2020年9月9日水曜日

ハイブリッド・電気式・液体式 気動車の駆動方式のメリットデメリット




従来からのエンジンだけで動く液体式、充電電池で動く蓄電池式、エンジンと電池でモーターが動くハイブリッド、エンジンで発電してモーターで動く電気式と、近年増えてきた非電化区間の様々駆動方式のメリットデメリットを考えます。正直頭で整理しきれないところもあるので、間違っているところは優しくご指摘いただければ助かります…

これからは電気式が主役か?

電気式気動車のGV-E400系
電気式気動車のGV-E400系
新津駅にて撮影

JR東日本とJR北海道では電気式気動車の大量導入が発表されています。また、この後紹介するそれぞれの特性を見ると、電池価格の変動の要素はあるものの電気式気動車が主役となり、次にハイブリッド気動車や蓄電池式気動車となっていきそうです。

液体式気動車

只見線キハ40系
オーソドックスな液体式気動車キハ40系
只見線小出駅

メリット
・ディーゼルエンジンだけで構成がシンプル
・比較的軽い
・技術的に安定している

デメリット
・変速機の整備性が悪い
・走行性能が低い
・エネルギー効率が悪い傾向にある
・エンジン音がうるさい


いわゆる従来型の気動車で、バスやトラックと同じ方法で動きます。ディーゼルエンジンで、直接車輪を動かします。日本で今走っている気動車はほとんどこの方式です。

この後紹介する電気式の列車は、ディーゼルエンジンの他に発電機やモーターが必要になるので、構成としてはシンプルになります。一概に比較は出来ませんが車両重量も比較的軽い傾向にあります。ただ、変速機など重さのある部品もあったりと、ハイブリッド気動車と比べても1tレベルの軽量化なので、大幅に軽いわけではありません。

構成としてはシンプルなのですが、エンジンの回転を必要なトルクや速度に合わせて調節する変速機が必要です。変速機は構造が複雑なので、これが重量増加や整備性の低下を起こします。また、液体式の気動車は電車よりも加速や最高速度の面で劣ります。更に蓄電池の使える車両に比べるとエネルギー効率が落ち、燃費が悪いと言えます。停車中もエンジンを動かす必要があり、発車時はエンジンがフル回転になるので特にうるさくなります。

みんな電車

蓄電池車もハイブリッド気動車も電気式気動車も、みんな電車です。違うのは電源を何に頼ってるかという点です。

そもそも何で電車にするかと言えば、例えばJR東日本の車両の大半は電車です。電車ベースであれば、技術や部品の共有をしやすくなりメンテナンスも簡単になります。性能も電車のほうが高いので、ベースを電車にすることで加速が良くなっています。

地方私鉄が導入する液体式気動車は価格が公開されてる場合があり、1両1億5千万程度の例があります。一方で量産効果のあるJRの通勤電車は価格が公開されてないものの、平均1億円程度と言われます。ローカル線用は数が出ないので元々コストが上がりがちですが、通勤電車と部品を共通化出来るのであれば導入コストも下がる余地があるのかもしれません。

蓄電池式車


メリット
・電車として走れる
・効率が良い
・最も静か
・走行性能は高い
・構造がシンプル


デメリット
・コスト、特にリチウムイオン電池が高い
・電池の量で走行性能や走行距離が決まる
・充電設備が必要
・頻繁に電池を使うと電池の劣化が進む


一言でいえば電池で走る電車です。なので、電車と気動車の比較とほぼ同じとなります。電池はリチウムイオン電池で、スマートフォンの電池の大きいものが搭載されています。

比較的エネルギー効率が良いです。電化区間では架線からパンタグラフで充電し普通の電車として走り、非電化区間では電池でモーターを動かして走ります。エンジンが無いので、他の方式より静かです。走行性能も高く、減速する時にモーターで発電して電池に充電することでエネルギー効率も高くなります。

問題のすべてはリチウムイオン電池と言っても、過言ではありません。リチウムイオン電池を沢山載せられれば、電車と全く同じ高い加速で速い最高速度で走り、長距離の運行が可能です。しかし、リチウムイオン電池は値段が高く、沢山載せるほど車両が重くなります。そこで距離や加速など妥協点が必要になります。それでもJR東日本最新世代の液体式気動車キハE120系の加速が1.58km/h/sに対し、烏山線のEV-301系では加速は2.0km/h/sと一昔前の通勤電車や近郊列車レベルで高くなっています。また、スマートフォンと同じように充電と放電を繰り返すと、電池が劣化し性能が落ちます。なので加速と減速が少ない平坦で、駅間距離が長いほうが、電池の劣化が少なく済みます。そして充電電池の充電する設備がない場合に、充電設備が必要になります。

