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2016年2月5日金曜日

「道南いさりび鉄道」ってどんな会社?




北海道新幹線開業により生まれる第三セクターの「道南いさりび鉄道」について紹介したいと思います。
記事作成日: 2015.12.04/記事更新日: 2016.02.05

江差線廃止区間を走るJR北海道キハ40系
北海道新幹線をバックに江差線廃止区間を走るキハ40

会社概要

「道南いさりび鉄道」は北海道新幹線開業によりJR北海道から切り離される江差線「木古内(きこない)~五稜郭(ごりょうかく)」間を運営する第三セクターです。

社名について

発足時は暫定的な社名として「北海道道南地域並行在来線準備株式会社」を使っていましたが、2015年1月1日に名称変更が行われて「道南いさりび鉄道」となりました。

「いさりび」とは津軽海峡で操業するイカ漁の漁船がイカを集めるために使う集魚灯の名称「いさり火」に由来するもので、6207件の公募から会社名選考委員会が地域からの意見や道外からの目線を加味して選ばれたそうです。

車両・列車

木古内付近を走るキハ40系普通列車
三セク移管後も使用される予定

・キハ40系ワンマン仕様-9両

運行形態としては江差線時代と同じく、五稜郭からJR北海道へ乗り入れ「木古内~函館」間となります。

JR北海道からワンマン仕様のキハ40系9両を譲りうけ、その車両で旅客営業する予定です。このうち2両は地域情報発信列車「ながまれ号」として、車内・外観の両方を改造した上で3月26日から営業となります。「ながまれ号」は普段はほかの車両と同様に運用されますが、観光団体向けに食事を提供出来るようにする予定です。

函館駅停車中のJR東日本485系3000番台特急白鳥
北海道新幹線で廃止となる
485系特急「白鳥」

北海道新幹線開業前の江差線は、地域輸送のキハ40系を使った普通列車、本州からの客車寝台列車「北斗星・カシオペア・トワイライトエクスプレス」や、電車特急などを使った都市間列車「スーパー白鳥・白鳥・はまなす」、電気機関車が牽引するJR貨物の貨物列車が走っていました。北海道新幹線開業後は青函トンネルのキャパシティもあり、都市間列車や寝台特急は廃止され、地域輸送のキハ40系とJR貨物の貨物列車が中心となります。臨時列車としては、JR東日本のクルーズトレイン「四季島」が通過する予定です。

路線について

運行区間: 木古内駅~五稜郭駅・12駅 37.8km (江差線)
管理駅: 11駅
全線交流電化20000V
全線単線

運行区間は江差線全区間にあたる木古内駅~五稜郭駅・12駅 37.8kmです。前身である江差線は2014年5月12日までは名前の通り北海道の「江差~五稜郭」間を結ぶ路線でした。1936年に全線開通した路線で、歴史ある路線です。しかし、利用客の減少を理由に「江差~木古内」間は函館バスへの転換が決まり、鉄道路線としては廃止になりました。残りの区間も第三セクターになるため、江差線は完全に消滅します。事務的な面でも路線の譲渡や引継ぎではなく、JR北海道は江差線を新幹線開業日に廃止という手続きをとっていて、道南いさりび鉄道が新規に開業するという形になっています。

線路は全線で単線ですが、本州との大動脈であるため、殆どの駅で行き違いが可能となっています。交流20000Vで電化されていますが、北海道新幹線開業に伴い旅客列車は気動車を使った普通列車のみとなるため、薩摩おれんじ鉄道と同じように貨物列車以外は電化設備を使用しない予定です。

設備・運営

必要な設備は整備・修繕を施したのちにJR北海道から譲りうけます。指令システム・車両基地はJR北海道と共同使用とし、保守設備もJR北海道からレンタルするなどとして、最低限の購入に留めます。

駅窓口業務は縮小します。木古内駅・七重浜駅・上磯駅は窓口業務を廃止し、定期券の駅周辺への委託と券売機の更新で対応します。五稜郭駅はJR北海道へ窓口の業務委託を行い、清川口駅・茂辺地駅・釜谷駅・泉沢駅・札苅駅は、現状通り簡易委託駅として引き続き営業されます。

運賃

運賃はJR時より1.3倍程度の値上げの予定です。JRへ乗り継ぐ場合は初乗り運賃が二重になってしまうため、利用者の多い「道南いさり火鉄道→JR函館駅」は定期と切符の乗り継ぎ割引が設定され、「道南いさり火鉄道→JR五稜郭~森駅」間は定期券のみ乗り継ぎ割引が設定されます。

赤字

開業10年での北海道や沿線自治体が負担する赤字金額は23億円を見込んでいます。


2016年1月3日日曜日

最後の夜行急行「はまなす」の魅力と今後




「北斗星」が廃止され後、新たに注目を集める列車「はまなす」の魅力と今後について紹介したいと思います。
最終更新日: 2016.01.03


札幌駅停車中の急行はまなす
札幌駅で発車を待つ急行「はまなす」

急行「はまなす」とは?


青函連絡船の廃止後に本州と北海道を結ぶ夜行列車として1988年から運行を始めたのが急行「はまなす」です。運転区間は青森~札幌駅間で、どちらの駅からも22時過ぎに出発して早朝に終点へ付くダイヤになっています。

2012年に大阪~新潟を結ぶ夜行急行「きたぐに」が臨時になってからは、定期運行を行うJR最後の急行列車となりました。

2014年以降は「トワイライトエクスプレス」「北斗星」が廃止されていくなか、「カシオペア」とともに運行を続けています。しかし、JRは2016年3月の北海道新幹線に合わせる形での廃止にする方針と報道され、9月16日に正式に廃止が発表されました。

「はまなす」の魅力

今時珍しい客車


函館駅に停車中のED79形
函館駅で急行「はまなす」から切り離されたED79形


今時としては珍しい客車を使用しています。「はまなす」の運行区間には多くの非電化区間があり、電車では全線を走ることが出来ません。そして、青函トンネルは安全の関係で火災の危険があるディーゼル列車なども通ることが出来ません。そのため、青森~函館間はED79形電気機関車・函館~札幌間はDD51形ディーゼル機関車が牽引することになっていて、函館駅で機関車の付け替え作業を見ることが出来ます。

