デッドセクションの表示がある
秩父鉄道では寄居駅でJR八高線と、熊谷駅でJR高崎線と接続しています。寄居駅での接続は今でもパレオエクスプレスの返却時に利用されたりしています。一方熊谷駅のほうは、線路も架線も繋がっているものの、枕木が線路の上に置いてある状態で利用されていません。ただ、デッドセクションの表示が今もあり、JRが架線柱を更新した際にも維持がされました。

熊谷貨物ターミナル駅が近いので留置がしやすく高崎線で日常的に貨物輸送が行われているのを考えると、寄居駅より熊谷経由の利便性は高く感じます。ただ、高崎線の運転本数や信号システムの違いなどを考えると深夜以外は利用が難しそうな点もあります。

一方で寄居駅には今も利用されている実績や秩父鉄道の長い側線があります。逆に問題としては今はやっていない甲種輸送が出来るのか、現状八高線に乗り入れてる機関車はJR東日本のDD51のみでJR貨物は乗り入れていない、倉賀野など貨物駅からの距離にも難があります。

今後熊谷連絡線が復活するかにも注目です。

東武鉄道は栗橋からになる?

東武鉄道は秩父鉄道を経由して、羽生駅で新型車両を受け取るのが普通となっています。しかし、今回の三ヶ尻線の廃止でそれが出来なくなりました。

東武鉄道が貨物輸送を行ったいたころは久喜駅に東武伊勢崎線とJR東北線との連絡線があったのですが、今はそれもありません。その代わり特急スペーシアなどがJR新宿駅に直通するようになったため、栗橋駅に東武日光線でJR東北線との連絡線が設置されています。なのでこちらからの輸送が今のところ有力と言えそうです。

栗橋連絡線なら東武の一番大きい車両工場のある南栗橋駅に近く、既存の設備が使えるメリットがあります。一方で6両編成の特急列車が使う前提である上にJRと東武どちらの側にも側線などはなく、東北線や日光線の運行頻度を考えると日中に輸送するのは難しく、近くに貨物ターミナルも無いのでその点でも問題がありベストととも言えないのも事実です。

秩父鉄道の連絡線次第で、引き続きそちらからの輸送もあるかもしれません。

2020年9月27日日曜日

東武9050系9152F初の本線試運転と甲種輸送についてレポート




 東武9050系が9152Fが初めて東武本線系統への甲種輸送や本線系統での試運転をしました。この記事では試運転について考えられる狙いや、東武本線から東上線への甲種輸送の撮影レポートを紹介します。

東武9050系が本線走行できるかの試験か?

東武9050系は有楽町線直通用に東上線に導入された車両です。そのため、東武本線系統を走ることは一度もありませんでした。

しかし、9月17日に東上線寄居駅から秩父鉄道を経由して伊勢崎線羽生駅まで甲種輸送され、9月24日に羽生駅から寄居駅へ回送され東上線へ返却されました。本線系統への貸し出し期間中に、曳舟方面や渡瀬方面と深夜試験を実施しました。

PQ輪軸を装着する東武9050系
その謎の深夜試験で唯一分かるのは、PQ測定を行ったということです。上の写真にあるように9050系はサハ1両に、PQ輪軸を装着し東上線から本線へ回送されました。

PQ輪軸を装着することで、PQ測定が可能になります。この測定は垂直からの力Pと水平からの力Qを調べることで、列車が走行時に脱線する可能性があるかの値の脱線係数を求めることが出来ます。この検測は、新型車両の導入時などにも行われるものです。

つまりこの試験を行ったということは、今まで東上線でしか走行しかなった9050系を本線でも走らせられるか調べるための計測を行ったとみて良いでしょう。なので時期は遠くなるかもしれませんが、9050系が試運転以外で本線走行する可能性があると見て良いと思います。

もっとも、これだけでは転属のためなのか、南栗橋への入場のためなのかまでは不明でもあります。

初めての本線→東上線への甲種輸送

甲種輸送の様子


ここからは東武本線から東上線への甲種輸送についてのレポートです。

デキ500形に連結され羽生駅に停車する東武9050系
羽生駅停車中の東武9050系
東武9050系9152Fは営業列車が走らない深夜のうちに羽生駅に回送され、9月24日に秩父鉄道経由で甲種輸送されていきました。

