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2017年1月28日土曜日

第二青函トンネルのメリットから建設まで考える




青函トンネルは北海道新幹線の開業で貨物列車・新幹線双方のボトルネットとなっています。そこでもう一本掘ってしまえば良いというのが第二青函トンネルです。そこで、デメリット・メリットや、建設するならどういう形が良いかを考えて行きたいと思います。

新函館北斗駅に停車中のJR東日本E5系
青函トンネルを越え東京を目指す
北海道新幹線E5系はやぶさ

デメリットは何といってもコスト

メリットについてはいくつかあるので、最初にデメリットの話をはじめます。それはずばりコストです。問題となるコストについては下の主に二つです。

・建設コスト
・維持コスト

まず一つ目の建設コストですが、青函トンネルは1961年から1988年の20年以上に渡りつくれた海底トンネルです。そのため多額の費用がかかりました。

青函トンネル完成から更に20年以上の月日が流れ、土木技術も大きくは進歩しました。それでも多額のコストがかかる見込みです。詳しくは後述しますが、第二青函トンネルのために青函トンネルの設備を流用することで、一定のコストを抑えることが可能です。それでも国の試算(2012年頃試算)では単線トンネルで5000億円・複線トンネルでは5800億円、北海道新聞に掲載されていたゼネコンの試算(2016年頃試算)では単線トンネルで3900億かかるとしています。

次に維持コストです。厳密にいくらかかっているかは調べることができなかったのですが、JR北海道が2億円以上を青函トンネルを保有する鉄道・運輸機構に払っていることや、鉄道運・輸機構が修繕費用に13億の支出を記載してる年もあったので、毎年相当額がかかっていることだけは分かります。それが単純に二倍にならないにせよ大幅に増えることは間違いありません。

様々なメリット

・輸送上のボトルネック解消
・安全性の向上
・修繕時に余裕が生まれる

まず何と言っても輸送上のボトルネックが解消されることです。北海道新幹線の開業した今でも、新幹線は在来線特急「スーパー白鳥」が走っていたころと同じ、140km/hが最高速度なっています。これは高速で走行すると貨物列車とのすれ違い時に貨物列車のコンテナが吹き飛んでしまう危険性や、追い越し設備がトンネル内にないので先行する貨物列車に追いついてしまうなどの理由などのです。そのためトンネルがもう一本になれば、二倍近い速度を出すことが可能になると思われます。

次に安全性の向上です。先ほども触れましたが、青函トンネルには貨物列車も発しています。そのため貨物列車から荷物が落下したりという可能性もあります。そういった環境で高速に走る危険性も存在します。更に青函トンネルには作業用に使われた坑道が残っており、それらが緊急時の避難設備にもなっています。しかし、それら坑道は全区間にわたりあるわけではない上に、一部にケーブルカーが設置されるのみで、鉄道車両やバスなどが走行することが出来るわけでもありません。そのため避難時には人力に頼る部分が大きくなります。トンネルがもう一本あり、もう一つつなぐことが出来れば、緊急時はそちらから迅速に脱出することが可能になります。ちなみに同じ海底トンネルであるユーロトンネルは単線トンネル二本で複線分とすることで、最初から安全性を高める設計となっています。

最後に修繕の問題です。日本は列車を運行しながらの修繕を得意としているので、運行したままでの修繕も不可能ではないと思われます。しかし、運行中の修繕となれば列車の運行する時間を制限したり、列車の合間を縫っての効率の悪い修繕となってしまいます。また、青函トンネルは世界で初めての長大海底トンネルとして設計されたため、修繕の技術が完璧に確立されているとは言いにくい部分があります。なので予想外の事態が発生し、修繕が必ずしも簡単に行えるとは限りません。それらの点からトンネルがもう一本あれば大きく負担が減ります。

掘るなら第一青函トンネルの隣一択

・地形的問題
・地質調査の問題
・掘削時の設備流用
・地上線路設備の流用

コスト増を許容して様々なルートを検討出来るのあれば別ですが、コストを考えると地形・掘削時・線路設備の以下のような様々な観点から青函トンネルの隣一択となっています。ボスポラス海峡の沈埋トンネルのような工法もありますが、ここでは現行の青函トンネルと同じ掘削する形を想定したいと思います。

津軽海峡線は蟹田から木古内を通り、函館湾を沿って遠回りしています。これには理由があって、青函トンネルは津軽海峡の中でも本州と北海道の距離が短く、水深が比較的浅い場所を通っているためです。青函トンネルが通っているとこは津軽海峡の他の場所と違い、地形的に盛り上がっているところになっています。そのため青函トンネルが通っている場所のそば以外にトンネルを敷設すると、どこでもコストと技術的難易度が上がってしまうのです。

トンネルを掘るには地質の調査が必要です。青函トンネルのルートを選定する時には、漁船からダイナマイトを爆発させるなどして反響から地質を推定するなどの調査が時間をかけて行われました。時代が進んだと言ってもルートを変える場合には、調査レベルから大きな手間がかかると思われます。

海底は水分を含んだ軟弱な地質の場所も多くあります。そういった時は凝固剤をひたすら流し込むなどして、固い地質に改質上で掘削が行われます。過去の掘削では実際掘ってみないと軟弱な場所が完全に把握できないこともあり、地質の変化と凝固剤の注入に追われての作業でした。そういった点で、スケジュール管理や凝固剤注入の作業検討などで過去のデータが非常に役に立つはずです。

海底トンネルを掘削する場合、メインのトンネル以外にも作業や試掘用のトンネルが必要になります。青函トンネルの隣に掘る場合では、青函トンネル掘削時に作られた既にある設備を流用することが出来るのです。

地上の線路設備につていも、大きくルートが変わる場合には新たな線路の敷設が必要となります。この点を最小にするためにも、出来るだけ現行ルートに近い場所を選ぶ必要があります。

総合的な判断が必要

鉄道の方を持ちがちな鉄道ファンの視点から見ても、青函トンネルをもう一本掘るほうが必ずしも良いとは思えません。しかし、現状の交通網設計はバラバラに行われているように思えます。単純な採算性でなく、モーダルシフトや鉄道以外も含めてどう交通体系を発展せさせるかを考えて決断して欲しいものです。

※関連記事
北海道新幹線青函トンネル問題を整理する その1
北海道新幹線青函トンネル問題を整理する その2


2016年4月30日土曜日

国鉄型最後の輝き 新幹線開業で変る上越の列車たち




北陸・北海道新幹線の開業で上越の国鉄型も数を減らし風景もだいぶ変わってきました。そんな上越の列車たちについてレポートします。

さよならEF81形

日本海ひすいラインを走行するJR貨物EF81形
EF510形の代走で運用に就くEF81形
数年前まではまだまだEF81形が活躍していた北陸本線でしたが、第三セクターえちごトキめき鉄道になった昨年のダイヤ改正でトワイライトエクスプレスが廃止され、今年度のダイヤ改正でJR貨物のEF81形も運用が消滅しました。

日本海ひすいラインを走行するJR貨物EF510形
北斗星用だったEF510形500番台
JR貨物は16年度にEF510形の新製を行う予定はありませんが、昨年度の臨時寝台特急「北斗星」の廃止や寝台特急「カシオペア」の定期運用廃止で余剰になったEF510形をJR東日本から譲りうけ富山機関区へ配属しました。そのため16年度から富山機関区所属のEF81形の定期運用は無くなったというわけです。北海道新幹線の影響がこんなところで出ているのが面白いところです。

ただ、JR東日本から譲り受けたEF510形をすぐに運用できないので、ダイヤ改正から2週間程度はEF81形が運用に入っていました。その臨時運用も今ではなくなりました。私が撮影に訪れたときは4月半ばでしたが、たまたまEF81形が運用に入っていて本当にラッキーでした。

新顔のE129系

直江津で顔を並べるJR東日本E129系と北越急行HK100系とえちごトキめき鉄道ET127系の車両たち
一番左がJR東日本E129系
真ん中が北越急行HK100系、右がえちごトキめき鉄道ET127系
北陸新幹線開業までは新潟方面から乗り入れてくる列車と言えば115系、長野方面から乗り入れてくる車両も一部127系で基本は115系、富山方面からは455系や413系と国鉄型の宝庫だった直江津駅ですが、それも今や見る影もなくなりつつあります。

