2022年5月19日木曜日

ハイブリッド・電気式・液体式 気動車の駆動方式のメリットデメリット




従来からのエンジンだけで動く液体式、充電電池で動く蓄電池式、エンジンと電池でモーターが動くハイブリッド、エンジンで発電してモーターで動く電気式と、近年増えてきた非電化区間の様々駆動方式のメリットデメリットを考えます。正直頭で整理しきれないところもあるので、間違っているところは優しくご指摘いただければ助かります…
記事作成日: 2020年9月9日/記事更新日: 2022年5月19日

これからは電気式が主役か?

電気式気動車のGV-E400系
電気式気動車のGV-E400系
新津駅にて撮影

既にJR東日本とJR北海道では電気式気動車の大量導入が行われています。この後紹介するそれぞれの特性を見ると、電池価格の変動の要素はあるものの電気式気動車が主役となり、次にハイブリッド気動車や蓄電池式気動車となっていきそうです。

液体式気動車

只見線キハ40系
オーソドックスな液体式気動車キハ40系
只見線小出駅

メリット
・ディーゼルエンジンだけで構成がシンプル
・比較的軽い
・技術的に安定している

デメリット
・変速機の整備性が悪い
・走行性能が低い
・エネルギー効率が悪い傾向にある
・エンジン音がうるさい

いわゆる従来型の気動車で、バスやトラックと同じ方法で動きます。ディーゼルエンジンで、直接車輪を動かします。日本で今走っている気動車はほとんどこの方式です。

この後紹介する電気式の列車は、ディーゼルエンジンの他に発電機やモーターが必要になるので、構成としてはシンプルになります。一概に比較は出来ませんが車両重量も比較的軽い傾向にあります。ただ、変速機など重さのある部品もあったりと、ハイブリッド気動車と比べても1tレベルの軽量化なので、大幅に軽いわけではありません。

構成としてはシンプルなのですが、エンジンの回転を必要なトルクや速度に合わせて調節する変速機が必要です。変速機は構造が複雑なので、これが重量増加や整備性の低下を起こします。また、液体式の気動車は電車よりも加速や最高速度の面で劣ります。更に蓄電池の使える車両に比べるとエネルギー効率が落ち、燃費が悪いと言えます。停車中もエンジンを動かす必要があり、発車時はエンジンがフル回転になるので特にうるさくなります。

みんな電車

蓄電池車もハイブリッド気動車も電気式気動車も、みんな電車です。違うのは電源を何に頼ってるかという点です。

そもそも何故電車にするかと言えば、例えばJR東日本の車両の大半は電車です。電車ベースであれば、技術や部品の共有をしやすくなりメンテナンスも簡単になります。性能も電車のほうが高いので、ベースを電車にすることで加速が良くなっています。

地方私鉄が導入する液体式気動車は価格が公開されてる場合があり、1両1億5千万程度の例があります。一方で量産効果のあるJRの通勤電車は価格が公開されてないものの、平均1億円程度と言われます。ローカル線用は数が出ないので元々コストが上がりがちですが、通勤電車と部品を共通化出来るのであれば導入コストも下がる余地があるのかもしれません。

蓄電池式車

JR東日本EV-E801系 ACCUM
男鹿線用
JR東日本EV-E801系 ACCUM 

メリット
・電車として走れる
・効率が良い
・最も静か
・走行性能は高い
・構造がシンプル


デメリット
・コスト、特にリチウムイオン電池が高い
・電池の量で走行性能や走行距離が決まる
・充電設備が必要
・頻繁に電池を使うと電池の劣化が進む


一言でいえば電池で走る電車です。なので、電車と気動車の比較とほぼ同じとなります。電池はリチウムイオン電池で、スマートフォンの電池の大きいものが搭載されています。

比較的エネルギー効率が良いです。電化区間では架線からパンタグラフで充電し普通の電車として走り、非電化区間では電池でモーターを動かして走ります。エンジンが無いので、他の方式より静かです。走行性能も高く、減速する時にモーターで発電して電池に充電することでエネルギー効率も高くなります。

問題のすべてはリチウムイオン電池と言っても、過言ではありません。リチウムイオン電池を沢山載せられれば、電車と全く同じ高い加速で速い最高速度で走り、長距離の運行が可能です。しかし、リチウムイオン電池は値段が高く、沢山載せるほど車両が重くなります。そこで距離や加速など妥協点が必要になります。それでもJR東日本最新世代の液体式気動車キハE120系の加速が1.58km/h/sに対し、烏山線のEV-301系では加速は2.0km/h/sと一昔前の通勤電車や近郊列車レベルで高くなっています。また、スマートフォンと同じように充電と放電を繰り返すと、電池が劣化し性能が落ちます。なので加速と減速が少ない平坦で、駅間距離が長いほうが、電池の劣化が少なく済みます。そして充電電池の充電する設備がない場合に、充電設備が必要になります。

走行距離が短い路線に導入されており、JR東日本だと烏山線・男鹿線、JR九州では香椎線で導入されています。烏山線や男鹿線は始発駅が元々電化されており、終点側に最低限の充電設備追加して対応しています。香椎線では中間駅の香椎駅にのみ充電設備がないので、運行系統を二分割しています。特に烏山線は周りの路線すべてが電化されていましたが、烏山線だけが違いました。電車に統一されてことで、そのあたりの調整もやりやすくなったはずです。

ハイブリッド気動車

メリット
・効率が比較的良い
・走行性能が良い
・比較的静か
・変速機がない

デメリット
・車両構成が複雑
・コストが高い
・比較的重い
・頻繁に電池を使うと電池の劣化が進む

ハイブリッド気動車は、電源を電池とエンジンを回して動かす発電機に頼っている点が特徴です。

JR東日本ハイブリッド車は近郊電車レベルの2.3km/h/sの加速を実現しています。蓄電池式の電車と同じようにリチウムイオン電池を搭載しています。そのため蓄電池車同様に、ブレーキ時に発電して電池に溜めることが出来ます。停止時はエンジンを切って電池だけに頼ることもでき、発車してある程度の速度まで電池だけでモーターを動かし、一定の速度以上になるとエンジンの発電も加わります。プリウスのような家庭用自動車と似た制御がされていて、停車・低速時の騒音も同じように抑えられています。また、エンジンを効率の良いな回転数で動かして予め発電して電池に蓄えることも出来るので、その点でも効率が上がります。液体式気動車にある変速機のような複雑な部品もありません。

複雑な部品はないものの、電池に発電機にモーターと色々なものが載っているのでそこがデメリットとなります。色々なものが載っているので車両のコストも上がりますし、それぞれの機器をどう動かすかの複雑な制御が必要で、重さも多少重くなります。蓄電池式と同じように、充電と放電を繰り返すと電池の劣化が早まります。そのためブレーキ時のエネルギー効率で言えば一番載せたい普通列車に載せると、電池の劣化が早く進むのと、発着時は電池が重りとなり効率が落ちます。