ちなみに「はまなす」も客室の電灯などのサービス電源用にディーゼル発電機を積んでいますが、消火装置を搭載することで青函トンネルの基準をクリアしています。

「北斗星」が廃止となった今では、定期列車で国鉄時代設計の青い客車を使用しているのは「はまなす」だけです。寝台『特急』ではないのでブルートレインとは言えないかもしれませんが、非常に貴重な車両での運行となっています。

はまなすの走行・車窓動画

お財布に優しい


通常料金で乗る以外の方法として企画切符を使うというのがありますが、北海道・東日本パスと「はまなす」の組みあわせは最強です。北海道・東日本パスは7日間JR北海道とJR東日本と一部私鉄の快速・普通列車を乗り降り自由という切符ですが、例外として「はまなす」の座席とカーペットカーには急行券などを追加するだけで乗れるというものがあります。これを利用すれば北海道と関東を1万5千円程度で往復できるのです。

また、大きな額ではありませんが新幹線との乗り継ぎ割引の対象にもなっているので、新幹線特急券と一緒に購入することをお勧めします。

一つ注意としてカーペットカーやB寝台はえきねっとでの予約が出来ません。また、シーズン中のカーペットカーは一ヶ月前10時には即満席になります。一般的な特急列車とは違う部分もあるので、予約日当日より前に駅の窓口で細かく聞いてから指定席確保に望むことをお勧めします。

面白い編成


誤乗車防止の張り紙
運が良いと回送のため連結されている車両がある
今時の列車は特急なら座席だけ、寝台列車なら寝台だけというのが多いですが、「はまなす」は寝台車、座席車両、「カーペットカー」を連結しています。普段は7両ですが、夏季の旅行シーズンなどは最大12両の長大編成で運転されることもあります。

寝台車は24系客車を使った開放B寝台のみで、乗車券・急行券の他に寝台料金が必要です。
個室がなく仕切りがカーテンのみなので、ちょっと苦手な方も多いかもしれません。

座席車両は14系客車で一般的な特急車両に使われるような座席の車両と、「ドリームカー」と呼ばれる大きくリクライニングする車両があります。このドリームカーのリクライニング座席は、本当に大きくリクライニングするので快適です。

そして最後の「カーペットカー」は、名前の通りカーペットに布団を敷いた感じの車両です。清掃も行き届いているので、寝心地自体は開放B寝台とさほど変らないと思います。

「ドリームカー」と「カーペットカー」は急行券以外に指定席券が必要ですが、設備を考えるとお得な車両です。ただし、連結されない日もあるのでみどり窓口で確認が必須です。お勧めとしては、お金に余裕があるなら「B寝台」、安く済ませたいけど快適性を確保したいなら「カーペットカー」です。

最後に「ドリームカー」と「自由席」の比較ですが、指定席である「ドリームカー」はほぼ満席であっても、「自由席」のほうはガラガラということもあります。座席としての快適性は「ドリームカー」で間違いないのですが、トータルの快適性では必ずしも上とは言えない時もあります。

また、営業列車に回送列車を連結することもあり、運が良いと函館駅で客車の切り離しも見ることが出来ます。

自動販売機がついている

最近は駅のキオスクの充実で車内販売や自動販売機が消えていますが、長時間走る夜行列車である「はまなす」には健在です。値段も普通の自動販売機と同じで、缶の大きさも250mlなどではない普通のサイズを売っているものポイントが高いです。

そんな「はまなす」の今後

急行はまなすののびのびカーペットカーのロゴ
車両かだいぶ老朽化しているのが分る

2016年3月までは運行決定

「北斗星」や「トワイライトエクスプレス」が廃止され、「はまなす」の今後が気になる方も多いと思います。今分かっているのは2016年3月までは運行されるということです。新幹線開業の切り替え工事があるため、「青森発→札幌行き」が青森基準で3月21日、「札幌発→青森行き」が札幌基準で3月20日が最終運行日となります。それまでは大きな減便もなく運行されます。

※ダイヤ: 「北斗星」「はまなす」「カシオペア」新ダイヤ徹底解説

北海道新幹線開通後の青函トンネルは設備を新幹線用に切り替えて、新幹線車両と特別な機関車が牽引する貨物列車しか走れなくなる予定です。そして、実際の開業より前に乗務員の訓練や機械の試験を行う必要があります。

しかし、今走っている青函特急や貨物を運休して訓練や試験を行うことは、本州北海道間の人と物の流れを止めてしまうので出来ません。そこで北海道新幹線では、貨物や特急が運行しなくなる深夜帯を使って試験を行うことにしました。そのため観光要素の強い「北斗星」と「トワイライトエクスプレス」は車両の老朽化という理由と、北海道新幹線の準備のため早くに廃止となりました。

それに対し「はまなす」は観光列車というより本州と北海道を結び、札幌からの最終列車などもかねる都市間輸送の要素が大きく廃止が難しい列車です。そして、ダイヤ的にも青森行きの列車の函館発車時刻を遅らせることで対応出来たので、2016年3月まで運行することが出来ました。

北海道新幹線開業に合わせて廃止へ

『札幌―青森間の夜行急行「はまなす」、函館―新青森間の特急「白鳥」「スーパー白鳥」も廃止する方針だ。』
『』内は北海道新聞2015年9月2日報道の 「「カシオペア」実質廃止 「はまなす」「白鳥」も JR2社調整」 より引用したもので、JR北海道とJR東日本が考えている今後の方針です。

近年公式な廃止より新聞などで先に発表したのち、JR各社が公式な廃止発表を行うことが多いのですが、今回も実質的な廃止発表でした。JR北海道・JR東日本が2015年9月16日に発表した北海道新幹線開業に関するプレスで、正式に廃止の発表がされました。

何故廃止になるのか

今後も青函トンネルを走行するためには、新幹線開業後にJR北海道が新しい電気機関車も用意する必要があります。しかし、青函トンネル付近の電化区間でしか利用できず、高額な電気機関車の導入は資金的にも難しいと思います。また、技術的にはJR貨物保有のEH800形電気機関車で客車を牽引することも可能ですが、最低限の導入になる見込みで、貨物列車以外で使うには数が足りないと思われます。なので、今後は青函トンネルを越えての運行は難しい状況です。

そして「木古内~五稜郭」間が第三セクターに移管されることも問題です。これにより、今までJR北海道が得ることが出来ていた同区間の運賃が無くなってしまいます。この減収は通常運賃で「青森~札幌」間を乗車した場合、JR北海道が受け取る運賃の約1割にあたる840円分で、無視出来ない金額です。

さらに廃止報道で触れられていましたが、JR北海道としては北海道新幹線開業後は乗客が減少すると考えているのも問題のようです。

今後部分的に残ることはあるのか?