昨年のダイヤ改正からは妙高高原方面から乗り入れてくるえちごトキめき鉄道妙高はねうまラインの列車はJR東日本から譲渡されたET127系に、糸魚川方面の日本海ひすいラインの列車はET122形に変っていましたが、新潟方面からのJRの列車は115系でした。しかし、新潟方面からのJRの列車も新潟地区に投入されてるE129系が加わって、115系が減ってきました。国鉄型電車が直江津駅で見れなくなるのもそお遠くなさそうです。

共闘できるかJR東日本とえちごトキめき鉄道

上越妙高駅に停車する越乃Shu*Kura
えちごトキめき鉄道「上越妙高」駅に停車する
JR東日本「越乃Shu*Kura」
信越本線がえちごトキめき鉄道に移管された後も、北陸新幹線開業で上越の新たな玄関口となった上越妙高駅まで快速電車や特急「しらゆき」をJR東日本は乗り入れさせています。そういった意味では良好な関係を続けている両車は、季節の臨時列車やJRのジョイフルトレイン「越乃Shu*Kura」も乗り入れさせています。そんな中新たにえちごトキめき鉄道は自社のリゾート列車「雪月花」を「妙高高原~糸魚川」で運行開始しました。

えちごトキめき鉄道が「雪月花」を走らせるまではJRの臨時列車が乗り入れてくれればくれるだけありがたい話だったわけですが、今後はそうも行きません。自社のリゾート列車に人を乗せて儲けを出さなくてはいけないからです。とは言っても上手くやれば相乗効果も期待できるわけで、ライバル関係というよりはJRとの関係が新たな段階に入ったと言えると思います。二社間での緊密な連携プレイがどこまで出来るかが、今後の焦点になりそうです。

最後の485系定期運用

直江津駅に到着するJR東日本485系3000番台
最後の定期運用である
「糸魚川~新潟」間の快速電車
国鉄型最強の万能型特急電車485系も最後を迎えようとしています。北海道新幹線開業までは特急「白鳥」として「新青森~函館」間で485系最後の特急定期運用がありましたが、それも今はなくなりました。そんな中最後の485系定期運用として残っているのが「糸魚川~新潟」間の快速運用です。北陸本線がえちごトキめき鉄道に移管された際に、普通列車がディーゼル車両のET122形に変更されその他特急が廃止されたため、「糸魚川~梶屋敷」間のデッドセクションを通過する最後の定期電車でもあります。

E653系の数の問題で首の皮が繋がった485系ですが、そう長いとも思えません。南は九州・北は北海道と全国を駆け抜けた万能特急として、私は愛着を持っています。まだまだ頑張って欲しいとは思いますが、最後の時は刻々と近づいているようです。


国鉄型から最新のE129系まで直江津駅で動画も撮影してきました。お時間のある方は是非こちらもどうぞ。


2016年4月6日水曜日

寝台特急カシオペア 団体臨時で運行継続へ




寝台特急カシオペアが北海道新幹線開業の3月26日までには定期運行の終了し、それ以降は団体臨時として運行することについて紹介します。
記事作成2015.06.03/更新2016.04.06

上野駅に到着する寝台特急カシオペア
寝台特急カシオペア

カシオペア・はまなす定期運行は新幹線開業まで

まず今後について簡単に説明します。

下り北斗星の最終運行日である2015年8月21日に2月までの運行計画が、12月18日には3月の運行計画がJR東日本・JR北海道より発表されました。はまなすは最低限の運休で上りの時刻変更のみ、カシオペアも3月20日「札幌発→上野行き」の最終運行日までは現在とほぼ同じ体制で運行されます。

新幹線開業後についてはJR北海道とJR東日本から、急行はまなすと共に定期運行終了の発表がされました。そして2016年2月18日にはカシオペアが団体臨時列車として運行続けることを、各種報道機関が報じ、2016年4月6日にはJR東日本が正式に運行を発表しました。臨時列車としては6月4日か運行を開始します。

それでは各経緯を見ながら、今後についても紹介したいと思います。団体臨時の情報については以下の紹介記事をご覧ください。
※関連記事寝台特急カシオペア 6月から団体臨時運転開始

青森県などは運行継続を要望

『北海道新幹線の走行試験と調整しながら、下半期も運行したい―と前向きな回答があったという。一方、2015年度末の北海道新幹線開業後のカシオペアの運行については、「JR貨物やJR北海道と調整が必要」などとして明言を避けたという。』
『』内はデーリー東北新聞社ウェブ版の2015年6月3日の記事「「カシオペア」10月以降も運行継続 青森県など要望にJR東日本回答」より引用したもので、青森県・岩手県のカシオペア運行の要望に対するJR東日本の回答です。

なぜ青森県が存続を求めたかと言いますと、青森県は東北新幹線の延伸により第三セクターとなった青い森鉄道へ多額の援助を行っています。そしてJR東日本やJR貨物の列車が同路線通る際、通行料を支払っています。この通行料は結構な額です。2013年度のJR東日本から青い森鉄道への支払額は3億8800万円で、青い森鉄道の旅客運輸収入のうち約18%になります。

つまり、寝台特急の運行本数が削減されると青い森鉄道は収入が減り、多額の援助を行っている青森県としても困るため存続を求めているのです。これは三セクを補助する他の県も一緒で、岩手県のほか北海道新新幹線開業後を見据えて北海道もJR東日本とJR北海道へ寝台特急の運行継続を求めています。

なので、運行本数の多い「北斗星」廃止だけでも大きな収益減なので、カシオペアだけでもと存続を求めるのは分かります。

3月以降も要望したが・・・

『北海道新幹線開業後のカシオペアの運行について同社は「JR北海道単独での運行は難しい」との認識を示し、「今後、JR東日本などと協議をしていく」と回答したという。』
『』内はデーリー東北新聞ウェブ版2015年7月16日の記事「JR北海道に「カシオペア」維持要望 青森県、岩手県など」からの引用ですが、青森県・岩手県の来年3月以降の要望に対し、JR北海道はかなり渋い答えをだしました。

前回の継続要望に続き、再度JRへ要望を提出しました。寝台列車の存続要求は以前からずっとしていることなので、存続を要望したからどうこうなるというわけではないのが現実です。なので、JR各社のやる気次第というわけになるのですが、JR東日本がクルーズトレイン「四季島」の北海道乗り入れ自体にはポジティブな発言をしてるのに対し、カシオペアの運行に関してはネガティブな発言していることや(関連記事のカシオペアは本当に老朽化しているかを参照)、JR北海道が多くのことをやる余力がないのが大きかったと思います。

北海道新幹線開業で廃止へ

※1『札幌―上野間での運行を実質的に廃止する方向で調整していることが1日、分かった。年に数往復程度、臨時運行させる可能性がある。』
※2『JR東日本とJR北海道は、来年3月に予定している北海道新幹線の開業に合わせて、寝台特急「カシオペア」(上野―札幌)を廃止する。』 
※1内は北海道新聞2015年9月2日報道の「「カシオペア」実質廃止 「はまなす」「白鳥」も JR2社調整」 から、※2は朝日新聞デジタル2015年9月15日報道の「「カシオペア」廃止へ 北海道新幹線開業で機関車使えず」からの引用です。

9月に入り廃止の報道が出てきました。9月2日の報道では「方向で調整」とやや含みのある表現でしたが、9月15日の報道では「廃止する」という断定的な口調の報道がされました。しかも、朝日新聞や産経新聞という大手新聞社からの報道です。

廃止報道では多くの方が想像してた通りのもので、北海道新幹線開業に合わせて廃止。クルーズトレインとして年数回の乗り入れを検討するというものです。廃止の理由としては、機関車を調達することが難しいことが決定打となりました。それ意外としては、カシオペアの遅れが新幹線に影響する懸念などもあったようです。

近年の夜行列車廃止では、公式な発表より先に新聞に情報を小出しして、その後正式に廃止の発表を出す場合がよくあります。今回も同じ流れとなりました。2015年9月16日にJR北海道北海道新幹線開業日に関するプレスで、急行「はまなす」とともに「カシオペア」の定期運行の廃止が正式に発表されました。

