2016年2月27日土曜日

さよなら水戸線・常磐線415系1500番台




2016年3月26日のダイヤ改正に合わせて水戸線・常磐線で運行している415系1500番台が引退となりました。今回は写真や動画を交えて紹介していきたいと思います。
記事作成日: 2016.02.27/記事更新日: 2016.05.25

415系1500番台とは?

水戸線小山駅に到着する415系1500番台
小山駅に到着する様子
水戸線・常磐線で運用されている415系1500番台は1986年から運行を開始しました。軽量化・省エネ化・保守低減の考えから、車体や台車は211系に準じたものとなっています。性能や制御方式については415系との併結するために、同一となっています。

車窓・車内なども含め
動画にまとめました

常磐線の主力車両として運行されていて上野駅でも見ることが出来ましたが、置き換え用のE531系が投入されたため運用区間を狭めています。今では水戸線・常磐線友部以北のみで運用を行っています。そしてE531系が更に追加投入されたことで、今度のダイヤ改正に合わせて現在運行している区間からも撤退します。2016年6月25日の団体臨時列車の運行をもって、JR東日本からは姿を消すと思われます。

日本全国へ目を向けるとJR九州やJR西日本所属の車両があります。JR西日本所属車については数も少ないのでどれくらい見れるかは分かりませんが、九州地方では交直車以外代替の利かない関門トンネルのデッドセクションもあるので、しばらく活躍する姿を見ることが出来ると思います。

415系の見所

415系1500番台は関東で最後まで見ることの出来、唯一の国鉄型交直流車両です。そのため415系ならではの特徴もあります。それらを踏まえて紹介したいと思います。

211系に準じた外観

高崎駅停車中の211系
両毛線や中央線で活躍する
JR東日本211系
最初に述べたように外観は直流近郊型電車の211系とほぼ同じとなっています。ステンレス性の車体で、帯の色を変えると分からないと思います。台車もボルスタレス台車で、211系とほぼ同じものを使用しています。しかし分かりやすい違いもあります。

水戸線小山駅停車中の415系1500番台
違いの一つのL時アンテナ
まず一つとしては、L時方の検電(静電)アンテナです。最近の車両はこのタイプのものを採用しているものが少ないので、415系1500番台の特徴の一つともいえると思います。

415系1500番台のパンタグラフ
パンタグラフを含む屋根上機器
次に特徴的な外観はパンタグラフを含む屋根上機器です。交流・交直流電車特有の複雑屋根上構造も、211系との分かりやすい違いです。

近郊型構造と消える電灯

415系1500番台車内
車内は3扉でロングシートの構造
扉は3扉で座席はロングシートとなっています。水戸線・常磐線関東地区では415系1500番台、E501系、E531系の3形式が運行しています。それぞれ車両構造が違い3扉ロングシートを採用しているのは415系だけで、唯一の近郊型構造でした。

デッドセクションで電気の消える415系の蛍光灯
デッドセクション走行中の様子
蛍光灯が消えている
最近の交直流電車はバッテリーを搭載することで、交流と直流の切り替え区間であるデッドセクションでも室内灯が消えませんが、415系では消えます。常磐線の運用は交流区間のみの運用のため、この光景が見れるのは水戸線の「小山~小田林」間にあるデッドセクションを通過するときだけです。

415系1500番台の走行音

車両の主制御機器が抵抗制御であるため、最近の電車特有のインバーター音はしません。さらにこの電車ならではの音として、デッドセクション通過時の断流器の音があります。パンタグラフ下あたりの座席に座っていると、デッドセクション通過時「シュッ」という空気が抜けるような音が聞けます。(一番目の動画3:45過ぎに音を収録)

駅にも居る?415系

水戸線・常磐線友部駅乗車位置目標
友部駅の乗車位置目標
最後にですが415系1500番台と共に消えそうなものとして、駅の乗車位置目標があります。写真は友部駅のものですが、使い古されてだいぶ痛んでいます。415系1500番台が引退すると3扉の列車が無くなり、この乗車目標は不要なものとなります。しかも、1500番台より先に引退した0番台とのツーショットのピクトグラムです。415系をこれから見に行こうという方がいましたら、是非足元にも目を向けてみてください。足元で常磐線・水戸線を支えた縁の下の力もちの最後の雄姿です。

最後の雄姿 団体臨時運行

2016年6月25日に有料ツアー向け団体臨時列車が設定されました。車両は8両で、「いわき11:50発→竜田12:38着」「竜田13:08発→いわき11:50着」のダイヤです。料金は大人5500円・子供5200円で、5月26日14:00からJR水戸支社のページなどで募集されます。

これが最後の乗車チャンスだと思うので、思い出のある方は参加を考えてみてはどうでしょうか?


2016年2月20日土曜日

凄いぞED79! 北海道新幹線開業で消え行く電気機関車




北海道新幹線の開業が迫り「北斗星・カシオペア・トワイライトエクスプレス」などの寝台特急たちの廃止が話題になる中、世間では注目されにくい縁の下の力持ちED79形電機機関車について紹介していきたいと思います。
記事作成日: 2014.11.12/記事更新日: 2016.02.20

五稜郭駅を通過する寝台特急北斗星
寝台特急北斗星を牽引するED79形電機機関車
五稜郭駅にて撮影

なぜED79形は廃車になるのか?

ED79形は青函トンネルが開通するにあたり通過する客車や貨物列車を牽引する機関車が必要になり造られた電気機関車です。そのため現在運用されている区間は寝台特急などの旅客列車で青森駅~函館駅間、貨物列車では青森信号所~五稜郭貨物ターミナル間という限られた区間となっています。

北海道新幹線が開業すると青函トンネルは貨物列車と新幹線両方が使うことなるのですが、そこで問題が生じます。貨物列車と新幹線では同じ交流でも、使っている電気の電圧が違うのです。そこで貨物列車側が新幹線の電圧に合わせて走ることになり、新型の電機機関車EH800形を導入することが決定し、廃車になっていく流れとなりました。

青函トンネルで使えなくなったらなら他で使えばいいじゃないか?と思われる方も居ると思いますが、その可能性は非常に低いと思います。ED79形はED75形電機機関車を改造して造られた古い車両と、JR貨物が所有する1989年に一から新しく作った車両があります。改造して造られた車両はだいぶ古くなっていること、新しく作った車両も製造から25年経っていることと、高温多湿な青函トンネル・潮風の吹く海辺の路線・冬季の雪などの過酷な環境で使われていため痛みが激しく、通常より多くの修理が必要と想像されます。そのため修理して違う路線で使うよりは全て廃車にするほうが楽と思われます。また、ED75形のような臨時列車の牽引用として残すにしてもJR北海道の電化区間が限られていることを考えると、残すメリットはありません。

以上のこと踏まえるとED79形は全廃という形になると思います。

そんなED79形はとても面白い

上記のような理由から廃車になるであろうED79ですが、非常に魅力的な車両なのでそれについて簡単に紹介していきたいと思います。

JRでは珍しい4軸電機機関車

タンク車を牽引するED75形
今では臨時列車などでしか見られないED75形
写真は定期運用でタンク車を牽引していた頃の姿

4軸電機機関車というのは車輪が4つの電機機関車ということなのですが、JRで定期運用で使われているのはED79形だけです。定期運用を除けばED75形もあるのですが、工事や車両を回送する時などの臨時列車にしか使われないので滅多に見ることができません。

様々な列車を牽引

函館駅に停車中の急行はまなす
急行「はまなす」を牽引するED79
函館駅にて撮影
ED79形が牽引するする列車は国内唯一の客車寝台特急「カシオペア」、国内唯一の夜行急行「はまなす」、貨物ではコンテナ車です。他の機関車は普段は貨物列車のみで、臨時列車でたまに客車なんて状況です。「北斗星・トワイライトエクスプレス」の廃止で牽引列車は減りましたが、今でも日本一豪華なバリエーションの列車を牽引する機関車と言えるのではないでしょうか。

夜の蟹田駅での乗務員交代

映像は蟹田駅でトワイライトエクスプレスの乗務員が交代する様子です。夜行列車の乗務員交代というのは非常に珍しい光景となってしまいました。蟹田駅ではJR北海道とJR東日本の乗務員が交代するために停車します。