牽引機はデキ500形502号機
三ケ尻線経由での新車の甲種輸送とは違うので、機関車は先頭車両のみ連結されています。この日の牽引機はデキ500形502号機でした。

秩父鉄道デキ500形502号機+東武9050系9152F
エアホースが運転台に伸びている
9050系に限らずデキと連結する時はそうですが、空気ブレーキを動作させるためのエアホースは連結器横の他に、運転台にも引き込まれています。

こういった特殊な場合を除き機関車との連結は想定されていないのもあってか、列車はかなり低速で、同じ寄居方面に向かう普通列車に追い越されながら走っていました。

切り離し作業中の秩父鉄道デキ500形502号機+東武9050系9152F
寄居駅での切り離し作業
寄居駅到着後はそのまま三峰口方面にある引き上げ線まで牽引し、そこからデキがバックで東上線側の留置線まで押し込む形で入ります。そしてデキは9050系を切り離し、秩父鉄道線へ戻っていきます。

連結器が並形になっている
この後夜まで9152Fは寄居駅に留置され、深夜に森林公園へ回送されていきました。到着後は夜の回送に向けてと思われてる、簡単な各種試験が実施されていました。

試験時の様子

また連結器に注目すると普段は密着連結器を装備していますが、機関車との連結のために並形の連結器に換装されています。

PQ輪軸は装着したまま

森林公園検修区で取り付けたPQ輪軸はそのままの状態で戻ってきたようです。取り付けられているのは9050系の9752号車で、二つの台車の片側一つずつに取り付けられていました。

東武9050系と並ぶ秩父鉄道7000系
秩父鉄道7000系とのツーショット
留置中は秩父鉄道の各車両とのツーショットもありました。

2020年9月9日水曜日

ハイブリッド・電気式・液体式 気動車の駆動方式のメリットデメリット




従来からのエンジンだけで動く液体式、充電電池で動く蓄電池式、エンジンと電池でモーターが動くハイブリッド、エンジンで発電してモーターで動く電気式と、近年増えてきた非電化区間の様々駆動方式のメリットデメリットを考えます。正直頭で整理しきれないところもあるので、間違っているところは優しくご指摘いただければ助かります…

これからは電気式が主役か?

電気式気動車のGV-E400系
電気式気動車のGV-E400系
新津駅にて撮影

JR東日本とJR北海道では電気式気動車の大量導入が発表されています。また、この後紹介するそれぞれの特性を見ると、電池価格の変動の要素はあるものの電気式気動車が主役となり、次にハイブリッド気動車や蓄電池式気動車となっていきそうです。

液体式気動車

只見線キハ40系
オーソドックスな液体式気動車キハ40系
只見線小出駅

メリット
・ディーゼルエンジンだけで構成がシンプル
・比較的軽い
・技術的に安定している

デメリット
・変速機の整備性が悪い
・走行性能が低い
・エネルギー効率が悪い傾向にある
・エンジン音がうるさい


いわゆる従来型の気動車で、バスやトラックと同じ方法で動きます。ディーゼルエンジンで、直接車輪を動かします。日本で今走っている気動車はほとんどこの方式です。

この後紹介する電気式の列車は、ディーゼルエンジンの他に発電機やモーターが必要になるので、構成としてはシンプルになります。一概に比較は出来ませんが車両重量も比較的軽い傾向にあります。ただ、変速機など重さのある部品もあったりと、ハイブリッド気動車と比べても1tレベルの軽量化なので、大幅に軽いわけではありません。

構成としてはシンプルなのですが、エンジンの回転を必要なトルクや速度に合わせて調節する変速機が必要です。変速機は構造が複雑なので、これが重量増加や整備性の低下を起こします。また、液体式の気動車は電車よりも加速や最高速度の面で劣ります。更に蓄電池の使える車両に比べるとエネルギー効率が落ち、燃費が悪いと言えます。停車中もエンジンを動かす必要があり、発車時はエンジンがフル回転になるので特にうるさくなります。