そして2015年12月18日にダイヤ改正の発表と合わせて、3月の運行計画が発表されました。運行本数も大きく減ることなく運行されます。「上野発→札幌行き」の列車は上野基準で3月19日、「札幌発→上野行き」の列車は札幌基準で3月20日が最終運転日となります。3月22~25日の期間で地上設備の切り替えのがあるため、ダイヤ改正より一足早く廃止となります。

3月以降は団体臨時列車として運行開始

『JR東は廃止後、管内を周遊する列車としての活用を検討する一方、北海道への運行継続を模索。関係者によると、JR貨物が新たに開発した機関車を六月以降、青函トンネルを走るため借り受け北海道も運行できることになったという。』
※『』内は東京新聞2月18日報道の、「カシオペアが6月にも復活 JR東日本、団体列車に」より引用です。

難しいとされてきたJR貨物所有の青函トンネル用EH800形の貸し出しが可能になったということで、3月以降は団体臨時列車として運行を継続されることが報道されました。JR北海道は乗り入れに継続して否定的でありましたが、JR東日本はクルーズトレインについては積極的な意見をだしたりしていました。私の想像ですが、JR東日本の働きかけが大きかったのではないかと思います。

運行の詳しい日程については不明ですが、北海道乗り入れはお盆や年末年始などの物流が少なくなり機関車の運用に余裕が出る時期が中心になるのではないかと思われます。JR東日本管内の周遊運行も行う可能性が高いことを考えると、北海道乗り入れは年間でも数えるほどとなるのではないでしょうか。

いつまで走るのか?

定期運行最後の映像

一先ず運行の継続が決まったカシオペアですが、何が問題で定期運行を終了することになったかを見ながら、今後の運転について予想していきたいと思います。

青函トンネル区間が一つの障壁

以前に細かく書いた北斗星廃止に関する記事も参考にして頂きたいのですが、「カシオペア」の運行で問題となっているのは青函トンネルを含む共用区間です。新幹線開業後は共用区間での新幹線や貨物列車とのダイヤの問題と、新しい電機機関車の問題があります。

北海道新幹線が開業すると、夜間の整備を今まで以上に念入りな保守が必要なために、今までより深夜の運休時間をとる必要が出てきます。共用区間は新幹線の他に貨物列車も沢山走っているため、その合間を縫って運行するしかありません。そのためダイヤ面での調整が、今より難しくなってしまいます。しかし、お盆や年末年始などは物流量が減るため運行の余地が無いわけではありません。

もう一つの問題としては、北海道新幹線の開業で今使っている電気機関車が使えなくなることです。予算が逼迫してるJR北海道は、夜行列車数本のために機関車製造の費用を捻出することは出来ません。そこで考えられるのはJR貨物からのレンタルです。技術面で言えば、貨物用機関車での運行も可能です。平時は貨物だけで手一杯ですが、お盆などの物流が減る時期は余裕が生まれます。その時に限定して機関車を借りることで、運行継続に漕ぎ着けました。

国からの補助金の関係で使途が決まっているために、貨物以外での運行は難しいという話もありましたが、これは大丈夫だったようです。

車両については関連記事も参考にして頂きたいのですが、JR東日本の社長が老朽化しているため廃車にしたいとネガティブな発言をしています。この点も見逃すことが出来ない部分ではありそうです。

クルーズトレイン四季島は正式に乗り入れを発表

JR東日本が正式発表したクルーズトレインのコースにて、北海道への乗り入れが正式に発表されました。なので、2017年からは「四季島」が乗り入れることが確定しています。

「四季島」の乗り入れと車体の寿命が焦点か

「四季島」が乗り入れるにあたり、EH800形を必要とするかが一つ目の焦点です。「四季島」は最新の技術が詰まった車両で、在来線であれば電化・非電化問わず走行することが可能です。それでも、技術的にも特殊な青函トンネル区間をEH800形を使用せずに通過するのは難しいと想像できます。

その場合「カシオペア」と「四季島」が機関車を食い合ってしまうことになるため、優先度的に「カシオペア」の乗り入れは断念するしかありません。

車両の寿命ですが、「カシオペア」用の客車は客車としてみれば若手です。しかし、目に見える歪みが出ていたり、一編成だけという特異性もあり使い勝手がだいぶ悪くなっている可能性があります。そのため使い倒すよりは、比較的早く廃止にしたほうが得という判断もありえると思います。

以上の点をふまえると「トワイライトエクスプレス」同様に、クルーズトレイン運行開始後に廃止というのは十分ありえると思います。乗ることは難しそうですし、記録として早く撮影などしておくほうが良いかもしれません。

北斗星が廃止になり寂しい限りで、クルーズトレインに庶民は中々乗れそうにありません。寝台特急も本当に遠いものになってしまいましたね。団体臨時になっても庶民も乗れる寝台特急ということで営業を続けて欲しいものですが、果たしてどうなるでしょうか・・・

※関連記事
寝台特急カシオペアラストランとその後
寝台特急「北斗星 」 なぜ廃止になるのか
カシオペアは本当に老朽化しているのか?
最後の夜行急行「はまなす」の魅力と今後
JR東日本クルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」を紹介
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2016年3月30日水曜日

北海道到達! 北海道新幹線とはどんなもの?




本格的な訓練運転も始まり開業が近づく北海道新幹線ですが、様々な情報が出てきたのでまとめて紹介したいと思います。今回は軽めの記事です。
記事作成日2015.08.28/最終更新日: 2016.03.30

大宮駅停車中のJR北海道H5系
北海道新幹線で使われる
JR北海度H5系

開業は3月26日で決定

JRのダイヤ改正は3月の第2週の土日あたりによく行われ、その時に新幹線の延伸区間が開業することが多いです。しかし、豪雪地帯を走る北海道新幹線では、雪の影響が弱まる3月末の3月26日に開業するのではないかと報道されていした。

そして、2015年9月16日にJR北海道・JR東日本から、3月26日に開業すると発表されました。

開業区間は新青森~新函館北斗駅間


2016年に開業するのは「新青森~新函館北斗」間の約150kmの区間です。途中駅は「奥津軽いまべつ駅」「木古内駅」の二つで、全線をJR北海道が管轄します。最終的には札幌駅まで延伸します。

それでは新青森駅から新函館北斗駅までを順に解説します。まず、新青森駅を出て高架やトンネルを抜けると、在来線との合流ポイント新中小国(しんなかおぐに)信号所を通過します。同信号所から木古内駅手前の湯の里知内(ゆのさとしりうち)信号所までが、在来線との共用区間となります。

建設途中の北海道新幹線奥津軽いまべつ駅
建設途中の北海道新幹線奥津軽いまべつ駅

新中小国信号所を出てすぐに奥津軽いまべつ駅へ到着します。この駅は津軽今別駅があった場所に建設された駅です。利用客は非常に少ない駅ですが青函トンネル最寄駅のため、待避線を備え駅全体がスノーシェルターで覆われた立派な駅となっています。

奥津軽いまべつ駅を出るといよいよ青函トンネルに入ります。青函トンネルを含む「新中小国信号所~湯の里知内信号所」間は在来線と共用するため、原則として最高速度は140km/hに制限されます。そのためスーパー白鳥と同程度の時間で走りぬけます。

青函トンネルを抜け湯の里知内信号所を越えて在来線とも分かれると、北海道最初の駅木古内駅に到着します。現在JR北海道が運営している江差線「木古内~五稜郭」間が第三セクター道南いさりび鉄道へ移管される予定で、この駅が道南いさりび鉄道の南側の基点駅となります。

木古内駅を出ると再びトンネルと高架の新幹線らしい区間となり、終点の新函館北斗駅に到着します。現在渡島大野(おしまおおの)駅と呼ばれる函館本線の駅で、開業後改名して新函館北斗駅となります。この駅は将来の延伸を見据えて、函館駅から約18kmのところにあります。北海道新幹線開業後は、この駅から函館駅へ「はこだてライナー」という名称の連絡列車を16往復運行します。

