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2023年6月17日土曜日

関東私鉄2023年新型車両動向まとめ




各社の事業計画などをもとに2023年の関東大手私鉄の新型車両動向をまとめました。私が理解している範囲で、現在の車両動向も解説します。

東武鉄道はスペーシアXのみで10050系ワンマン化と8000系一部線区全廃か

東武日光線を走るN100系SPACIA X
増備予定のSPACIA X
新造車両は特急用N100系スペーシアXの追加2編成です。その他に10050系2両編成を、7編成更新して佐野線・小泉線・桐生線用にするとしています。

N100系スペーシアXは東武鉄道のフラグシップ特急で、2023年7月に2編成が運行を開始します。100系スペーシアは既にりょうもうへ転用ではなく廃車が発生しているので、今回のN100系の導入でも廃車になる可能性は十分ありますが、ならない可能性が出てきました。8月より日光線の特急リバティを増車する関係で、100系スペーシア充当の列車が増えるので今後の需要次第となりそうです。

10050系は通勤電車で、2両編成はスカイツリーライン(伊勢崎線)での増結用して組み込まれ、単独での運行は行っていません。それをローカル線用にワンマン改造して投入されます。投入予定線区では2両編成の8000系が6編成運行されおり、今年度で一気に廃車となる見込みです。今後は3両編成の8000系で運行の伊勢崎線以北などにも投入され、減車されるのではと予想します。

西武鉄道は40000系のみ


新造車両は40000系4編成40両の増備です。車両更新で6000系1編成の制御装置とモーターの更新が実施されます。サステナ車両(他社からの中古車)にも言及はありましたが、準備を進めているとのみとなっています。

40000系は2017年から製造される通勤車両で、ライナー・通勤兼用のデュアルシートが10両6編成、通勤用が10両6編成在籍しています。最近は通勤用の増備と同時に2000系の中心に廃車が発生しており、この流れが今年も続くと思われます。

6000系は1992年~98年に製造された車両で、2014年以降に制御機器をとモーターの更新が行われてきました。今年は既に入場中の第1編成の6101Fが更新されれば、6000系全編成の更新が終了します。

東急電鉄は新車なし


東急電鉄は大井町線9000系・9020系置き換え用の車両製造に着手します。

9000系は1986年~91年に製造で15編成、9020系は1992年~93年に製造された2000系の改造車で3編成が在籍します。なので最終的には18編成の置き換えが行われる見込みです。今年度は着手とあるので、年度内の導入は無さそうです。また、田園都市線と大井町線にCBTCの導入をすると発表があったので、それを見据えた設計になると予想されます。

相模鉄道は21000系2編成で導入済み


相鉄は21000系8両2編成を導入し、予定数の9編成全ての導入が完了するとしています。既存車両については、リニューアルも実施されます。

相鉄は2023年3月15日開業した新横浜線直通用に10両編成の20000系と、編成数が8両編成になった以外はほぼ同じ仕様の21000系を導入していました。21000系を開業後すぐとなる3月末に第8編成と4月末に第9編成を導入したので、既に今年度分の新車投入は終了しています。

リニューアルの実施とだけあったので、具体的な数や内容は不明です。今年から車体を青くするヨコハマネイビーブルー化も再開されているので、更新分は実施されそうです。

小田急電鉄は3000形更新のみ


小田急は3000形6両3編成の更新のみで新車はありません。

3000形は2001年から06年に製造された車両で、昨年から新製日順ではなく6両編成に更新が実施されています。見た目では分かりにくいのですが、内容は制御機器から内装と多岐に渡り大規模なものとなっています。

京王電鉄は5000形1編成


京王はライナー拡充用に5000系1編成の増備と、8000系3編成26両の機器更新が実施されます。

5000系は京王ライナー・通勤者兼用に2017年から導入され、7編成が在籍します。これに加えて1編成が増備されます。

8000系は1992年から99年に製造された車両で、今までに車体更新と機器更新が別々に実施されてきました。実施両数が発表されているのは機器更新の方で、8000系には8両と10両が存在するので、8両2編成と10両1編成が実施される見込みです。機器更新以外についても昨年も平行されて実施されていたので、今年度もされる可能性が高いです。

京浜急行は10000形2編成


京急は今年度は1000形を8両1編成、6両1編成を導入と発表しています。車体更新は8両1編成、4両2編成が実施されます。そして2025年と26に20両づつ、計40両導入する予定です。

京急は2022年度に1500形の置き換えを発表しており、昨年度は新車導入がなかったにもかかかわらず、2023年3月に4両2編成の廃車が発生しています。なので、順当にいけば今年度も1500形の廃車が発生する見込みです。

車体更新は内装工事を中心としたもので、フリースペース設置・非常通報装置の増設・窓の開閉化が実施されます。走行機器は基本的に弄らないはずですが、窓が開くことになったため換気扇用の電源を撤去したりがあるので、小規模な機器の変更も発生する場合があります。

そして2023年以降として40両の新車が見込まれていますが、これは運賃の改定を国交省に申請する書類にあった数字で、参考程度のものとなります。ただ、この数字通りであれば、1500形は現在22編成138両在籍するので、置き換え完了までには時間がかかりそうです。

京成電鉄は3100形1編成と新車設計開始


京成電鉄は3100形1編成の導入と、新型車両の3200形の設計に着手と発表しました。

3100形は2019年よりスカイアクセス線用として導入されました。今年度分の1編成分が既に6月に出場しており、それを含めて7編成となりました。

そして設計に着手される3200形ですが、編成車両数が変更できる設計を予定しています。最近は西日本の0.5M車やJR東海のN700Sなど、需要の増減や転属時を考え、編成の組み換えが用意な設計が増えています。その流れの一つと言えます。

3200形の登場が決まったことで、3100形の増備が不透明にもなりました。根拠のない私の予想では、突発な理由で編成の増備が急がれない限り3200形の増備に一本化される気がするのですが、今後に注目です。

東京メトロは言及があるのは丸ノ内線のみ


東京メトロは丸ノ内線への新型車両導入するとしています。

東京メトロは導入車両数を毎年はっきりは発表しないのですが、昨年は丸ノ内線以外にも半蔵門線や有楽町・副都心線も言及していたのが、丸ノ内線のみとなっています。

有楽町・副都心線は増備終了とみても良さそうですが、半蔵門線は置き換え中の8000系が残っています。丸ノ内線は元々の計画だと2023年度中に02系全車置き換えの予定で、現在52編成中12編成が02系です。そう考えると今年度は集中的に2000系の増備が実施され、02系が全廃となるかもしれません。


2022年5月18日水曜日

2022年度関東大手私鉄新型車両動向まとめ




  関東大手私鉄が発表する2022年度の事業計画などを基に関東大手私鉄の新車計画を紹介します。順次加筆・修正の予定です。

記事作成日: 2022年4月29日/記事更新日: 2022年5月18日

東京メトロ17000系
引き続き導入される予定の17000系

新車より衝撃の譲渡車検討 西武鉄道

西武鉄道は5月12日に「事業計画」を、西武ホールディングスも同日に「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)』の進捗」を発表しました。

「事業計画」によると新型車両40000系が3編成導入されます。既に車両側の対応工事が進められていたデジタル無線への更新が実施されます。

衝撃的だったのは「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)』の進捗」のほうです。2022年度中の話ではありませんが、将来的にサステナ車両と西武鉄道が呼称する、譲渡車の話が含まれていました。サステナ車両は、コスト削減を進めるため他社から導入を検討している、無塗装VVVFの中古車両のことです。この文が出る前にはJR東日本と営業面・運転面で協力するとあるので、そのまま考えるならばJR東日本から車両の譲渡を受けると考えるのが自然ですが、本当にJRの車両が西武鉄道を走るかは気になるところです。