JRでは珍しい重連運用を行っていた

五稜郭駅に停車中のED79形重連
発車を待つ重連のED79形牽引の貨物列車
五稜郭駅にて撮影

重連というのは機関車が2両連なって走ることです。定期運用で重連運用を行っているのは寝台特急「カシオペア」で、「函館~札幌」間をDD51形の重連で運転しています。

ED79形は客車列車であれば1両で十分ですが、重いコンテナ列車が青函トンネルを走行できるように貨物を牽引する時は重連を行っていました。昔であればもっと頻繁に行われていましたが、近年では珍しい運用でした。今では貨物列車の定期運用から外れてしまいましたが、ごく希に急行「はまなす」でも回送を兼ねた重連運転が見ることができます。もし見れたなら本当にラッキーだと思ってください。

木古内付近を通過するED79形

重連のED79形が通過する映像です。バックの高架は北海道新幹線のものです。今ではED79形に変わりEH500形とEH800形が貨物列車を牽引していますが、北海道新幹線開業後はEH800形のみとなります。

受け継がれた客車列車

北海道新幹線の開業で青函トンネルの旅客運用は新幹線のみとなるかと思われましたが、寝台特急「カシオペア」が団体臨時で運行する予定と報道されました。ED79形の廃止と共に消えると思われた青函トンネルを通過する客車列車ですが、臨時という形であれどEH800形へ受け継がれそうです。

あとがき

個人的に思い入れがあるのでED79形について書いてみました。ブログを始めた頃に書いた記事ですが、ED79形もまもなく最後ということで簡単に更新しました。この記事でED79形の良さが少しでも伝われば幸いです。


2016年2月19日金曜日

JR北海道 車内販売・グリーン車サービスの中止を拡大




2016年2月19日にJR北海道は客室乗務員による車内販売等の見直しを行うと発表しました。今回見直しが行われるのは「車内販売」や「グリーン車サービス」などとなります。
記事作成日: 2015.02.12/記事更新日: 2016.02.19

今回の改正で廃止となる列車

札幌駅停車中のキハ283系スーパーおおぞら
見直しが行われたスーパーおおぞら

グリーン車サービス廃止

・スーパー北斗、北斗 2~14号
・スーパーおおぞら 4~10号

現在JR北海道では、一部の列車でのみグリーン車サービスが行われています。内容としては、ドリンク・毛布・雑誌などです。

上記の列車は2015年でも見直しが行われ、早朝と夜間の列車のグリーン車サービスの縮小が行われました。2015年の見直しではスーパー北斗、北斗で15~18号のみの廃止、スーパーおおぞらでは1、2、11、12号が廃止となりましたが、今回の見直しで全列車で廃止へと変更となります。

車内販売の見直し

・スーパー北斗、北斗 3~22号
・スーパーおおぞら 3~10号

2016年3月25日以降は、上記の列車でのみ車内販売が実施されます。2015年の見直しでは多くの列車でグリーン車サービスの廃止と共に車内販売も終了していますが、今回は見直しのみとなりました。

スーパー北斗、北斗では昨年より車内販売を行う列車は拡大しています。スーパーおおぞらについては去年と同じ日中の列車のとなります。

既にグリーン車・車内販売が終了した列車

・スーパーとかち
・オホーツク
・スーパー宗谷

2014年12月31日に「スーパーとかち」が、2015年3月31日には「オホーツク」・「スーパー宗谷」で車内販売とグリーン車サービスが廃止となっています。

以前は駅の売店と言えば小さなKIOSKが中心でしたが、近年はJR自身でコンビニ型テンポを出店したり、駅構外のコンビニ店の増加や利便性向上で車内販売は苦戦を強いられています。そんな流れから、新幹線を含めた特急車両の車内販売の終了が続いています。

JRとしても車内サービス向上するのではなく、コンビニ大手などとの協業で駅型コンビニのサービス向上へ努める方向へ舵を切っています。そういった点からも今後もこういったニュースが続きそうで、鉄道ファンとしては寂しい限りです。

車内販売とともに消えた「かにめし」

このような見直しで駅弁にも影響が出ています。車内販売が廃止されることで経営の見通しが立たないということで、「かにめし」を販売する石北本線遠軽駅(えんがる)の岡村べんとう屋さんは2015年3月末に閉店しました。

遠軽駅は通る特急は「オホーツク」ですが、全ての列車で車内販売を中止するということなので、相当大きな影響があるのだと思います。

弁当の積み込みが出来ない「オホーツク」5・7号以外は、網走行きの列車では上川駅到着までに、札幌行きの列車では北見駅到着までに申し出ることで予約が出来るなどもサービスを行っていました。

新幹線の開業や特急の廃止などで町や人の流れ変るだけではなく、鉄道ならではの味も変ってしまう事実があります。


2016年2月18日木曜日

「北斗星」「はまなす」「カシオペア」新ダイヤ徹底解説




2015年1月23日にJR北海道・東日本から4月1日以降の「北斗星」「はまなす」「カシオペア」ダイヤとと、10月以降の3月の廃止までの「はまなす」「カシオペア」のダイヤについて解説したいと思います。
記事作成日: 2015.01.23/最終更新日: 2016.02.18

千歳線を走る寝台特急カシオペア
千歳線を走る寝台特急「カシオペア」

最終運転日はカシオペアは3月20日・はまなす21日

ダイヤ改正の発表にあわせて3月中の運転計画が発表されました。はまなす・カシオペア共に地上設備の切り替え日までは、大きな運休もなく運転します。思っていたよりかなり良い結果でした。

カシオペアの最終運転日は「上野発→札幌行き」が3月19日発・「札幌発→上野行き」が3月20日発です。はまなすの最終運転日は「札幌発→青森行き」が3月20日発・「青森発→札幌行き」が3月21日発です。

その後カシオペアについて、ダイヤ改正以降は団体臨時としての運行継続決定したと2016年2月18日に報道されました。それではそれぞれのダイヤについて紹介します。

急行「はまなす」は最低限の運休

急行はまなす 2015年度4/1~9/30ダイヤ
急行はまなす 2015年度4/1~9/30ダイヤ
※スマホ・PC共に画像は大きく表示できます。

9月30日までの運行では運休はGWなどを中心に18往復で、最低限の数にとどめられています。「札幌行き」は2014年度と同じダイヤで引き続き運転されますが、「青森行き」は多くの日で「函館~青森」間のダイヤが変更されるので注意が必要です。

2015年10月以降のダイヤ

急行はまなす 2015年度10/1~2/29ダイヤ
急行はまなす 2015年度10/1~2/29ダイヤ

10月以降の運転では札幌行きは時刻変更なし、青森行きは函館発車・青森到着時刻が全ての列車で遅い時間となります。運休に関しては、4往復のみで最小限になります。3月以降も10月以降と同じダイヤで、「青森発→札幌行き」が3月21日まで毎日運転、「札幌発→青森行きが」3月20日まで毎日運転されます。

札幌から青森までの映像

また、始発駅のホーム入線時刻は予想となりますが記載しておきます。
札幌行き: 青森駅21:50頃3番線
青森行き: 札幌駅21:35頃4番線

カシオペアと北斗星がセットで運行へ

運行形態としては現在の「カシオペア」と同じです。例えば、1日に上野発「北斗星」が設定された場合は1日の札幌発「北斗星」は運休になり、2日はその反対といった感じです。そして上野発「北斗星」が設定されている日は札幌発「カシオペア」が設定されます。

ダイヤは青函トンネルに配慮したダイヤになるため、札幌行きの場合は「上野~盛岡」間が現行の「カシオペア」と「函館~札幌」が現行の「北斗星」を組み合わせたダイヤになり、乗車時間が伸びます。

北海道新幹線関係の試験が優先のため、大型連休など貨物の運行が少なくなるに合わせて運休が行われます。

また、「北斗星」は上野発車時刻が16時台になるので尾久車両センターからの推進運転が、「北斗星」2往復時代のように明るいうちに見ることができます。

寝台特急「カシオペア」は時刻変更以外はほぼ変らず

寝台特急カシオペア2015年度4/1~9/30ダイヤ
寝台特急カシオペア2015年度4/1~9/30ダイヤ

木曜日が基本的に運休・それ以外は「札幌行き」と「上野行き」を交互に運転と運転本数は現在と変わりません。ダイヤは「札幌行き」が「函館~札幌」間が現在の北斗星と同じダイヤに変更となり、「上野行き」は基本的に現在と同じままとなります。

2015年10月以降のダイヤ

寝台特急カシオペア 2015年度10/1~2/29ダイヤ
寝台特急カシオペア 2015年度10/1~2/29ダイヤ

北斗星は8月23日に廃止となりますがカシオペアについては10月以降も、現行とほぼ同じ運転本数です。1編成しかないなので、隔日を基本として木曜日は原則運休となります。