車両は東北新幹線と同じ

大宮駅に到着するE5系新幹線
北海道新幹線でも使われる
JR東日本E5系新幹線
北陸新幹線では開業に合わせて新型E7系が製造されましたが、北海道新幹線ではE5系が使われます。JR北海道保有の4編成はH5系という新形式になりますが、基本的な仕様はE5系に準じたものとなっています。側面の帯が紫になってる点や北海道をイメージしたロゴなど、デザインは若干変更されています。

JR北海道H5系
H5系のロゴ
「盛岡~新函館北斗」間は最高時速が260km/hなので、速度面ではE2系で十分対応することが出来ますが、使用編成には含まれません。運用的な問題や信号システムの対応などを考慮してだと思います。

北海道新幹線H5系とE5系の
実際の運行の様子

開業時は13往復・最速4時間2分

気になるダイヤですが速達型の「はやぶさ」は「東京~新函館北斗」間が10往復、「仙台~新函館北斗」間は1往復の運転。各駅型など含む「はやて」は「盛岡~新函館北斗」・「新青森~新函館北斗」間でそれぞれ一往復の運転予定で、計13往復の運転になると事前に報道されていましたが、正式に13往復の運行が発表されました。

現在「青森~函館」間は「スーパー白鳥」と「白鳥」が6~8両編成で、10往復の運転を行っています。それに対し北海道新幹線では1両あたりの座席数が「スーパー白鳥」などより多い新幹線車両10両編成での運転となります。なので、輸送力としては大幅にアップします。

所要時間は「東京~新函館北斗」間が最速で4時間2分と発表されました。青函トンネルでは貨物列車とのすれ違い時の安全を確保するために、現行のスーパー白鳥と同じ140km/hを最高速度とすることにしていますが、以前は1往復分を260km/h運転とする予定とすると発表していました。しかし、詳しいダイヤが発表されていなので断定は出来ませんが、最速列車の時間を見る限り青函トンネル内260km/h運転は断念したようです。

運賃は値上げへ

北海道新幹線運賃表
北海道新幹線運賃票
(拡大できます)

スーパー白鳥・白鳥運賃表
スーパー白鳥・白鳥運賃表
(拡大できます)
10月13日JR北海道から一部確定していない部分はあるものの、運賃の上限が発表されました。北海道新幹線とスーパーは白鳥・白鳥の運賃表を比べてもらうと分かると思いますが、おそらく全ての区間で値上げとなります。

北海道新幹線と東北新幹線を乗り継ぐ場合は、特急料金は新青森を境に合算となります。東京~函館北斗を指定席利用の場合、運賃と指定席は通しで計算して10550円と520円、特急料金は東京~新青森間で6680円と新青森~函館北斗間で4450円の計22690円となります。この計算方法は新青森でJR東日本からJR北海道に運行会社が変るためです。

赤字は48億円を見込む

2015年12月9日にJR北海道は、2016~2019年度の収支を平均した場合の収支予測を発表しました。それによると111億円の収入に対し160億円の支出で、一年あたり48億円の赤字を見込んでいます。支出としては運営費として80億円、青函トンネルの維持費など北海道新幹線特有のコストが34億年、鉄道運輸機構への貸付金が9億円、減価償却費が33億円、諸税が1億円、事業報酬が3億円と予想しています。

支出のうち今後減っていきそうなのは減価償却費ですが、仮に0となっても15億円の赤字です。安全面などを考えると運営費の圧縮などは厳しいでしょうし、少しでも利用者を増やすしかなさそうです。

維持された特例区間

以前は津軽海峡線の蟹田~木古内間は特急しか運行していないため、同区間は特例として自由席に限り運賃のみで乗車することが出来、原則的に普通列車しかのれない企画切符でも乗車するこができました。そこで北海道新幹線開業後は「青春18きっぷ」や「北海道東日本パス」は追加料金を払うことで割安で乗車できることになりました。追加料金でフォローされるとは言っても値上がりには変わりなく、以前より利用しにくくなったことには変りません。

旅行者向けの企画切符については仕方ない面もありますが、蟹田~木古内間の普通乗車券の特例も廃止されてしまいました。利用者が多いわけではありませんが、普通列車を乗り継いで青森方面から函館方面へ利用される方もしっかりいます。おまけに青函トンネル内は貨物列車と共用する関係で最高時速は新幹線開業前と同じ140km/hです。スピードもアップしていないのに地域の足が値上げになってしまい、残念な結果となってしまいました。


2016年2月13日土曜日

北海道新幹線試運転を振り返る その2




2014年12月から本格的に始まった北海道新幹線の試運転などについて、記事の整理を兼ねて2回に分けて振り返ります。このページでは2015年度の試験を振り返ります。

3月のダイヤ改正で北斗星・トワイライトエクスプレス廃止

青森駅停車中のはまなす用ED79形
新幹線開業まで運行を続ける
急行「はまなす」
北海道新幹線の試験が本格化するということで、寝台特急「北斗星・カシオペア」の定期運行が2015年3月のダイヤ改正に合わせて終了しました。

「北斗星」は2015年8月末まで隔日を基本とした臨時列車として、「トワイライトエクスプレス」はクルーズトレイン運行開始までの繋ぎとして3月以降は本州のJR西日本管内で運行を開始しました。

「はまなす・カシオペア」については北海道新幹線開業直前まで運行を続けます。

春の試験でEasi-i乗り入れへ

2015年4月21日から7月30日にかけて、2015年度の試験走行が始まりました。2014年度の時点で「新函館北斗~奥津軽いまべつ」間の試験が行われていましたが、「奥津軽いまべつ~新青森」間の本州側を中心に全区間が試験対象です。

5月24日の試験で40km/hという低速で「奥津軽いまべつ駅~新青森駅」間の走行試験が実施され、新規開業区間全線の走行が完了しました。新青森到着時はセレモニーが行われました。

そして、6月11日は今まで使われてきたH5系のほかに、JR東日本E926形「East-i」が本州側から北海道に向けて試験走行が行われました。

このE926形「East-i」は東海道・山陽新幹線でいうドクターイエローにあたる車両で、270km/hの速度で検査をすることが出来ます。11日の試験では、試験区間48kmを約1時間45分ほどかけて走破したので、ややスピードを抑えての走行です。平均すると特急「スーパー白鳥」の表定速度と同じぐらいの速度でしょうか。12日の試験で「East-i」は本州側へ帰っていきました。

公式な発表ではそれまでJR北海道所属のH5系での試運転しかなかったので、この試験でJR東日本所属の新幹線車両が初めて北海道へ渡ったことになります。

北斗星廃止と共に乗務員訓練開始

寝台特急「北斗星」の最終列車が8月22日に通過したあと、北海道新幹線の乗務員訓練が開始されました。

北海道新幹線では青函トンネル区間が日中は在来線特急や貨物が運行しているため、開業まで深夜帯に週4回3往復程度行われます。

実際の列車の運行パターンに近づけて訓練するため、通過・停車様々なパターンで運行するほか、駅や車内の放送やドア・ホーム柵操作なども行います。この訓練とは別に列車運行オペレーションの確認や異常時の対応訓練のため、「新函館~木古内」間は日中も新幹線を走行させる場合があります。

北陸新幹線では12月ごろ日中に営業運転と同じような間隔で訓練を行っていましたが、北海道新幹線ではだいぶ早い8月からの訓練となりました。実際の営業では一日13往復に対し、訓練では時間の関係で3往復しか行えず、これが早めの実施となった理由だと思います。

正月には青函トンネル完全運休実施

今までは営業時間の合間を縫って深夜帯の貨物列車や夜行列車の運休のみで試験を行ってきましたが、2016年の正月には青函トンネルを含む区間で初めての全線運休が行われました。

この運休は北海道新幹線と在来線貨物が使用する信号システムの確認のためで、新幹線車両のほかJR貨物のEH800形なども参加しました。

3月には4日間の完全運休

営業に向けて乗務員の訓練などを続けている北海道新幹線ですが、3月の22日から25日の4日間に設備の切り替えのため青函トンネルを含む区間が運休します。この運休が終わる26日が北海道新幹線開業日となります。