車両更新のみで来年以降に1500形更新? 京浜急行

京浜急行は5月11日に「鉄道事業設備投資計画」を発表しました。今年度は新車の導入は無いようです。

2022年度中に行われるとはっきり書かれているのは新1000形の車両更新で、フリースペースや車内液晶の設置と、走行機器の更新のみです。

一方で2022年度以降で発表されたのが1500形の置き換えで、来年度以降からの実施となりそうです。1500形は1985~1993年までに製造された車両で、鋼鉄製で製造時から現在まで界磁チョッパ制御の初期製造グループの4両編成・アルミ製で界磁チョッパからVVVFに更新された中期製造の6両編成・アルミ製で最初からVVVFで機器更新をしていない後期製造の8両編成と、製造年も車両構造も異なっています。車両の痛み具合が基準ならば、初期車の4両編成、機器更新をしていない後期車、最後に中期製造となります。

界磁チョッパからVVVFにすることでの省エネ性もアピールされていたので、まずは4両編成の車両が更新されると思います。その後の順番は運用の都合も大きいので、今後の動向に注目です。

新車ゼロ?で力を溜める 東武鉄道

東武鉄道は4月28日に「設備投資計画」を発表しました。今年度は新型車両の導入は無いようです。

スペーシア100系の後継として導入が発表されたN100系は、2022年度は車両製造のみを行い2023年度導入とあります。今年度中に納車され試運転などの車両を実際に動かせる形にするかは微妙な表現となっています。

通勤電車は車両更新含めて大きな発表は無しです。なので、内装や電装部品の大幅更新しない小規模なもののみとなるかと思ったのですが、東武鉄道の車両更新の委託を受けている津覇車両に更新車とみられる車両が入場したため、大幅な更新も行う車両もあるかもしれません。また、70000系4編成・50000系8編成に車内カメラの搭載、列車の走行データを収集するシステム「Remote」を500系4編成・50000系1編成搭載予定と発表しています。

2023年度からN100系新型スペーシアの導入、2024年度から野田線(アーバンパークライン)向け通勤電車の導入が控えているため、今年はかなり控えめな動きとなったようです。

新横浜線開業に向けて準備 相模鉄道

相模鉄道は4月26日に「鉄道・バス整備投資計画」を発表しました。今年度は21000系3編成の導入のみで車両更新の発表はありませんでした。

2023年3月に新横浜線が開業し5社11路線の乗り入れが実施されるに合わせて、以前から導入を続けていた20000系・21000系の導入も大詰めとなり3編成の導入です。21000系は20000系を8両版と言えるもので、微妙な違いはありますが実質20000系と同形式の車両です。

車両更新の発表が無いのでヨコハマネイビーブルー塗装への変更など、外観と内装を大きくリニューアルするは今年度は無さそうです。同様の発表だった昨年の動きを見ると、大幅なリニューアルを伴わない機器更新は実施されるかもしれません。

7000系全廃か?東京メトロ

東京メトロは「事業計画」を発表しました。今年度は有楽町・副都心線、丸ノ内線、半蔵門線に新車を導入するとしています。

有楽町・副都心線は7000系が2編成残っているので、17000系増備で全廃になる可能性が高そうです。丸ノ内線の02系と半蔵門線の8000系については、まだ多数の車両が残っています。そのため丸ノ内線向け2000系と半蔵門線向け17000系の増備は来年以降含め続きそうです。

南北線用の増結車については去年同様具体的には触れられませんでしたが、今年度も増備されると予想されます。

小さな動きでは車両の改修で、丸ノ内線、日比谷線、有楽町・副都心線、半蔵門線の車両に脱線検知装置を搭載し、脱線時に自動停止するシステムの搭載を予定しています。

三田線・新宿線・大江戸線へ新車導入 都営地下鉄

東京都交通局は「東京都交通局経営計画2022」として2024年度までの計画を発表しました。新型車両は三田線4編成、新宿線4編成、大江戸線8編成を2024年度までに導入と発表です。

まとめての発表で今年度の具体的な内容は分かりません。三田線の8両化や新横浜線開業が来年であることを考えると、今年度に集中投入されそうです。また、新宿線の10両化が今年度終了を予定しているので、新宿線も確実に車両の動きが発生すると予想されます。

あくまでも試験となりますが、操舵台車の試験導入を騒音低減で快適性向上のために予定しています。台車の構造としては東京メトロが採用している、台車の片側のみ動くタイプです。大江戸線も新車導入があるので、新車への導入となるのか既存車での試験となるのかも注目です。

小さな動きとしては走行時の車両データを集める車両情報収集システムの運用を今年度から三田線で開始し、車内の監視カメラを2024年度までに16編成に設置の予定です。


2022年3月31日木曜日

東上線の電車も走るかも? 有楽町線「豊洲~住吉」間延伸決定へ




 2022年3月28日に東京メトロ有楽町線の「豊洲~住吉」間の延伸が決定しました。開業は2030年代半ばの予定です。延伸区間の解説を中心に、もしかしたら東上線からの回送列車が走るかもという点にも最後触れます。

川越市駅に到着する東京メトロ10000系
有楽町線でも使われる
東京メトロ10000系

約5kmの延伸へ

建設キロ: 4.8km
事業者: 東京メトロ
総建設費: 約2690億
開業目標: 2030年半ば

都区内東部の利便性向上、スカイツリーや豊洲市場などの観光地へのアクセス向上、東西線の混雑緩和を理由に建設が決定されました。

建設区間は「豊洲~住吉」間4.8kmです。ルートは半蔵門線住吉駅側からみると、東京都道465号線四ツ目通りの真下を通り南下し、JR東日本のレールを管理している越中島貨物駅付近の汐見運河とぶつかったところで西へ向かい、新木場側から豊洲駅直前で有楽町線に合流し終点の豊洲駅に至る経路です。

途中駅は3駅作られる予定で、新駅二つと既存駅との接続駅1つとなります。住吉側から見ていくと江東区千石2丁目あたりに新駅が一つ、既にある東西線の東陽町駅に接続して一つ、汐見運河にぶつかったところから西へ向かって首都高9号深川線とぶつかったあたりの江東区枝川2丁目のあたりに新駅が一つ、そして豊洲駅に至ります。

第三セクターなどを作るのではなく、事業者は東京メトロです。なので利用者としては東京メトロと同じように使え、負担は小さくなっています。

建設費は約2690億円です。同時に申請された南北線の延伸区間が2.5kmで1310億円なので、概ね距離に比例して倍額となっています。詳細な費用の調達方法や内訳は調べられなかったのですが、整備新幹線など様々な運輸事業に関わっている独立行政法人の鉄道・運輸機構からの融資や補助金により建設されます。最近の鉄道建設事業を見ると東京メトロの実質的な負担は建設費の3割ぐらいと予想します。

やっと準備されていた設備が活躍へ

始点と終点となる半蔵門線の住吉駅と有楽町線の豊洲駅は、開業時から元々延伸が可能なようになっている構造で駅が作られています。

どちらの駅も今営業用で使っている線路とは別に延伸路線用の線路が設置されており、留置線や臨時のホームスペースとして活用されています。

どういった形の乗り入れ形式となるか

列車の運行形態について発表はまだありません。

配線の構造的に半蔵門線は押上方面からの列車が、有楽町線は和光市方面からの列車が延伸区間に乗り入れが可能です。

有楽町線と半蔵門線の都心部の駅の位置関係を考えると大きく乗り入れる意味はあまり無さそうに思えます。また有楽町線各駅から住吉駅より、半蔵門線各駅から豊洲方面への需要の方がまだありそうに思えます。

そう考えるとピストン運行か、半蔵門線側からの住吉駅への乗り入れとなりそうです。

本線列車との顔合わせや

東上線からの検査列車が直通するかも?