また、3月以降は時刻は10月以降から変更無しで、「上野発→札幌行き」が3月1,4,6,8,11,13,15,17,19日、「札幌発→上野行き」が3月2,5,7,9,12,16,16,18,20日の運転となります。

団体臨時化による運行継続の報道はありましたが、ダイヤについては今のところ不明です。
※関連記事: 寝台特急カシオペア 団体臨時で運行継続へ

始発駅のホーム入線時刻など、時刻表に記載のない停車時刻を記載しておきます。ただし、あくまで目安ですので、変更などがある場合があります。

尾久出庫の映像
※安全な位置より撮影

下り・札幌行き

上野駅15:35頃13番線
青森駅(運転停車): 01:50着/4:15発
青函トンネル: 05:02頃(40分で通過)

上り・上野行き

札幌駅16:03頃4番線
青函トンネル: 22:11頃(40分で通過)
青森駅(運転停車): 23:40着/23:50発
上野駅(回送): 9:42頃発13番線

寝台特急「北斗星」は臨時化で大幅減便

寝台特急北斗星 2015年度4/1~8/22ダイヤ
寝台特急北斗星 2015年度4/1~8/22ダイヤ

運行本数はカシオペアと似た方式になるので大幅減便となります。水曜日が基本的に運休・それ以外は「札幌行き」と「上野行き」を交互に運転となります。

ダイヤは「札幌行き」が「上野~仙台」まで・「上野行き」は全区間で現在の「カシオペア」と同じに変更となります。新ダイヤは「カシオペア」と共通になりますが、盛岡と一ノ関が通過となるので注意が必要です。ただし、「カシオペア」とダイヤを共用している関係上、遅延などが無ければ盛岡と一ノ関には運転停車を行います。運転停車の時刻は「カシオペア」と同じ停車時刻となっています。

始発駅のホーム入線時刻などは上に記述した「カシオペア」と同じ時刻になります。

また、「北斗星」が3月13日から2週間程度運休するのは、編成の組み直しやそれに伴う改修などを行うためのようです。8月以降については客車の解体が始まってしまったので、特別に1・2本の運行なんてことも、もう叶うことはないようです。

おまけとして表を作ってみました。お役に立てば幸いです。

札幌方面夜行列車ダイヤ
2015年度4/1~9/30の札幌方面夜行列車ダイヤ


青森・上野方面夜行列車ダイヤ
2015年度4/1~9/30の青森・上野方面夜行列車ダイヤ

JRのプレスリリース「急行「はまなす」及び寝台特急「カシオペア」・「北斗星」の平成27年上期(4月~9月)運転計画について」を参考にttmjrmが画像を作成しました。誤りなどがありましたら申し訳ございません。


E3系新幹線をアート列車として上越新幹線で運行へ




JR東日本はE3系新幹線を改造した「GENBI SHINKANSEN (現美新幹線)」を上越新幹線「越後湯沢~新潟」間で2016年4月29日から運行すると発表しました。
記事作成日: 2015.03.03/記事更新日: 2016.02.18

大宮駅停車中のE3系新幹線
GENBI SHINKANSENのベースとなる
秋田新幹線E3系

GENBI SHINKANSENについて

車両愛称: GENBI SHINKANSEN/現美新幹線
車両: E3系0番台6両編成
座席数: 105名
運行開始時期: 2016年4月29日
運行エリア: 「越後湯沢~新潟」間を中心とした上越新幹線内
運転日: 土休日など年間120日

「旅する現代アート&カフェ空間」というコンセプトで現代アートを楽しめる列車を予定していて、展示される作品は絵画、立体、写真、映像、テキスタイルと幅広いものです。

列車のうち1両は新潟の食材を楽しめる「カフェ」と「キッズスペース」を設けるほか、先頭車両1両は従来の座席配置のままアーティストがインテリアやデザインを選定・監修した車両となります。

車両外観は写真家・映像監督の蜷川実花(にながわみか)氏が「長岡の花火」を大胆にデザインする予定です。

通常のE3系の普通車両は1両あたり約60~65名程度の座席数があるので、ギャラリーやカフェを設置するにしても余裕があるので、ゆとりのある座席配置になるのではないかと思います。

列車は臨時「とき」として運行され、「越後湯沢~新潟」間を一日3往復します。停車駅は途中駅に全て停車し、所要時間は各列車一時間前後になっています。

列車の車両番号については、秋田新幹線時代から変更はせず11~16号車という呼称になります。全6両のうち11号車が指定席です。12~16号車は7月まではツアーでの販売、7月以降は自由席での販売が予定されています。

E3系の現在について

E3系0番台は秋田新幹線の開通に合わせて運行を開始した車両で、E6系の導入に合わせて秋田新幹線からは撤退し、一部は廃車になりました。

現在残っている編成は秋田新幹線当時のまま東北新幹線「やまびこ」「なすの」運行続けるものと山形新幹線カラーに塗り替えて「つばさ」として運行をはじめた車両のほかに、山形新幹線内を走るリゾート列車「とれいゆ」として運行するものがあります。


2016年2月13日土曜日

北海道新幹線試運転を振り返る その2




2014年12月から本格的に始まった北海道新幹線の試運転などについて、記事の整理を兼ねて2回に分けて振り返ります。このページでは2015年度の試験を振り返ります。

3月のダイヤ改正で北斗星・トワイライトエクスプレス廃止

青森駅停車中のはまなす用ED79形
新幹線開業まで運行を続ける
急行「はまなす」
北海道新幹線の試験が本格化するということで、寝台特急「北斗星・カシオペア」の定期運行が2015年3月のダイヤ改正に合わせて終了しました。

「北斗星」は2015年8月末まで隔日を基本とした臨時列車として、「トワイライトエクスプレス」はクルーズトレイン運行開始までの繋ぎとして3月以降は本州のJR西日本管内で運行を開始しました。

「はまなす・カシオペア」については北海道新幹線開業直前まで運行を続けます。

春の試験でEasi-i乗り入れへ

2015年4月21日から7月30日にかけて、2015年度の試験走行が始まりました。2014年度の時点で「新函館北斗~奥津軽いまべつ」間の試験が行われていましたが、「奥津軽いまべつ~新青森」間の本州側を中心に全区間が試験対象です。

5月24日の試験で40km/hという低速で「奥津軽いまべつ駅~新青森駅」間の走行試験が実施され、新規開業区間全線の走行が完了しました。新青森到着時はセレモニーが行われました。

そして、6月11日は今まで使われてきたH5系のほかに、JR東日本E926形「East-i」が本州側から北海道に向けて試験走行が行われました。

このE926形「East-i」は東海道・山陽新幹線でいうドクターイエローにあたる車両で、270km/hの速度で検査をすることが出来ます。11日の試験では、試験区間48kmを約1時間45分ほどかけて走破したので、ややスピードを抑えての走行です。平均すると特急「スーパー白鳥」の表定速度と同じぐらいの速度でしょうか。12日の試験で「East-i」は本州側へ帰っていきました。

公式な発表ではそれまでJR北海道所属のH5系での試運転しかなかったので、この試験でJR東日本所属の新幹線車両が初めて北海道へ渡ったことになります。

北斗星廃止と共に乗務員訓練開始

寝台特急「北斗星」の最終列車が8月22日に通過したあと、北海道新幹線の乗務員訓練が開始されました。

北海道新幹線では青函トンネル区間が日中は在来線特急や貨物が運行しているため、開業まで深夜帯に週4回3往復程度行われます。

実際の列車の運行パターンに近づけて訓練するため、通過・停車様々なパターンで運行するほか、駅や車内の放送やドア・ホーム柵操作なども行います。この訓練とは別に列車運行オペレーションの確認や異常時の対応訓練のため、「新函館~木古内」間は日中も新幹線を走行させる場合があります。

北陸新幹線では12月ごろ日中に営業運転と同じような間隔で訓練を行っていましたが、北海道新幹線ではだいぶ早い8月からの訓練となりました。実際の営業では一日13往復に対し、訓練では時間の関係で3往復しか行えず、これが早めの実施となった理由だと思います。

正月には青函トンネル完全運休実施

今までは営業時間の合間を縫って深夜帯の貨物列車や夜行列車の運休のみで試験を行ってきましたが、2016年の正月には青函トンネルを含む区間で初めての全線運休が行われました。

この運休は北海道新幹線と在来線貨物が使用する信号システムの確認のためで、新幹線車両のほかJR貨物のEH800形なども参加しました。

3月には4日間の完全運休

営業に向けて乗務員の訓練などを続けている北海道新幹線ですが、3月の22日から25日の4日間に設備の切り替えのため青函トンネルを含む区間が運休します。この運休が終わる26日が北海道新幹線開業日となります。