2015年12月18日にダイヤ改正の発表がありましたが、代替列車などの発表はありませんでした。「札幌→東室蘭」に関してだけは、「札幌22:00発→室蘭23:46着」すずらん12号が設定されました、実質値上げではありますが、この区間にだけは一応代替と呼べると思います。

次に臨時列車としての運行を考えてみましょう。最初に書いたよう都市間輸送としての重要性や、冬季の移動手段確保などの観点からも重要性の高い列車です。そのため北海道新幹線開業後は車両を気動車に変更し、函館~札幌間の夜行列車にされる可能性が僅かにあります。この函館~札幌間の夜行列車というのは、快速「ミッドナイト」という名前で運転されていた実績もあります。

しかし、乗車率が悪く無さそうな観光列車も合理化で廃止してしまう、JR北海道の消極的な姿勢を見ると難しそうに感じます。また、北海道新幹線により特例区間が廃止されそうなのを見ると、安く移動できるメリットも消える可能性が高そうです。その点で乗車率が大きく下がりそうなことも考えると、可能性が0でないにしても運行は難しそうです。

一応議題には上がった貨物連結案

最後にネタ的な話題です。国交省の運輸審議会の資料に、「津軽海峡間は新幹線以外の選択肢がなくなるので、客車を貨物に連結可能か」という話が出ていました。その回答は、「客車自体が老朽化しているので新造コストの問題がある」「貨物の入換え作業によるタイムロスや編成によってはホームからはみ出る」「貨物列車と旅客列車では始発・終着駅が違うことや、今現在青森・函館駅には貨物が入ることはたいため運用面に課題がある」と回答がされていました。

身も蓋もないことを言えば、JRとしては客車の新造コスト捻出・複雑な運用・旅客を新幹線以外に流したくないという前提があるので、この案は無理な話です。ここは鉄道趣味的な思考実験ということで、どうやったら多少は現実的な案になるか考えてみたいと思います。

運用についてですが、青森・函館発着を辞めてしまえば一気に楽になると思います。青森始発を東青森に、函館発着を五稜郭にしてしまえば一気に楽になります。どちらも貨物取り扱いのある駅なので増解結は楽に出来ますし、はまなす運用に関して言えば夜間発着なので停車時間も多少無理が効きます。札幌行きの場合は「東青森~五稜郭」間はコキの最後尾に客車を連結、五稜郭でコキから分離して機関車を連結すれば、かなり楽になるのではないかと思います。

しかし、解決できない問題として貨物の遅延があります。都合の良い時間に「東青森~五稜郭」間だけを走る列車があれば理想ですが、なかなかそうは行きません。おまけに連結相手の貨物が遅れたら何かと面倒です。特に深夜帯に発着する駅で待つ人々はとても困るでしょう。幻の貨物連結案ですが、趣味的には一度でいいから見てみたいものです。

廃止発表とJR北海道の存在意義

JR北海道としては合理化のため運行を続けるのが難しい列車なのは十分理解できます。しかし、地域に必要とされていながら赤字で運行が苦しいのは、JR北海道の大半の列車にも言えることです。なので、私としては赤字でも需要が残っている列車まで整理を始めたら、JR北海道の存在意義とは何なのかと考えてしまいます。

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2015年7月31日金曜日

さよなら急行はまなす 乗り収めの旅




最後の夜行急行となった「はまなす」ですが、北海道新幹線開通とともに廃止か運転区間縮小が濃厚となっています。今回はそんな「はまなす」の乗り収めの旅をレポートします。

急行「はまなす」とは?

急行「はまなす」は津軽線・海峡線・江差線・函館本線・室蘭本線・千歳線を経由して、「青森~札幌」間を結ぶ夜行列車です。急行「きたぐに」や北斗星が臨時化した今となっては、最後の定期急行・客車寝台列車となして運行しています。

そんな「はまなす」も北海道新幹線の開通で廃止か運行区間縮小の可能性が高くなっています。なので、「北斗星」の乗り収めの帰りに「はまなす」の乗り収めをすることにしました。

※以前「はまなす」の魅力について紹介した記事があるので、詳しくはそちらもご覧下さい。
最後の夜行急行「はまなす」の魅力と今後

札幌駅から乗車

回送として到着する急行はまなす
回送列車として20分前に到着

今回乗車したのは札幌発青森行きの列車です。列車は札幌駅22:00の発車ですが、夜行列車らしく余裕を持って、20分前の21:40には札幌駅4番線へ到着します。昼間は「北斗星・カシオペア」と同じく稲穂駅近くの札幌運転所にて留置・メンテナンスをされているので、小樽方から回送列車は到着します。

札幌駅に停車中の急行はまなす
先頭車側から撮影

札幌駅に停車する急行はまなすとキハ40
最後尾側から撮影

発車まで20分ほど余裕があるので、撮影へ向かいます。札幌駅はターミナル駅ということもあって、蛍光灯が多く設置されています。なので、夜間に編成全体の写真を撮るにはお勧めの駅です。

一通り写真を撮り終えたので乗車します。列車は接続列車を待っての発車だったので、数分遅れで札幌駅を発車しました。

この日は平日でしたが、私が乗車したドリームカーの乗車率はかなり高めで、80%を越えていたと思います。カーペットカーは満席だったので、おそらく自由席を除いて全体的に混雑していたと思います。今回驚いたのは外国人観光客の方が多かったことです。私の隣の席や前の席も外国人の方でした。国としては中国のような周辺国だけでなく、英語圏のような遠くの国から観光に来ている方も多いよう感じました。

