2021年10月27日水曜日

山手線大規模運休渋谷駅拡幅工事の臨時列車を振り返る




 2021年10月23~24日の二日間にわたり山手線内回り「池袋~大崎」間を終日運休し、様々な臨時運転を活用し混乱を避けて行われた、山手線渋谷駅拡幅工事について臨時列車を中心に振り返ります。


渋谷駅大規模改修工事の一環で実施

拡幅工事中の山手線内回りホーム
拡幅工事中の山手線内回りホーム
渋谷駅は東急東横線が地下化されて以降、乗り入れ路線の大半を巻き込む大規模な改修工事が続けられています。銀座線・埼京線と湘南新宿ラインホームの移設などが既に行われており、その一環として山手線内回りホームを拡幅工事を行いました。

山手線渋谷駅ホームは内回りと外回りが別々で、二面二線の構造です。今回の工事ではその構造自体には手を加えず、山手線内回りの線路を埼京線・湘南新宿ライン側に数メートル移動し、内回りホームが拡幅されました。

今後は山手線外回り線路を山手線内回り・埼京線・湘南新宿ライン側から反対がに少し移動し、1面2線の島式ホームにする工事が行われる予定です。そのため今度は外回り線の運休を伴う工事が実施されると予想されます。

特別経路の列車などで内回り運休を他の路線で補う

臨時列車が表示される新宿駅の電光掲示板
臨時列車が表示される
新宿駅の電光掲示板
山手線内回りが部分運休したため、様々な方法でその穴を埋めることなったので、後で詳しく解説しますがまずは簡単に説明します。

山手線は外回りは「品川~大崎」間の本数を3分の2に減らして通常通りの環状運転、内回りはだいぶ本数を減らして10分間隔で池袋と大崎駅で折り返し運転を実施しました。

埼京線は本来池袋駅まで行かないりんかい線や相鉄線からの直通列車を折り返しの設備のある、池袋・赤羽・武蔵浦和駅まで延長運転しました。そのため「大崎~池袋」間で、倍近くに本数を増やして運転となりました。

湘南新宿ラインは成田エクスプレスを同じ経路を使った「新宿~品川」間で、30分間隔のピストン列車が運行されました。大崎駅の線路配線上、大崎駅は通過での運転でした。

山手線は外回りも送り込みの関係で減便変則ダイヤ

山手線は内回り線は「大崎~池袋」間が運休で、大崎駅と池袋駅で10分間隔の折り返し運転となりました。一方外回り自体は運休しなかったのですが、内回りの送り込みの関係で「池袋~大崎」間を3分の2に減便の変則ダイヤとなっていました。

今回の運休は内回りと外回り両方を運休させたわけではありません。そのため内回りの折り返し列車を外回りを使って営業列車として、池袋から大崎まで送り込む必要があります。そのため外回り線の運行本数の限界が、山手線全体の運行本数の限界となったのです。

池袋駅では3線を使って折り返し

池袋駅山手線内回り7番線から 発車を待つE235系
池袋駅山手線内回り7番線から
発車を待つE235系
内回り線の列車は通常の列車同様に、まず池袋6番線に入ります。その後列車は池袋駅新宿側にある引き上げ線まで回送されます。そこで折り返して、外回り線へ転線し折り返します。

転線した列車は、新宿方面からの営業列車も到着する7番線と、始発・終着列車専用の東上線横にある8番線ホームから交互に折り返し列車が発車しました。

大崎駅でも3線を使って折り返し

山手線外回り大崎駅4番線に 到着するE235系
山手線外回り大崎駅4番線に
到着するE235系
品川方面から到着した外回り列車は、折り返し列車とそうでない列車で別のホームに入ります。営業列車は通常通り3番線ホームに到着し、そのまま池袋方面へ向かいます。一方ここで折り返す列車は、始発・終着列車用の4番線に到着します。そこから大崎駅品川側にある引き上げ線に回送し転線します。その後1・2番線に交互に列車を振り分け、そこから折り返します。

埼京線は大幅増便

新宿駅停車中の埼京線直通池袋行きの相鉄12000系
新宿駅停車中の
埼京線直通池袋行きの相鉄12000系
山手線の減便列車を補うため埼京線「池袋~大崎」間で、大幅増便されました。埼京線・川越線内で運行する列車はダイヤをあまり弄らず、りんかい線と相鉄線からの超通列車の延長で対応されました。

山手線の横にある山手貨物線には、埼京線と湘南新宿ラインが運行しています。湘南新宿ラインは東海道線・横須賀線・高崎線・宇都宮線と長距離路線通しの直通のためダイヤを弄るのは難しく、ダイヤの弄りやすい埼京線を中心に増便したと想像できます。

りんかい線からの直通列車は大崎止まりの列車を延長するだけでなく、運行本数自体を1時間あたり数本増便し、赤羽駅と武蔵浦和駅行きの列車としました。

相鉄線からの直通列車は通常ダイヤでは新宿駅を折り返しを基本としていますが、池袋駅まで延長運転が行われました。そのため相鉄車の池袋折り返しも見ることが出来ました。

湘南新宿ラインは臨時ピストン列車

品川駅で横須賀線E235系と並ぶ臨時列車のE233系
品川駅で横須賀線E235系と並ぶ
臨時列車のE233系
長距離列車が多くダイヤを弄るのが難しい湘南新宿ラインですが、大崎駅を通過の「品川~新宿」間で30分間隔で折り返し運転が行われました。

新宿駅では普段埼京線の折り返し用ホームとなっている2番線ホームが、臨時列車の折り返しホームとなりました。埼京線は延長運転を行っているため折り返し列車が少なくなっているため、日中の2番線ホームは折り返し臨時列車だけが長々止まる、普段では考えられない贅沢な使い方です。

品川方面へ向かうため大崎駅を通過する臨時列車のE233系
品川方面へ向かうため大崎駅を通過する
臨時列車のE233系
「新宿~品川」間で列車は、「渋谷・恵比寿」のみの停車となっています。新宿と品川を行き来する列車は、新宿側大崎駅手前にある分岐線(厳密にはこっちが本線)を利用し山手貨物線と横須賀線を経由する必要があります。この大崎駅の真ん中を通る分岐線には、ホームが無いため、大崎駅は通過するしかないので通過となりました。

新宿行き臨時が表示される品川駅横須賀線の電光掲示板
新宿行き臨時が表示される
品川駅横須賀線の電光掲示板
臨時列車は横須賀線を経由するので、品川駅では横須賀線のホームを使うとスムーズに折り返せます。そのため横須賀線14番線ホームを使っての折り返しが行われました。ピストン列車はE233系やE231系が使われたため、横須賀線ホームでは普段見られないE217系やE235系とのツーショットが見ること出来ました。

このように様々な臨時列車とダイヤを駆使することで、混乱を抑えて工事を実施することが出来たのは見事だったと思います。また、私も含め珍しい光景に非常に多くの鉄道ファンが集まりました。今回は鉄道ファンによる大きな混乱が無かったのは良かったと思います。ただ、写真よりも録音するための棒を狭いところで使う人が多かったのはどうかと思いました。JRを見習い鉄道ファンも気を引きしめて、鉄道を楽しみたいものです。

また先に触れたように外回り線の工事が今後実施されると思われます。JRがどのような工夫で工事に挑み、どんな臨時列車が走るかも楽しみです。


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