これらを踏まえハイブリッド気動車は、リゾート列車や快速列車に採用される傾向にあります。どちらも普通列車よりは停車や加減速が少ないので、電池の負担が減ります。更に必要な車両数が少ないので、ある程度のコストの高さまでは許容できます。リゾート列車の場合は快適性や環境に対するイメージも必要なので、騒音の低減や効率性の面でアピールができます。

電気式気動車

メリット
・走行性能が良い
・変速機がない
・構成は比較的シンプル
・ハイブリッド気動車よりは車両価格が安い

デメリット
・うるさい
・効率が悪い

電気式気動車は電源をディーゼルエンジンから発電した電気のみに頼りモーターを動かす電車です。変速機が無い分モーターと発電機は載っていますが、あまり複雑な構成をしているわけではありません。エンジン始動用の最低限のアルカリ蓄電池しか載っていないので、コストも下がって車両価格も安いはずです。

電気をエンジンに頼るので、停車時もエンジンのアイドルが必要ですし、加速時は従来の液体式気動車並みのエンジン回転が必要となり、音もあまり変わりません。また、ブレーキをかける時に電気をためることはできないので、その点でも効率は液体式気動車を上回るとは言えません。

車両性能はJR東日本GV-E401系の例では、ハイブリッド気動車と同じ2.3km/h/sの加速を実現しています。走行性能では蓄電池車を上回ります。ただ、実際には従来型の液体式の気動車と合わせた低速の加速モードがあるので、常用されているわけではありません。

JR東日本の東北地区やJR北海道のローカル線で大規模な導入が行われており、液体式気動車の置き換えがかなり進められました。

先ほども紹介したように普通列車にハイブリッド車を採用する場合、電池の劣化と重さの問題があります。さらに山岳線では車両重量のデメリットが大きくなる上に、どうしても加減速が増えて電池の負荷が増えます。非電化区間の多くは山岳線で、乗客も少なくコストもかけられない路線です。そこで妥協案としての電気式気動車のメイン採用という形になったと想像できます。将来蓄電池の価格がぐっと下がれば、また変わってくると思います。

以上を踏まえると最初に紹介したように主流は電気式がローカル線となり、リゾート列車や仙石東北ラインのような優等列車用にハイブリッド気動車、短距離の非電化区間は蓄電池式という住み分けがなされていくと思います。


東武鉄道新型特急500系リバティ 半蔵門線には直通しない?




2015年4月22日に東武鉄道が発表した新型特急500系「リバティ」について、車両の仕様などを中心に解説します。そして半蔵門線に直通出来るにも触れていきます。運用に就いては「万能特急東武500系リバティ 縦横を駆ける」をご覧ください。
記事作成日: 2015.04.22/記事更新日: 2022.05.19

500系特急電車スペック

東武日光線を走る500系特急リバティ
東武日光線を走る500系特急リバティ

編成概要

東武500系編成表
500系編成イメージ

車両形式: 500系
初期導入車両数: 3両×8編成=計24両
導入路線: 東武本線
運行開始日: 2017年4月21日
製作会社: 川崎重工
デザイナー: 奥山 清行

最初に発表された導入車両数は、3両×8編成=24車両の特急車両です。2016年度に導入され、2017年4月21日から運行を開始しました。基本的には2編成を連結した6両で運行します。その後も追加の導入が行われ、2022年現在3両×17編成=51両が在籍しています。

運行路線は東武スカイツリーライン(伊勢崎線)・日光線・鬼怒川線・アーバンパークライン(野田線)・野岩鉄道線・会津鉄道線と、本線系統であればどこでも走れるようになっています。

6両の編成のスペーシアは東武と野岩鉄道の境界駅である新藤原駅まで乗り入れていますが、そこから先は変電所容量の関係で乗り入れが難しいという話を聞いたことがあります。3両編成の小回りのよさが生かされています。

製造は川崎重工です。東武鉄道での採用は1946年に戦後の輸送力不足改善のため国鉄から割り当てられた63系以来となります。(川崎重工に吸収合併された汽車製造が8000系を作っているので、これを含めると変ります。)

デザイナーは北陸新幹線E7系や山手線E235系、中央線特急E353系などを手がけた奥山 清行氏です。

スペーシアの後継ではない

春日部駅に入線する東武100系
特急スペーシアとして活躍する
東武100系特急電車
発表時のプレスリリースで「特急スペーシア、特急りょうもう等に加えて、特急列車のさらなる利便性を向上を目的に」とあるように、新しい選択肢としての導入で既存特急車両の後継ではありません。スペーシアが6両を基本としていることからも後継ではないとすると納得できます。 

 導入当時は1800系の改造車である東武300系が6両×2編成=計12両、350系が4両×3編成=計12両在籍していました。ちょうど24両の導入で、全て置き換えられることも予想されましたが、この時は300系の置き換えのみとなりました。 

 追加車両により、200系廃車に開始による「りょうもう」の一部運用、「きりふり」廃止とスペーシア廃車開始により350系と100系が担っていた定期特急や臨時特急の役目も果たすようになりました。 そして2021年に100系スペーシアの後継車N100系が発表されたので、スペーシアの後継車としてはそちらが担います。

また、車体の構造的にはATS-Pさえ搭載すればJRへの乗り入れることも可能だと思いますが、今のところ予定は無いようです。

気になる地下鉄直通

500系発表前に特急車の地下鉄乗り入れを検討するような話もありましたが、そちらはTHライナーが運行されたので、地下鉄乗り入れは無くなったようです。それでも実際可能なのか考えてみます。

地下鉄の乗り入れの障害になるものとして、前面貫通扉と車体幅の制約があります。500系は前面貫通扉はなんとかなりますが、車体幅やカーブの制約で怪しいです。

前面貫通扉は地下鉄を走る上で、非常口用に絶対に設置する義務があります。500系は貫通扉は増解結用が付いているので、設置義務は満たしています。しかし、そのままでは駄目で、貫通扉から地面に降りる非常用階段を取り付けるよう改修が必要です。
地下鉄はトンネルの大きさの関係で車体幅が大きい車両は入れない場合があります。500系の車体幅は2870mmです。これに対し半蔵門線直通対応車50050系が2770mm、日比谷線直通対応車20000系列が2874mmとなっています。

なので、半蔵門線に関しては車体幅的に無理です。日比谷線は車体幅だけで見れば問題ありませんが、東京メトロ13000系や70000系が舵操舵台車を装備して20m車の乗り入れに対応したのを見ると、カーブの問題で難しそうです。やはり500系の地下鉄乗り入れは、今後も無いと思います。