東上線からの営業列車が走ることは無いと思いますが、一部回送列車が走る可能性はありそうです。

東武東上線と越生線は他の東武鉄道の路線からは独立しています。そして、東上線車両の全般検査や重要部検査を行っていた川越工場を閉鎖しました。そのため秩父鉄道を経由して南栗橋の工場まで検査列車を送るという、変わった形態になってしまいました。それが豊洲駅で半蔵門線と繋がれば、地下鉄車両は比較的簡単に東上線と本線を行き来することが出来るようになります。

半蔵門線は車両限界が有楽町線より少し小さく地下車でも50070系の一部しか乗り入れ不可能な点、半蔵門線の信号システムにCBTCを導入する予定などの問題点もあります。しかし、乗り入れ開始が10年以上先なので、東上線の地下車の大半の9000系もさすがに更新がされている可能性が高く、その頃には有楽町線もCBTCに更新となってもおかしくないので、東上線の検査を行う車両が走る可能性は十分ありそうです。

先ほど説明したよう東上線と越生線の位置の関係上、普段は本線との車両とは顔を合わせません。しかし、地下鉄線を経由しては顔を合わせており、中目黒駅で日比谷線直通の本線の車両と東上線からの副都心線直通の車両が他社の駅で顔を合わせています。なので新線が開業されれば、豊洲駅でも顔合わせをするようになるかもしれません。


2022年1月30日日曜日

まさかの東武乗り入れ ー 相鉄・東急新横浜線2023年開業




2023年春開業予定の相鉄・東京新横浜線「日吉~羽沢横浜国大」について、鉄道趣味的な観点から概要を解説します。

記事作成日: 2022.01.29/記事更新日: 2022.01.30

東急5050系
乗り入れに使用予定の東急5050系

開業区間は10km

相鉄・東急新横浜線路線図
新横浜線路線図

2023年3月に開業する予定の区間は東急日吉駅~相鉄横浜国大駅の約10kmとなります。

相鉄側が既に開業している相鉄新横浜線西谷~羽沢国大駅から4.2㎞1駅延伸する形で、東急側からは日吉駅から途中に新綱真島駅を挟んで2駅延伸する形で5.8kmの新線東急新横浜線が開業します。

これは「神奈川東部方面線」と呼ばれていたもので、「相鉄⇔JR」の相互直通と「相鉄⇔東急」の相互直通二つの計画をまとめていたものです。既に羽沢横浜国大駅より行われている相鉄とJRの乗り入れに加えて、今回の新線開業ですべて完成となります。

これにより東急方面から東海道新幹線新横浜方乗り換えの利便性向上や、相鉄方面からの都心への利便性向上が期待されています。

相鉄側から新横浜駅へが10・8両編成がラッシュ時10本・日中4本、東急側から新横浜駅へが10・8・6両編成がラッシュ時14本・日中6本の運転予定です。

新横浜駅が唯一2面3線の日常的に折り返し可能な駅なので、6両の列車はそこまででそれ以外が相互直通する形になるようです。

新横浜駅には5社11路線の超複雑乗り入れ

東急が複数の路線と乗り入れていることや、相鉄が東急線から更に地下鉄経由して「渋谷・新宿・永田町・大手町」など都心への乗り入れを目的としていたため非常に複雑な乗り入れになってしまいました。

東急からは「東横線・目黒線」、相鉄からは「相鉄本線といずみ野線」が乗り入れます。

それに加えて東急東横線を経由して「東京メトロ副都心線とその直通先の東武東上線」の2路線、東急目黒線を経由して「東京メトロ南北線とその直通先の埼玉高速鉄道」と「都営三田線」3路線が乗り入れます。

路線の分岐駅である西谷と日吉は折り返し設備は比較的充実している駅なので、ダイヤ乱れ時の影響はある程度抑えられると思います。しかし、これだけの複雑だと、どこかの路線の運休など大きなダイヤ乱れが起きると、小さな影響は波及してしまうと思います。

まさかの東武鉄道参入

そして誰もが予想だにしていなかったのが東武鉄道東上線の直通です。乗り入れ区間も最近観光客が増えてる川越までではなく、東上線の10両編成の列車乗り入れ可能最北端の小川町までを予定しています。一方で東武鉄道と同じような境遇の西武鉄道は乗り入れは、需要などから今のところする予定は無いと発表しています。判断としてはこちらが無難です。

これにより東上線からは新横浜駅での新幹線乗り換えや日産スタジアム(横浜国際総合競技場)へ行きやすくなり、相鉄方面からは川越観光や小川町・長瀞方面の観光やトレッキングがしやすくなります。

今でも東上線は東急・メトロの車両を使って「元町・中華街⇔小川町」に東上線無料最優等列車の快速急行を運転しているので、確かに下地はありました。

しかし、はっきり言って東上線が乗り入れる意味は、利便性や観光の意味から考えてもほとんどありません。東上線から東海道新幹線を使うならそれこそ品川駅で良いですし、相鉄方面から川越・小川町方面への観光需要の掘り起こしを期待するのは難しいのは明白です。案内に東上線が入ることで、多少認知度向上が狙える程度が分かりやすいメリットだと思います。

西武鉄道も似たような取り組みとして「元町・中華街⇔西武秩父」を繋ぐS-Trainを運行していますが、遠さだけでなく指定席料金の値段も相まって苦戦しており、それが乗り入れをしない決断に繋がったと思います。

そういった状況でも最近の東武鉄道は比較的チャレンジしようとしているので、その一環なのだと思われます。相当な工夫が必要だと思いますが、どう需要を掘り起こすのかも注目です。

様々な車両が乗り入れ予定

相互乗り入れがほぼ確実な車両
相鉄: 20000系・21000系
東急: 5050系・5080系・3000系・3020系

新横浜まで乗り入れる可能性がある車両
都営: 6300形・6500形
東京メトロ: 9000系
埼玉高速鉄道: 2000系

乗り入れるかもしれない車両
東武鉄道: 9000系・9050系・50070系
東京メトロ: 10000系・17000系

参考-JR相鉄相互直通車両
相鉄: 12000系
JR: E233系7000番台

はっきりしたことは実際の運行開始までは分かりませんが相鉄と東急の相互直通を行う車両として、新横浜線の事業者である相鉄と東急の車両が使用されるようです。2社の車両は両方の路線へ乗り入れ可能なよう信号システムの工事が完了されています。東急車は5050系が西武・東武含めた全線乗り入れ可能、それ以外の東急・相鉄車は東武・西武以外の直通先全路線に乗り入れ可能な仕様です。

一方で都営・東京メトロ・埼玉高速鉄道の車両は相鉄への乗り入れ工事が確認されておらず、新横浜駅までかイレギュラー運用時のみ新横浜駅までとなる可能性が高そうです。埼玉高速鉄道などは特にそうですが、事業者によってはメリットが小さく乗り入れに工事・メンテナンス費用がかかる乗り入れには消極的です。そういった事情によるものと思われます。

東上線への乗り入れは本数が相当少ないと予想されるので、相鉄と東上線両方が乗り入れ可能な東急5050系を使うのが一番簡単な方法です。ただ、技術的には新横浜駅まで乗り入れ可能なはずなので、東武車乗り入れも可能性としては僅かに残っています。また、副都心線で使われている10000系や17000系が乗り入れることは運用が複雑になるので無いと思いますが、技術的には東武車同様に可能なので、可能性としては同様という具合です。

参考ですがJRと相鉄の相互直通車は、信号システムの関係や地下鉄乗り入れ装備がないため東急・地下鉄方面への乗り入れができないため、JRと相鉄のみの相互直通となります。

現状わかっている情報としてはこのような感じです。この記事は順次加筆・修正していく予定です。



2021年2月21日日曜日

東京メトロ17000系の東武東上線内試運転を振り返る




 2021年より本格的に実施された東武東上線での東京メトロ17000系の試運転を、乗務員訓練を中心に振り返ります。

2020年12月から本格スタート

東京メトロ17000系は有楽町線や副都心線で運行している7000系の置き換え用として導入された新型車両です。

東京メトロ17000系東上線内深夜試運転
東上線内深夜試運転
2020年1月に17000系の第一編成が製造されましたが、東上線では年末までは志木駅近辺での小規模な試運転に留まっていました。12月20日にやっと東上線の和光市から小川町まで入線し、技術者も添乗し誘導試験やPQ輪軸試験など東上線内での走行が問題無いかの最初の技術的な検査が行われました。その後は同様の目的で池袋まで入線しました。