みんな電車

蓄電池車もハイブリッド気動車も電気式気動車も、みんな電車です。違うのは電源を何に頼ってるかという点です。

そもそも何で電車にするかと言えば、例えばJR東日本の車両の大半は電車です。電車ベースであれば、技術や部品の共有をしやすくなりメンテナンスも簡単になります。性能も電車のほうが高いので、ベースを電車にすることで加速が良くなっています。

地方私鉄が導入する液体式気動車は価格が公開されてる場合があり、1両1億5千万程度の例があります。一方で量産効果のあるJRの通勤電車は価格が公開されてないものの、平均1億円程度と言われます。ローカル線用は数が出ないので元々コストが上がりがちですが、通勤電車と部品を共通化出来るのであれば導入コストも下がる余地があるのかもしれません。

蓄電池式車


メリット
・電車として走れる
・効率が良い
・最も静か
・走行性能は高い
・構造がシンプル


デメリット
・コスト、特にリチウムイオン電池が高い
・電池の量で走行性能や走行距離が決まる
・充電設備が必要
・頻繁に電池を使うと電池の劣化が進む


一言でいえば電池で走る電車です。なので、電車と気動車の比較とほぼ同じとなります。電池はリチウムイオン電池で、スマートフォンの電池の大きいものが搭載されています。

比較的エネルギー効率が良いです。電化区間では架線からパンタグラフで充電し普通の電車として走り、非電化区間では電池でモーターを動かして走ります。エンジンが無いので、他の方式より静かです。走行性能も高く、減速する時にモーターで発電して電池に充電することでエネルギー効率も高くなります。

問題のすべてはリチウムイオン電池と言っても、過言ではありません。リチウムイオン電池を沢山載せられれば、電車と全く同じ高い加速で速い最高速度で走り、長距離の運行が可能です。しかし、リチウムイオン電池は値段が高く、沢山載せるほど車両が重くなります。そこで距離や加速など妥協点が必要になります。それでもJR東日本最新世代の液体式気動車キハE120系の加速が1.58km/h/sに対し、烏山線のEV-301系では加速は2.0km/h/sと一昔前の通勤電車や近郊列車レベルで高くなっています。また、スマートフォンと同じように充電と放電を繰り返すと、電池が劣化し性能が落ちます。なので加速と減速が少ない平坦で、駅間距離が長いほうが、電池の劣化が少なく済みます。そして充電電池の充電する設備がない場合に、充電設備が必要になります。

烏山線や男鹿線のように、始発駅が元々電化されていて終点側だけと最低限の充電設備をつくればよく、走行距離が短い路線に導入されています。特に烏山線は周りの路線すべてが電化されていましたが、烏山線だけが違いました。電車に統一されてことで、そのあたりの調整もやりやすくなったはずです。

ハイブリッド気動車

メリット
・効率が比較的良い
・走行性能が良い
・比較的静か
・変速機がない

デメリット
・車両構成が複雑
・コストが高い
・比較的重い
・頻繁に電池を使うと電池の劣化が進む

ハイブリッド気動車は、電源を電池とエンジンを回して動かす発電機に頼っている点が特徴です。

JR東日本ハイブリッド車は近郊電車レベルの2.3km/h/sの加速を実現しています。蓄電池式の電車と同じようにリチウムイオン電池を搭載しています。そのため蓄電池車同様に、ブレーキ時に発電して電池に溜めることが出来ます。停止時はエンジンを切って電池だけに頼ることもでき、発車してある程度の速度まで電池だけでモーターを動かし、一定の速度以上になるとエンジンの発電も加わります。プリウスのような家庭用自動車と似た制御がされていて、停車・低速時の騒音も同じように抑えられています。また、エンジンを効率の良いな回転数で動かして予め発電して電池に蓄えることも出来るので、その点でも効率が上がります。液体式気動車にある変速機のような複雑な部品もありません。

複雑な部品はないものの、電池に発電機にモーターと色々なものが載っているのでそこがデメリットとなります。色々なものが載っているので車両のコストも上がりますし、それぞれの機器をどう動かすかの複雑な制御が必要で、重さも多少重くなります。蓄電池式と同じように、充電と放電を繰り返すと電池の劣化が早まります。