車両外観

下今市駅留置中の東武500系
下今市駅留置中
スペーシアが白系の塗装で明るめの帯が入っていたので、全体的にだいぶ締まった印象を受けます。

下今市駅で停車中の東武500系リバティ
下今市駅での分割作業
前面は貫通型で分割・併結が可能な形状で、今までの東武特急が非貫通型であるのと対照的です。旧成田エクスプレスの253系に似た形状ですが、253系が車掌しか通行できないのに対し、旅客も通行可能なタイプとなっています。

連結作業中の東武鉄道500系リバティ
連結作業中

分割作業の動画

分割や併結時には貫通幌のロックは駅員が行い、貫通幌の収納や外側の扉の開閉は自動的に行う、半自動方式となっています。そして、車内の運転台側の扉のロックなども手作業で行います。連結時には連結部がオレンジに点灯し、注意喚起の音が流れます。一部自動化されていると言っても作業量は特段減ったわけではないので、6050系と比べて作業時間が短縮されているなどの印象はありませんでした。

東武鉄道500系リバティ 上部前照灯
上部前照灯

東武500系ヘッドライト・テールライト
下部ヘッドライト・テールライト
ヘッドライ専用のライトが貫通扉上、ヘッドライト・テールライトを兼ねたものが前面下部についています。LEDタイプのもので非常に指向性が高く、写真の通り横からだと点灯しているのが殆ど分かりません。また、下部の前照灯は日中では3分の1程点灯し、夜間は全て点灯するようになっています。

東武鉄道500系側面LED行先表示器
側面LED行先表示器

東武鉄道500系リバティのロゴ
側面ロゴ

側面の行先表示器はスタンダードなフルカラーLED表示器を採用しています。側面にはリバティのロゴが貼られています。

電装部品など

SS182M(TRS-16M)

東武鉄道500系リバティ搭載東芝製VVVFインバータ
東芝製VVVFインバータ
足回りはには東武30000系で試験を行っていた永久磁石同期モーター(PMSM)が採用されるほか、東武鉄道では初めてアクティブサスペンションダンパーが採用されます。モーターはPMSMです。2017年4月21日に東芝がモーターを納入したと発表しました。

実際に乗ってきましたが、発車時のモーターやインバーター音などはスペーシア100系と比べると、非常に静かに感じました。揺れについてもアクティブサスペンションダンパーがある分、少なく感じました。

東武鉄道500系リバティのパンタグラフとクーラー
パンタグラフとクーラー
パンタグラフは先頭車と最後尾に一つづつ搭載されています。クーラーは屋根上に集中式の物が、一両につき一つづつ搭載されています。最近は屋根まで塗装されている車両もありますが、そういった特徴はありません。

車内サービスとしてWi-Fiや2Aまで対応のPC用電源も用意されます。車内サービスについては「万能特急東武500系リバティ 縦横を駆ける」に記載しているので、そちらもご覧ください。

走行から分割シーンまで撮影しました


2022年5月18日水曜日

2022年度関東大手私鉄新型車両動向まとめ




  関東大手私鉄が発表する2022年度の事業計画などを基に関東大手私鉄の新車計画を紹介します。順次加筆・修正の予定です。

記事作成日: 2022年4月29日/記事更新日: 2022年5月18日

東京メトロ17000系
引き続き導入される予定の17000系

新車より衝撃の譲渡車検討 西武鉄道

西武鉄道は5月12日に「事業計画」を、西武ホールディングスも同日に「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)』の進捗」を発表しました。

「事業計画」によると新型車両40000系が3編成導入されます。既に車両側の対応工事が進められていたデジタル無線への更新が実施されます。

衝撃的だったのは「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)』の進捗」のほうです。2022年度中の話ではありませんが、将来的にサステナ車両と西武鉄道が呼称する、譲渡車の話が含まれていました。サステナ車両は、コスト削減を進めるため他社から導入を検討している、無塗装VVVFの中古車両のことです。この文が出る前にはJR東日本と営業面・運転面で協力するとあるので、そのまま考えるならばJR東日本から車両の譲渡を受けると考えるのが自然ですが、本当にJRの車両が西武鉄道を走るかは気になるところです。

車両更新のみで来年以降に15000形更新? 京浜急行

京浜急行は5月11日に「鉄道事業設備投資計画」を発表しました。今年度は新車の導入は無いようです。

2022年度中に行われるとはっきり書かれているのは1000形の車両更新で、フリースペースや車内液晶の設置と、走行機器の更新のみです。

一方で2022年度以降で発表されたのが1500形の置き換えで、来年度以降からの実施となりそうです。1500形は1985~1993年までに製造された車両で、鋼鉄製で製造時から現在まで界磁チョッパ制御の初期製造グループの4両編成・アルミ製で界磁チョッパからVVVFに更新された中期製造の6両編成・アルミ製で最初からVVVFで機器更新をしていない後期製造の8両編成と、製造年も車両構造も異なっています。車両の痛み具合が基準ならば、初期車の4両編成、機器更新をしていない後期車、最後に中期製造となります。

界磁チョッパからVVVFにすることでの省エネ性もアピールされていたので、まずは4両編成の車両が更新されると思います。その後の順番は運用の都合も大きいので、今後の動向に注目です。

新車ゼロ?で力を溜める 東武鉄道

東武鉄道は4月28日に「設備投資計画」を発表しました。今年度は新型車両の導入は無いようです。

スペーシア100系の後継として導入が発表されたN100系は、2022年度は車両製造のみを行い2023年度導入とあります。今年度中に納車され試運転などの車両を実際に動かせる形にするかは微妙な表現となっています。

通勤電車は車両更新含めて大きな発表は無しです。なので、内装や電装部品の大幅更新しない小規模なもののみとなるかと思ったのですが、東武鉄道の車両更新の委託を受けている津覇車両に更新車とみられる車両が入場したため、大幅な更新も行う車両もあるかもしれません。また、70000系4編成・50000系8編成に車内カメラの搭載、列車の走行データを収集するシステム「Remote」を500系4編成・50000系1編成搭載予定と発表しています。

2023年度からN100系新型スペーシアの導入、2024年度から野田線(アーバンパークライン)向け通勤電車の導入が控えているため、今年はかなり控えめな動きとなったようです。

新横浜線開業に向けて準備 相模鉄道

相模鉄道は4月26日に「鉄道・バス整備投資計画」を発表しました。今年度は21000系3編成の導入のみで車両更新の発表はありませんでした。

2023年3月に新横浜線が開業し5社11路線の乗り入れが実施されるに合わせて、以前から導入を続けていた20000系・21000系の導入も大詰めとなり3編成の導入です。21000系は20000系を8両版と言えるもので、微妙な違いはありますが実質20000系と同形式の車両です。

車両更新の発表が無いのでヨコハマネイビーブルー塗装への変更など、外観と内装を大きくリニューアルするは今年度は無さそうです。同様の発表だった昨年の動きを見ると、大幅なリニューアルを伴わない機器更新は実施されるかもしれません。