烏山線や男鹿線のように、始発駅が元々電化されていて終点側だけと最低限の充電設備をつくればよく、走行距離が短い路線に導入されています。特に烏山線は周りの路線すべてが電化されていましたが、烏山線だけが違いました。電車に統一されてことで、そのあたりの調整もやりやすくなったはずです。

ハイブリッド気動車

メリット
・効率が比較的良い
・走行性能が良い
・比較的静か
・変速機がない

デメリット
・車両構成が複雑
・コストが高い
・比較的重い
・頻繁に電池を使うと電池の劣化が進む

ハイブリッド気動車は、電源を電池とエンジンを回して動かす発電機に頼っている点が特徴です。

JR東日本ハイブリッド車は近郊電車レベルの2.3km/h/sの加速を実現しています。蓄電池式の電車と同じようにリチウムイオン電池を搭載しています。そのため蓄電池車同様に、ブレーキ時に発電して電池に溜めることが出来ます。停止時はエンジンを切って電池だけに頼ることもでき、発車してある程度の速度まで電池だけでモーターを動かし、一定の速度以上になるとエンジンの発電も加わります。プリウスのような家庭用自動車と似た制御がされていて、停車・低速時の騒音も同じように抑えられています。また、エンジンを効率の良いな回転数で動かして予め発電して電池に蓄えることも出来るので、その点でも効率が上がります。液体式気動車にある変速機のような複雑な部品もありません。

複雑な部品はないものの、電池に発電機にモーターと色々なものが載っているのでそこがデメリットとなります。色々なものが載っているので車両のコストも上がりますし、それぞれの機器をどう動かすかの複雑な制御が必要で、重さも多少重くなります。蓄電池式と同じように、充電と放電を繰り返すと電池の劣化が早まります。

これらを踏まえハイブリッド気動車は、リゾート列車や快速列車に採用される傾向にあります。どちらも普通列車よりは停車や加減速が少ないので、電池の負担が減ります。更に必要な車両数が少ないので、ある程度のコストの高さまでは許容できます。リゾート列車の場合は快適性や環境に対するイメージも必要なので、騒音の低減や効率性の面でアピールができます。

電気式気動車

メリット
・走行性能が良い
・変速機がない
・構成は比較的シンプル
・ハイブリッド気動車よりは車両価格が安い

デメリット
・うるさい
・効率が悪い

電気式気動車は電源をディーゼルエンジンから発電した電気のみに頼りモーターを動かす電車です。

GV-E401系はハイブリッド気動車と同じ2.3km/h/sの加速を実現しています。走行性能では蓄電池車を上回ります。ただ、実際には従来型の液体式の気動車と合わせて低速の加速モードがあるので、常用されているわけではありません。変速機が無い分モーターと発電機は載っていますが、あまり複雑な構成をしているわけではありません。エンジン始動用の最低限のアルカリ蓄電池しか載っていないので、コストも下がって車両価格も安いはずです。

電気をエンジンに頼るので、停車時もエンジンのアイドルが必要ですし、加速時は従来の液体式気動車並みのエンジン回転が必要となり、音もあまり変わりません。また、ブレーキをかける時に電気をためることはできないので、その点でも効率は液体式気動車を上回るとは言えません。

本来リチウムイオン電池は普通列車に載っているほうが、エネルギー効率は良くなります。しかし、電池の劣化の関係でメンテナンスコストが上がる上に、山岳線では車両重量が重くなるデメリットもある上、どうしても加減速が増えて電池の負荷が増えます。非電化区間の多くは山岳線で、乗客も少なくコストもかけられない路線です。そこで妥協案としての電気式気動車のメイン採用という形になったと想像できます。将来蓄電池の価格がぐっと下がれば、また変わってくると思います。

以上を踏まえると最初に紹介したように主流は電気式がローカル線となり、リゾート列車や仙石東北ラインのような優等列車用にハイブリッド気動車、短距離の非電化区間は蓄電池式という住み分けがなされていくと思います。

スポンサーリンク


0 件のコメント:

ブログ内を検索

スポンサーリンク

オススメの投稿

東武9050系9152F初の本線試運転と甲種輸送についてレポート

 東武9050系が9152Fが初めて東武本線系統への甲種輸送や本線系統での試運転をしました。この記事では試運転について考えられる狙いや、東武本線から東上線への甲種輸送の撮影レポートを紹介します。 東武9050系が本線走行できるかの試験か? 東武9050系は有楽町線...

オススメの動画

ttmjrmが撮影した映像の中で今オススメのものです。



・解説
東武ファンフェスタで運行された臨時リバティです。変わった経路での運行でした。