この運休もあって、ダイヤ改正より一足早く寝台特急「カシオペア」は3月20日発・急行「はまなす」は21日を持って営業終了となります。


2016年2月10日水曜日

北海道新幹線試運転を振り返る その1




2014年12月から本格的に始まった北海道新幹線の試運転などについて、記事の整理を兼ねて2回に分けて振り返ります。このページでは2014年度の試験を振り返ります。

大宮駅に到着するJR東日本E5系新幹線
JR北海道H5系の兄弟車であるJR東日本E5系新幹線
北海道新幹線開業後はE5系も北海道新幹線へ乗り入れる予定
帯の色や側面ロゴなど微妙に仕様がH5系と異なる

H5系が函館に到着

北海道新幹線用に製造されたJR北海道H5系ですが、製造メーカーである川崎重工のある神戸から函館まで船で運ばれて10月に北海道へ上陸しました。

JR東日本は仙台まで船で運び、陸送で仙台の車両基地へ搬入しています。この時はまだ試験前で新幹線が走れる状態ではなく、函館まで船で輸送されましたが、鉄路が繋がればJR北海道の車両も仙台からの搬入になる可能性があります。なので、函館港からの搬入は今後貴重な出来事になるかもしれません。


夜行列車は時刻変更・運休へ

函館駅停車中のはまなす用ED79形
本州と北海道を結ぶ
急行「はまなす」
北海道新幹線の試運転に先立ち、工事のため本州と北海道を結ぶ夜行列車「北斗星・カシオペア・トワイライトエクスプレス・はまなす」も、運休や時刻変更が行われるようになりました。新幹線車両を使った試運転の始まった12月以降は休日を中心に運休が増えていきます。

運休が休日中心なのは旅客よりも貨物を優先するため、物流の少なくなる休日が選ばれたが理由です。そのため12月には毎週末に運休が行われ、正月休みには連続して運休となりました。

12月1日より試験開始

2014年12月1日よりH5系を使った試験走行が開始されました。「新函館北斗~木古内」間については、軌道や電気設備の状態を確認し段階的に速度を上げ、12月末には最高速度260km/hの速度で確認することが目的です。「木古内~奥津軽いまべつ」間は地上・車上を含めたATCの現示試験などの信号設備の確認や、最高速度140km/h運転での確認することが目的です。

初日は七飯町の車両基地から新函館北斗駅までの2kmを30km/h以下の低速で往復しました。新函館北斗駅に到着時は周辺住民や小・中学生らによるセレモニーが行われました。

翌日より更に速度を上げて試験走行が行われ、12月7日には北海移動から青函トンネルで海を越えて青森県奥津軽いまべつ駅まで到達しました。

そして12月26日には「木古内~新函館北斗」間で最高速度260km/hを達成しました。今回開業する「新青森~新函館北斗」間の営業最高速度は260km/hであるため、一先ず線路・車両ともに問題がないことを証明できました。

夜行列車を運休した正月休みの期間は、青函トンネルなどの共用走行区間の試験が中心だったようです。


2月から「冬季性能検証」開始

2015年2月末から3月にかけて1年目の「冬季性能検証」が始められました。これは、車両や地上設備が性能を発揮できるか検証するもので、二年間に渡って行われます。

「低温・降雪時でも予定通りの性能が発揮できるか調べるためのブレーキ性能試験」「降雪・積雪時に車両の床下や台車にどのように着雪かを調べる車両着雪状況確認」「北海道新幹線で新幹線としては初めて採用した機器の機能を確認する冬季対策地上設備確認」などが主な内容です。

その他にも「パンタグラフの集電」「青函トンネル前後での車両機器箱内の結露状況」「低温下での地上・車両設備の動作」などの確認も行われます。

流れとしては実際に使う車両・設備を使い最初の年で基本的な部分を洗い出し、翌年の試験で問題点を修正していくといった感じのようで、基本的に2回分の冬つまり2年間の機関が必要なものです。北陸新幹線でも2年にわたり試験が行われました。

さらに青函トンネルは通過する列車の窓がすぐ曇ってしまうほどの高温多湿で、通常のトンネルとは異なった条件を持っています。他にも貨物列車と新幹線が同じ線路走ることや、新幹線初採用の技術などもあります。こうしたことからJR北海道も以前公表した資料の中で「過去に例の無ない特殊性を持つプロジェクト」という表現が使用されていたのは印象的でした。


2016年2月5日金曜日

「道南いさりび鉄道」ってどんな会社?




北海道新幹線開業により生まれる第三セクターの「道南いさりび鉄道」について紹介したいと思います。
記事作成日: 2015.12.04/記事更新日: 2016.02.05

江差線廃止区間を走るJR北海道キハ40系
北海道新幹線をバックに江差線廃止区間を走るキハ40

会社概要

「道南いさりび鉄道」は北海道新幹線開業によりJR北海道から切り離される江差線「木古内(きこない)~五稜郭(ごりょうかく)」間を運営する第三セクターです。

社名について

発足時は暫定的な社名として「北海道道南地域並行在来線準備株式会社」を使っていましたが、2015年1月1日に名称変更が行われて「道南いさりび鉄道」となりました。

「いさりび」とは津軽海峡で操業するイカ漁の漁船がイカを集めるために使う集魚灯の名称「いさり火」に由来するもので、6207件の公募から会社名選考委員会が地域からの意見や道外からの目線を加味して選ばれたそうです。

車両・列車

木古内付近を走るキハ40系普通列車
三セク移管後も使用される予定

・キハ40系ワンマン仕様-9両

運行形態としては江差線時代と同じく、五稜郭からJR北海道へ乗り入れ「木古内~函館」間となります。

JR北海道からワンマン仕様のキハ40系9両を譲りうけ、その車両で旅客営業する予定です。このうち2両は地域情報発信列車「ながまれ号」として、車内・外観の両方を改造した上で3月26日から営業となります。「ながまれ号」は普段はほかの車両と同様に運用されますが、観光団体向けに食事を提供出来るようにする予定です。

函館駅停車中のJR東日本485系3000番台特急白鳥
北海道新幹線で廃止となる
485系特急「白鳥」

北海道新幹線開業前の江差線は、地域輸送のキハ40系を使った普通列車、本州からの客車寝台列車「北斗星・カシオペア・トワイライトエクスプレス」や、電車特急などを使った都市間列車「スーパー白鳥・白鳥・はまなす」、電気機関車が牽引するJR貨物の貨物列車が走っていました。北海道新幹線開業後は青函トンネルのキャパシティもあり、都市間列車や寝台特急は廃止され、地域輸送のキハ40系とJR貨物の貨物列車が中心となります。臨時列車としては、JR東日本のクルーズトレイン「四季島」が通過する予定です。

路線について

運行区間: 木古内駅~五稜郭駅・12駅 37.8km (江差線)
管理駅: 11駅
全線交流電化20000V
全線単線

運行区間は江差線全区間にあたる木古内駅~五稜郭駅・12駅 37.8kmです。前身である江差線は2014年5月12日までは名前の通り北海道の「江差~五稜郭」間を結ぶ路線でした。1936年に全線開通した路線で、歴史ある路線です。しかし、利用客の減少を理由に「江差~木古内」間は函館バスへの転換が決まり、鉄道路線としては廃止になりました。残りの区間も第三セクターになるため、江差線は完全に消滅します。事務的な面でも路線の譲渡や引継ぎではなく、JR北海道は江差線を新幹線開業日に廃止という手続きをとっていて、道南いさりび鉄道が新規に開業するという形になっています。

線路は全線で単線ですが、本州との大動脈であるため、殆どの駅で行き違いが可能となっています。交流20000Vで電化されていますが、北海道新幹線開業に伴い旅客列車は気動車を使った普通列車のみとなるため、薩摩おれんじ鉄道と同じように貨物列車以外は電化設備を使用しない予定です。

設備・運営

必要な設備は整備・修繕を施したのちにJR北海道から譲りうけます。指令システム・車両基地はJR北海道と共同使用とし、保守設備もJR北海道からレンタルするなどとして、最低限の購入に留めます。

駅窓口業務は縮小します。木古内駅・七重浜駅・上磯駅は窓口業務を廃止し、定期券の駅周辺への委託と券売機の更新で対応します。五稜郭駅はJR北海道へ窓口の業務委託を行い、清川口駅・茂辺地駅・釜谷駅・泉沢駅・札苅駅は、現状通り簡易委託駅として引き続き営業されます。