7000系全廃か?東京メトロ

東京メトロは「事業計画」を発表しました。今年度は有楽町・副都心線、丸ノ内線、半蔵門線に新車を導入するとしています。

有楽町・副都心線は7000系が2編成残っているので、17000系増備で全廃になる可能性が高そうです。丸ノ内線の02系と半蔵門線の8000系については、まだ多数の車両が残っています。そのため丸ノ内線向け2000系と半蔵門線向け17000系の増備は来年以降含め続きそうです。

南北線用の増結車については去年同様具体的には触れられませんでしたが、今年度も増備されると予想されます。

小さな動きでは車両の改修で、丸ノ内線、日比谷線、有楽町・副都心線、半蔵門線の車両に脱線検知装置を搭載し、脱線時に自動停止するシステムの搭載を予定しています。

三田線・新宿線・大江戸線へ新車導入 都営地下鉄

東京都交通局は「東京都交通局経営計画2022」として2024年度までの計画を発表しました。新型車両は三田線4編成、新宿線4編成、大江戸線8編成を2024年度までに導入と発表です。

まとめての発表で今年度の具体的な内容は分かりません。三田線の8両化や新横浜線開業が来年であることを考えると、今年度に集中投入されそうです。また、新宿線の10両化が今年度終了を予定しているので、新宿線も確実に車両の動きが発生すると予想されます。

あくまでも試験となりますが、操舵台車の試験導入を騒音低減で快適性向上のために予定しています。台車の構造としては東京メトロが採用している、台車の片側のみ動くタイプです。大江戸線も新車導入があるので、新車への導入となるのか既存車での試験となるのかも注目です。

小さな動きとしては走行時の車両データを集める車両情報収集システムの運用を今年度から三田線で開始し、車内の監視カメラを2024年度までに16編成に設置の予定です。


2022年4月29日金曜日

野田線日立製新車で減車に8000系・10030系引退? 東武鉄道新型通勤車両導入へ




東武鉄道は2022年4月28日に東武野田線(アーバンパークライン)へ新型車両の導入を発表しました。これに合わせて車両の長さを6両から5両へすると発表しました。新型車両についてや、それに伴って起こる車両動向などを予想します。

70000系に次ぐ新形式で導入

野田線で運行中の60000系

導入線区: 野田線
導入時期: 2024年度
車両形式: 不明
導入車両数: 不明
製造メーカー: 不明

東武鉄道は野田線(アーバンパークライン)へ新型車両の導入を発表しました。発表したプレスの内容はかなり大雑把なもので、導入時期が2024年度で野田線に導入するとだけが分かっています。これに合わせて編成の長さを現行の6両から5両に減車するとも発表し、この点は大きな変化です。

車両は環境に配慮した省エネタイプで、サービス・快適性の高い車両との文言もありますが、具体的な内容は今のところありません。

車両形式は不明ですが、新形式が導入されるようです。東武鉄道での最新の通勤車両は70000系です。70000系は日比谷線直通用に操舵台車採用し、仕様を東京メトロの13000系と合わせ実質同形式であるなど特殊な車両です。もう一つ前の形式である野田線60000系は最終導入が2015年であり、PMSMやSiCなど現行の技術は採用されていません。以上の経緯や技術的な一新を考えると、新形式となるのは納得できます。

日立製で最終的には25編成導入?

8000系と10030系は引退?

鉄道チャンネルによると25編成導入です。7編成が最初から5両での製造、18編成が4両で製造されます。4両編成の車両は、車両の組み換えを行って全編成5両とするとしています。これはプレスに無い内容なので正確性はよくわかりませんが、これが事実だとするといくつか予想が出来ます。

まず18編成が4両編成で落成し車両の組み換えで5両にする場合、ちょうど60000系が18編成在籍しているので、60000系から1両抜いての組み換えとなります。60000系は日立製作所製なのでメーカーを揃えるのが無難で、日立製が濃厚となります。また、60000系はT車含めた各車両に運転に必要な機器が搭載されており、簡単に組成変更ができません。60000系もある程度長い期間かけて更新工事が必要になると予想されます。

ただし、60000系含む日立製の車両はA-Trainという規格化がされており、内装のモジュール化や電装部品の取り付けが工夫されており、内装も走行機器も比較的簡単に更新できるよう設計されています。なので昔の車両ほどの更新工事の大変さは無い設計にはなっています。

野田線で運行している8000系は16編成、10030系が9編成となっています。ちょうど導入車両数と一致します。それらは全て新車で置き換えられることとなります。

野田線で運行中の80000系
野田線で走る8000系は導入から40~50年経っているため、全編成が引退になると予想されます。

野田線で運行中の10050系
野田線で運行中の10030系50番台
10030系列は導入から30年経っており、2022年に初の廃車が発生しました。更新工事で転属させるのは微妙なとこではあるのですが、ローカル線区にも8000系が残っておりそちらの置き換えが必要なため、転属と廃車両方が行われると予想されます。

本数維持で減車は他社にも波及するか?

25編成の導入が正しければ、運行本数はおおむね今まで通りとなります。今後は人口減少と高齢化で需要減少が見込まれており、それに対応する形です。

首都圏は地方の人口を吸い取る形で人口が増加していましたが、限界を迎える予想はコロナ関係なく以前からありました。特に通勤などの需要は人口減少に加え高齢化も加わるため、利用者の減少はより大きいものと予想されます。関東私鉄各社は2020年頃までは減車より増車を行ってきましたが、いよいよ減らす段階となったようです。

利便性を維持しつつ需要に合わせるなら短編成化し本数を維持するのが最も無難なやり方で、今回はまさにその形です。おそらく他の私鉄各社も本腰を入れて利用者減少対策を行ってくるでしょうが、同様の動きとなるかも注目です。


東武鉄道ペーシア後継N100系導入へ JR・地下鉄乗り入れは無し




 東武鉄道は100系特急スペーシアの後継として、N100系を2023年度に導入すると2021年11月11日に発表しました。これにより100系の一部の置き換えが進むと思われます。今発表されている内容から、解説やスペーシアとの比較をしていきます。

記事作成日: 2021.11.15/記事更新日: 2022.04.29

カーボンニュートラルを打ち出した車両

置き換え予定の
東武100系スペーシア

型式: N100系
導入車両数: 6両×4編成
運行路線: スカイツリーライン・日光線・鬼怒川線
車両製造会社: 日立製作所

車両形式はN100系、愛称はまだ未定です。しかし、「Connect & Updatable~その人、その時と、つながり続けるスペーシア~」をコンセプトに打ち出しているため、スペーシアという名前は何らかの形で残りそうです。

COP21が実施されている中での発表で、製造から運行までカーボンニュートラルを打ち出し、実質CO2排出量が0になる予定です。他の交通より環境に優しい鉄道の要素を、より強く打ち出した形です。保守的な東武鉄道としては、素晴らしい取り組みだと思います。