深夜に最低限の技術的な確認が終わった後は、日中に小規模な入線試験が実施されました。

2021年1月23日からは乗務員訓練

技術的な確認が終わった後は、実際に列車を動かす運転手さんや車掌さんの訓練が始まります。17000系は東京メトロの車両ですが様々な路線に乗り入れます。そのため東上線へ車両を貸し出しての訓練となります。

東京メトロ17000系の東上線乗務員訓練初日
東上線乗務員訓練初日
年も変わり第1編成の製造から約1年の経った2021年1月23日からは、あいにくの雨でしたが東上線川越市駅~森林公園駅間で営業列車の合間を縫って乗務員訓練が開始されました。同区間を各駅に停車して往復しました。

訓練初日の様子


川越市駅に停車する17000系試運転列車
川越市駅に停車する
乗務員訓練の試運転列車
暫くは1編成が貸し出されて川越市駅~森林公園駅間で、ほぼ毎日乗務員訓練が行われました。

志木駅の電留線へ入線する東京メトロ17000系
志木駅の電留線に入る17000系
2月8日からは更にもう1編成が貸し出され2編成体制となりました。1編成は相変わらず川越市駅~森林公園駅間で乗務員訓練が続けられ、もう1編成は高坂~志木間で乗務員訓練が行われました。

川越市駅での17000系の並び
2編成になったため乗務員訓練列車同士のすれ違いも見られるようになりました。川越市駅では電留線で発車待ちの訓練列車の横を志木からの訓練列車が追い抜く一幕も見ることができました。

8000系とすれ違う17000系訓練列車
8000系とすれ違う訓練列車
次の週からは2編成とも川越市駅~森林公園駅間での乗務員訓練となりました。平日の上り訓練列車の1本は森林公園検修区から越生線への回送列車の一本前を臨時ダイヤで先行して走っていたため、後続の回送列車は坂戸駅手前で信号待ちが発生しました。上の写真はその信号待ちの列車とすれ違う下り訓練列車です。


東上線への17000系回送列車
東上線への回送列車
訓練列車は1ヵ月間行われましたが、その間に何度か列車は東京メトロの車両基地へ帰るために回送列車が設定されていました。おそらく簡単な検査が理由だと思われます。

様々な乗務員訓練の様子

2月21日営業運転開始へ

東上線での訓練は2021年2月20日まで行われました。そして翌日の21日の朝1本だけ有楽町線の新木場から和光市まで営業運転が行われました。

この時点で製造が完了しているのは17000系の10両3編成のみです。今後10両編成の車両も引き続き増備されるだけでなく、8両編成の車両増備されます。

そして全ての車両が揃ったのちに7000系は引退する予定です。

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2021年2月13日土曜日

東京メトロ17000系を紹介 - 有楽町線・副都心線用7000系置き換えへ




 東京メトロ7000系置き換え用に副都心線・有楽町線に導入される東京メトロ17000系を紹介します。

17000系の導入で7000系は引退へ

東京メトロ17000系試運転列車
東上線で乗務員訓練する17000系
東京メトロ17000系は東京メトロ有楽町線と副都心線用に、10両6編成と8両15編成が導入される予定です。10両編成は日立製作所製、8両は近畿車輛製と製造メーカーが違うのも特徴です。

営業路線としては東京メトロ有楽町線・副都心線の他、直通先の東武東上線・西武池袋線・東急東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線となります。相鉄線については不明です。

置き換えが行われる
東京メトロ7000系
有楽町線と副都心線開通時から使用されている7000系は、10000系の導入時にも一部置き換えが行われました。そして今回の17000系で全てが置き換えられ、引退します。

丸みのある可愛い先頭車両

東京メトロ17000系先頭車両
先頭車両
車体はアルミ合金です。先頭車両は丸みのあるデザインとなっており、スカートも丸みのある柔らかいデザインとなっています。地下鉄用のため前面から脱出できるよう非常用の扉が付いています。

デザインのイメージ図を見たときはいまいちに感じましたが、実際に見てみると良い可愛いらしい良いデザインに感じました。

東京メトロ17000系日本製鉄MTC-001連結器
日本製鉄MTC-001連結器
連結器は密着連結器です。銘板による日本製鉄製で型番はMTC-001のようです。

東京メトロ17000系行先表示器
行先表示器
行先表示器はフルカラーLEDで、列車番号もフルカラーLEDが採用されています。

東京メトロ17000系LEDヘッドライト
前照灯
前照灯と尾灯ともにLEDが採用されています。前照灯はLEDを束ねたものを二つ備えます。

東京メトロ17000系尾灯
尾灯
前照灯の下に尾灯用の赤色LEDが搭載されます。こちらはまるでなく、デザイン性のあるものが採用されています。

東京メトロ17000系側面帯
側面帯
先頭車両のアクセント部
側面の帯は7000系や先代の10000系と違い、白が1色無くなっています。また、先頭車両だけアクセントがあります。

東京メトロ17000系ピクトグラム

ピクトグラムは上部に配置され非常時脱出用のドアコックも高い位置にあり、ホームドアがあっても問題が無いように配慮されています。

屋根上機器

東京メトロ17000系アンテナ
先頭車両のアンテナ
東京メトロではデジタル無線の導入をすすめており、先頭車両にはデジタル無線や乗り入れ先の他社線用に合計3本のアンテナが搭載されます。

東京メトロ17000系パンタグラフ
パンタグラフ
パンタグラフはシングルアーム式を採用し、10両編成では1両づつに1基で計4基搭載しています。そのため7000系や10000系のように1両に2基搭載する車両はありません。

東京メトロ17000系クーラー
冷房装置
冷房装置には集中式を採用し、1両に1基搭載されます。性能は58kWで7000系よりは橋梁であるものの、10000系とは同じ能力です。

冷房のカバーは全体的に角ばったものが採用されています。全体的に柔らかいデザインを採用しているので、ちょっと違和感を感じます。

床下機器

東京メトロ17000系台車FS781
FS781を採用
東京メトロでは整備不良とボルスタレス台車の特性により、苦い思い出があります。そのため10000系に続きモノリンク式ボルスタ台車を採用します。

東京メトロ17000系の台車銘板
銘板より日本製鉄製と分かる
形式はFS781で日本製鉄製です。モーター車もトレーラー車も同一の台車を使用します。

モーターはPMSM(永久磁石同期モーター)205kWを採用します。4M6Tで10両編成のうち4両がモーター車で、和光市方面を1号車とした時2・4・7・9号車がモーター車です。このMT比・モーター車の位置・モーター出力は07系と同じで、5M5Tの10000系と比べると先祖返りと言えるかもしれません。

ちなみに有楽町線・副都心線のMT比・出力の変遷としては、7000系(VVVF更新車)5M5T・165kW→07系4M6T・205kW→10000系5M5T・165kW→17000系4M6T・205kWとなっています。

加速度は3.3km/h/s、減速度3.5km/h/s、非常時減速度4.5km/h/sです。営業最高速度は110km/hで、設計最高速度は120km/hです。

ブレーキは回生ブレーキと路面ブレーキを備えます。

東京メトロ17000系SiC-MOSFET VVVF
VVVF(SiC-MOSFET)
VVVFは三菱製でフルSiC(炭化ケイ素)のMOSFET方式です。モーター車1両につき1群の、計4群を搭載します。

東京メトロ17000系SIV
SIV
ハイブリッドSiC
一方でSIVはSi(シリコン)も併用する三菱製ハイブリッドタイプを5・6両目に搭載します。SiCがこなれて来たといっても、扱う電流が少なく費用対効果の小さいSIVにフルSiCはまだ採用されないようです。