これらを踏まえハイブリッド気動車は、リゾート列車や快速列車に採用される傾向にあります。どちらも普通列車よりは停車や加減速が少ないので、電池の負担が減ります。更に必要な車両数が少ないので、ある程度のコストの高さまでは許容できます。リゾート列車の場合は快適性や環境に対するイメージも必要なので、騒音の低減や効率性の面でアピールができます。

電気式気動車

メリット
・走行性能が良い
・変速機がない
・構成は比較的シンプル
・ハイブリッド気動車よりは車両価格が安い

デメリット
・うるさい
・効率が悪い

電気式気動車は電源をディーゼルエンジンから発電した電気のみに頼りモーターを動かす電車です。

GV-E401系はハイブリッド気動車と同じ2.3km/h/sの加速を実現しています。走行性能では蓄電池車を上回ります。ただ、実際には従来型の液体式の気動車と合わせて低速の加速モードがあるので、常用されているわけではありません。変速機が無い分モーターと発電機は載っていますが、あまり複雑な構成をしているわけではありません。エンジン始動用の最低限のアルカリ蓄電池しか載っていないので、コストも下がって車両価格も安いはずです。

電気をエンジンに頼るので、停車時もエンジンのアイドルが必要ですし、加速時は従来の液体式気動車並みのエンジン回転が必要となり、音もあまり変わりません。また、ブレーキをかける時に電気をためることはできないので、その点でも効率は液体式気動車を上回るとは言えません。

本来リチウムイオン電池は普通列車に載っているほうが、エネルギー効率は良くなります。しかし、電池の劣化の関係でメンテナンスコストが上がる上に、山岳線では車両重量が重くなるデメリットもある上、どうしても加減速が増えて電池の負荷が増えます。非電化区間の多くは山岳線で、乗客も少なくコストもかけられない路線です。そこで妥協案としての電気式気動車のメイン採用という形になったと想像できます。将来蓄電池の価格がぐっと下がれば、また変わってくると思います。

以上を踏まえると最初に紹介したように主流は電気式がローカル線となり、リゾート列車や仙石東北ラインのような優等列車用にハイブリッド気動車、短距離の非電化区間は蓄電池式という住み分けがなされていくと思います。

2020年9月7日月曜日

DE10形1109号機北斗星色デビュー記念 DL大樹撮影レポート




 東武鉄道がSL運行の拡大のため、新たなディーゼル機関車DE10形1109号機を導入しました。それを記念して行われた、クラブツーリズム主催のツアー列車の撮影レポートです。


浅草からはスカイツリートレインで

北千住駅駅停車中のスカイツリートレイン634型
回送で北千住駅停車中の
634型スカイツリートレイン
クラブツーリズムが主催する「DE10北斗星カラーデビュー記念 東武鉄道をほぼ1日満喫する旅」の列車を、今回撮影させて頂きました。

ツアーの概要としては「浅草→南栗橋→下今市→鬼怒川温泉→下今市→春日部」のコースとなっています。「浅草→南栗橋」は634型スカイツリートレインで移動し、「南栗橋→下今市」はDE10形牽引の客車列車、「下今市→春日部」は6050系リバイバル塗装色となっています。

上の写真は浅草へ向かう634型スカイツリートレインの回送列車です。当日朝に南栗橋より回送され、浅草で折り返し客扱いとして南栗橋へ向かいます。

南栗橋からはゆっくり下今市へ

DL大樹の動画

今回のDE10形の導入経緯を簡単に説明しますと、東武鉄道ではSLの車両数を増やし運行距離も拡大する予定です。SL運行時は補機としてDE10形を使用しているのですが、SLに先駆けて追加でJR東日本よりDE10形を導入しました。それがDE10形1109号機です。元はオレンジの普通の色だったのですが、SL用に客車を急行はまなすものを利用している関係で、導入時に北斗星色に変更しました。