導入車両数は6両×4編成の24両を予定しています。現在100系スペーシアは9編成が在籍しているため、半分程度がまず置き換えられると思われます。

白ベースの前面展望特急

カラーリングは今のスペーシアと同じ白ベースで、日光東照宮より着想を受けた仏閣や日本人形に使われる白色塗料の胡粉(ごふん)をイメージした色となります。スペーシアとは違い車体帯は無く、窓付近に黒のアクセントが入ります。先頭車両の前面デザインは、近鉄特急の「ひのとり」に似たデザインです。大型側面窓は先頭車両のみ窓割も違って六角形のデザインとなります。

車両製造メーカーは日立製作所となります。50000系・60000系と日立製作所を採用していた東武鉄道ですが、70000系は近畿車輛・特急500系リバティは川崎重工製だっため、久々の日立製作所製です。日立製作所はアルミ合金使った特急から通勤電車まで対応出来る、「A-Train」シリーズを売りにしています。そのため車体も100系スペーシアと同じくアルミ合金が引き続き採用される模様です。

大幅に変更された座席構成

座席数212席で、現行のスペーシアの284席より大きく減っています。座席の配置は大きく変更され、より観光と外国人観光客の需要に特化したものとなりました。

東武日光側の先頭車1号車はカフェカウンターのあるラウンジ車で、「コックピットラウンジ」の愛称が付きます。100系スペーシアでは営業を終了したビュッフェですが、日光・鬼怒川の商品を提供するカフェカウンターとして形を変えて継続します。運転台後ろは大型ガラスの仕切りが採用された展望車にもなっています。

2号車はプレミアムシートです。2+1列配置のJRグリーン車に似た構成で、料金も値上げが行われると予想されます。

3・4号車は2+2の従来通りの座席配置です。

5号車は通路側の仕切りが大きく座面・座席が固定されたボックスシートが採用されます。このタイプの対面式の座席は海外で見られるもので、海外需要を意識しての採用だと思います。

浅草側先頭車の6号車は100系でも採用されていた個室になります。個室は5室あり、4部屋は100系と似た4人用です。そのうち運転台に最も近い部屋は他より広く「コックピットスイート」という愛称で、7人まで利用出来る部屋になります。通常個室の2部屋分を使っただけあり、私鉄最大の個室を謳っています。こちらも大型ガラスの仕切りが採用された展望車です。

JR乗り入れは今のところなしで地下鉄線は不可

運行路線はスカイツリーライン・日光線・鬼怒川線鬼怒川線駅までとしています。500系リバティが汎用性重視で、東武本線系統の様々な路線に乗り入れられるのと比べると対照的です。また、6両固定という関係もあり、変電設備の容量が厳しい野岩鉄道や会津鉄道には乗り入れないようです。

100系スペーシアのうち3編成がATS-PなどJR乗り入れ対応装備を装着しており、日常的に栗橋駅からJR線に入りJR新宿駅まで乗り入れています。今発表されている線区には含まれていないため、今のところJR線には入らないようです。今後についてはあり得るかもしれません。スペーシアはJR乗り入れ編成のほうが、暫くは確実に運行継続されそうです。

また、先頭車両が非貫通デザインで法律上必須の非常時脱出用貫通扉がないため、どうやっても地下鉄乗り入れ対応は法律上出来ません。そのため地下鉄乗り入れはあり得ません。

そのまま廃車?100系スペーシア

置き換えが行われた後の100系スペーシアですが、今のところ発表はありません。順当に考えれば、特急りょうもう用の200系がDRCの部品流用車で部品単位では50年物で、そちらへの玉突き転属となります。

ただ、単純にそうならない可能性が高そうです。東武100系も導入が平成初期のため30年程度経っています。普通の鉄道会社が行っている、VVVFなどの電装系などの大幅な機器更新を行っていません。そう考えると車両の痛み具合によっては廃車のほうが安くつく可能性もあります。実際そういった判断もあったのか、N100系の導入を待たずに2022年に初めての廃車が発生しました。
 
なので今後の導入時に転属させるのは微妙なところとなってきました。


2022年3月31日木曜日

東上線の電車も走るかも? 有楽町線「豊洲~住吉」間延伸決定へ




 2022年3月28日に東京メトロ有楽町線の「豊洲~住吉」間の延伸が決定しました。開業は2030年代半ばの予定です。延伸区間の解説を中心に、もしかしたら東上線からの回送列車が走るかもという点にも最後触れます。

川越市駅に到着する東京メトロ10000系
有楽町線でも使われる
東京メトロ10000系

約5kmの延伸へ

建設キロ: 4.8km
事業者: 東京メトロ
総建設費: 約2690億
開業目標: 2030年半ば

都区内東部の利便性向上、スカイツリーや豊洲市場などの観光地へのアクセス向上、東西線の混雑緩和を理由に建設が決定されました。

建設区間は「豊洲~住吉」間4.8kmです。ルートは半蔵門線住吉駅側からみると、東京都道465号線四ツ目通りの真下を通り南下し、JR東日本のレールを管理している越中島貨物駅付近の汐見運河とぶつかったところで西へ向かい、新木場側から豊洲駅直前で有楽町線に合流し終点の豊洲駅に至る経路です。

途中駅は3駅作られる予定で、新駅二つと既存駅との接続駅1つとなります。住吉側から見ていくと江東区千石2丁目あたりに新駅が一つ、既にある東西線の東陽町駅に接続して一つ、汐見運河にぶつかったところから西へ向かって首都高9号深川線とぶつかったあたりの江東区枝川2丁目のあたりに新駅が一つ、そして豊洲駅に至ります。

第三セクターなどを作るのではなく、事業者は東京メトロです。なので利用者としては東京メトロと同じように使え、負担は小さくなっています。

建設費は約2690億円です。同時に申請された南北線の延伸区間が2.5kmで1310億円なので、概ね距離に比例して倍額となっています。詳細な費用の調達方法や内訳は調べられなかったのですが、整備新幹線など様々な運輸事業に関わっている独立行政法人の鉄道・運輸機構からの融資や補助金により建設されます。最近の鉄道建設事業を見ると東京メトロの実質的な負担は建設費の3割ぐらいと予想します。

やっと準備されていた設備が活躍へ

始点と終点となる半蔵門線の住吉駅と有楽町線の豊洲駅は、開業時から元々延伸が可能なようになっている構造で駅が作られています。

どちらの駅も今営業用で使っている線路とは別に延伸路線用の線路が設置されており、留置線や臨時のホームスペースとして活用されています。

どういった形の乗り入れ形式となるか

列車の運行形態について発表はまだありません。

配線の構造的に半蔵門線は押上方面からの列車が、有楽町線は和光市方面からの列車が延伸区間に乗り入れが可能です。

有楽町線と半蔵門線の都心部の駅の位置関係を考えると大きく乗り入れる意味はあまり無さそうに思えます。また有楽町線各駅から住吉駅より、半蔵門線各駅から豊洲方面への需要の方がまだありそうに思えます。

そう考えるとピストン運行か、半蔵門線側からの住吉駅への乗り入れとなりそうです。

本線列車との顔合わせや

東上線からの検査列車が直通するかも?