運賃

運賃はJR時より1.3倍程度の値上げの予定です。JRへ乗り継ぐ場合は初乗り運賃が二重になってしまうため、利用者の多い「道南いさり火鉄道→JR函館駅」は定期と切符の乗り継ぎ割引が設定され、「道南いさり火鉄道→JR五稜郭~森駅」間は定期券のみ乗り継ぎ割引が設定されます。

赤字

開業10年での北海道や沿線自治体が負担する赤字金額は23億円を見込んでいます。


2016年1月3日日曜日

北海道新幹線青函トンネル問題を整理する その2




前回の北海道新幹線青函トンネル問題を整理する その1の続きとして青函共用走行問題の回避・緩和案から話をしたいと思います。
記事作成日: 2014.10.04/記事更新日: 2016.01.03
苗穂工場に留置されるトレインオントレイン試験車両
苗穂工場内のトレインオントレイン試験車両

青函共用走行問題の回避・緩和案

1.新幹線と貨物の運行時間帯を分ける
2.すれ違い時のみ新幹線が減速
3.トレインオントレイン(以後TOTと呼ぶ)
4.第二青函トンネル建設
5.トンネルの中心に隔壁を設ける
6.コンテナ載せ換え

それでは一つづ見ていきましょう。

1.新幹線と貨物の運行時間帯を分ける

これは一番安くて技術的にも一番簡単な方法ですし、新幹線1往復程度の高速走行が具体案として実現に向けて検討されています。

しかし、青函トンネルは保守時間を除くと常に列車が走っていることや北海道本州間の物流で大きな割合占めていることを考えると、1往復分でも運行時間を分けて運休時間が延びれば北海道本州間の物流へのダメージが生まれること予想されています。さらに長距離貨物は遅延もよくあるので、今以上にダイヤのやりくりが大変になるのが想像できます。

2.すれ違い時のみ新幹線が減速

デジタルATCや以前紹介したATACSなど新しい信号システムの登場により柔軟性が向上しているので、比較的安く簡単に可能な案です。

しかし、安全性という点では今までに無い試みなので、これから実証することが必要です。青函トンネルの共用走行が始まった後に、様子を見ながら実用化に向けた技術開発が必要になると思われます。

3.トレインオントレイン

これは貨物列車を新規開発した貨物新幹線に載せて走るというもので、新幹線との速度の問題やコンテナの飛散防止対策も可能かつダイヤ上の制約も大幅に緩和できるので一見良さそうですが、問題も多いのです。

・開発に1000億が見込まれること
・ダイヤの関係上貨物を載せる貨物新幹線がとても多く必要になる
・新幹線に貨物列車を載せるので軌道への負荷が大きい
・載せ換え時間を入れると100km/hで青函トンネルを走るのと変らない

などメリットも多いのですが解決の難しいデメリットが多いのも事実です。

4.第二青函トンネル建設

最強の解決策であり試算では4000~5000億の費用が見込まれています。この額自体は今の青函トンネルを作ったのと変らないぐらいの金額で、物価上昇も考えると安いと言えます。

どうして安く建設できるのかというと、今ある青函トンネルの側に作ることで青函トンネルの作業坑や地質調査を流用すること、最初に掘った時よりも向上した技術で可能にします。しかし安いというのは最初に掘ったトンネルとの比較で「常識的に安い!」とは言いずらい金額であり、トンネルの数だけ維持費が増大するのも問題です。

5.トンネルの中心に隔壁を設ける

トンネルを改良する案では現実的な費用で1600億程度が見込まれます。隔壁を設置するに当たって隔壁の自重にトンネル路盤が耐えられるようにするため、トンネルの中心・線路脇にもアンカーを打つ必要があるので、工事内容としてはそこまで単純ではありません。

すれ違い列車については問題を解決できるだけでなく、貨物の飛散問題も回避できます。ただし、速度自体は向上しないので、貨物列車の後続が新幹線の場合には制限が残ります。そして費用が1600億と決して安くないのもデメリットです。

6.コンテナ載せ換え

2016年1月1日に北海道新聞「青函に時速200キロ「貨物新幹線」検討 新幹線は東京へ最速3時間台」の記事で明らかになった検討案です。文字通りの方式で、2020年前半に専用コンテナクレーンでH5系ベース新幹線貨物列車にの載せ換えて200km/h程度で走行できるようにするというものです。車両基地建設なども含めてコスト800~1000億で、TOTを下回る可能性があります。

新幹線に貨物列車は走っていないので、完全新規開発となります。ただ、TOTに比べれるとコンテナのみを載せるので線路への負担が小さく重心も低いので、TOTより高速に運行できる可能性が高いです。M250系スーパーレールカーゴは比較的軽い荷物専用なので単純比較は出来ませんが、電車貨物の技術も0ではないので技術的難易度もTOTよりは下がります。

デメリットとして貨物の載せ換え時間がありますが、北海道新幹線延伸時に貨物の運転区間も伸ばせば帳消しに出来ます。最終的に札幌まで貨物新幹線を延伸すれば、有珠山の影響で室蘭本線が運休になっても貨物が運べます。ただし、最高速度が200km/h程度が限界だと厳しいかもしれません。北海道新幹線も将来的には320km/h運転、さらには360km/h・400km/hとなっていくかもしれません。その時貨物が200km/h程度だとダイヤ的に面倒になってくる可能性があります。この話は案が持ち上がった段階なので、FGTのように大きな課題が出てくる可能性がありますし、私のような素人ではフワフワした話しか出来ません。ただ、他の方式にはない可能性がいくつもあるように感じます。


こう全てを見ると1と2の案を組み合わせるのが、今の時点では現実的といったところでしょうか。青函トンネル自体はゾーン539の相性があるよう50kmちょっとの区間です。この区間を現在の予定140km/hで新幹線が走行すると20分程度かかってしまうのに対し、普通の新幹線のように260km/hなら10分程度で走行できます。東海道新幹線の涙ぐましい努力を見ると、この区間もどうにかして高速化したくなるのも分かります。今後の技術開発やアイディアに期待ですね。

関連記事
第二青函トンネルのメリットから建設まで考える


2016年1月2日土曜日

北海道新幹線青函トンネル問題を整理する その1




今回はいろいろな議論がされてきた青函トンネルの共用走行問題について、私自身もう一度整理したいこともあり、2回に分けて紹介しようと思います。
記事作成日: 2015.10.04/記事更新日: 2016.01.02
津軽海峡線を走るEH500牽引の貨物列車
木古内付近を走るEH500形牽引の貨物列車

青函トンネルは新幹線を前提に作られた

青函トンネルは建設の段階から新幹線が走れるようにされていました。1988年に開業してから25年以上新幹線は走ることがなく、特急電車や貨物列車が運行されていました。北海道新幹線開業にあたり、当初の予定通り新幹線が運行することになったわけですが、一つ大きな問題が生まれました。旅客は全て新幹線に移行するとしても、25年に渡り北海道の物流を支えてきた貨物列車を廃止することは出来ません。

そこで青函トンネルを含む一部区間を、貨物列車と新幹線の両方が走る共用走行区間とすることにしました。しかし、それはそれでまた別の問題が発生してしまいました。この記事ではどういった工事が行われ、どのような問題が発生したかを紹介します。次回の記事北海道新幹線青函トンネル問題を整理する その2ではどのような解決法が検討されているか紹介します。

北海道新幹線のためにどんな工事が行われたか

北海道新幹線開業にあたり、青函トンネルを含む共用走行区間「新中小国信号場~青函トンネル~湯の里知内信号所」間で大きく分けて4種類の工事が行われました。

・新幹線と在来線の共用を可能にする三線軌条化
・新幹線と在来線の中心位置がずれることによる架線の偏移の調整
・新幹線と同じ電圧25kvへの電圧変更
・古くなったATCの更新及びそれに関するケーブル敷設