東京メトロ17000系コンプレッサー
コンプレッサー
コンプレッサーはオイルフリースクロール式で4台で1ユニットとしたものを、3・6・8号車に搭載します。

各先頭車両にはATO・ATC・ATSと自社と各社の信号システムを処理するための各種機器が搭載されます。また無線制御システムのCBTCにも対応準備がされています。

東京メトロ17000系TIS装置
TIS
車両のモニタリング装置としてTISが搭載されます。これにより車両の各装置の状態がモニタリングされます。そしてTISで収集された情報がTIMAへ送られ、指令室や車両基地でリアルタイムに監視できるようになっています。

VVVFで省エネ性能が大きく進みましたが、SiC-MOSFETやPMSMの採用で更にもう一段進んだ省エネ車両となっています。これら13000系とほぼ同じ仕様ですが、13000系は舵操舵台車で台車やMT比が特殊でした。なので東京メトロの20m車としては、この仕様がしばらく標準として採用され改良されていくと思います。

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2019年11月29日金曜日

新横浜線部分開通 相鉄は都心へ




JRとの直通ため、相模鉄道新横浜線が2019年11月30日に開通します。相鉄新横浜線を中心に、今後開通する東急新横浜線についても紹介します。

記事作成日: 2018.12.14/記事更新日: 2019.11.29
※記事更新に合わせて記事タイトルも変更しました。


JR東日本E233系7000番台
新横浜線に乗り入れる
埼京線・川越線 JR東日本E233系7000番台

新横浜線開通で渋谷・新宿方面へ

相鉄ではJRと東急に直通するために工事を進めてきましたが、2019年11月30日に相鉄新横浜線が部分開通します。これにより相鉄とJR湘南新宿ライン・埼京線・川越線が直通することになります。渋谷駅や新宿駅を経由し最長距離を走る列車では、「相鉄海老名駅~JR川越線川越駅」を結ぶことになります。「海老名~横浜~新宿」間の場合、現状1時間10分~1時間30分程度の時間が、どの時間でも安定的に1時間程度で結ばれます。「海老名~新宿~川越」の最長列車の場合、2時間程度で結ばれます。

更に2022年下記には相鉄新横浜線が横浜国大駅より新横浜駅まで延伸し、東急が新横浜駅から日吉駅まで東急新横浜線を開業し、相鉄から東急東横線・目黒線、東京メトロ南北線、都営三田線、埼玉高速鉄道と4社へ乗り入れる予定です。

最終的に相鉄新横浜線と東急新横浜線が開通するわけですが、これは西武有楽町線と東京メトロ有楽町線と似た命名方式です。

運賃は横浜経由が安い

JRとの直通にあたり、乗り継ぎ割引の設定はありません。更に新線建設や高架化など多額の費用がかかる時に設定される、割増料金にあたる加算運賃が30円設定されます。そのため目的地によって横浜経由のほうが、安くなる場合が多いので注意が必要です。

たまに使う方は良いのですが、頻繁に使う方は利便性・時間・運賃のバランスに注意が必要です。

埼京線は一部減便へ…

埼京線の快速の「武蔵浦和~大宮」間が各駅になり、その分同区間の各駅停車が減ります。通勤快速については変更がありません。

日中の快速がメインということや、湘南新宿ライン・上野東京ラインと新宿・東京方面の速達列車が拡充されたことにより、影響は小さいと思います。しかし、影響がないわけではないので、嬉しいとも言えないのも事実です。

当面はJRがE233系・相鉄が12000系を使用

乗り入れに使用されるのはJRがE233系7000番台で、埼京線・川越線で使用されている車両を使います。乗り入れに合わせて増備が行われました。運用としては「海老名~川越」駅間で、全区間で運用されます。

相鉄側はJRのE233系をベースとした11000系に更に手を加えた、12000系を使用します。こちらの運用区間は「海老名~新宿」駅間の予定です。

内装と外装に違いはあるものの、どちらも基本的な仕様は同じです。12000系もATACSを搭載するので、運用上は全区間可能です。

また、相鉄線は信号システムをJRと同じ仕様のATS-Pに変更しています。そのためJR東日本の車両であれば、理論上は殆どの車両が相鉄に乗り入れ可能です。更に将来相鉄に乗り入れるであろう東急・メトロ・都営車についてもJRと同じATS-Pを搭載するようになるので、相鉄乗り入れ対応車はJRへの直通が可能になります。昔みたいな伊豆急直通の東急車など、見てみたいものです…

東海道貨物線の更なる旅客線化

JRへの乗り入れでは羽沢横浜国大駅からはJR方面への分岐があり、東海道貨物線を経由し鶴見で横須賀線と合流し、湘南新宿ラインと同じ経路で渋谷・新宿方面を目指します。東海道貨物線は現在一部の列車が旅客営業する以外は、貨物列車しか運行していません。この乗り入れで初めて一日を通しての旅客営業が開始されます。

利便性向上と複雑な乗り入れの課題

今回の新横浜線には、JR東日本湘南新宿ライン・相鉄本線が乗り入れる予定で、今後東急東横線・目黒線が乗り入れる予定です。これにより相鉄各駅から渋谷・新宿方面には二経路で、目黒方面には一経路で行くことが可能になり、利便性が向上することは間違いありません。

東急線は更に東京メトロ副都心線・南北線、都営三田線などと一体で運行を行っており、JR湘南新宿ラインは埼京線との一体運行を行っています。なので、乗り入れ先の路線が遅れることで、超広範囲に遅れが広がる可能性があります。

西谷駅・羽沢横浜国大駅・日吉駅などで、どこかで運休が発生した時には乗り入れ中止の対応が行われると思います。なので一つが止まって全体が止まるというようなことは無いと思いますが、軽微な遅延が大規模に広がることは避けられないでしょう。


2017年12月3日日曜日

鉄道技術展2017に行ってきた「山手線の新技術・足元を支える台車技術」編




2年に一度行われる鉄道技術展に行ってきたので、テーマごとに紹介します。今回は「山手線の新技術・足元を支える台車技術」編です。次回は「広がる無線無線信号システム・ディーゼルエレクトリックの波」編をです。
記事作成日: 2017.12.01/記事更新日: 2017.12.03

鉄道技術展2017ロゴ

鉄道技術展とは?

鉄道技術展は2年に一度千葉県幕張メッセで行われる鉄道関係の見本一です。2017年は11月29日~12月1日の3日間の開催です。

三菱電気などの誰もが知ってる企業から、鉄道ファンでも知っている人が少ないような小さな企業まで、様々な企業が出展しています。

展示会内部の写真は公開することが出来ないので、普段撮った写真で捕捉していきます。

山手線の新技術


軽量化・耐雪製アップパンタグラフ
工進精工所

電車は電気を取り取り入れるパンタグラフを搭載していますが、この装置を製造しているのが工進精工所です。JR東日本・西日本の通勤車などから、新幹線のパンタグラフまでも手掛けています。

山手線E235系パンタグラフ
山手線E235系パンタグラフ
山手線に配備されているE235系では、新型パンタグラフが採用されています。このパンタグラフも作っています。実機も展示されていました。

209系のパンタグラフ
209系のパンタグラフ
くの字部分の枠は四角い
E235系で採用されているのはPS33系列のPS33Hです。軽量化を行い従来より軽いものとなっています。そしてパンタグラフの枠組部分がパイプ化され丸くなっています。この形状変更により雪が積もりにくくなっている他、材質も熱伝導の高いアルミのためすぐ解けるようになっています。

また、折りたたみ時の高さも従来より低くなっています。鉄道には車体限界と呼ばれる大きさの基準がありますが、折りたたみ時のパンタグラフが低くなった分で、更に車体の高さを高く取ることができます。これによりわずかですが、天井を高くしたりできるのです。

どれと比べて軽量で折りたたみ高さが低いかを聞き忘れてしまったので、調べようとしましたが、パンタグラフの細かい仕様が公開されていないので、その辺りの詳細はちょっと分かりませんでした。

また、枠組みについてですが、私鉄では錆びにくさを優先してステンレスを採用、JRは重さや電気抵抗を優先してアルミを採用する傾向にあります。なので、アルミ自体を採用している点については、珍しくないようです。

