前回の
今年もひっそり開催 鉄道総研一般開放 Part2に続くPart3です。最初は展示の話ではないですが、以前から気になっていたことについてその道のプロに聞いてみました。
シングルアームパンタグラフあれこれなど
1.雪対策として効果あるのか
2.下枠交差などと比べて強度は
3.パンタグラフを付ける向きに意味はるのか
A1.雪対策としては有意な差がある
パンタグラフ自体の面積が少なくなるので大きな差とまでは言えなくとも、はっきりとした差はあるそうです。なのでJR東日本や北海道では明確にそれをメリットの一つとしてパンタを交換しました。
A2.強度に差はあるが微妙なところ
確かに強度に差がないとは言えないそうなのですが、例えば架線にビニールがひっかかっていた場合などに壊れやすさに大きな差が出るかというと微妙なところのようです。また、ビニールでも農業用の厚手のビニールなんかは強度もあるので強敵なのだそうです。
A3.新幹線なら有意な差がある
シングルアームパンタグラフは形が非対称ではない「くの字」に折れ曲がった形をしていますが、くの字の尖ったほうに列車が進むときは「なびき」、くの字とは反対方向に進む場合は「反なびき」というそうで、空気抵抗は速度の二乗倍で大きくなることもあり反なびきの時には影響が多くなるそうです。また、非対称であることで進行方向によって周囲に及ぼす影響が変化するために設計の面でも厄介な部分です。
ここで思い出されるのは左右対称の500系の翼型パンタグラフでそれについても聞いてみたのですが、あれは性能自体は良好だったが維持費が高くて断念したそうです。翼型はパンタグラフが上下に可動して架線に追随するのですが、パンタグラフ自体には空気や架線からの抵抗で左右にも負荷がかかります。その動きを実現するための整備JRを西日本で行うことが出来ず、毎回メーカー送りによる整備を必要としたためコストが高くなってしまったそうです。
・非常ブレーキの圧力について
ブレーキを出来るだけ短い距離でかけたい場合は車輪が滑走しないギリギリを狙わなくてはなりません。そのためブレーキの種類や車体の重さに合わせて圧力を変える必要があり、一般的に700~620kPha程度の圧力を制輪子に加えるそうで新幹線の場合は高速で運転しているのでもっと圧力は小さくなるそうです。更にそのときの圧力や減速力のかかり具合をどうするかも各社によって考え方が異なるようで、最大のブレーキ力がかかるようにや直線的に最初から最後まで一定の具合になるよう調節するなどあるそうです。
試験車両展示
あまり多くの話を聞くことは出来なかったので簡単に書いていきます。
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R291 構内用試験電車 |
この車両は省エネルギー開発などを目的に新製された車両で、VVVF制御の95kwのモーターを搭載の1M1Tの120km/hで走行できる性能があります。
注目して欲しいのは台車で、車体はJR西日本の223系と同じなのに台車はJR東日本E231系で採用されているものとなっています。現在は燃料電池関係で使用されているそうです。
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元八高線キハ30形 |
こちらは八高線で使われていたキハ30形をエンジン・クラッチの換装、電子制御化改造したものです。電子制御や電車との協調運転の試験を行っていたそうで、現在も試験車両として現役です。
写真でも床下に新しい機材が搭載されているのを確認することができます。
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新幹線タイプの試験車 |
ボロボロなのでもう使ってないのかと思ったのですが、車体のほうがボロボロでも困らないのでそのまま使っているそうです。確かに台車はピカピカで整備されていることが写真でも分かると思います。
今回初めて鉄道総研の一般公開に参加したのでかなり楽しめました。
とくにプロの方の意見を聞けるのはとても有意義でした。
いずれまた訪れてみたいと思います。