これが主なところとなっています。それでは一つづつ解説します。

三線軌条化

北海道新幹線共用区間の三線軌条
北海道新幹線の三線軌条
急行「はまなす」より撮影
在来線と新幹線では線路の幅が違い、新幹線より在来線のほうが狭くなっています。貨物列車は九州から北海道まで走る列車もあり、在来線に合うような一般的な規格で作られています。そこで問題解決のために、線路を一本だけ共有して3本にします。こうすることで新幹線と在来線が同じ区間を走れるようになります。この方法はミニ新幹線や一部私鉄線で実績のある方法ですが、高速走行予定の新幹線区間では初めての採用です。

架線偏移の調整

三線軌条の写真を見ていただくと分かりますが、三線軌条区間では在来線と新幹線では車両の中心が異なってしまいます。通常電車の架線は、線路の中心にくるよう張ればいいのですが、三線軌条区間では新幹線線路の中心と在来線線路の中心の間にする必要があり、その調整が行われました。

2500kV化

元々共用区間の電圧は東北地区のJR在来線で一般的な、交流20000Vでした。しかし、新幹線は交流25000Vで電圧が異なります。そのため共用区間の電圧を新幹線と同じ電圧へ変更し、貨物列車を牽引する電気機関車を交流20000Vと交流25000Vで走れるようにして対応しました。

ATCなどの信号設備更新

列車制御システムは青函トンネル建設時に整備新幹線計画へ含まれるようになった時に、ATCを採用することが決定し新幹線用ATCに準ずるシステムで構築しました。しかし、現在の新幹線は青函トンネル建設時より新しいATC、デジタルATCになったため、青函トンネル内のATCも更新することになりました。

新幹線と在来線が共用するとどんな問題が起きるか


・新幹線と貨物列車双方にダイヤ上の制約が生まれる
・すれ違い時の安全確保
・コンテナの飛散対策

ダイヤ上の制約


貨物列車は設計上100キロを上回る程度までしか速度を出せません。青函トンネルを走る貨物は、南は福岡からと様々な場所を基点に走るので100キロ以上出せる専用車両を融通するのは現実的ではありません。そして新幹線は本来200km/hを超えて走るよう設計されているので、貨物にあわせて走るということは大きな無駄が生じます。

すれ違い時の安全確保

次にすれ違い時の問題ですが、コンテナ車はトンネルを相対速度200km/hですれ違うことは想定していても、300km/hなどは想定していません。想定以上の速度ですれ違えばコンテナが吹き飛ぶなど何が起こるか分かりません。重い荷物をつんでいる時は対策のしようもあるかもしれませんが、軽い荷物であったり空のコンテナである場合もあり、対策を余計に難しくしています。

コンテナの飛散対策

何らかの理由で貨物が脱線したりして、積載物の飛散が起こった場合新幹線に衝突してしまいます。その対策も必要とされています。

それでは次回の北海道新幹線青函トンネル問題を整理する その2でどのように緩和・回避するかを書いてみたいと思います。

余談なのですが、現在厳密な意味での新幹線との線路共用が行われているの区間はありません。秋田新幹線の一部区間は三線軌条化さていますが、在来線扱いなので新幹線との線路共用ではありません。この区間は旅客列車のみとの共用ですが過去には山形新幹線にあった三線軌条区間では貨物列車との共用があったと思うので、青函トンネルと似た状況の路線が存在したことがあります。

青函トンネルは安全上火気厳禁なので可燃物を積載した車両は原則として通行できません。そのため貨物列車もコンテナ主体で可燃物を積載しないものとなっています。ただし、厳密には自動消化機能を搭載した電源車、青函トンネル内のみ電源OFFとなる発電機付き冷蔵コンテナなどの例外があります。

関連記事
第二青函トンネルのメリットから建設まで考える


2015年12月17日木曜日

北海道新幹線「奥津軽いまべつ」10往復停車の要望、実現可能か?




今別町の町長がJR北海道に対し「奥津軽いまべつ駅」へ新幹線10往復の停車を要望し、7往復の運行を実現したことについて紹介します。
記事作成日: 2015.04.16/記事更新日: 2015.12.17

そもそも「奥津軽いまべつ駅」って?

工事中の北海道新幹線奥津軽いまべつ駅
工事も大詰めの奥津軽いまべつ駅
2015年7月撮影
「奥津軽いまべつ駅」は北海道新幹線の停車駅で「新青森~木古内」間に出来る駅です。現在は「津軽今別駅」という名称の無人駅があり、その駅を新幹線が停車できるように工事をして名称を変更する予定です。津軽線の「津軽二股駅」が歩いてすぐ行ける距離にあります。

基本的に駅の周りは山です。駅のそばに道の駅があるだけで、あとは畑と人家が少しといった感じです。そのため開業後は新幹線で最も利用者の少ない駅になるのではないかと言われています。

2015年度の列車本数は「津軽今別駅」に特急白鳥が2往復、「津軽二股駅」に普通列車が5往復で、合わせて7往復の運行です。それに対し新幹線は基本が10両編成となるので、1日10往復も停車させたら明らかに輸送力過剰です。

13往復中7往復の停車

今別町長は2015年3月15日にJR北海道へ対し、10往復の列車を停車させて欲しいと要望したと報道されていました。結果「新青森~函館北斗」全13往復のうち、7往復の列車が止まる予定となりました。10往復には及びませんが、白鳥2往復に比べれば大幅増便です。この結果と他の例を比較してみましょう。

2014年度の新幹線乗降数が最も少ない駅は、東北新幹線の「いわて沼宮内駅」です。この駅の乗降人員は200人にも及びません。しかし、この駅に停まる列車は定期列車だけでも8往復設定されています。この駅はIGRいわて銀河鉄道の停車駅でもあるのですが、そちらの乗降人員は1000人近くあります。

なので「奥津軽いまべつ駅」は今までよりも条件が悪かった中、決して少なくない運行本数を確保出来たと言えるのではないでしょうか。

自治体の長というのは駄目もとで要望を出したりしないといけないときがあります。「いわて沼宮内駅」のケースを見る限り、要望する価値はあるようにも見えました。10往復全ての停車というのは難しくても、要望を出しておけば特急白鳥の2往復よりは運行本数の増加を見込めそうだったからです。結果として要望通りとは行かなくとも7往復と、健闘しました。JR北海道がどの程度配慮したかは分かりませんが、要望した価値はあったのではないでしょうか。

今後の注目点はJR東日本との協調か

津軽線津軽二股駅構内踏切よりみた様子
津軽線津軽二股駅構内踏切にて撮影
左上が奥津軽いまべつ駅
最初に説明したように奥津軽いまべつ駅は津軽二股駅の目と鼻の先にあります。せっかく新幹線が停車するようになったのに、津軽線の列車が新幹線と接続が悪かったりしたら意味がありません。また、津軽線では一部シーズンに青森から三厩までリゾート列車の運行も行っていて、その部分の連携も必要になってくると思います。今後どの程度連携が取れるかが、7往復停車とした結果の意義にも繋がりそうです。

※関連記事
JR北海道 8月10から津軽今別駅全列車通過へ
絶賛工事中津軽今別駅・奥津軽いまべつ駅 津軽線レポート Part3


2015年9月16日水曜日

北海道新幹線試験で津軽海峡線全面運休




JR北海道は北海道新幹線開業に向けた地上設備の切り替え試験のために、津軽海峡線を複数回にわたり全面運休すると発表しました。
記事作成日: 2015.07.17/最終更新日: 2015.09.16

年末の試験内容は運行管理システムが中心

津軽線蟹田駅を通過するEH500形貨物と停車中の701系
蟹田駅にて
津軽海峡線を走るEH500形


・貨物列車が共用走行区間と在来線を直通できるか
・新幹線と貨物両方を走行させた状態で24時間安定稼動できるか

北海道新幹線開業を見据えて現在の在来線用管理システムとは別に、新幹線用管理システムの「CYGNUS」と新在来線用運行管理システムが開発されました。新幹線開業後は二つのシステムが連携して制御を行うことになっていて、年末の行うのはその試験です。

現在「青森~青函トンネル~五稜郭」間を通過する貨物列車は、在来線用の運行管理システムが制御を行っています。

それに対し、北海道新幹線開業後は「青森~新中小国」と「木古内駅手前~五稜郭駅」は新在来線用運行管理システム、共用走行区間や青函トンネルを含む在来線の「新中小国~青函トンネル~木古内駅手前」と、北海道新幹線全線にあたる「新青森~青函トンネル~新函館北斗間」は「CYGNUS」が制御を行うことになります。