PS33系列はE231系に採用され、E235系に至るまでに小改良が加えられています。その点を考慮して見比べると、面白いかもしれません。

新幹線並みの検査装置
日立ハイテクファインシステムズ

以前は線路の検査は専用の車両を使って行ったりしていましたが、最近ではお客さんの乗っている営業車両にも取り付け、常に状態を計測して早期に異常を発見する流れになっています。

E235系にも様々な検査装置が搭載されていますが、その中の一つの軌道検測装置を納入しているのが日立ハイテクファインシステムズです。

このシステムは車体下部に取り付けたレーザーで線路の状態を測り、以前はドクターイエローやEast-iなどの、検測専用の車両にだけ取り付けられていました。検査できる項目は「上下・左右・ねじれ・レールの幅」と、線路の4つの状態です。営業列車に搭載されているものも、従来の検査車両に搭載されているもの並みの精度で、非常に高性能なものです。

検測車両はハイテク機器の塊です。そのため中小私鉄では持つことが難しいのが現状です。そこでJRでは営業列車にまで搭載されるようになった検測装置を、中小私鉄向けではどう考えているか質問してみましたが、いまだ高価な機器には変わりないのでまだ難しいとのことでした。

足元を支える台車技術


プレス加工で軽量化
日本車両

鉄道車両製造大手の日本車両のブースでは、小田急ロマンスカー70000形で採用された新型台車が展示されていました。

この台車の特徴は台車枠と車輪を繋ぐ、軸箱部分にあります。基本構造は小田急ロマンスカー(MSE)60000形で採用されている、タンデム式軸箱支持装置です。違うのは一般的に
別々に作られ、後から溶接されていた台車枠と軸箱がプレス加工で、一体化している部分です。

209系500番台の台車
209系500番台の台車
丸の部分がプレス加工になっている
これによりひび割れの発生しやすい溶接部が無くなり、ひび割れの検査が不要になっています。また、軸箱は強い力のかかる部分なので鋳造部品で重いものでしたが、その部分でも一定の軽量化を実現しました。

アナログでカーブを曲がる

新日鉄住金

新日鉄住金は様々な台車を製造していますが、仙台市営地下鉄2000系向けの操舵台車が展示されていました。操舵台車は本来台枠に対して垂直になっている車輪の車軸を、カーブ時には曲げる技術です。これによりカーブを滑らかに通過することが出来ます。

東武鉄道70000系 SC107(TRS-17M)台車
東武鉄道70000系 SC107(TRS-17M)台車
丸部分がリンク機構
操舵台車自体は以前からありましたが、新日鉄住金製の台車の特徴は簡単なリンク機構のみで実現していることです。車体と台車をつなぐリンク機構により、カーブで台車と車体が平行でなくなると、車軸を傾けるようになっています。現在では東京メトロ1000系・13000系、東武70000系などでも採用されています。

カーブで軸の向きが変わるということで、直進性に疑問を持つ方をいるかもしれませんが、その点は従来と変わらないそうです。ボルスタと台車による摩擦があるので、車両の揺れ程度ではリンク機構は作動しないそうです。また、高速走行時の安定性も変わらないとのことです。

東武鉄道70000系 SC107(TRS-17M)台車のディスクブレーキ
東武鉄道70000系 SC107(TRS-17M)台車
ディスクブレーキ
また、70000系・130000系ではブレーキ音が五月蠅いことが話題なっていますが、その点は新日鉄住金が担当していないディスクブレーキ部のほうが問題なのではないかとのことです。確かに東京メトロ1000系も、一つの台車のうち片側の車軸にモーター・もう一つの車軸にディスクブレーキで基本構造は同じなのに、それほど五月蠅くないように思います。

本来ディスクブレーキは車軸に対して垂直に取り付けられて動くことはありませんが、操舵台車ではそれではブレーキが壊れてしまうので、ディスクブレーキのキャリパー部分で対応しているそうです。なので、1000系の標準機台車を狭軌用に改良が加えられた時に発生した構造的な部分か、それ以外の材質の改良など純粋なブレーキの改良による部分が原因なのかもしれません。



2017年2月28日火曜日

新技術の操舵台車でカーブ攻略 日比谷線新型車両仕様紹介




2015年6月17日に東京地下鉄(東京メトロ)と東武鉄道は日比谷線向け新型車両の仕様について発表を行いました。その新型車両の東武70000系と東京メトロ13000系の技術面について解説します。
記事作成日: 2015.06.17/記事更新日: 2017.02.28

北千住駅に到着する東武20000系
東京メトロ03系と共に置き換え予定の東武20000系

大幅な仕様統一へ

東武鉄道と東京メトロは日比谷線を現行の18メートル車8両編成から20メートル車7両編成へ変更するにあたり、新型車両を投入すると発表していました。今回は新型車両の仕様について発表しました。

今回投入されるのは東京メトロ13000系と東武鉄道70000系です。現在行っているドア位置など最低限の2社間の仕様共通化から大きく進め、車内設備から台車などの足回りまでと、大幅な共通化が行われます。製造メーカーも今回統一されることとなり、近畿車輛が両社の車両の製造を行います。

ただし、外観のデザインに関してはそれぞれ違ったデザインとなっています。車両導入時期は2016年から2019年の予定です。

車内設備の改良点

・冷房能力強化
・座席の幅を拡大
・荷棚の高さをやや低く
・座席横の仕切りを拡大
・ドア上全てに液晶3画面
・全車両端の席を優先席へ
・全車両にフリースペース設置
・連結面や座席横の仕切りを透明な強化ガラスへ


乗り心向上のため座席幅の拡大やクッションの変更などが行われます。車内の仕切りの大型化や強化ガラスを使ったデザインとありますが、イメージ画像を見る限り東京メトロ1000系のデザインを小改良したもののようです。

ドア上には多言語での案内や多くの情報を提供できるように、17インチのワイド液晶3画面がドア上全てに設置されます。近年は車内案内用液晶のワイド化が進んでいますが、液晶3画面を並べるのは初だと思います。

東武70000系側面のピクトグラム
ピクトグラムが高い位置へ
車椅子スペースは現在2箇所ほどですが、大型荷物や車椅子・ベビーカー用にフリースペースが全車両に1箇所設置されます。さらに車両端は全て優先席となります。優先席の位置統一は、乗り入れ列車によってまちまちの状況が改善される反面、端っこ好きにはちょっと辛い仕様統一です。また、ホームドア設置を見越してだと思いますが、フリースペース設置位置の表記は、高い場所になっています。Wi-Fiも導入されましたが、当面は外国人向けのものとなっています。

カーブ攻略で新技術を投入

13000系と70000系には、東京メトロ・東武の両社にとって初の技術などが盛り込まれています。

操舵台車

東京メトロ1000形用操舵台車の小型模型
東京メトロ1000形用操舵台車の小型模型
矢印の部分がリンク機構
日比谷線は急なカーブが多く、今まではそのために普通の車両より短い18メートルの車体を使用してきました。20メートルの車両に変更するにあたり、急カーブを克服するための新技術が採用されています。それは操舵台車とオール0.5Mです。

通常の台車は2本ある車軸が平行に固定されてるのに対し、操舵台車はカーブを曲がるときに台車が可動することで、車軸の向きを変えることが出来ます。これによりカーブを滑らかに通過できるだけでなく、騒音や振動なども抑えることができます。写真の矢印の部分がリンク機構によりカーブにさしかかると、2軸あるうちの片側1軸分車輪の向きが自然と変わります。

高速走行を行う特急列車やリニアモーターカーでは日本でも採用例がありましたが、通勤列車には東京メトロ1000形で初めて採用されたました。今回導入されるのは1000形用をベースに狭軌向けにしたもので、狭軌を走る一般的な通勤電車では初めての採用となります。