この運休もあって、ダイヤ改正より一足早く寝台特急「カシオペア」は3月20日発・急行「はまなす」は21日を持って営業終了となります。


2016年2月10日水曜日

北海道新幹線試運転を振り返る その1




2014年12月から本格的に始まった北海道新幹線の試運転などについて、記事の整理を兼ねて2回に分けて振り返ります。このページでは2014年度の試験を振り返ります。

大宮駅に到着するJR東日本E5系新幹線
JR北海道H5系の兄弟車であるJR東日本E5系新幹線
北海道新幹線開業後はE5系も北海道新幹線へ乗り入れる予定
帯の色や側面ロゴなど微妙に仕様がH5系と異なる

H5系が函館に到着

北海道新幹線用に製造されたJR北海道H5系ですが、製造メーカーである川崎重工のある神戸から函館まで船で運ばれて10月に北海道へ上陸しました。

JR東日本は仙台まで船で運び、陸送で仙台の車両基地へ搬入しています。この時はまだ試験前で新幹線が走れる状態ではなく、函館まで船で輸送されましたが、鉄路が繋がればJR北海道の車両も仙台からの搬入になる可能性があります。なので、函館港からの搬入は今後貴重な出来事になるかもしれません。


夜行列車は時刻変更・運休へ

函館駅停車中のはまなす用ED79形
本州と北海道を結ぶ
急行「はまなす」
北海道新幹線の試運転に先立ち、工事のため本州と北海道を結ぶ夜行列車「北斗星・カシオペア・トワイライトエクスプレス・はまなす」も、運休や時刻変更が行われるようになりました。新幹線車両を使った試運転の始まった12月以降は休日を中心に運休が増えていきます。

運休が休日中心なのは旅客よりも貨物を優先するため、物流の少なくなる休日が選ばれたが理由です。そのため12月には毎週末に運休が行われ、正月休みには連続して運休となりました。

12月1日より試験開始

2014年12月1日よりH5系を使った試験走行が開始されました。「新函館北斗~木古内」間については、軌道や電気設備の状態を確認し段階的に速度を上げ、12月末には最高速度260km/hの速度で確認することが目的です。「木古内~奥津軽いまべつ」間は地上・車上を含めたATCの現示試験などの信号設備の確認や、最高速度140km/h運転での確認することが目的です。

初日は七飯町の車両基地から新函館北斗駅までの2kmを30km/h以下の低速で往復しました。新函館北斗駅に到着時は周辺住民や小・中学生らによるセレモニーが行われました。

翌日より更に速度を上げて試験走行が行われ、12月7日には北海移動から青函トンネルで海を越えて青森県奥津軽いまべつ駅まで到達しました。

そして12月26日には「木古内~新函館北斗」間で最高速度260km/hを達成しました。今回開業する「新青森~新函館北斗」間の営業最高速度は260km/hであるため、一先ず線路・車両ともに問題がないことを証明できました。

夜行列車を運休した正月休みの期間は、青函トンネルなどの共用走行区間の試験が中心だったようです。


2月から「冬季性能検証」開始

2015年2月末から3月にかけて1年目の「冬季性能検証」が始められました。これは、車両や地上設備が性能を発揮できるか検証するもので、二年間に渡って行われます。

「低温・降雪時でも予定通りの性能が発揮できるか調べるためのブレーキ性能試験」「降雪・積雪時に車両の床下や台車にどのように着雪かを調べる車両着雪状況確認」「北海道新幹線で新幹線としては初めて採用した機器の機能を確認する冬季対策地上設備確認」などが主な内容です。

その他にも「パンタグラフの集電」「青函トンネル前後での車両機器箱内の結露状況」「低温下での地上・車両設備の動作」などの確認も行われます。

流れとしては実際に使う車両・設備を使い最初の年で基本的な部分を洗い出し、翌年の試験で問題点を修正していくといった感じのようで、基本的に2回分の冬つまり2年間の機関が必要なものです。北陸新幹線でも2年にわたり試験が行われました。

さらに青函トンネルは通過する列車の窓がすぐ曇ってしまうほどの高温多湿で、通常のトンネルとは異なった条件を持っています。他にも貨物列車と新幹線が同じ線路走ることや、新幹線初採用の技術などもあります。こうしたことからJR北海道も以前公表した資料の中で「過去に例の無ない特殊性を持つプロジェクト」という表現が使用されていたのは印象的でした。


2016年2月8日月曜日

消える急行電車 ありがとう165系・475系 その2




前回の165系について書いた消える急行電車 ありがとう165系・475系 その1の続きです。
記事作成日: 2015.02.27/記事更新日: 2016.02.08

最後の交直流急行型電車「475系」


北陸本線直江津駅に停車中のJR西日本475系
北陸本線で運行を続ける475系
475系は165系の兄弟者にあたる車両で1960年代半ばから製造・運用が始まった交直流両用の急行形電車です。165系と同じように連続する勾配区間などに対応した車両です。165系同様抑速発電ブレーキやノッチ戻し制御に対応しました。

同じ頃に登場した455系との違いはモーターの付いてる電動車の対応する周波数が違いで、455系は直流と交流50Hzに対応、475系は直流と交流60Hzに対応となっています。モーターの付いていないクハなどは455系で統一されています。

直江津駅停車中のJR西日本475系国鉄色
国鉄色塗装の475系
475系が最後に運用を持っていたのが北陸地区です。運用区間は富山~直江津が中心となっています。2015年3月14日のダイヤ改正で北陸新幹線が延伸するのに伴い、同区間は第三セクターに移管され、それに合わせて撤退しました。

JR西日本が運行を続ける北陸本線のほかの区間についても、521系への置き換えが済んでいるいことや、車両自体が古いために定期運用からは離脱しました。

JR西日本475系車内
一部ロングシート化されている
475系も165系同様に急行運用から近郊・ローカル輸送へと役目を変えていきましたが、北陸地区の475系は先ほどの富士急2000形と違い比較的原型を留めた車両です。通勤用に一部座席をロングシートへ変更されたりしていますが、固定クロスシートも多く残っていてデッキも撤去されていませんでした。

この475系が引退することで、交直流両用形急行電車の幕が下ろされました。

107系と同じ経緯で生まれた413系

富山駅停車中の413系
北陸本線富山駅停車中の413系
2014年撮影
107系と似たような経緯で生まれた車両として413系があります。413系も交流型急行列車の主要部品を流用して、通勤にも耐えられる近郊型車両として製造されました。107系と違い車内はオールロングシートではなく、セミクロスシートが基本となっています。

413系はJR西日本や、あいの風とやま鉄道へ譲渡されラッシュ時に活躍しています。さらにJR西日本所属の2編成は、1両づつ455系が連結されています。

あとがき

急行電車というものが近いうちに姿を消すと思うので、今回の記事を書いてみました。種別としての急行列車は「はまなす」を残すのみとなってしまいました。その「はまなす」も北海道新幹線開通後に廃止になる予定です。この1年間が急行列車というものの転機の時となりそうです。

※関連記事
最後の夜行急行「はまなす」の魅力と今後

消える急行電車 ありがとう165系・475系 その1




急行形電車というジャンルがもうすぐ消滅しようとしています。まだ走っている車両やどんな形式かを解説したいと思います。
記事作成日: 2015.02.26/記事更新日: 2015.02.08


急行形電車って?

