2021年8月10日火曜日

2022年度から磐越西線一部再非電化へ - ゆくゆくは磐越西線全線非電化へ?




 2022年度より磐越西線「喜多方~会津若松」間が非電化工事を開始予定と報道されたことから、なぜ非電化するかや今後の磐越西線について考えてみたいと思います。


予定されているのは「喜多方~会津若松」間16.6km

会津若松駅に停車するJR東日本E721系とキハ40系
左が磐越線電化区間を走るE721系
右が磐越線非電化区間を走る今は引退したキハ40系
JR東日本が非電化化を検討しているのは磐越西線の「喜多方~会津若松」間で、営業キロにすると16.6kmで6駅が対象となっています。

福島民友新聞の8月4日の記事によると、8月3日に喜多方市はコスト削減を理由にJR東日本より2022年度から「喜多方~会津若松」間の再非電化化の予定を説明されました。これに対し市側は観光や直通列車への影響を懸念したと報道されました。

役目を終えつつある電化

磐越西線は福島県郡山駅~新潟県新津駅を結ぶ、全線営業キロ換算で175.6kmの路線です。そのうち約半分にあたる福島県内郡山駅~喜多方駅間の81.2kmが交流電化されています。

E721系指定席車両
快速列車に連結される指定席車両
この交流電化は1967年により一度に全線で行われ、上野駅から会津若松・喜多方へ直通する特急や急行が運行されるようになりました。その後東北新幹線が開業し、特急列車は「郡山~会津若松」へ縮小されていきました。高速道路の磐越道の延伸などもあり、現在では特急も廃止され快速列車に指定席が連結されるのみとなっています。

磐越西線は会津若松駅を起点とし運行系統が二分されています。「郡山~会津若松」間が電車列車、「会津若松~新津」間が非電化列車という住み分けになっていて、全線直通する列車はありません。その中で郡山方面への列車2本・喜多方方面1本が電化区間全線を走る列車となっています。

優等列車がほぼ廃止され電化区間の全線直通列車が減った今、市側の懸念はもっともなものですが、電化区間が縮小されてたとしても影響はかなり小さいのは事実です。

JR東日本は地上設備を減らしたい

鉄道は車両だけでなく架線・信号・踏切など地上にも設備が必要です。

JR東日本は将来の乗客や働き手の減少を見越して、地上設備のメンテナンスやコスト削減ののための投資を進めています。例えば海外でも進み始めている信号の無線化技術の開発や、踏切制御の無線化も進めています。それに加えてかなり以前から電車の架線を無くす、架線レス技術にも注目していました。そのため鶴見線では燃料電池車の実験などもする予定です。

その点架線を取っ払ってディーゼル列車など走らせるのは、ハイテクではありませんがシンプルな方法です。

交流車両は高価・電気式でディーゼルも高性能化
磐越西線全体の非電化化も現実的?

磐越西線は交流電化されているのですが、そこを走る交流用電車を簡単に言うと、直流用電車に交流を直流にする変換機を追加で載せた車両です。なので、その分通常の車両より少し高価になっています。

路線単体で見ると電化コストが高くても、周辺路線との車両の融通やメンテナンスコストに貨物列車との兼ね合いで電化が必要な場合があります。しかし、磐越西線の電化区間の場合、既に半分は非電化区間であり郡山側にも非電化路線の磐越東線があり、そちらと車両を融通しあえるようになります。そして郡山には非電化列車の車両の点検の出来る車両工場もあり、メンテナンス面でも問題ありません。

そして最近登場した電気式ディーゼル列車はエンジンで発電した電力で走る列車なのですが、加速性能は普通の電車並みに進化していてディーゼル列車より上です。正確な値段は不明ですが、ディーゼル列車よりはコストが高いものの、メンテナンスコストで有利になると考えられるます。

それらを踏まえると電気式ディーゼル列車のような新しい車両でを導入することで、利便性を落とさず非電化化も不可能ではありません。そして車両コストはあまり変わらないものの、地上の電化設備の分でコストを減らすことは可能かもしれません。

部分的な非電化化工事の結果や、701系の廃車に合わせた今走っている車両の転用計画など次第では、全線の非電化化の検討も決して不思議なことでは無いと思います。


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