0.5M

この0.5Mは操舵台車同様に1000形で初めて採用されたもので、東京メトロの狭軌車両・東武の車両としては初めての採用となります。

東武70000系用台車SC107 (TRS-17M)
新型台車SC107 (TRS-17M)
一般的な電車は各車軸にモータが付いているモーター車と、各車軸に一つもモーターが付いてないトレーラー車があります。今回は台車の片側の車輪が可動するという構造を採用したため、通常なら1両あたり4つのモーターを載せられるところに、2つしか載せることが出来ません。さらに上下の激しい地下鉄を走行するため、通常よりもパワーが求められるます。そこで、全車両のうち全ての台車の片側にモーターを載せることで1両あたり0.5M、編成全体で見ると実質5M5T相当とすることで解決しました。全ての台車が同じ仕様のため、車輛すべてが同じ形式の台車を使用しています。

0.5M車はJR西日本でも採用していますが、編成を調整しやすくするためなど別の意図で採用されたため、1両あたり片側の台車に2つのモーターを装備する配置となっています。

東武鉄道70000系 SC107(TRS-17M)台車のブレーキ部
ディスクブレーキ
ブレーキは一台車に二種類装備されています。路面ブレーキが片側の車輪に一つ、モーターが装着されていない側の車軸にディスクブレーキが装備されています。このディスクブレーキには特徴があり、わざとがたつきがあるように取り付けられています。このモーターがついていない側が稼働する車輪なので、カーブ走行時は台車の枠に対し車軸が斜めになります。そこで通常車軸に対してきっちり垂直に撮りけられるディスクに遊びを作り、車軸に対してある程度斜めになっても平気にするようにすることで、ディスクに力がかかり過ぎないようになっています。

PMSM

消費電力削減のため出力205kWのPMSM(永久磁石同期モーター)を採用しました。これにより東武20050系や東京メトロ03系と比較すると、25%の駆動系消費電力の削減を見込んでいます。東京メトロでは千代田線16000系や銀座線1000系で採用されていますが、東武鉄道では30000系に試験的に1両が組み込まれているのみでした。70000系で東武鉄道の通勤車としては、初の本格採用となります。

東武70000系のVVVFインバーター
東武70000系のVVVFインバーター
PMSMと言えば東芝製の電装部品で固めるという状況がしばらくありましたが、VVVFインバーターは三菱製が採用されています。

ATO

ホームドア設置完了後の自動運転を見越してATOの準備工事が行われています。東武の本線系統の車両では、70000系が初のATO搭載車になる見込みです。

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2016年12月9日金曜日

今年は減便 臨時電車「みなと横浜 初日の出号」運行




2016年12月8日に東武・西武・東急・東京メトロ・横浜高速鉄道の5社は、2017年1月1日に臨時電車「みなと横浜 初日の出号」2本を運行すると発表しました。昨年まで運行されていた「天覧山 初日の出号」は運行しません。

臨時電車で使用される東急電鉄5050系4000番台
臨時電車で使用される
東急電鉄5050系4000番台

2列車の紹介

「みなと横浜 初日の出号」は、2013年3月の東武・西武・東京メトロ・東急・横浜高速の5社直通が始まって以来、毎年元旦に運行されています。昨年までは元町・中華街発で飯能行きの「天覧山初日の出号」も運行されていました。毎年始発駅の鉄道会社以外の車両で運行されるのが特徴です。

東上線発「みなと横浜 初日の出号」

車両: 東急電鉄5050系4000番台
ダイヤ概要: 森林公園3:50→元町・中華街5:55

今年の車両は昨年とは違い、通常仕様の東急5050系4000番台となります。ちょっと残念です。

森林公園を3:50に出発し、臨時列車として東武東上線は各駅、東京メトロ副都心線・東急東横線武蔵小杉までは急行運転で運行します。5:31発の武蔵小杉から先元町・中華街までは、休日ダイヤの武蔵小杉発の始発列車と同じダイヤでの運行です。

2016年の「みなと横浜 初日の出号」で使われたSHIBUYA HIKARIE号
2016年の「みなと横浜初日の出号」
※関連記事(2016年の運行の様子)
3年目突入 「みなと横浜 初日の出号」「天覧山 初日の出号」運行

池袋線発「みなと横浜 初日の出号」

車両: 東急電鉄5050系4000番台
ダイヤ概要: 小手指3:58→元町・中華街5:29

こちらも昨年度と違い、東急5050系4000番台が使用されます。西武線内は快速運転、小竹向原から4:52発の渋谷までの副都心線内は急行、渋谷から5:29着の元町・中華街までの東横線・みなとみらい線内は特急運転です。昨年までは飯能始発でしたが、運転区間が縮小され小手指始発になりました。

保谷駅4:14発→池袋行きの各駅列車が、練馬駅で接続を行います。こちらは去年と同じです。



2016年11月19日土曜日

銀座線1000系 特別仕様車を二編成導入




東京メトロは2016年11月18日に銀座線開業時に運行していた車両を模した特別仕様車を、2017年1月より順次2編成運行すると発表しました。

浅草駅に到着する銀座線1000系
現在運行中の通常仕様の1000系

旧1000形のデザインがよりリアルに

導入車両数: 6両×2編成=計12両
運行開始時期: 2017年1月中旬より

現在銀座線では1984年より運行開始した01系を置き換えるべく、2012年より運行を開始した1000系が順次導入されています。この1000系は銀座線開通当初に運行していた、同名の車両1000形(以後旧1000形)を模したデザインとなっています。

今回の特別仕様車は「伝統×文化の融合」というコンセプトでリニューアルを進める銀座線で、「伝統」のコンセプトで通常運行・イベント時に楽しめる車両として製造されます。

導入される特別仕様車はより旧1000形に近づけたものとなり、この2編成の導入で01系の置き換えが完了する予定です。

運行は順次開始する予定です。1編成目の1139編成が2017年1月中旬より、2編成目の1140編成が2017年3月中旬を予定しています。

凝った特別機能も


外観-ライト・塗装・デザインの変更

通常の1000系のヘッドライトは中央に四角い2灯タイプが使用されており、旧1000形というよりは2000形などに近い印象のものでした。これが丸形の1灯タイプに変更されます。テールライトも丸形のものから、鍵穴型に変更されます。

車体の塗装はラインカラーの帯も廃止し、窓枠や乗務員用の握り棒なども含め徹底的に黄色く塗装します。終電靴と呼ばれる電気を受電する部品も、当時に近づけ赤く塗装されます。

1000系ではボディにアルミを使用し、凹凸の少ない滑らかなボディを実現しています。一方旧1000形では当時珍しかった鋼鉄を使用し、溶接などが未発達のため窓回りの強度を確保するために「ウィッド・シル/ヘッダー」とよばれる補強板をリベッドで打ち付けています。そのため特別仕様車は、「ウィッド・シル/ヘッダー」風の装飾を施します。ちなみにですが「ウィッド・シル/ヘッダー」は、JR東日本がイベント用に運行する旧型客車で今でも実物を見ることが出来ます。

内装-室内灯・手すり・化粧板の変更

室内灯に大幅な変更が加えられます。1000系では室内灯に白色LEDを採用していますが、特別仕様車では調光可能なLEDが採用されます。調光機能はご家庭で使用されてる方も多いと思いますが、LED電球の色を白・青・電球色などにする機能です。おそらく運行時の白熱灯風の色合いを出すためと思われます。

そして室内灯には特別な仕掛けがあり、ポイント通過時に電気が消える機能があります。銀座線の古い車両では、室内用の電源を供給するシステムが今と違い、ポイントを通過する歳に電気が消えてしまいました。その状態をイベント時に再現するために、今回の機能が搭載されました。プレスによると、最後まで運行した電気の消える車両は、1993年まで運行した2000形が最後となっています。

室内灯が消えると真っ暗になってしまうので、その時のためについていたのが予備灯です。この予備灯も再現されます。

旧1000形のボディこそ鋼鉄ですが、室内の座席などは木製でした。特別仕様車では木目調の化粧板で、木製に近い雰囲気とします。もちろんコストや整備性の問題もあるのでしょうが、地下鉄の厳しい耐火基準的にも木目調が精一杯と想像すると、ちょっと残念です。