文字通り急行列車に使われていた電車の総称です。車両の特徴としては座席は固定クロスシート(ボックスシート)で、両端にはデッキが付く形となっています。

車両新製当時は急行列車として使用されていましたが、列車種別の統廃合や新幹線の登場などで急行という列車自体が消えていきます。そうした時代の流れで急行電車は役目を失しなっていきました。

本来の役目を失った急行形電車は通勤輸送に耐えられるよう改造され近郊・ローカル輸送を行うようになったり、座席を特急のようなタイプへ変更した上で、快速や臨時列車として使われるようになったりしていきました。

そんな急行電車のうち最後まで活躍を続けた475系と、元165系である「富士急2000形」について紹介します。

最後の直流急行型電車「富士急2000形」


フジサン特急富士急2000形
富士急2000形として運転を続ける
最後の165系急行電車

165系は1960年台初頭より製造・運用が始まった直流急行型電車です。165系は前身である153系急行型電車をベースに作られました。車体は耐寒構造に変更され、足回りは急勾配に対応しつつもメンテナンス性を考慮してMT比が変化しないよう、モーターの出力をアップするなど電装品が強化されています。

違う地区へ転属させたり、むやみに系列を増やすのも使い勝手が良くないということで165系は暖地でも採用されるようになり、大きく数を増やしていきました。

三つ峠駅を通過する富士急2000形

しかし、先に述べたよう急行自体の消滅で165系も近郊・ローカル輸送へ追いやられていきました。それでも余剰になる車両があったので、ジョイフルトレインという臨時列車向けのジャンルに改造される車両が生まれました。それが今回紹介する富士急2000形です。

この車両は国鉄時代1986年に改造されて「パノラマエクスプレスアルプス」として生まれ変った車両です。足回りなどは165系時代のものですが、内装は特急レベルまで引き上げられました。特徴的なのはロマンスカーやパノラマカーのような先頭車両です。運転台を客室の上にすることで、乗客は運転席に居るような景色を見ることが出来ます。

富士急2000形フジサン特急車内
先頭車両の様子
左側が運転席へ繋がる入り口

国鉄からJRへ引き継がれ運転を続けていましたが、2002年には富士急へ譲渡され2000形「フジサン特急」として運転されることになりました。

富士急2000形フジサン特急
展望車とは反対側の先頭車両
165系時代の特徴が濃く残っている
富士急では6両編成は長すぎるために3両ずつ2編成へ分割して運用されることになりました。この車両は元々中間車両に運転台付きのクモロ2両を連結していたため、譲渡の際にパンタグラフをシングルアーム式にしたことと、塗装を変えた以外は大きな改造は行われていません。

富士急8000系を使ったフジサン特急
元小田急20000形RSE車
富士急8000系と改名して運行を開始
そんな2000形も改造から30年近く経ち車両も古くなってきたため、2014年に1編成が小田急20000形RSE車によって置き換えられました。残りの1編成も2015年度中にJR東海371系へ置き換えられます。そのため富士急では、2015年12月19日より「フジサン特急2000系さよならキャンペーン」を実施し、2016年2月7日にさよなら運転が行われました。

直流形急行電車は165系を改造した富士急2000形のみとなっているため、今回の引退で直流急行型電車の幕が閉じます。

形を変えて生き続ける165系


JR東日本107系電車
JR東日本107系電車

165系としては全ての編成が廃車となることになりましたが、165系の主要部品を再利用して製造された、生まれ変りのような車両が存在します。それはJR東日本107系電車です。

急行廃止で余剰となった165系ですがデッキやドア数という急行型車両の特製上、通勤電車としての利用は困難でした。そこで新しく作られた近郊型通勤車両の車体に台車や主制御機器など165系の主要機器を流用して生まれたのが107系です。

足回りなどは165系の流用ですが、車体は3ドア近郊型の完全に新しいものとなっています。そのため車内はロングシートになっており、165系時代の面影はまったく感じません。



現在は両毛線、上越線、信越線などで使用されていて、比較的簡単に乗ることができます。
なかなか面白い車両なので沢山走っているうちに乗ってみることをお勧めします。

475系についてへ続く 消える急行電車 ありがとう165系・475系 その2


2016年2月6日土曜日

さよなら北斗星 どうなる車両たち




2015年8月22日発の列車をもって北斗星は運行を終了します。今回はラストランの様子と、運行終了後の車両たちについて紹介します。
記事作成日: 2015.08.21/記事更新日: 2016.02.06


下り最終列車発車

推進運転で上野へ向かう北斗星
数日前に撮影した推進運転で上野駅へ向かう北斗星
最後尾には下り最終列車で使われたEF510形515号機
連結器が再塗装されている

上野駅出発

2015年ダイヤ改正で臨時になってからは、一編成での運行となったため隔日での運転となっています。そのため下り列車は8月21日の列車をもって終了となります。

上野駅では鉄道ファンの見送りだけでなくマスコミの中継が行われ、無事定時に発車しました。しかし、大宮~土呂で線路内立ち入りが起きて残念な出発となりました。鉄道ファンが原因と決め付けるわけではありませんが、マナーは本当に守って欲しいものです。

北海道新幹線乗務員訓練開始

北斗星が青函トンネルを抜けた数時間後から、来年の北海道新幹線開業にむけた乗務員訓練が始まりました。

札幌駅へ無事到着

21日に発車した北斗星は、5分程度の遅れはあったようですが無事札幌駅へ到着しました。この列車が折り返して、本当に最後の列車となる22日発上野行きの列車となります。

上り最終列車発車

札幌駅発車

多少の遅れはあったようですが、おおきな混乱もなく22日に上り列車が札幌駅を発車しました。この列車が本当の最終列車で、北斗星最後の旅路となります。

北斗星ラストランの様子
ラストランの様子
若干の遅延はありましたが、ほぼ定時で上野駅まで無事走りきることが出来ました。天気こそ運行地域全体で恵まれなかったものの、それ以外は有終の美を飾ることが出来ました。

ありがとう!寝台特急北斗星☆ミ

運行後の一風呂

洗車中のEF510形機関車
尾久車両センター到着後すぐに洗車へ
ラストラン撮影のあと田端機関区や尾久車両センターを訪れてみました。ラストランで活躍したEF510形はすぐに洗車されていました。まるで旅の汗を流すようです。

尾久車両センターに留置中の北斗星編成
手前がラストラン編成
奥が予備として留置されていた編成
客車のほうも尾久車両センターの見える位置に停車していました。奥のほうには予備車として留置されている車両もあります。

最終列車と最終列車到着後の映像

いくつか映像にもまとめたので、お時間があればどうぞ。洗浄シーンは敷地外の公道より撮影しています。ここで一つ私事ですが、尾久駅でご一緒に撮影した方、楽しい時間を有難うございました。

JR東日本廃車回送第一陣発車

赤羽駅を通過するJR東日本EF64形1052号機+24系北斗星廃車回送編成
廃車編成第一陣

・北斗星廃車回送編成(車両センター発車時)
EF64形1052号機
カニ24-508・カニ24-506・オロネ24-501
オロハネ24-501・オロハネ24-552・オロハネ24-553
オハネフ25-214・オロネ25-505・オハネフ25-215

運行後10日ほど経ちますが、最初の廃車回送だと思われる編成が、2015年9月2日に尾久より発車しました。尾久車両センターにはまだ北斗星として使われた客車が残っているので、今後も回送が行われると思われます。

廃車回送を待つ北斗星編成の24系
反射板が取り付けられている
電源車が動いていないためか反射板が取り付けられていました。回送幕すら表示されず寂しい状況です。

尾久駅寝台列車広告
尾久駅の広告


さらに尾久駅の広告は「斗星」の部分が塗りつぶされて、「北斗星の旅」が「北の旅」になっています。こちらも寂しい感じです。

廃車回送時の映像

廃車回送を撮影するために多くの方が沿線へ繰り出していました。

JR北海道編成解体開始

定期運行終了と同時に引退したJR北海道編成の24系の解体が、2015年9月14日より始まりました。

最終運行年度にあたる2014年度の北斗星は、JR北海道とJR東日本の編成を連結して1編成の列車として運行していました。そのうちJR北海道編成は、2015年3月14日の定期運行終了に合わせて運行を終了していました。

運行終了後2015年4月2~3日に、札幌運転所から札幌貨物ターミナルへ移動し留置されていました。更に5月18~19日には、札幌貨物ターミナルから室蘭にある陣屋町臨港駅へ移動が行われました。そして、運行終了から6カ月後にあたる9月14日より、解体が始まりました。

一部車両は譲渡へ

JR北海道のDD51形ディーゼル機関車は3両が砂利運搬用の貨車と共に、ミャンマーへ譲渡すると報道されました。11月17日にDD51形1137号機とホキ800形12両が室蘭港崎守埠頭へ運び込まれていて、後に合流する車両と合わせて2016年3~4月頃に譲渡される予定となっています。

JR北海道所属の客車は解体が始まっていますが、2両ほど譲渡が検討されているため保存されています。

最後のカシオペア運用の様子

JR東日本所属の北斗星色EF510形電気機関車はしばらく「寝台特急カシオペア」を牽引し、北斗星引退後も活躍しました。当初からJR貨物へ売却されると予想されていましたが、2015年12月10日にJR貨物への売却と思われる回送が実施されました。回送されたのは512号機、513号機、515号機の3両です。さらに2016年1月28日の上りカシオペア運用を最後に514号機も旅客営業から撤退し、2月3日には回送されていきました。これら機関車は日本縦貫線で貨物牽引用として活躍する、EF81形電気機関車の置き換えに使用される見込みです。