東上線からの営業列車が走ることは無いと思いますが、一部回送列車が走る可能性はありそうです。

東武東上線と越生線は他の東武鉄道の路線からは独立しています。そして、東上線車両の全般検査や重要部検査を行っていた川越工場を閉鎖しました。そのため秩父鉄道を経由して南栗橋の工場まで検査列車を送るという、変わった形態になってしまいました。それが豊洲駅で半蔵門線と繋がれば、地下鉄車両は比較的簡単に東上線と本線を行き来することが出来るようになります。

半蔵門線は車両限界が有楽町線より少し小さく地下車でも50070系の一部しか乗り入れ不可能な点、半蔵門線の信号システムにCBTCを導入する予定などの問題点もあります。しかし、乗り入れ開始が10年以上先なので、東上線の地下車の大半の9000系もさすがに更新がされている可能性が高く、その頃には有楽町線もCBTCに更新となってもおかしくないので、東上線の検査を行う車両が走る可能性は十分ありそうです。

先ほど説明したよう東上線と越生線の位置の関係上、普段は本線との車両とは顔を合わせません。しかし、地下鉄線を経由しては顔を合わせており、中目黒駅で日比谷線直通の本線の車両と東上線からの副都心線直通の車両が他社の駅で顔を合わせています。なので新線が開業されれば、豊洲駅でも顔合わせをするようになるかもしれません。


2022年2月20日日曜日

新型制御で高速化の希望になれ!新型振り子式「やくも」




 特急「やくも」用に導入される273系振り子式特急電車と、273系に採用される新しい技術「車上型の制御式自然振り子方式」について注目したいと思います。

ベースは271系?

形式: 273系特急形直流電車
車両数: 44両 (4両×11編成)
営業時期: 2024年春

JR西日本は2022年2月16日に特急「やくも」向けに、273系を44両導入すると発表しました。運行開始は2024年春で、これにより最後の国鉄型特急電車となった381系を順次置き換えます。それに合わせて2022年3月19日より381系の国鉄色リバイバル運転を行います。

デザインはシルエットのみ明かされており現在検討中としていますが、シルエットを見る限り関空特急「はるか」で活躍する271系をベースにしているようです。

現在の発表ではVVVF化による省エネルギー化・バリアフリー化・防犯カメラ設置・Wi-Fiとコンセント整備と目新しくないものも多く目につきますが、日本初の「車上型の制御式自然振り子方式」採用という大きな特徴もあります。

日本国内では電車での振り子式の新形式は20年以上採用がなく、在来線特急界では明るいニュースです。

山を貫き瀬戸内海と日本海を結ぶ

「やくも」と381系

273系が導入される特急「やくも」は、山陽本線・伯備線・山陰本線を経由して「岡山~出雲市」間を結ぶ特急列車です。新幹線により活躍の減る在来線特急ですが、瀬戸内海と日本海を結ぶ路線は無いため、今でも「やくも」は1時間に1本をベースに設定されている重要な特急です。

山を抜けてカーブの多い区間を走る関係で、1973年に中央線の特急「しなの」・1978年に阪和線と紀勢線の特急「くろしお」・最後に1982年特急「やくも」と381系特急電車を採用した路線です。

381系は自然振り子式と呼ばれる車体傾斜装置が搭載されていて、カーブに入ると遠心力で車体が傾くことで、カーブでも乗り心地を損なわず高速で通過することが出来ます。ただし、車体傾斜装置は乗り心地を維持するための装置のため、あらかじめ線路や架線を高速走行可能な用にする工事が必要です。

381系は485系や183系に似た見た目をしていますが、振り子装置以外にも車体を鋼鉄製からアルミ製にしたり、冷房を床下にするなどして低重心化する工夫があります。

カーブの多い路線に採用された381系ですが、老朽化の問題により「やくも」以外では引退しています。そして485系が引退して今では、「やくも」は最後の国鉄型特急電車が定期運行で活躍する貴重な列車ともなっています。

コストが重くても採用された振り子式

振り子式車両は台車や場合によってはパンタグラフも構造が特殊化するため、コストの関係で採用を減らしています。その代わりとしてカーブの通過速度は振り子式より多少劣るものの空気ばねの空気量を調整して車体を傾けるため、構造が他の一般列車とほぼ同じでコストがあまりかからない空気ばね式の車体傾斜装置がが採用が増えています。

最近で振り子式が採用されたのはJR四国が空気ばね式では技術的にどうしても難しかった場合と、かなり消極的な理由でした。また、「くろしお」に至っては、381系の後継車では車体傾斜装置自体を省いてコスト削減がなされることもありました。

コストがかかっても振り子式が採用されるのは、それだけ「やくも」がまだ重要だと思われているからなのだと思います。

新型制御で少しでも安くなるか?

381系自然振り子式はカーブに差し掛かるだけで勝手に車体が傾く反面、車体がカーブに入ってから車体が傾くため乗り心地が悪くなるデメリットもあります。そのため乗り物酔いが起きやすく、「ぐったりやくも」などという不名誉なジョークもあったりしました。

そのため最近の振り子式車両は制御付き自然振り子という方式を採用しています。線路上にあるATS地上子の位置を記録したマップデータと車両側の計測装置による位置情報を基に、カーブに入るタイミングに合わせて機械的にアクチュエータを制御して少し車体を傾けはじめ、その後は自然振り子式同様に勝手に車体が傾くという仕組みです。

273系ではそれに代わり「車上型の制御付自然振り子方式」が採用されます。詳しい情報はプレスにはJR西日本のプレスには載っていませんでしたが、2020年の鉄道総研の研究成果にその技術と思われるものの詳細「車体傾斜車両向け高精度自車位置検出システム」が出ていました。

それによると従来の方式はATS地上子の位置が変わるたびに車両側にデータを入れかえが必要だったり、大きな駅を走行時に本来の経路とは違う線路を走ると位置を見失う場合がありました。それを車体に搭載したジャイロセンサーによるヨーイング角(大雑把にはカーブ時の車体の傾きみたいなもの)と走行速度からカーブの角度を計算し、車両に搭載された線路のマップを照合して±2mの精度で位置を検出します。これにより車両上のデータメンテナンスを10年程度まで伸ばせるとしています。

最近の日本の特急車両は乗客の減少や高速網との勝負に負けているため、高速化技術よりコスト削減の技術ばかりに投資される傾向にあります。今回の技術は車体傾斜装置の導入コストを、大きくではないものの下げる技術の一つです。車体傾斜による高速化は線路側に改良も必要のため依然コストがかかりますが、空気ばね式にも適用できるこの技術と空気ばね式車体傾斜装置であれば、以前よりもハードルが下がっているのも事実です。こういったご時世でなかなか難しいにしても、もう少し攻めの鉄道車両が増えてくれると良いと願って少し大げさですが、ブログ記事タイトルをつけさせて頂きました。


2022年2月11日金曜日

そもそもパタパタって何? さよなら京急川崎駅パタパタ表示器




 京急川崎駅に残された最後の通称「パタパタ」表示器、正式名称「反転フラップ式案内表示器」について紹介します。

京急川崎駅 反転フラップ式案内表示器
京急川崎駅
反転フラップ式案内表示器

そもそも「パタパタ」って何?