推進運転で入線するDE10形1109号機と14系客車
推進運転で入線する
DE10形1109号機と14系客車

南栗橋からツアーの主役のDE10形と14系客車が登場します。そのため南栗橋車両管区ここから、推進運転でゆっくり南栗橋駅に到着します。ここでツアーのお客さんたちは、スカイツリートレインから乗り換えて下今市駅を目指します。

今回使用された車両は牽引機の元JR東日本の北斗星色DE10形1109号機+元JR北海道スハフ14-501+オハ14-505(ドリームカー)+元JR四国オハ15-1の計3両の客車です。元JR北海道の14系は扉が引き戸になっているのに対し、元JR四国の15系は折り戸になっているのが外観上の特徴です。また、中間車はフルリクライニングシートのドリームカーとなっています。

南栗橋駅引き上げ線停車中のDE10形と14系客車
南栗橋駅引き上げ線停車中
南栗橋駅は普通列車の折り返し運用で各ホームを使うのもあってだと思いますが、停車時間は短く10分も無い程度です。ただ、すぐに下今市へ向かうのではなく、日光寄りの引き上げ線で時間調整を行い発車します。

新鹿沼駅でDE10形牽引の客車列車と並ぶ500系リバティ
特急リバティとのツーショット
新鹿沼駅
DE10形は元々入換やローカル線用に開発されたディーゼル機関車のため、高速走行用には設計されておらず、本線走行時は85km/hが最高時速となっています。

今回臨時列車が運行された区間の一部「南栗橋~下今市」間は、特急列車も普通列車もそれ以上の速度で走行します。ツアーのお客さんにより長く乗ってもらうサービスの意味もあるのでしょうが、途中何度も特急や普通列車を退避します。上の写真のように、停車時には他の列車とのツーショットもありました。停車駅ではツアーのお客さん向けに、グッズの販売も行われていました。


下今市から既存のダイヤ活用

鬼怒川温泉駅でのDE10形1109号機と1099号機のツーショット
鬼怒川温泉駅でツーショット

下今市駅に到着した後は一時間程度停車したのちに、「下今市~鬼怒川温泉」間を一往復します。この時使われたダイヤは将来SLが2両体制になった時のため、今年の春設定され現在休止中のダイヤを利用しての運転となりました。

鬼怒川温泉駅では通常運行のSL大樹との並びも実現し、オレンジのDE10形1099号機と1109号機のツーショットも見ることが出来ました。

転車台によるDE10形1109号機
転車台に乗る1109号機
普段鬼怒川温泉駅に設置されている転車台で方向転換するのは、SLのみとなっています。この日は1109号機が主役ということで、転車台で方向転換しました。この時1109号機の解説も行っていました。

下今市駅から団臨「たびじ」で

下今市駅の側線に留置されるDE10形と14系客車
下今市駅の側線に留置される

鬼怒川温泉駅から折り返してきお客さんを乗せてやってきたDL大樹は、下今市駅にある検修ピットには入らず側線での留置となります。これでこの日の運用は終了です。


6050系リバイバル塗装による団体臨時列車「たびじ」
6050系リバイバル塗装による
団体臨時列車「たびじ」

このままだとツアーのお客さんが帰れないので、ここからは6050系リバイバル塗装色による団体臨時「たびじ」での運行となります。下今市から春日部へ向かう列車で、6050系が南栗橋までの定期運用となっているため、貴重な臨時列車となりました。

634型と6050系の映像

春日部到着後は折り返し回送となり、新栃木へ回送となりました。

2020年7月11日土曜日

2020年7月ついに運行開始 新型新幹線N700Sを解説




2016年16月24日に製造することが発表され、2020年7月1より運行を開始したN700Sについて紹介します。
記事作成日: 2016.06.24/記事更新日: 2020.07.11

東京駅に到着するN700A
東海道・山陽新幹線で
現在最も新しい形式のN700A


最高のN700系2020年7月1日運行開始

JR東海は2016年6月24日に東海道・山陽新幹線向けに新型新幹線車両N700Sを投入すると発表しました。そして試験車両にあたる確認試験車を2018年に、2019年より量産車の投入を開始し2020年7月1日に運行を開始しました。N700SのSは最高という意味の「Supreme」という単語に由来します。