列車は札幌駅を発車して千歳線を走ります。車窓を眺めるのも良いのですが、体力優先で函館駅までは眠ることにします。

函館駅で機関車交換

函館での機関車交換を見るためセットしといたスマホのアラームで目が覚めます。起きたとき悪い夢でも見たような感じでした。普段は夜行列車でも眠れる体質なのによく眠れなかったので、その理由を考えましたが、下り「北斗星」に乗った際は保線の悪さで振動が激しい区間も多かったと感じていたので、線路の影響でよく寝付けなかったのかもしれません。

函館駅ホーム手前で停止するED79形
ホーム手前で停止するED79形

カメラの準備をして列車最後尾へ向かいます。函館駅では到着後すぐにDD51形が連結されているのとは反対側にED79形が連結されるので、連結を見るなら最後尾へ移動するのがベストです。ただし、DD51形の切り離しも到着後すぐに行われるので、切り離しが見たい場合はDD51形側に行くのがベストです。

列車は定刻通りの2:52頃到着しました。この日は北海道新幹線の試験による時刻変更が無かったので、30分後の3:22の発車です。よって30分ほど函館駅に停車します。

函館駅の急行はまなす連結の様子
ED79形との連結の様子

列車が到着するとすぐにED79形がやってきます。最後尾に乗車していると、ポイント手前でED79形が待機していて、「はまなす」通過後すぐに同じ線路へ入線してくるのが分かります。ホームへ入線すると一旦停止して、そのあとすぐに連結となります。しかも、その間はなんと5分弱と早業です。楽しみにしていた連結もすぐに終わってしまいました。

DD51形回送と急行はまなす
横は札幌から牽引してきたDD51形
列車が到着して10ほどすると、切り離されたDD51形が回送として横を通過していきました。

津軽海峡を越えて本州へ

函館駅も定時の3:22頃発車となりました。せっかくなので青森まで起きているつもりでしたが、睡魔に負けて青函トンネル出口手前まで寝てしまいました。青函トンネルは4:50分頃の通過です、青函トンネルを出ると10分ほどで津軽今別駅を通過します。津軽今別駅では定時・時刻変更無しでの運行だと、下り「北斗星・カシオペア」とすれ違います。さらに深夜試験で使われたH5系が停車していることもあります。今「はまなす」に乗るなら必須のポイントなので、青森行きの場合は進行方向右側に注意してください。

客車から見えるED79形
客車からED79が見える
乗務員交代のため停車する蟹田駅も通過して、青森駅まで20分ほどで到着となります。起きてきた方も多くなってきたので、車内を少し散策することにします。

急行はまなすミニラウンジ
ミニラウンジ

「はまなす」にはミニラウンジが二箇所設置されています。乗車するとすぐお休みになる方も多いので、何か作業をしたり食べたりする場合に利用すると良いと思います。

急行はまなす自動販売機
自動販売機

最近の列車では見かけることが少なくなった自動販売機も二箇所に設置されています。値段も普通の自販機と同じで、中身も350ml缶や500mlペットボトルで普通です。列車内にある自販機としては、良心的に感じます。

青森駅でも機関車交換

列車は定刻通り青森駅5:39に到着しました。距離にして491km・時刻にして7時間40分、長い距離お疲れ様といった感じです。しかし、到着してもゆっくりはしていられません。

急行はまなす青森駅でのED79形切り離し
ED79形の切り離し

ED79形が切り離された急行はまなす
ED79形が切り離された14系

機回し停車中のED79形
青函連絡船用の線路が機回し線になっている

ここでも機関車の交換がおこなわれます。函館駅から牽引してきたED79形は到着と同時に解放の準備がされ、数分で解放し機回し線へ回送されていきます。

青森駅停車中急行はまなす回送と青い森701系
青い森701系とのツーショット

その後10分ほどしてDE11形が、ED79形が連結していたのとは反対側に連結されます。連結後45分ほど経った6:40に青森車両センターへ回送されていきました。


映像にもしてみたので、お時間がある方はどうぞ。

有難う急行「はまなす」


北斗星は8月で運行を終了しますが、「はまなす」2016年3月まで走る可能性が高いようです。ですが、私は多分それまでに乗りに行くことは出来ないと思うので、今回が最後の乗車になりそうです。

以前にも数回「はまなす」に乗っていますが、北海道への貧乏旅行の相棒として思い出深い列車です。夜乗って朝目的地につけるだけでなく、函館駅まで往復の切符を買って宿代わりに往復乗車したりと、私にとっては便利で楽しい列車でした。そんな「はまなす」も終わってしまう可能性が高いとなると、非常に残念です。せめて最後まで元気に走ってくれることを願うばかりです。


2015年7月25日土曜日

江差線最後の夏 乗車レポート




北海道新幹線開業で道南いさりび鉄道へ移行するため、70年近い歴史に幕を下ろす江差線について紹介します。

江差線とは?

江差線木古内駅に停車中のキハ40
江差線キハ40と木古内駅
2014年夏撮影

江差線は「木古内~五稜郭」間を結ぶ路線です。去年までは「江差~木古内」間を結んでいましたが、乗客減少を理由に廃止となりました。

北海道新幹線開通後は道南いさりび鉄道へ現在運行中の区間が全て引き継がれますが、書類上は一旦廃止となり引き継ぐ形となります。そのため江差線としては今年が最後の夏となります。

本州側の起点木古内駅

江差線木古内駅を発車する485系特急白鳥
木古内駅を発車する特急白鳥

特急「白鳥」で津軽海峡を越えてきたので、本州側の終着駅木古内から江差線の旅を始めることにします。

江差線キハ40車内
車内の様子
北海道新幹線の広告が貼ってある

今回乗車するのはキハ40の一両編成です。乗車した時間帯は夕方でしたが、「木古内~五稜郭」間は函館近くの上磯あたりまでは乗降客が少なく、1両で運行することも多いです。運行系統としても「函館~上磯」「函館~木古内」の二種類になっていて、同区間を走る「スーパー白鳥・白鳥」は木古内を出ると五稜郭か終点函館の順に停車します。

海沿いの気持ちよい路線

江差線車窓
海の見える車窓

木古内駅を出るとすぐに海沿いを走ります。線路は海岸沿いの道路と平行するように走っていて、少し高いところを走っているので、海がよく見えます。乗車しているキハ40は非冷房車なので、窓をあけて風を取り込むとさらに気持ちよいです。