「パタパタ」の愛称でよばれている表示器は、「反転フラップ式案内表示器」と呼ばれるものです。フラップと呼ばれる薄い鉄板をパタパタ切り替えることで、行先や列車種別を表示します。1953年に東京駅に設置されたのが日本では最初のようです。

最近ではおしゃれな卓上時計ぐらいでしか見かけなくなりましたが、以前は大きな駅や空港に多く設置されていました。今では国内だと関東では京急川崎駅が最後に、一部の関西私鉄駅や空港にわずかに残るのみとなっています。

フラップを転換する必要があるため、表示を切り替えるの時間がかかります。また、鉄板に文字や記号などを使う場所にあった印刷をする必要があるため、基本的に特注品になりコストもかかりますし、新しい表示をするにはフラップの交換が必要になったりもします。そのため最近では、切り替えが早く簡単にデータの更新で新しい表示が出来る、LEDや液晶をモニターを使った表示器が一般的になっています。

京急川崎駅のパタパタ

京急川崎駅 反転フラップ式案内表示器

関東最後のパタパタは京急川崎駅の下りホームだけに1台だけ設置されています。京急のプレスによると1986年12月26日に京急川崎駅に設置されたのを皮切りに、一時は10駅にまで設置されていました。このパタパタは二代目の表示器とのことです。古くなり部品交換も難しく、他の駅同様2月中旬に更新が行われます。

京急川崎駅下りホームは日中でも毎時18本の発着本数があり、緩急接続可能な1面2線の構造です。そのため表示内容も列車の「発車順番・発車番線・種別・行先・時刻・車両数・補足情報」と、7種類のフラップで多くの情報が表示できます。段数も三段の表示で、一度に3本の列車の情報が表示可能です。

この表示器は複数の機能が一体になったタイプでパタパタだけでなく、上部に停車駅表示のランプやパタパタ横にアナログ時計が付属しています。

京急川崎駅 反転フラップ式案内表示器の時計
時計の下にある「京三製作所」のロゴ

製造は信号装置やホーム設備を多数製造している、国内鉄道装置大手の京三製作所です。

表示切替は列車が発車する行われます。上段から下段と順番に表示が切り替わっていきます。

京急川崎駅 反転フラップ式案内表示器をズームしたところ
ズームして撮影

下からよく見ると、フラップは上下2分割されていて、だいぶ痛みがあるのも分かります。

このように他の表示器にはない様々な特徴をもったものです。仕方がないとは言え、なくなるとちょっと寂しいものですね。何気ない表示器にも、今後は目を配って見ていきたい気持ちになりました。



2022年1月30日日曜日

まさかの東武乗り入れ ー 相鉄・東急新横浜線2023年開業




2023年春開業予定の相鉄・東京新横浜線「日吉~羽沢横浜国大」について、鉄道趣味的な観点から概要を解説します。

記事作成日: 2022.01.29/記事更新日: 2022.01.30

東急5050系
乗り入れに使用予定の東急5050系

開業区間は10km

相鉄・東急新横浜線路線図
新横浜線路線図

2023年3月に開業する予定の区間は東急日吉駅~相鉄横浜国大駅の約10kmとなります。

相鉄側が既に開業している相鉄新横浜線西谷~羽沢国大駅から4.2㎞1駅延伸する形で、東急側からは日吉駅から途中に新綱真島駅を挟んで2駅延伸する形で5.8kmの新線東急新横浜線が開業します。

これは「神奈川東部方面線」と呼ばれていたもので、「相鉄⇔JR」の相互直通と「相鉄⇔東急」の相互直通二つの計画をまとめていたものです。既に羽沢横浜国大駅より行われている相鉄とJRの乗り入れに加えて、今回の新線開業ですべて完成となります。

これにより東急方面から東海道新幹線新横浜方乗り換えの利便性向上や、相鉄方面からの都心への利便性向上が期待されています。

相鉄側から新横浜駅へが10・8両編成がラッシュ時10本・日中4本、東急側から新横浜駅へが10・8・6両編成がラッシュ時14本・日中6本の運転予定です。

新横浜駅が唯一2面3線の日常的に折り返し可能な駅なので、6両の列車はそこまででそれ以外が相互直通する形になるようです。

新横浜駅には5社11路線の超複雑乗り入れ

東急が複数の路線と乗り入れていることや、相鉄が東急線から更に地下鉄経由して「渋谷・新宿・永田町・大手町」など都心への乗り入れを目的としていたため非常に複雑な乗り入れになってしまいました。

東急からは「東横線・目黒線」、相鉄からは「相鉄本線といずみ野線」が乗り入れます。

それに加えて東急東横線を経由して「東京メトロ副都心線とその直通先の東武東上線」の2路線、東急目黒線を経由して「東京メトロ南北線とその直通先の埼玉高速鉄道」と「都営三田線」3路線が乗り入れます。

路線の分岐駅である西谷と日吉は折り返し設備は比較的充実している駅なので、ダイヤ乱れ時の影響はある程度抑えられると思います。しかし、これだけの複雑だと、どこかの路線の運休など大きなダイヤ乱れが起きると、小さな影響は波及してしまうと思います。

まさかの東武鉄道参入

そして誰もが予想だにしていなかったのが東武鉄道東上線の直通です。乗り入れ区間も最近観光客が増えてる川越までではなく、東上線の10両編成の列車乗り入れ可能最北端の小川町までを予定しています。一方で東武鉄道と同じような境遇の西武鉄道は乗り入れは、需要などから今のところする予定は無いと発表しています。判断としてはこちらが無難です。

これにより東上線からは新横浜駅での新幹線乗り換えや日産スタジアム(横浜国際総合競技場)へ行きやすくなり、相鉄方面からは川越観光や小川町・長瀞方面の観光やトレッキングがしやすくなります。

今でも東上線は東急・メトロの車両を使って「元町・中華街⇔小川町」に東上線無料最優等列車の快速急行を運転しているので、確かに下地はありました。

しかし、はっきり言って東上線が乗り入れる意味は、利便性や観光の意味から考えてもほとんどありません。東上線から東海道新幹線を使うならそれこそ品川駅で良いですし、相鉄方面から川越・小川町方面への観光需要の掘り起こしを期待するのは難しいのは明白です。案内に東上線が入ることで、多少認知度向上が狙える程度が分かりやすいメリットだと思います。