2016年6月24日発表

・「SiC」などの採用による軽量省電力化
・柔軟な車両編成への対応
・新型先頭車形状にによる騒音低減
・フルアクティブ制振制御の採用
・リチウムイオン電池採用による非常時居住性改善
・走行機器や車内のモニタリング強化
・地震時のブレーキ短縮
・全席コンセント設置


2017年9月28日発表

・パンタグラフの構造変更
・台車の構造変更による軽量化
・6極駆動モーター採用
・歯車装置の歯車の形状を変更

N700SはN700A系をベースにフルモデルチェンジした車両で、発表当時より順次新しい技術について発表されていきました。それらについてすべてのではありませんが、解説したいと思います。

SiCなどの採用による軽量省電力化

新幹線は長年軽量化と省電力化が図られてきましたが、今回一番大きな鍵を握ると思うのが「SiC」の採用です。「SiC」は炭化ケイ素の略です。従来半導体と言えばシリコン(ケイ素)でしたが、炭化ケイ素を使うことで、より高性能で耐熱性に優れたパワー半導体を作ることが出来ます。そして高性能な分同じ性能を求めるのであれば、小型省電力化が可能になるわけです。さらに耐熱性に優れているため、冷却機器の小型化で装置全体を小型に出来ます。

N700Sでは他の機器の見直しと共にインバーター冷却システムを走行時の風で冷やす走行冷却方式に変更するインバーター装置の見直しとで、16両編成あたり11t削減しました。

消費電力ではN700Aと比べて当初7%削減可能としていましたが、運行開始時の資料では285km/h走行時6%の削減となっています。これはN700Aの275km/h走行時の消費電力よりもわずかに少ない値です。

柔軟な車両編成への対応

「SiC」の採用などで装置が小型になったことで、床下機器の配置も大幅に見直されました。従来は8種類あった床下機器のパターンを4種類に絞ることで、設計変更なく16・12・8・7・6両の柔軟な編成を可能としました。これをJR東海は標準車両と読んでいて、国内外問わずに低コスト・タイムリーに車両が供給可能になります。

6~8両まではオールM車による編成とし、12両の場合は10M2T、16両の場合はオールMか14M2Tの組み合わせを可能としています。

新型先頭車形状の採用

N700系は「エアロダブルウィング」という形状を採用していますが、新しく「デュアルスプリームウィング」という形を採用しました。ボートの船底に採用されているような形に非常に近くなっています。これにより更に走行時やトンネル進入時の騒音を低減できます。

さらに前照灯も大型化され、視認性を向上しています。この前照灯はLEDを採用していますが、消費電力はN700Aの半分になっています。

グリーン車にフルアクティブ制振制御の採用

現在採用されている制振技術の「アクティブサスペンションダンパー」は、車体と台車をつなぐ油圧ダンパーを進行方向に対し垂直に設置し、電子制御によりダンパー内の弁の堅さを変えて横揺れを軽減する技術です。

今回採用された「フルアクティブ制振制御」は基本的な構造は「アクティブサスペンションダンパー」と同じですが、弁ではなく油圧ポンプを使う点が大きな違いです。今までのようにダンパ-の堅さを変えてゆれを軽減するのではなく、油圧ポンプでダンパーの油に力を加え振動を打ち消すことを可能にします。

今回採用されるのは編成中のグリーン車のみです。これによりグリーン車の振動は、人が分かるレベルで減るとしています。

リチウムイオン電池採用による非常時居住性改善

鉄道車両には非常時などのためにバッテリーが搭載されていて、通勤電車では近年リチウムイオン電池が採用されています。N700Aで採用されたいた鉛蓄電池からリチウムイオン電池に変更されます。これにより電池の重量30%・体積50%低減されるにも関わらず、電池容量はより大きなものとなります。

通勤電車では大容量のリチウムイオン電池の採用で、停電時にその場に停車が危険と判断した時に、電池だけでゆっくり走る機能が採用されはじめています。N700Sも同様の機能を新幹線として初めて採用します。