JR東日本所属の客車について8月23日のTBSで、「JR東日本としては廃車の予定だったが、譲渡の申し込みがあり協議中」という報道がりましたが、郡山総合車両センターから保存用の譲渡と思われるトレーラー輸送が行われました。こちらは北斗星で使用された客車2両と共にEF81形も陸送されました。陸送された車両は個人所有の車両として保存されたようです。


JR西日本 15年以降の新車導入計画まとめ




先日発表された「JR西日本グループ中期経営計画2017進捗状況と今後の重点取り組み(アップデート)」をベースに、2015年5月現在の情報に基づいたJR西日本の今後数年間の車両計画について紹介します。
記事作成日2015.05.07/最終更新日2016.03.14

大阪環状線大阪駅停車中の201系
2016年度から置き換え予定の201系

2015年度

・花嫁のれん
・氷見線コンセプト列車
・W7系1編成
・N700A4編成
・東海道・神戸線向け225系24両
・広島地区向け227系
・サンダバードリニューアル開始
・289系運行開始


去年から導入の始まった広島地域向けの227系は2018年まで継続導入され、計276両導入予定です。

10月1日より開催される北陸DCに合わせてキハ40をベースにした列車2本が運行開始されます。「花嫁のれん」が七尾線で10月3日より、「氷見線・城端線コンセプト列車」で仮称されていた列車名「ベル・モンターニュ・エ・メール」/愛称「べるもんた」が10月10日より運行開始します。

新幹線は北陸新幹線向けW7系が秋ごろの導入で1編成、東海道・山陽新幹線向けN700Aが2015年度と2016年度に4編成づつ導入されます。新車ではありませんが、N700系全16編成のN700A化改造が2016年3月8日に完了したと発表されました。これによりN700系の車両性能がN700Aに準じたものとなりました。JR東海も2015年に同様の工事を完了しています。

東海道線・神戸線向けが24両導入されます。1月に出場したタイプは、先頭車が227系タイプに変更され番台区分も変更になるようです。

サンダバード向け681系と683系は2015年秋~2018年の予定でリニューアルされます。9月26日よりリニューアル車が運行を開始しました。余剰となった683系を改造した289系は、381系の置き換え車両として10月31日より運行を開始しました。

2016年度

・ノスタルジー運行開始
・La Malle de Bois運行開始
・大阪環状線向け323系
・阪和線向け225系
・N700A4編成
・広島地区向け227系

おかやまディスティネーションキャンペーンにあわせて、岡山地区に二つの観光列車が導入される予定です。キハ47の改造車「ノスタルジー」と、213系の改造車「La Malle de Bois(ラ・マル・ド・ボァ)」が投入されます。運行開始はどちらも4月より運行を開始しました。

阪和線向けに新型車両が2016年度から2017年度にかけて122両導入されます。置き換え対象は103系などが中心となります。導入車両は225系で、2+1の転換クロスシートで3扉となります。

大阪環状線向けに323系が8両編成×21編成で、2016年度から2018年度で計168両導入されます。これにより103系と201系全てが置き換えられます。座席はロングシート、扉数は3扉となっています。運行開始は2016年12月24日より運行開始の予定です。

2017年度

・TWILIGHT EXPRESS 瑞風運行開始
・やまぐち号新型客車運行開始
・D51の運転開始とC56引退
・阪和線向け新型車両投入完了
・バッテリー電車試験開始

24系を使って運行していた「トワイライトエクスプレス」のクルーズトレインは、2015年度で運行を終了しました。それに代わって登場するのが「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」です。運行開始は当初の春頃から遅れて、6月17日からの予定です。

「SLやまぐち号」用の新型客車は9月頃から運行予定です。現在より外見は本物の旧型客車に近いデザインのイメージがJR西日本より発表されています。

2017年度以降なので遅れる可能性もありますが、蒸気機関車のD51形200号機が運行開始します。この車両の運行開始に合わせてC56形150号機は運行を終了する予定です。


新規製造か既存車両の改造かは不明ですが、バッテリー電車の性能試験が実施されます。以前JR西日本と近畿車両が作った試験用蓄電池車両「Smart BEST」は近畿車輛で留置されたままのようなので、活用されるかが注目です。

2018年度

・大阪環状線向け323系投入完了
・広島地区向け227系投入完了
・サンダーバードリニューアル完了

今ある資料によると以上のようになっています。予定なので計画変更は十分にあると思うので、目安程度にお願いします。

※関連記事
JR西日本 289系投入と381系の順次廃車を発表
特急サンダーバード大幅リニューアルへ


2016年2月5日金曜日

西鉄 新型車両9000形の導入を発表




西日本鉄道は2016年2月4日に5000形置換え用として、2016年度に新型車両9000形を導入し2017年3月より営業開始する予定と発表しました。

目新しさは無いが最近のトレンドを抑えた車両

形式: 9000形
運行路線: 天神大牟田線
導入時期: 2016年度
運行予定時期: 2017年3月
導入車両数: 7編成18両
製造: 川崎重工

西日本鉄道9000形 5000形比較表
西日本鉄道9000形 5000形比較表
(拡大できます)
1975年から1991年に導入された5000形通勤形電車置換え用として、3000形ベースの新型車両9000形が導入されます。

車両は2016年度中に2両×3編成・2両×2編成の10計両、2017年年度中に2両×1編成・3両×2編成の計8両が導入される予定です。営業開始は新形式というのもあって、2017年春からを予定しています。

3000形をベースと発表していますが比較した場合、外観はカラーリングが赤帯になったもののステッカーとステンレス製という点で基本的な部分は踏襲しています。省エネ性能はインバーター回りにSiCを採用し、照明装置はフルLEDとなり向上しています。さらに窓ガラスはUVカット・液晶モニターは全扉上に配置されるなど、設備的なサービス性も向上しています。なおインバーターについてはベースとなった3000形では東芝製のものが採用されていますが、9000形ではインバーター・モーター・空調・ATSなどで東芝製電装品が採用されます。

置き換え対象の5000形と比較した場合、通勤車としても仕様が若干変更されています。一人当たりの座席の占有幅ですが、5000形は一度座席幅を419mmから450mmへ変更し後から増備された新形式の車両とあわせていますが、9000形では470mmとさらに広げています。それもあってか車両あたりの定員は、車イスやベビーカー用の優先スペースも各車両1箇所と増えているのにも関わらず、西鉄保有の通勤電車では先頭車あたり・中間車あたりの両方で最も少なくなっています。

これらを総合してみると、目新しい技術の投入はないものの最近のトレンドを抑えた堅実な車両といえると思います。

5000形は2015年4月時点で3両×23編成、4両×16編成の計133両が在籍しています。しかし、今回の導入は3両編成と2両編成の導入で、導入車両数もまだまだ足りません。気の早い話ではありますが、2017年度以降はどういった形で増備されていくかも気になります。

「道南いさりび鉄道」ってどんな会社?




北海道新幹線開業により生まれる第三セクターの「道南いさりび鉄道」について紹介したいと思います。
記事作成日: 2015.12.04/記事更新日: 2016.02.05

江差線廃止区間を走るJR北海道キハ40系
北海道新幹線をバックに江差線廃止区間を走るキハ40

会社概要

「道南いさりび鉄道」は北海道新幹線開業によりJR北海道から切り離される江差線「木古内(きこない)~五稜郭(ごりょうかく)」間を運営する第三セクターです。

社名について

発足時は暫定的な社名として「北海道道南地域並行在来線準備株式会社」を使っていましたが、2015年1月1日に名称変更が行われて「道南いさりび鉄道」となりました。

「いさりび」とは津軽海峡で操業するイカ漁の漁船がイカを集めるために使う集魚灯の名称「いさり火」に由来するもので、6207件の公募から会社名選考委員会が地域からの意見や道外からの目線を加味して選ばれたそうです。

車両・列車

木古内付近を走るキハ40系普通列車
三セク移管後も使用される予定

・キハ40系ワンマン仕様-9両

運行形態としては江差線時代と同じく、五稜郭からJR北海道へ乗り入れ「木古内~函館」間となります。

JR北海道からワンマン仕様のキハ40系9両を譲りうけ、その車両で旅客営業する予定です。このうち2両は地域情報発信列車「ながまれ号」として、車内・外観の両方を改造した上で3月26日から営業となります。「ながまれ号」は普段はほかの車両と同様に運用されますが、観光団体向けに食事を提供出来るようにする予定です。