江差線釜谷駅駅舎
釜谷駅駅舎

しばらく乗っていると最近では珍しい駅舎が見えてきました。駅舎は有蓋貨車のワムを改造したもので、綺麗に塗装がされています。普通なので各駅へ停まるのですが、単線なのでたびたび特急や貨物列車との行き違いでちょっと長く停まるときもあります。

町が近づく

40分も乗っていると上磯に着きます。上磯では貨物列車と普通列車の行き違いで10分ほど停車です。ホームを挟んでEH800系らしき機関車が牽引する貨物列車が、軽快に通過していきます。貨物の通過を待っていた対向の普通列車とともに、上磯駅を出発します。

ここからは住宅街が増えて、海は見えなくなります。ここからお客さんも増えてきます。

函館本線との合流が見えてきて、五稜郭に到着します。ここでは貨物列車の機関車の付け替えが行われるので、コンテナやから機関車やらが停まっているのが見えます。

函館本線五稜郭~函館間車窓

五稜郭を出れば次は函館です。数分で函館総合車両基地が見えてきます。この車両基地は函館駅横まで伸びている大きな基地で、ここが見えれば函館に着いたようなものです。列車は複数のホームが並ぶ函館駅に到着し、江差線の旅は終わりました。


2015年3月8日日曜日

今更聞けない北陸新幹線の話




2015年3月14日から運行開始をする北陸新幹線ですが、正直よくわからないという方もいると思います。今回はそんな方のために解説したいと思います。

大宮駅に到着するE7系新幹線
北陸新幹線でも使われるE7系新幹線

北陸新幹線って?

現在既に開業している長野新幹線の延長として「長野~金沢」間が北陸新幹線として開業します。「長野~金沢」間の駅は「飯山・上越妙高・糸魚川・黒部宇奈月温泉・富山・新高岡」の6駅です。上越妙高駅から東京寄りをJR東日本、金沢寄りをJR西日本が運行します。

「東京~北陸~大阪」を経由する北陸新幹線の建設計画自体は非常に古く、国鉄時代から存在していました。資金難や政治的な問題もあり一時計画を中断していましたが、長野オリンピックに合わせて開業した「高崎~長野」間が長野新幹線、今回開業する「長野~金沢」間が北陸新幹線という名称で開通することになりました。

初期の計画のように「東京~北陸~大阪」を全て新幹線で建設ということはなくなりましたが、「金沢~敦賀」間までは既に着工されていて、北陸新幹線の延伸区間として今後開通が決まっています。

将来的には「東京~敦賀」間が新幹線、「敦賀~大阪」間は新幹線車両が在来線へ乗り入れて運行することが検討されています。

どんな新幹線が使われる?

北陸新幹線はE2系・E7・W7系の三種類の車両が使用されます。

E2系新幹線

大宮駅に到着するE2系新幹線
E2系新幹線

E2系新幹線は長野新幹線開業時から使われている車両です。

東北・上越新幹線でも使用されている車両ですが、長野・北陸新幹線用の車両は8両編成でラインが赤、東北・上越新幹線用はピンクのラインに10両編成という違いがあります。

E7系の登場により廃車が始まっています。なので、そう遠くないうちに長野・北陸新幹線からは見ることは出来なくなります。

E7系・W7系新幹線

東京駅に到着するE7系新幹線
E7系新幹線

E7系は長野・北陸新幹線用として2014年3月15日から使用されているJR東日本所属の青いボディの車両です。

E2系より長い12編成でグランクラスも連結します。最高速度はE5系やE6系より遅いものの、乗り心地に関しては同様に高い水準となっています。コンセントが全座席に装備されていて便利です。

W7系は北陸新幹線開業と同時に運行を開始するJR西日本所属の車両です。見た目や性能もJR東日本E7系とほぼ同じ車両です。

今までJR東日本とJR西日本は線路が繋がっていなかったため、E7系とW7系は両社間を初めて行き来する車両となります。

どんな名前の新幹線が走る

既に運行をしている「あさま」の他に「かがやき」「はくたか」「つるぎ」の3種類の列車が新たに運行を開始します。

「あさま」号

「長野~東京」間を結ぶ長野新幹線開業時から運行している列車で、北陸新幹線開業後も引き続き同区間で運行を行います。

「かがやき」号

「金沢~東京」間を結ぶ列車です。

以前に「金沢~長野」間を結ぶ特急列車として使われていた名前で、北陸新幹線では速達型の列車名として使われます。停車駅は「東京・上野・大宮・長野・富山・金沢」と最低限の数になっています。

「はくたか」号

「金沢~東京」間を結ぶ列車です。

「かがやき」とは違い比較的多くの駅に停車する列車です。この列車名は「越後湯沢~金沢」間で運行する特急名を北陸新幹線開業と同時に引継ぎ使用します。

「つるぎ」号

「金沢~富山」間を結ぶ列車です。

全列車各駅で中距離の輸送を担います。この列車名は「金沢~大阪」間を結んでいた寝台列車でも使用されたことがあります。

消える特急・路線達

北陸新幹線開業に合わせて在来線も大きな変化を迎えます。

直江津駅に停車中の681系と475系
直江津駅から姿を消す
681系「はくたか」と475系急行電車

特急「はくたか」「北越」や「妙高」「くびきの」などの列車たちが役目を終えます。在来線も国が定めた法律により、新幹線と平行する信越線・北陸線の一部区間が第三セクターへ移行します。

これにより特急廃止による新幹線非停車駅の利便性低下、第三セクター化による運賃値上げなどの問題も生じます。

しかし、第三セクター側も特急並みの運行速度を誇る超快速、運行や着席サービスのライナー、リゾート列車の運行で問題を少しでも解決しようと考えています。そういった取り組みがどの程度成果を出せるかも注目です。


2015年1月10日土曜日

どこまで歩み寄れるか あいの風とやま鉄道




あいの風とやま鉄道が沿線住民に向けた「あいの風とやま鉄道利用者説明会」を続けていますが、一部報道ではダイヤや運賃に関することで参加者から不満の声が出たとありました。そのことについて解説をしながら考えて行きたいと思います。

どんな点が不満に挙がったか?