新幹線のトイレは水や排水量を削減するため水をポンプで吸い込む方式となっているので、停電時などには使えませんでした。今回電池の容量が大きくなったことで、停電のような電気が止める状況でも一部車両でトイレが使用可能になります。

走行機器や車内のモニタリング強化

近年では新幹線・通勤電車問わずに普通の車両に搭載したセンターでリアルタイムで車両や車外の状況を記録し、車両や地上設備の故障予防やメンテナンス低減に役立てようという取り組みが盛んです。N700Sでは既に採用済みの台車振動検知システムを強化するなどし、より多くのデータを取得して役立てる予定です。

一部通勤電車や新幹線には監視カメラが搭載されていますが、現状はドライブレコーダーのように後で見るためのものです。N700Sでは運転指令所はリアルタイムで映像が見ることが出来るようになり、非常時に乗務員への指示などでサポートが出来るようになります。

地震時のブレーキ短縮

ATCやブレーキデータの改善で、地震時の停車距離がさらに短くなります。N700Aは登場以降も改修を続けることで、登場時と今年度から増備される700A三次車では地震時に5%停車距離が短くなっています。N700Sではさらに5%短くなります。

停車時のブレーキアシスト

駅間を走行する時は速度を出し過ぎるとATCによる自動ブレーキがかかるようになっていますが、駅停車時の30km/h以下の速度でも状況に応じ自動ブレーキがかかるようになりました。

通常時は自動ブレーキは作動しませんが、停止位置までに停車出来ないスピードが出ているときは、それ以下のスピードになるよう自動ブレーキがかかるようになります。

パンタグラフの構造変更

現在のN700A系では4分割のすり板を採用した、在来線に似た形状のすり板をパンタグラフで採用していました。それがJR東日本E5系などで採用しているようなすり板を多く分割したタイプに変更されます。構造的にもJR東日本の多分割すり板に近いようですが、すり板の固定構造が微妙に違い、たわみ式すり板という名称が使われています。

JR東海系の新幹線では大型のパンタグラフカバーを装着することで、パンタグラフを固定する台座は小型の支持部の4点で固定するものを採用していました。それが大型の支持部2点で固定するものに変更されます。

台車構造の変更による軽量化

台車のフレーム構造を変更することで、フレーム内にあった補強材を減らし1台車あたり75kgの軽量化と溶接部分の数を減らします。フレーム内の変更がメインなので、大きな外観上の変化はなさそうです。


6極駆動モーター採用

最近の電車には交流モーターが使われていますが、この交流モーターの出力をサイズに変えずに上げる方法として、モーター内の極数をあげるというのがあります。この方法はパワーが上がる変わりに、同じ回転数を得るにはより高速なスイッチングの出来るインバーターシステムを必要するデメリットがあります。

N700SではSiCを採用したましたが、SiCは今までのSi(シリコン)を採用したインバーターより、より高速でスイッチングできます。そのため6極駆動のモーターを新幹線で初めて採用されたようです。

歯車装置の歯車の形状を変更

モーターの回転を車輪に伝えるため、間に歯車が入ります。この歯車の歯の形状が変更となりました。従来の物はハスバ歯車というもので、騒音が軸受けのダメ―ジが大きいものでした。今回採用されたヤマバ歯車は、それらが少ないものとなります。

JR東日本の新幹線試験車であるFASTECH 360でも採用されましたが、ヤマバ歯車はE5系では採用に至りませんでした。そのため営業車としては始めての採用という表現になりました。

耐雪構造の強化

台車の露出部を減らし台車付近の車体に融雪用のヒーターを搭載することで、列車の着雪を防ぐ機能が強化されました。

東海道新幹線N700系置き換え用車両

N700Sは試験車両にあたる確認試験車を2018年に、2019年より量産車の投入を開始し2020年7月1日に営業運転を開始しました。

一方2019年度ギリギリの2020年3月1日をもってJR東海所属の700系が全てが運行を終了し、N700Aで置き換えられました。なので、N700SはJR東海所属のN700系置き換え用として投入が続けられます。