函館駅停車中のJR東日本485系3000番台特急白鳥
北海道新幹線で廃止となる
485系特急「白鳥」

北海道新幹線開業前の江差線は、地域輸送のキハ40系を使った普通列車、本州からの客車寝台列車「北斗星・カシオペア・トワイライトエクスプレス」や、電車特急などを使った都市間列車「スーパー白鳥・白鳥・はまなす」、電気機関車が牽引するJR貨物の貨物列車が走っていました。北海道新幹線開業後は青函トンネルのキャパシティもあり、都市間列車や寝台特急は廃止され、地域輸送のキハ40系とJR貨物の貨物列車が中心となります。臨時列車としては、JR東日本のクルーズトレイン「四季島」が通過する予定です。

路線について

運行区間: 木古内駅~五稜郭駅・12駅 37.8km (江差線)
管理駅: 11駅
全線交流電化20000V
全線単線

運行区間は江差線全区間にあたる木古内駅~五稜郭駅・12駅 37.8kmです。前身である江差線は2014年5月12日までは名前の通り北海道の「江差~五稜郭」間を結ぶ路線でした。1936年に全線開通した路線で、歴史ある路線です。しかし、利用客の減少を理由に「江差~木古内」間は函館バスへの転換が決まり、鉄道路線としては廃止になりました。残りの区間も第三セクターになるため、江差線は完全に消滅します。事務的な面でも路線の譲渡や引継ぎではなく、JR北海道は江差線を新幹線開業日に廃止という手続きをとっていて、道南いさりび鉄道が新規に開業するという形になっています。

線路は全線で単線ですが、本州との大動脈であるため、殆どの駅で行き違いが可能となっています。交流20000Vで電化されていますが、北海道新幹線開業に伴い旅客列車は気動車を使った普通列車のみとなるため、薩摩おれんじ鉄道と同じように貨物列車以外は電化設備を使用しない予定です。

設備・運営

必要な設備は整備・修繕を施したのちにJR北海道から譲りうけます。指令システム・車両基地はJR北海道と共同使用とし、保守設備もJR北海道からレンタルするなどとして、最低限の購入に留めます。

駅窓口業務は縮小します。木古内駅・七重浜駅・上磯駅は窓口業務を廃止し、定期券の駅周辺への委託と券売機の更新で対応します。五稜郭駅はJR北海道へ窓口の業務委託を行い、清川口駅・茂辺地駅・釜谷駅・泉沢駅・札苅駅は、現状通り簡易委託駅として引き続き営業されます。

運賃

運賃はJR時より1.3倍程度の値上げの予定です。JRへ乗り継ぐ場合は初乗り運賃が二重になってしまうため、利用者の多い「道南いさり火鉄道→JR函館駅」は定期と切符の乗り継ぎ割引が設定され、「道南いさり火鉄道→JR五稜郭~森駅」間は定期券のみ乗り継ぎ割引が設定されます。

赤字

開業10年での北海道や沿線自治体が負担する赤字金額は23億円を見込んでいます。


2016年2月4日木曜日

信楽高原鉄道 新型車両導入でSKR300形引退へ




2015年2月19日に信楽高原鉄道へ新型車両を導入する発表・報道されました。
記事作成日: 2015.02.20/最終更新日: 2016.02.04

新型車両導入へ


信楽高原鉄道では導入順にSKR200形、SKR300形、SKR310形の3車種が運行されています。いずれも15,5mと比較的小型な車両です。

今回導入される新型車両SKR400形はSKR300形の置き換え目的で導入されます。新型車両は全長18m級のものが導入される予定で、現在運行されている車両より3mほど大きくなります。ちなみに、JR西日本の車両が過去乗り入れていたことがあるので、20m車まで問題なく入線可能です。

SKR200形は1988年より導入された車両で、SKR300形は1995年に導入された車両です。どちらも製造メーカーは富士重工業です。車齢が新しいSKR300形が先に更新されるのは駆動機器などに不具合が出ていることと、検査時期がまもなく迫っていることが原因のようです。

SKR400形は新潟トランシス製の18m車です。新潟トランシスは富士重工業の鉄道部門を一部引き継いだので、実質的な後継車両を導入するという形となりました。

今回の導入にあたり約2億円の予算(内訳: 国約6650万・市債約6640万・基金約330万・一財約6450万)が組まれ、車両導入のほかに線路などの地上設備の整備に使用されます。

甲賀市は話題づくりや観光、地域の人に親しんでもらうために今後外装デザインを公募する方向で準備を進めています。

信楽高原鉄道は台風により1年ほど運休していて、2014年の11月29日に運転を再開したばかりでの新型車両の話なので頑張ってほしいものです。

SKR400形とバトンタッチのSKR300形は譲渡へ

SKR300形は2015年10月3日に信楽駅14:54発→信楽駅15:49着の臨時運転が最終運行となります。最終運転に先駆けて、9月28日によりヘッドマーク掲出を行います。また、10月1日からは記念切符・サボ・クリファイル・プレートが信楽駅窓口で販売開始されます。
当初は廃棄予定だったが、紀州鉄道(本社・東京都)からの申し出で無償譲渡され、和歌山県御坊市内を走ることになった。
 京都新聞2015年9月25日『新型車両は信楽焼・紅葉イメージ 滋賀の鉄道会社発表』での報道ですが、SKR300形が紀州鉄道へ譲渡されることが決定しました。

形式名をSKR300形からKR300形へ改番し、2016年1月31日より営業運転を開始しました。外観は宮古姫のステッカーが貼られた以外は、信楽高原鉄道時代と変っていません。

現在紀州鉄道では北条鉄道より譲渡されたキテツ1形2両で運行を行っています。キテツ1形はレールバスの生き残りである富士重工製の2軸のLE-Car IIです。レールバスはバスをベースとした構造なので短命に終わる車両が多く、2軸のLE-Car IIは紀州鉄道の車両を残すのみとなっています。

今回KR300形の導入でキテツ1が置換えられ、キテツ2のみとなりました。特殊な車両であるため今後いつまで運行が続くかは分かりません。貴重な1軸レールバスに興味がある方は、是非乗りに行ったら良いと思います。

熊本電鉄01系も装備予定のefWINGとは?




川崎重工製新型台車「efWING」と、東京メトロから熊本電鉄へ譲渡された01系などについて紹介したいと思います。
記事作成日: 2015.02.01/記事更新日: 2016.02.04
東京メトロ銀座線を走る01系
銀座線時代の01系

efWINGとは

・CFRP採用
・軸バネや側バリを廃止した簡素な構造
・従来比40%重量削減

鉄道用台車は今までも簡素化や軽量化により台車の重量の削減は進められてきましたが、これ以上の軽量化は難しくなってきました。そこでアプローチを変えることで軽量化を進めたのが川崎重工の「ef WING」です。

左が従来の台車、右がefWINGのイメージ図
白い部分が構造の見直しを行ったところ

まず材料の見直しが行われました。従来の金属ではなく、航空機などで使用されている軽量素材CFRP(炭素繊維強化プラスチック)に変更をしました。

さらに構造も台車枠自体にバネの機能を持たせる「軸バネや側バリ」を廃止し、より簡素な構造になりました。これはCFRPのしなやかさによるもので、金属よりも大きく変形することができます。

上に挙げたような素材・構造の変更で従来比で40%にあたる450kgの軽量化を可能とし、脱線にも強いものとなりました。

そして2012年にアメリカのコロラド州にあるアメリカ鉄道協会運輸技術センターで、最高速度160km/h・走行距離4469km・試験期間20日の試験を行いアメリカでの走行安全性の要求を満たすことが証明されました。

2014年3月19日からは熊本電鉄6000系(元都営地下鉄6000系)にて営業運転での使用を開始し、東京メトロから譲渡された01系にも採用されました。
良いことづくめの新型台車ですが、一般的にCFRPは金属より検査が難しいと言われています。検査は超音波などを使って行います。航空機などで他社よりはノウハウがあると思いますが鉄道に関しては未経験なので、その辺りが課題になってくると思います。

01系はどんな改造がされる?