報道で挙げられたのは以下の2点です

・運賃の上げ幅が大きい
・サンダーバードとの接続の関係で富山からの大阪到着時刻が遅くなる

1つ目の運賃についてはJR管轄時より定期外・定期利用が1.19倍、通学定期が1.09倍程度の値上げが予定されています。この値上げ幅は過去に三セク化された路線と比べ低い水準での値上げ幅となっています。

このご時勢なので不満が出るのは仕方ないと思いますが、値上げ無しというのは現実的でないので妥当だと思います。

2つ目のサンダーバードとの接続ですが、現在は富山4:56発の特急「サンダーバード2号」に乗ると大阪駅へ8:22に着くことが出来ます。しかし、三セク化後は新幹線を含めても富山5:35発「普通金沢行き」が始発になるので、大阪到着は9:25で1時間程度遅くなり不便になります。

また、北陸新幹線を使った場合は2時間10分程度で富山から東京へ行けることを考えますと、富山駅6:19発「かがやき」に乗れば東京駅に8:32に到着でき大阪へ到着するほうが遅くなります。

これは地域間の結びつきにも影響がある問題だと思いますし、鉄道会社間だけの問題でなく検討したほうが良い課題だと思います。

あいの風とやま鉄道も何もしなかったわけじゃない

そもそも三セク化とは何のためにするのでしょうか?主な理由としては、「経営の責任をより明確にする」「JRから独立することで地域に密着した経営が出来る」などがあります。

他の三セクやJRが維持する平行在来線と比べても「運転本数の維持」「特急を補うためのライナー新設」「比較小幅な値上げ」など十分積極的に地域へ歩みよる姿勢を見せています。

なので、決していい加減な姿勢だったので上記のような問題が発生したわけではないと思います。

住民説明会は今後も続きます。開業時への反映は今からでは難しいと思いますが、沿線住民と意見を多く交わし経営へ反映されることが期待されます。


2015年1月9日金曜日

IRいしかわ鉄道ってどんな感じになるの? 北陸新幹線並行在来線について




前回のあいの風とやま鉄道に引き続き、北陸新幹線延伸により生まれる第三セクター運営会社IRいしかわ鉄道について紹介していきたいと思います。

北陸線芦原温泉駅に停車する683系特急サンダーバード
一部運転の継続が決まった特急「サンダーバード」

会社概要

IRいしかわ鉄道は北陸新幹線延伸により第三セクター化される北陸本線「倶利伽羅駅(くりからえき)~金沢駅」間を運営する、石川県を主体とした自治体が出資する鉄道会社です。

路線概要

路線: 倶利伽羅駅~金沢駅 17.8km (北陸本線)
管理駅: 金沢駅を除く4駅
全線交流電化20000V
全線複線

今回新たに設立される三セク会社では18kmと短い路線の会社です。
新幹線延伸後は福井県境までの45km程度がさらに管轄になると思われます。

保有車両

北陸線富山駅停車中の521系
IRいしかわ鉄道の主力となる521系

521系(2両で1編成) × 5編成

3編成がJR西日本の譲渡車、2編成が新造車となります。
譲渡車については、製造時の3分の1の価格で買い受ける形となります。

列車運行

・他社路線との乗り入れが前提のダイヤ
・JRからの特急乗り入れ継続
・あいの風とやま鉄道からの「あいの風ライナー」も乗り入れ

路線が短いため自社線で完結する列車はなく、はあいの風とやま鉄道やJR七尾線と直通する列車で運行されます。

七尾線乗り入れの特急存続についてはJRも積極的だったこともあり、「能登かかがり火」号5往復と「サンダーバード」1往復が存続します。「しらさぎ」に関しては定期列車の運行は終了します。

七尾線乗り入れ以外の特急廃止による利便性低下を補うため設定される有料ライナーの「あいの風ライナー」も乗り入れが決定しました。運行区間としては「金沢~泊」間が基本となり、ほとんど列車が相互直通で運行されます。

ワンマン化に関しては、日中の乗車率が低い時間に実施される予定です。

運賃

開業後5年間の運賃
・定期外、通勤定期が1.14倍
・通学定期は値上げ無し

開業後5年間の運賃は他の三セクと比較しても最小限の値上げとなっています。相互乗り入れが前提となる同社では、JR・IRいしかわ鉄道にまたがって利用する場合には乗り継ぎ割引を適用し、利用者の負担を減らします。

検討中の企画券
・フリー切符
・バスと鉄道がセットになった定期
・定期利用者への戦線施設優待サービス
・中学生往復半額切符

利用者を増やすために上記のような企画切符を検討しています。

運営

・乙丸車両基地の一部をJRから取得
・車両検修などはJR西日本やあいの風とやま鉄道などに委託を検討
・指令システムは現行のJR西日本のシステム2年使用した後新設へ
・金沢駅はJRと共同で保有

車両の保守などはJR西日本から取得した乙丸車両基地で行い、規模の大きい保守については委託を見当しています。

列車運行のための指令システムは現在JR西日本が使っているものをあいの風とやま鉄道が開業後2年間使用し、えちごトキめき鉄道の一部、あいの風とやま鉄道・IRいしかわ鉄道の3社を一括管理します。2年後には各社が独自に指令設備を構築することになっており、IRいしかわ鉄道ではJR西日本と連携出来る新たなシステムの構築を検討しています。

金沢駅については土地の保有はJR西日本が行い、駅舎の保有を行います。管理・運営についてはJR西日本が行います。

資金など

・資本金は20億
・運行支援金として30億
・開業後10年で11億の赤字見込み

県を中心とした自治体や民間企業により資本金は20億なっています。

乗り継ぎ割り引き・災害復旧・運賃値上げ抑制のため、県や沿線自治他・乗り継ぎ割り引きに関わる自治体と11年で30億円の運行支援金の積み立てを行います。

開業後10年で11億の赤字が見込まれるため、運行支援基金から3億円をあてます。
さらに足りない分に関しては運賃の値上げなどで対応します。


2015年1月2日金曜日

あいの風とやま鉄道ってどんな感じになるの? 北陸新幹線並行在来線について




前回のしなの鉄道 北しなの線に引き続き、北陸新幹線延伸により生まれる第三セクター運営会社あいの風とやま鉄道について紹介していきたいと思います。資料が今年3月の若干古いのものを中心にしたので、情報が古くなっていたら申しわけありません。