JR西日本については700系の引退時期を発表していませんが、16両編成のB編成は3月13日に定期運行を終了しており、ひかりレールスター用の8両のみの運行となっています。今のところN700Sの導入は発表していませんが、いずれ導入が開始されると思われます。16両以外の編成にも対応しているため、JR西日本所属のひかりレールスターなども対象になるのではないでしょうか。一部では北陸新幹線の名前を挙げているところもありますが、雪に対する耐雪構造の関係やJR東日本との車両運用の関係で、将来の延伸時含めて無いのではと思います。

九州新幹線の800系新幹線も時期としては2020年頃に置き換え時期を迎えるので、今後対象に追加されるか気になるところです。

関連記事
東海道新幹線からJR東海700系引退へ

八高線真ん中山間の明覚駅 - 駅紹介 Vol.5




今回はJR八高線のちょうど真ん中にあり山に囲まれ風情のある駅、JR明覚駅を紹介します。前回の姨捨駅に続き第5回目の駅紹介です。

八高線の真ん中駅

JR八高線明覚駅駅舎
駅舎
明覚駅はJR八高線の駅で、埼玉県ときがわ町にあります。1934年に八高線の同区間開業とともに誕生した駅で、古い駅です。2013年までは有人駅だったのですが、今では無人駅となっています。八高線は「八王子~高麗川」間は電化されていますが、「高麗川~北藤岡」間は非電化区間で、同駅は非電化区間内にあります。そのため明覚駅で見れる列車は、基本的にディーゼル車のキハ110系だけです。ごくまれにDD51牽引の客車列車が乗務員訓練で運行されます。

ログハウスの八高線明覚駅駅舎
ログハウスでおしゃれな駅舎
駅舎はログハウスで建築されていて、周りの風景ともマッチしていてとてもオシャレです。無人駅ではありますが、しっかり清掃がされていてそのあたりも気持ちよかったです。

八高線の終点からの距離を表す看板
終点からの距離を表す看板
上の看板にあるように明覚駅はちょうど八高線全区間のうち真ん中にあたる駅です。実際の列車の高麗川・八王子への所要時間は看板よりちょっとだけ早く着く列車が多いです。ただ、今は高麗川駅での乗り換えが必須なため、そこでの待ち時間や八高線は単線なので列車交換による時間調整で、これより多くかかる列車もあります。

明覚駅高崎側の景色
高崎側の景色

明覚駅八王子側の景色
八王子側の景色
八高線は高崎方面に進むほど平野部を走るのですが、森や山に囲まれた場所も走ります。ただ、駅の近くまで山が迫っている場所は数えるほどで、私はその駅の中では明覚駅が一番山と駅の組み合わせが調和している駅だと思います。

今では数少ない八高線行き違い駅

明覚駅で行き違いを行うキハ110系
行違いを行うキハ110系
八高線に限らず列車の運行本数の減ったローカル線では行き違い設備の撤去が進んでいます。八高線も例外ではなく、高麗川以北の非電化区間で行き違い設備の撤去がされました。今では「高麗川・毛呂・明覚・小川町・寄居・児玉・群馬藤岡」が高麗川以北で行き違い設備を持つ駅になっています。越生駅すら単線になってしまったのだから寂しいものです。

明覚駅では行き違いを見たいなら朝がお勧めです。通勤時間で列車の運行本数が増えるため、行き違いを見やすくなっています。

スプリングポイントの駅

八高線明覚駅の高崎側のスプリングポイント
高崎側のスプリングポイント
明覚駅は行き違いをするためにポイントが設けられていますが、電動ではなくバネの力で自動で動くスプリングポイントが高崎・高麗川側の両方に採用されています。

スプリングポイントの仕組み紹介動画

このスプリングポイントは基本的に直線側に固定されており、分岐側が列車が入ってきたときは列車の車輪の力でバネが動き一時的にポイントが切り替えられ、列車が通過すると元に戻るしくみです。詳しくは動画を見て頂ければと思います。

明覚駅八王子側スプリングポイント
八王子側スプリングポイント
八王子側のスプリングポイントは道路脇に設置されているため、まじかで動く様子を観察することが出来ますので、お勧めのスポットです。

都心からも近く風光明媚な明覚駅、八高線も乗客は減るばかりなので是非列車でお越しください!

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