・6両編成から2両編成へ
・パンタグラフの装着
・台車の改造
・走行機器の大幅付け替え

今回譲渡されたのは東京メトロ地下鉄銀座線を走る01系の先頭車両2両が譲渡され、これを熊本電鉄で走れるようにする改造が行われました。

東京メトロの公式twitterで6両編成から2両編成になるとつぶやいていましたが、置き換え対象の5000形青ガエル(元東急初代5000系)と同じ単行ではなく2両編成になりました。

01系の走る銀座線は第三軌条と呼ばれる線路脇の電線から直流600Vの電流を受電して走っています。それに対し熊本電鉄は、屋根上の電線から600Vを受電して走っています。そのためパンタグラフをつける必要があります。

銀座線は新幹線と同じ標準軌と呼ばれる1435mmの線路幅で、熊本電鉄は日本では一般的な狭軌と呼ばれる1067mmの線路幅となっています。通常なら台車の改造で済ませるのですが、今回は台車を丸ごと「efWING」に交換されました。

01系は各車両に走行に必要な機器を分散させているため、6両編成のうち先頭車両にはモーターなどが付いていません。そのためモーターなどの走るために必須の機器を移設して2両編成でも走れるよう改造します。

そして、2015年2月21日には改造工事を請け負っていた西鉄の工場から熊本電鉄へ01系が到着しました。2015年3月16日には営業を開始しました。2016年には第2編成も到着し、5000系から01系へのバトンタッチが行われます。

多くの01系が廃車になる中、新技術により新天地で走り出す01系は興味深いものです。熊本電鉄での活躍を期待したいですね。

JR四国でも本格採用開始か?

2015年にJR四国121系1両へ「efWing」を装着し試験を行っていたようですが、2016年には121系をVVVF化や台車の「efWing」への換装、帯を変更して外観も変更した7200系が出場しました。今後他の編成へのリフレッシュで「efWing」換装が行われていけば、JR初の本格採用となりそうです。


2016年2月3日水曜日

東海道新幹線静岡空港駅とは実際どうなのか?




JR東海が否定しつつも、静岡県が積極的に推進する東海道新幹線静岡空港新駅構想があります。実際はどういった状況なのなどを交えて紹介したいと思います。

東海道新幹線品川駅停車中のN700系

静岡空港とは?

静岡空港は2009年に開港した静岡県牧之原市にある地方空港です。ホームページで航路や発着便を見てみました。記事を書いた時の状況ですが、国内だと「福岡・札幌・沖縄」、国際路線は「杭州、上海、天津、武漢、温州」と中国向け路線がメインとなっています。便数は国内便が7往復・国際便が5往復の運行です。東京と名古屋の中間に位置し近くに東海新幹線も走っているため、地方空港であるものの、東京行きが無いのも特徴です。

空港へ直結する鉄道がなく駅から離れているため、公共交通でのアクセスはバスが基本となります。静岡駅からだと50分、最寄り駅の島田駅からは25分、掛川駅からは35分などとなっています。鉄道駅からのアクセスの悪さを補うため、自家用車用無料駐車場も2000台あります。

乗降客数は2014年のデータだと国内線が約30万人、国際線が約20万人です。乗降客数が同程度の空港としては、茨城空港や佐賀空港が挙げられます。

他の地方空港でもよく行われることですが、チャーター便や利用者に補助金を出すなどして利用を促進するなども行っています。東京行きの便が無いことを考えると他の地方空港より特段に悪い状況とは言えないようですが、決して盛況とも言えない状況だと思います。

諸刃の秘策新幹線直結構想

地図で確認してもらうと分かると思いますが、静岡空港は滑走路から空港ターミナルまで含め東海道新幹線の真上に位置します。そこで静岡県が打ち出したのは東海道新幹線と空港を直結させようという構想です。新駅の設置方法としては既存の線路に平行して新線を建設して建設するなどが検討されているようです。

この案に対しては国は消極的、JR東海はかなり否定的な対応をとっています。一先ず国の反応は置いておくとして、JR東海の反応は当たり前のものだと思います。東海道新幹線は限界まで運行本数を増便しています。設備自体も非常に老朽化が進んでいて、リニア中央新幹線開通まで何とか延命して乗り切ろうとしている状況です。そんな中で新幹線を走らせながらトンネル工事という、面倒な工事をやりたいと思うわけがありません。

更に掛川と静岡との駅間距離が短いのもネックとなっています。ダイヤを犠牲にせず新駅を作るとなれば平行して駅を設けるにしても加速が十分出来る距離が必要なわけで、平行する区間が長い距離必要で工事費が増える一因になるのも想像できます。

JR東海は需要に応えるため東海道新幹線の効率化に励んできました。しかし、リニア中央新幹線開通後はそういった姿勢を軟化させたい考えも多少はあるようです。なので新駅の建設はリニア中央新幹線以後というのが最低ラインだと思います。

また海外では高速鉄道が空港に乗り入れるなどもあり、新幹線との直結は魅力的な面も確かにあります。しかし、推進するのが静岡県ということで問題が生まれる可能性が高いように思えます。

例えば新幹線と直結したとき飛行機の発着料を抑えてLCCの国際線を就航させ、東京や名古屋の玄関口にすることが考えられます。その場合お客さんは都心方面へ流れることになります。しかし都心方面へお客さんが流れてしまえば、いくら空港としての利便性が向上しても巨額の費用を投じる静岡県としては意味がありません。結果として新幹線の都市間を結ぶ特性と静岡県の意図がぶつかってしまいます。

以上のことを踏まえると、新幹線直結案自体は検討する価値もあると思います。しかし、やっぱりいろいろと考えが甘すぎたと思います。東海道新幹線は空港建設より前からあったわけで、新幹線との関係性はよく吟味して建設すべきだったと思います。そして新幹線と連携したいならJR東海が飲めないようなプランも論外です。さららに利用促進の視点が静岡県のみで、他地域への波及という方策が取れないのも状況を悪くしていると思います。

結局空港を建設することありきで進めていたのと典型的な縦割りで、いろいろしわ寄せが出てしまってるとしか思えないのが残念です。東海道新幹線の真上というのは他の空港にはない特性で非常に面白い点であるのは間違いありません。全体を見渡して検討を出来る体制を作って、本当に必要かどうか考えられるようになってくれることを願うばかりです。


東武鉄道 初めて「副駅名称」を導入




東武鉄道は2016年1月26日に東武鉄道としては初めて「副駅名称」を導入すると発表しました。今回は写真を交えて様子を紹介したいと思います。
記事作成日: 2016.01.29/記事更新日: 2016.02.03

東武鉄道東上線 東武練馬駅第2種駅名標

広告媒体としての導入

東京メトロ表参道駅のような分かりやすさを補助するためのものでなく、目立つ駅名標への広告媒体としての導入です。その他に東武鉄道は導入の目的として、施設の最寄駅であることや地域・路線がより親しまれるようになどを挙げています

現在導入の対象となっているのは東武本線26駅、東上線9駅です。第一弾として東武練馬駅と高坂駅へ1月27日に導入、霞ヶ関へ2月1日より導入されます。

導入は大型の駅名標のみ

最初に導入された東上線東武練馬駅と高坂駅へ様子を見に行ってきました。

東武鉄道東上線 高坂駅第2種駅名標
写真は実際の導入の様子です。東武練馬駅と高坂駅へ広告を出したの両方の駅にキャンパスのある大東文化大学です。どちらのキャンパスも40年以上は経っている、地域に根ざしたと呼べる歴史を持っています。

表記の仕方としてある程度分離して表記するタイプと、駅名標に完全に組み込むタイプがありますが、駅名の真下に広告の文字が入る形で組み込むタイプとなっています。フォントも駅名とは別で校章なども入っているところを見ると、ある程度好きなようにデザイン出来るようです。印字もシールなどではなく印刷なので、駅名標全体を新しいものへ取り替えたようです。

東武練馬駅路線図
駅名標と言えばこの他にも駅入り口にある大型のタイプ、柱などに設置されている縦長の小型のものがありますが、それらには入っていません。路線図も同様です。

バスや路面電車では車内アナウンスで停留所のほか副駅名称を読み上げたりするものありますが、そういったものもありません。駅構内放送も同様でした。

2月1日から霞ヶ関駅でも使用開始

東武鉄道東上線霞ヶ関駅 第2種駅名標
事前のアナウンス通り霞ヶ関駅でも使用開始されました。大東文化大学は独自のフォントで校章入りだったのに対し、東京国際大学は駅のフォントに合わせ非常に違和感が少ないデザインとなっています。私としてはこちらのデザインのほうが全体が統一できてて良いのではないかと思います。

広告媒体としての副駅名の導入は、鉄道各社で進んでいます。今回の東武鉄道の様子を見る限り、スタンダードな形で導入したと言えると思います。駅名標は初めて駅に着いたとき最初に見ようとしたりするものだと思います。今後も多くの駅に導入するようですが、広告としてただお金を沢山出してくれるとことかでなく、地域に根ざしていて分かりやすい堅実なものが導入されていけば良いなと私は思います。

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