富山駅停車中の413系電車
三セク移管後も運用続ける予定の413系
後ろに見えるのが富山駅北陸新幹線ホーム

会社概要

あいの風とやま鉄道は北陸新幹線延伸により第三セクター化される北陸本線「市振駅(いちぶりえき)~倶利伽羅駅(くりからえき)」間を運営する、富山県を主体とした自治体が出資する鉄道会社です。

路線概要

路線: 市振駅~倶利伽羅駅 100.1km (北陸本線)
管理駅: 市振駅と倶利伽羅駅を除く19駅
全線交流電化20000V
全線複線

富山駅停車中の521系
三セク移管後の主力となる予定の521系

保有車両

521系(2両で1編成) × 16編成
413系(3両で1編成) × 5編成
MCロータリーラッセル車必要数とラッセル車2両

JR西日本より譲渡される上記21編成と除雪用車両が譲渡されます。予備車を入れると22編成の車両が必要なので、1編成の新規増備を検討しています。

列車運行

早朝は521系を2編成連結した4両の列車と413系で運転されます。日中は521系2両1編成でワンマン運転を行います。

乗り入れについてですが、えちごトキめき鉄道方面は泊から糸魚川・直江津までえちごトキめき鉄道のディーゼルカーで乗り入れを行い、IRいしかわ鉄道方面はIRいしかわ鉄道と一体になるような運用で金沢まで乗り入れます。

この直通運転金沢~泊間の直通列車を増やし、富山駅での乗り換えを減らします。そして、糸魚川駅での乗換えでは列車の縦列停車により同一ホーム乗り換えを実施します。

特急は無くなりますが、普通列車の増発と有料の快速列車の新設が行われます。さらに、特急がなくなったことで普通列車も所要時間の短縮されます。

運営

運行管理システムは開業後2年間は現在使われているJR西日本のシステムを使い同社が、自社線・えちごトキめき鉄道線の一部・IRいしかわ鉄道を一括で運行指令を行います。2年後は単独で現在より簡素な機能・仕様の指令システム導入することを検討しています。

車両保守などはJR西日本の富山運転センターから必要な設備を譲渡してもらい行いますが、要部検査・全般検査・大規模修繕に関してはJR西日本への委託を検討しています。

車両清掃も富山運転センターから設備を譲渡してもらいますが、JR西日本のDC車両の清掃などの効率的な運用を目指すため、JR西日本と調整を行います。

ラッセル車など除雪車両の運行については同社以外にまたがっての運行を検討しているようですが、こちらも他の三セク会社と調整中のようです。

運賃

開業後10年間は通学定期は1.05倍、通勤定期・定期外は1.19倍の値上げで対応します。
乗り継ぎに関しては割引を予定しています。

資金等

開業前の投資として185億円とし、110億円がJRからの設備譲渡費、75億が開業準備などです。
さらに開業あと10年間で指令設備の整備費、信号設備の更新、車両の更新で53億円を見込んでいます。

また、設備投資・乗り継ぎ割り引き・運賃値上げ抑制など開業後の経営安定のための基金を設立します。県が30億・周辺市町村が30億・民間からの寄付金5億を見込んでいます。

収支は翌年度こそ3億の赤字ですが、その後10年目までは基金などの支援で1億円の黒字を見込んでいます。


2014年12月18日木曜日

「北斗星」廃止で苦しむ第三セクター




2014年12月16日の記者会見で「青い森鉄道」の小林巧一社長が「北斗星」廃止の方針に対し、危機感を示したとの報道がありました。同社の2013年度の旅客運輸収入21億4100万のうち、「北斗星」「カシオペア」から収入が3億8800万と大きな収入源となっていて、「北斗星」廃止は大きな問題です。

北斗星を牽引するEF510形電気機関車

これら寝台特急に対して青森県は以前から運行本数の増加や増結などを求めていました。そして北海道新幹線の運行に伴い切り離される木古内~五稜郭間の第三セクター会社も収入の観点から存続を求めています。

平行在来線分離によって生まれた第三セクターは責任の所在を明確にするために作られた側面とJRの経営を間接的に助けてる側面を持ちます。そういう意味ではJR側の協力があっても良いと思いますが、JRも資本企業である以上は利益が出なければ運行は難しいのは明白ですし、元も子もありません。両者が責任を持ち第三セクター・JR両者に利益が出せる提案が必要と感じます。

主な負担はJRがするにしても、客車や機関車の新規製造のコストを一部負担するなど、第三セクターもある程度身を切ることも考えてみると良いのかもしれません。そうすることで費用の負担こそ発生しますが、寝台列車存続の危機感などは共有することが出来ると思いますし、トータルで黒字ならば問題ありません。

寝台特急を本気で存続することを考えるのであれば、やはり新しい形を模索することは必須なのではないでしょうか。

2014年11月21日金曜日

えちごトキめき鉄道ってどんな感じになるの? 北陸新幹線並行在来線について




前回のしなの鉄道  北しなの線に引き続き、北陸新幹線延伸により生まれる第三セクター運営会社えちごトキめき鉄道について紹介していきたいと思います。

直江津駅に停車中の115系
現在信越本線で使われている115系
妙高はねうまラインになる妙高高原~直江津間からは撤退予定

概要

えちごトキめき鉄道は北陸新幹線延伸により第三セクター化される信越線「妙高高原~直江津」間と北陸本線「直江津~市振」間を運営する、新潟県を主体とした自治体が出資する鉄道会社です。

路線


妙高はねうまライン(信越本線)

妙高高原~直江津間(10駅38km)
全線直流電化1500V
単線

日本海ひすいライン(北陸本線)

直江津~市振間(11駅60.6km)
直江津~梶屋敷間 直流電化1500V
糸魚川~市振間 交流電化20000V
複線

二つの路線がJRから独立し生まれるのですが、旧信越本線区間は山岳地帯の豪雪・旧北陸本線区間は険しい地形を走っていて、他の第三セクターよりも人口密度の低い地域を運営するのが特徴です。また、梶屋敷~糸魚川駅間に交流と直流を区切るデッドセクションが設置されています。