西武鉄道も似たような取り組みとして「元町・中華街⇔西武秩父」を繋ぐS-Trainを運行していますが、遠さだけでなく指定席料金の値段も相まって苦戦しており、それが乗り入れをしない決断に繋がったと思います。

そういった状況でも最近の東武鉄道は比較的チャレンジしようとしているので、その一環なのだと思われます。相当な工夫が必要だと思いますが、どう需要を掘り起こすのかも注目です。

様々な車両が乗り入れ予定

相互乗り入れがほぼ確実な車両
相鉄: 20000系・21000系
東急: 5050系・5080系・3000系・3020系

新横浜まで乗り入れる可能性がある車両
都営: 6300形・6500形
東京メトロ: 9000系
埼玉高速鉄道: 2000系

乗り入れるかもしれない車両
東武鉄道: 9000系・9050系・50070系
東京メトロ: 10000系・17000系

参考-JR相鉄相互直通車両
相鉄: 12000系
JR: E233系7000番台

はっきりしたことは実際の運行開始までは分かりませんが相鉄と東急の相互直通を行う車両として、新横浜線の事業者である相鉄と東急の車両が使用されるようです。2社の車両は両方の路線へ乗り入れ可能なよう信号システムの工事が完了されています。東急車は5050系が西武・東武含めた全線乗り入れ可能、それ以外の東急・相鉄車は東武・西武以外の直通先全路線に乗り入れ可能な仕様です。

一方で都営・東京メトロ・埼玉高速鉄道の車両は相鉄への乗り入れ工事が確認されておらず、新横浜駅までかイレギュラー運用時のみ新横浜駅までとなる可能性が高そうです。埼玉高速鉄道などは特にそうですが、事業者によってはメリットが小さく乗り入れに工事・メンテナンス費用がかかる乗り入れには消極的です。そういった事情によるものと思われます。

東上線への乗り入れは本数が相当少ないと予想されるので、相鉄と東上線両方が乗り入れ可能な東急5050系を使うのが一番簡単な方法です。ただ、技術的には新横浜駅まで乗り入れ可能なはずなので、東武車乗り入れも可能性としては僅かに残っています。また、副都心線で使われている10000系や17000系が乗り入れることは運用が複雑になるので無いと思いますが、技術的には東武車同様に可能なので、可能性としては同様という具合です。

参考ですがJRと相鉄の相互直通車は、信号システムの関係や地下鉄乗り入れ装備がないため東急・地下鉄方面への乗り入れができないため、JRと相鉄のみの相互直通となります。

現状わかっている情報としてはこのような感じです。この記事は順次加筆・修正していく予定です。



2022年1月29日土曜日

DL「大樹」会津鉄道と野岩鉄道へーDE10形と14系 雪の野岩・会津鉄道を走る




 DL大樹が臨時列車として2月11日に会津田島駅に乗り入れするにあたって、2022年1月15日より野岩鉄道・会津鉄道でハンドル訓練のための試運転が実施されています。その様子にや、ツアー列車について紹介します。

DL大樹2月12日に正式乗り入れへ

会津田島駅を発車する東武鉄道のDE10形と14・15系客車
会津田島駅を発車する
東武鉄道のDL編成
東武トップツアーズ主催の団体列車が会津田島まで運行されることが決定しました。往路の「浅草~下今市」までは間もなく廃車となる350系で、そこから「会津田島~下今市」間の往復をDE10形牽引の客車列車であるDL大樹で、復路の「下今市~浅草」間はスペーシア100系による特急きぬでの移動となります。

それに先立って東武・野岩・会津鉄道の3社に跨る「会津田島~下今市」間で、DE10形と14系2両・15系1両の計4両での乗務員訓練のための試運転列車が運行されています。


既存大樹ダイヤを一部活用

下今市10:29→会津田島13:47・会津田島16:08→下今市19:10のダイヤです。

往路の「下今市~鬼怒川温泉」間は、定期運行のSL大樹3号のダイヤをそのまま活用する形となっています。

逆に復路については定期運行のダイヤの活用はなく、臨時のSL大樹10号のダイヤとも違うダイヤが利用されています。


会津・野岩鉄道線内では普通列車が追い抜き

野岩鉄道湯西川橋梁を通過する東武鉄道のDE10形と客車の試運転列車
野岩鉄道湯西川橋梁を通過する
会津・野岩鉄道線内では普通列車が試運転列車を追い抜くダイヤが組まれています。

運行予定の野岩鉄道線内の最高速度は80km/h、会津鉄道線内は65km/hに対し、DE10形の最高速度が85km/hとなっており、運転密度も考えれば追い抜き無しのダイヤも可能だとは思います。

しかし、乗車を楽しむツアー列車をやたら早く走らせる意味が無いことがまず一番、勾配や車両への負荷、東武鉄道のツアー列車では停車駅で簡単なグッズ販売を行ったりすることがあるので、そのようなダイヤが組まれなかったと想像できます。

ゆっくり走るダイヤで以外だったのは、ダム湖の上を走り景色の良い湯西川橋梁も普通に通過していたことです。実際のツアーでは眺望のために、停車したりするのかも注目です。

会津田島駅では機回し実施

会津田島駅で機回し中の東武鉄道DE10形1099号機
会津田島駅で機回し中のDE10形

会津田島駅に到着後は機関車を前後反対に付け替える必要があります。そのため本線を利用しての機回し作業が実施されました。

SL乗り入れに夜行列車運行と広がる臨時列車

夜の駅停車中のDE10形1099号機
駅停車中のDE10形1099号機

東武鉄道は元々SL列車を会津方面へ乗り入れさせようしているので、今後はSL列車の乗り入れの布石としての運行でもあると思います。そのため今後はこういった団体ツアーの動向も見ながら、SL運行へ繋げていくつもりなのではないでしょうか。

会津若松駅はJRのSL「ばんえつ物語」の拠点でもあるので、ゆくゆくはSLの共演にも期待したいです。

また、大樹で使用されている客車の中には夜行列車の急行「はまなす」で使用されていた車両もあります。東武鉄道や野岩鉄道はスキー夜行列車を今でも運行している会社なので、臨時の客車夜行列車の運転も今後はあるのではないでしょうか。

趣味的にはとても興味深い乗り入れとなっています。

最後に撮影は安全と周囲に気を付けて

私も気づかないうちに時には…といこうともあると思いますし、あまり他人をとやかく言いたくないのですが、「いい年してそれやっちゃうんだ…」みたいな事も結構見ました。

列車の安全運行と鉄道撮影を地域の方や鉄道会社さんから続けさせて貰うためにも、自分も含めて考えていきたいものです。



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