旧1000形ではリコ式と呼ばれる跳ね上げタイプのつり革が使われていました。特別仕様車では、跳ね上げ機能はないものの、形状は近づけたものとなります。

その他にもステンレスの握り棒や車両番号・製造者銘板も真鍮風のものとなります。


2016年11月6日日曜日

銀座線2区間で11月に終日運休 珍しい逆走運転も




東京メトロは2016年9月13日に銀座線二区間で切り替え工事のための運休を行うと発表しました。

溜池山王行きの銀座線1000系電車
臨時で設定された
溜池山王止まりの電車


運休は2区間で計2回4日間

・渋谷~表参道 間
・青山一丁目~溜池山王 間

今回運休になるのは「渋谷~表参道」間と「青山一丁目~溜池山王」間で、11月5~6日と11月19~20日の計2回4日間を予定しています。万が一諸事情で工事が中止になった場合は、11月12~13日と11月26~27日に工事が実施される場合があります。

運休にならない「表参道~青山一丁目」間と「溜池山王~浅草」間では、運転時刻・本数を変更して運行します。

時間帯にもよりますが「表参道~青山一丁目」は12~22間間隔での運転、「溜池山王~浅草」間が3~15分間隔での運行となります。また、他社線での振り替え輸送も実施される予定です。

運休の理由は渋谷駅の工事

今回の運休の理由は渋谷駅の大規模工事のためです。渋谷駅では東急・JR・東京メトロの3社も含んだ大規模な改良工事を実施しています。その一環で銀座線渋谷駅のホームも、移設した上で新設されます。そのために必要なスペースを確保するために線路を若干移動させるのですが、そのための線路切り替え工事のために運休となります。

珍しい逆走運転も

「浅草~溜池山王」間の動画

「浅草~溜池山王」間については、行先こそ珍しいものの一般的な方法で折り返し運転が行われました。浅草駅については元々終着駅であるのでいつも通り方法でした。溜池山王駅については浅草から到着した列車は溜池山王渋谷寄りにあるポイントで転線したのちに、反対側ホームから発車していきました。

「表参道~青山一丁目」間の動画

一方「表参道~青山一丁目」間では、珍しい運行方法が行われました。「表参道~青山一丁目」には転線するためのポイントがないため、一般的な折り返し運転が行えません。なので、渋谷方面と浅草方面にそれぞれ列車を一編成づつ配置し、単線扱いによる折り返し運転が行われました。

例えば浅草方面B線の列車の場合、表参道を発車し青山一丁目に到着します。ここで客扱いをせずに、表参道まで逆走して回送します。そして表参道に到着後、青山一丁目行きとして再度客扱いをします。反対方向の渋谷方面は、この手順とまったくひっくり返しのことをします。

なので、お客さんにとっては表面上は。いつも通り運転しているように見えます。しかし、実際は複線を単線扱いにして2編成の電車を使い、本来の方向と同じ場合は客扱いして、逆方向の時は客扱いせずに回送して、いつも通りにみせかけているだけなのです。


2016年8月29日月曜日

地下鉄と郊外を結ぶ荷物電車の実証実験実施へ




2016年8月29日に東京メトロ、東武鉄道、佐川急便、日本郵便、ヤマト運輸の5社は東武東上線~東京メトロ有楽町線間で、鉄道を使った物流実証実験を行うと発表しました。

実験概要

東武東上線ふじみ野駅駅に到着する東京メトロ10000系
今回の実験で使用される
東京メトロ10000系電車

・拠点間輸送

車両: 東京メトロ10000系1両
区間: 新木場車両基地→森林公園検修区・和光市車両基地

・拠点~駅間輸送

車両: 東京メトロ10000系1両
区間: 新木場車両基地→有楽町線新富町・銀座一丁目・有楽町駅

実験は東京メトロ10000系1編成のうち1両に荷物を載せ、お客さんを乗せない実験専用ダイヤで本物の荷物に見立てた模擬荷物で行います。

実験は拠点間輸送と拠点~駅間輸送の二種類が行われます。拠点間輸送ではトラックで車両基地へ荷物を運び電車で輸送、到着した車両基地で再度トラックへ積み込み各会社の物流拠点へ運ぶ莫れです。拠点~駅間輸送では、各配送会社の新木場車両基地で荷積みし有楽町線各駅から地上へ配送する流れとなります。

日程は9月9,10,16,17,30、10月1,7,8,14,15で、金曜か日曜の実施となります。

今回の実験を通し実際にかかる所要時間、人員や一般のお客さんへの影響などから、安全や作業効率に必要な設備を把握し、トラックから鉄道輸送に切り替え可能か検証します。

鉄道輸送が可能な路線は限られるか?

今回実験に使用される車両基地は、貨物輸送に利便性の高い車両基地が選ばれています。

森林公園検修区は関越道東松山インターチェンジに近く、ヤマト運輸の物流拠点も近くにあります。和光市車両基地も外環和光入口に近く、新木場車両基地は倉庫・工場街にあり首都高湾岸線新木場入口が近くにあります。更に、三つの車両基地ともに比較的大きな車両基地で、トラックの搬入もある程度しやすいと思われます。

このように選ばれた車両基地の道路事情や規模などを考えると、どの路線でも簡単に導入というわけにはいかなさそうです。

駅での荷下ろしについては、有楽町線はホームドア設置にともないホームと列車との間が最小に抑えられているので、比較的問題はないのではないかと思います。荷物の構内移動については、荷物が台車一台程度であること、駅内のコンビニなどである程度に荷物の移動が日常的に行われていることを考えると、お客さんとの接触にさえ注意を払えば問題はあまりないと思います。

駅構内への宅配ボックス設置など、小さな荷物の鉄道との結びつきが強まりつつあります。今回の実験が成功すれば、その勢いがますます増します。一旦は消えた電車による荷物輸送が復活するかは興味深いものです。


2016年8月5日金曜日

日比谷線で新型行先案内表示器使用開始




2016年8月5日より東京メトロ日比谷線に液晶タイプの新型行先案内表示器の使用を開始しました。日比谷線、半蔵門線、千代田線と今後順次設置路線を広げる予定で、2019年度には東京メトロ全駅の行先案内表示器がこのタイプとなります。

LEDから液晶へ

日比谷線霞ヶ関駅に設置された新型行先案内表示器
今回日比谷線霞ヶ関駅に先行で設置された
新型行先案内表示器
今回導入された新型行先案内表示器は、液晶タイプのものとなっています。近年では路線数の多い駅に16:9サイズの通常タイプ大型液晶モニタを行先案内用に導入していることがありましたが、このような従来型の行先案内表示器と同じ形のものを導入している会社多くありません。

日比谷線霞が関駅に設置されている行先案内表示器
従来型の行先案内表示器
日比谷線に設置されている行先案内表示器は、少々時代遅れの3色タイプのLED表示器です。それと比較して非常に見やすくなっているのはもちろんのこと、多くの路線で導入が進んでいるフルカラーLEDタイプと比較しても精細なのが分かります。

日比谷線霞ヶ関駅に設置された新型行先案内表示器
韓国語・中国語にも対応する
さらにLEDタイプが英語・日本語の二か国語のみの対応だったのに対し、中国語・韓国語にも対応しました。

実際の稼働時の動画
日本語と外国語が交互に表示される

日本語と外国語は交互に表示されます。LEDタイプより細かく表示が可能なので、外国語表示時でも日本語ふりがなが表示できるため、外国語の表示時時間が増えても日本語ユーザーの不利益も少なそうです。

趣味的な部分で見ると、LEDのようにシャッター速度次第では消えることはなさそうなので、その点でも助かります。

一つ気になる点としては、太陽光のあたらない地下鉄なので非常に見やすく便利ですが、液晶の特性上屋外では見にくくなってしまうと思います。なので、地上駅に関してはどのように見えるか・普及するか注目したいところです。

今後の予定としては2016年度中に日比谷線、千代田線、半蔵門線への設置が完了し、それ以外の路線は2019年度までに設置が完了される予定です。


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