車両

長野駅停車中のE127系
JR東日本保有のE127系
長野駅にて撮影

E127系

JR東日本からの譲渡車
2両編成
ワンマン運転車
2両×10編成=20両編成保有
妙高はねうまラインにて使用予定
ラッシュ時は最大2×3=6両編成を予定

ET122形

JR西日本キハ122系ベースの新製車
1両編成
ワンマン運転車
イベント用兼一般車2両+一般車6両=8編成保有
日本海ひすいラインにて使用予定
ラッシュ時は最大1+1=2両編成を予定

しなの鉄道は元々115系を保有していて車両を統一する必要があったので115系の譲渡になったのだと思われますが、その必要の無い妙高はねうまラインはE127系になったのだと思います。

また、日本海ひすいラインは現在運行されている475系が非常に老朽化していることと、3両では輸送力過剰であること、交流直流両用車の導入は高くつので、譲渡ではなく気道車による新製になったようです。

上野駅に停車中のE653系フレッシュひたち
常磐線時代のE653系


このほかに乗り入れてくる他社の車両として、特急「しらゆき」に使われるJR東日本E653系やJR貨物の貨物列車などもあります。

運行・運営

最初に触れたように第三セクターでも人口の少ない地域を走る路線なので、利用者を少しでも増やそうという意識を持っているようです。その方向性として利便性の向上・観光需要の二つを軸としています。

利便性としては、需要に合ったダイヤ・編成を検討しJRなどの他社とのスムーズな乗り入れ・乗り継ぎを協議しています。その中で現在決まっていることとしては、新潟からの都市間・新幹線アクセスとして特急「しらゆき」が上越妙高駅まで乗り入れます。観光としてはイベント列車を用意し、JR・しなの鉄道・ほくほく線など積極的に他社線への乗り入れを検討しています。

また、JR線の切符を販売する端末を用意、JRとの企画券の検討などでJRと積極的に付き合う姿勢を見せています。

指令システムは2年後を目処に自社化し、運輸・設備はJR直江津駅のJR東日本の設備を振る活用します。それぞれの路線特有の安全対策として、日本海ひすいラインではトンネル内でトラブルが発生し列車が5分以上停止した場試合に、自動的に運行管理所へ警報する装置をつけ、妙高はねうまラインでは除雪車導入やポイントの融雪装置を現在より強化するなども行われます。

国や自治体からの補助金

資本金として県や沿線自治体・企業・市民から173億の出資を仰ぎ、国から30年間で740億を受ける予定です。前回紹介したしなの鉄道北しなの線も国からの支援を受ける予定ですが、それと比べても大きな額です。

あとがき

えちごトキめき鉄道は電車・気道車の保有やデッドセクションに人口密度の少ない険しい地域を走る鉄道という複雑な条件の中で、資料を見る限りでは様々なことに挑戦・検討をしているようです。
やり方次第では面白いことがおきるかもしれませんし、頑張って欲しいものです。


2014年11月10日月曜日

しなの鉄道 北しなの線ってどんな感じになるの? 北陸新幹線並行在来線について




北陸新幹線の延伸が来年行われますが、それと同時に平行在来線も第三セクター化されます。
そのことについて何回かに分けて書いていきたいと思います。初回としてしなの鉄道北しなの線についてです。

長野駅停車中の189系妙高号
信越線経由で長野~直江津を結ぶ「妙高」
特急「あさま」などで使われていた189系などが使用されている

しなの鉄道 北しなの線とは

北陸新幹線の延伸に伴い新たに第三セクター化される信越線の長野駅~妙高駅間のことです。
しなの鉄道の発足自体は北陸新幹線が長野駅まで開業したときなので、延伸に伴いしなの鉄道が保有路線を増やす形で開業します。

営業区間

営業区間は長野駅~妙高高原駅間の8駅で37.7Kmとなっています。

北陸新幹線開業で長野~金沢間の在来線が第三セクター化されるのですが、基本的に各県ごとに鉄道会社を運営することになっているので、新潟との県境に近い妙高高原までがしなの鉄道が運行する区間となります。そこから先はえちごときめき鉄道となり、直通列車は今後の状況を見ての運行を検討予定となっているます。

現在運行している「妙高」のような長野駅~直江津駅を結ぶ列車も廃止となり開業直後は妙高高原駅で分断されます。運賃や定期も当然ながら値上げすることになっています。

車両

小諸駅に到着するしなの鉄道115系
現在しなの鉄道で使われている115系
JRと同じカラーリングのものと赤を主体としたしなの鉄道独自のカラーリングがある

現在保有の45両の115系にくわえ、ワンマン化改造を受けた115系5編成を導入予定です。

現在しなの鉄道では115系3両編成か2両編成で運行を行っているので、新たに譲りうける車両もそれに準じた形になると思います。ただ、今回この記事を書くに当たって調べたところ車両に関しては若干不透明なところがありまして、一部では開業後に新車導入なんて記述もあるようです。

しかし、今年運行を開始した「ろくもん」が115系であることを考えると、115系で統一する方向ではないかと思います。

運行・保守

原則としては現在しなの鉄道で保有する設備を利用して運行・保守を一体的行う予定ですが、既に開業している区間の設備も老朽化している部分もあり、この際に設備更新を進めていくようです。更に黒姫駅には除雪用保守車を購入して配備します。

資金援助など

運行開始前の準備にはJRからの設備譲渡や長野県や沿線自治体からの支援を受けています。運行後は開業年度で3億円の赤字、5年目以降は4億円の赤字が見込まれており、国から4億円強の支援を見込んでいますが、更に県や自治体としての支援を検討しています。なので、言い方は悪いですが赤字ありきの経営となっています。

あとがき

今回長野県から出ている資料などを参考に記事を書いたのですが、ちょっと古い資料だったので鮮度の悪い情報になってしまい申し訳ありません。

今年の夏ごろ長野から直江津へ「妙高」に乗ってこの区間を利用したのですが、なかなかの田舎っぷりでした。これが冬季になると多くの雪まで降るのだから経営は大変だと思います。しかし、私が乗った車両には外国人観光客の方も結構乗っていて妙高高原駅で降りていきました。ここでも今話題の外国人観光客の方たちの力が重要になってくるのかもしれませんね。


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