分かりにくいと思うので、列車ごとにも説明します。「青森~五稜郭」間を走行する貨物列車の場合、「青森~新中小国」間は新在来線用運行管理システム、「新小国~青函トンネル~木古内駅手前」間は「CYGNUS」、「木古内駅手前~五稜郭」間は新在来線運行管理用システムが制御します。対して新幹線は「新青森~青函トンネル~新函館北斗」間全てを「CYGNUS」が制御します。

現在の「青森~新中小国」と「木古内駅手前~五稜郭駅」では、新幹線開業後用の新運行管理システムが稼動していません。そして現在稼動している運行管理システムは「CYGNUS」と連携することができません。

そのためEH800形電気機関車を使った試験では、木古内や新中小国で一旦停止した後に、現在のシステムから新システムへの切り替えを行って試験を行っています。なので目的の一つとしては、線路を新システムへ切り替えた状態で「青森~青函トンネル~五稜郭」間をEH800形が走行し、北海道新幹線開業後と同じようスムーズに運行管理システムの切り替えが出来ているか確認することです。

現在青函トンネルの架線電圧や信号システムは試験を行う深夜の時間帯だけ北海道新幹線開業後の状態に変更し、その他の時間帯では通常の特急や機関車が走れるよう元に戻しています。二つ目の目的として、北海道新幹線開業後と同じように架線電圧と信号システムを変更し、24時間稼動させても問題ないか確認することがあります。

また、北海道新幹線の列車はJR東日本の東北新幹線と直通するわけですが、そのために「CYGNUS」はJR東日本の新幹線運行管理システム「COSMOS」とも連携する機能を備えています。

青函トンネルを通過する全ての列車を運休

この試験を行っている間は、現在運行している車両は通過することが出来ません。そのため、特急「スーパー白鳥・白鳥」、急行「はまなす」、貨物列車の全てが運休になります。関連して江差線や津軽線の一部列車も運休予定です。

なぜこの日程になったかと言いますと、物流量が減る時期を狙ったからだそうです。現在も夜行列車が度々運休していますが、夜行列車の運転日程からこの時も旅客需要より物流が減るかを優先してして運休していることが分かります。

元旦と3月に実施

11月1日に行われる試験では、青函トンネルを通過する12月31日・1月1日始発の急行はまなすと、1月1日運転のスーパー白鳥・白鳥を全面運休します。青函トンネルを通過しない江差線列車も12月31日の函館出発9時以降から1月2日の始発列車などが運休します。

さらに3月22日~25日にも行われます。こちらは試験ではなく、地上設備の切り替えを行うために運休が発生します。


2015年8月25日火曜日

えちぜん鉄道が新幹線線路をレンタル




福井駅高架化工事によりえちぜん鉄道が新幹線ホームへ一時的に乗り入れることになります。今回はそのことについて紹介します。

えちぜん鉄道新幹線の線路へ

えちぜん鉄道福井駅に停車するMC6001形
えちぜん鉄道福井駅
後ろの高架が北陸新幹線福井駅

福井市では駅と鉄道が市を分断し、交通の妨げなどになっていたため鉄道と駅の高架化工事を進めています。現在工事が完了しているのはJR在来線と北陸新幹線で、残すはえちぜん鉄道の高架化のみとなっています。しかし、スペースの関係で現在えちぜん鉄道が運行している線路・駅をそのまま高架化する必要が出てきました。

一部完成している北陸新幹線福井駅
一部完成している北陸新幹線福井駅
2014年冬撮影

そこで、完成している北陸新幹線の高架へ仮設アプローチ線を設け、えちぜん鉄道がを新幹線ホームを間借りします。次に、現在のえちぜん鉄道が運行している線路を一度撤去して、その場所にえちぜん鉄道高架線を建設します。最後に新幹線ホームへのアプローチ線を撤去して、本来のえちぜん鉄道の高架に繋げて完成するという方法をとることになりました。そのため2015年9月27日より新幹線線路へ乗り入れ、3年ほどかけて高架化工事を行います。

余談ですが、似たような理由から東海道新幹線建設時に、阪急京都線が東海道新幹線の線路を間借りして走ったことがあります。

新幹線開業後は幻の駅となる新幹線新福井駅

仮設線は「福井口~福井」駅間に設けられるので、福井口から順に解説したいと思います。

福井口駅は現在の位置から福井駅側の踏切を挟んだ場所に、仮設駅として移設されます。

そこから福井寄りに進むと北陸新幹線へ続くアプローチ線に続きます。このアプローチ線を登ると、北陸新幹線高架上に対向式の仮設新福井駅が見えてきます。

新福井駅から新幹線の線路を進むと新幹線福井駅に到着します。この新幹線福井駅が、えちぜん鉄道の高架化工事が完了するまではえちぜん鉄道福井駅となります。

最終的には「福井口~福井」駅間が高架線となります。なので、仮設福井口駅と新幹線本線上に仮設された新福井駅は、撤去される予定です。

今回写真が少ないので非常に分かりづらいと思います。グーグルアースで既に建設され仮設線を見ることが出来るので、福井口駅から福井駅まで順にたどってみることをお勧めします。私の説明より簡単に理解できると思います。

2015年7月24日金曜日

絶賛工事中津軽今別駅・奥津軽いまべつ駅 津軽線レポート Part3




津軽線レポートとして、津軽線と建設中の北海道新幹線「奥津軽いまべつ駅」についてレポートします。前回の津軽線「蟹田~三厩」に続き、今回はもすぐ役目を終える津軽今別駅と建設中の奥津軽いまべつ駅について紹介します。

津軽今別駅駅名板
プレハブ駅舎と駅名標

再度津軽線へ乗車

時間の関係で三厩駅から一旦青森駅まで戻り、再度蟹田駅から三厩行き普通列車で津軽今別駅を目指します。

津軽線津軽二股駅に停車するキハ40
津軽線津軽二股駅とキハ40

1両編成のキハ40に揺られて蟹田駅から20分ほどで、一面一線の津軽二股駅に到着します。発車する列車を見送って、早速津軽今別駅へ向かいます。津軽線津軽二股駅は海峡線の津軽今別駅に隣接する形になっていて、構内踏切を渡って階段を上ると津軽今別駅です。

津軽今別駅へ続く階段
津軽今別駅へ続く階段
津軽二股駅構内踏切手前より撮影

津軽今別駅は海峡線の駅で、本州にある乗降できる唯一のJR北海道の管轄駅です。2015年の8月10日に在来線津軽今別駅としては廃止の予定で、北海道新幹線開業後には新幹線駅奥つがる今別駅として再度開業する予定です。なので、見学するなら今が最後のチャンスとなります。

津軽今別駅階段
雪対策で強固な階段になっている模様

津軽今別駅へ続く階段は、冬でも埋まらないようにか屋根付きの立派なもので、階段を上るとすぐに函館方面側に到着します。プレハブの待合室があり、中では工事関係者の方たちが休んでいました。

津軽今別駅函館方面仮設ホーム
津軽今別駅函館方面仮設ホーム

函館方面のホームへ上がると仮設ホームであることが分かります。新幹線開業後は在来線は2面4線になるらしいので、架線柱の配置や仮設のポイントを見る限り仮設ホームのあたりに線路がもう一本敷設されるようです。

津軽今別駅を通過する函館方面へ向かうEH500系とコキ
通過する貨物列車

そうこうしてると仮設の踏み切りが鳴り始めたので、そちらへ向かいます。踏切が鳴ってすぐにEH500系が牽引する貨物列車が通過していきました。踏切側の制限速度を見ると120km/hなので、貨物や特急はかなりの速度で通過できるのが分かります。

津軽今別駅仮設踏み切り
仮設踏み切り
手前と奥が津軽線で真ん中が北海道新幹線
ロックマンのあれが設置してある

貨物列車が通過して少し立つと、今度は油圧ショベルが線路上に現れました。日中の列車の合間にも建設作業は行われているのですが、そのために線路を移動するために現れたようです。軌道走行用の車輪が設置すると、軽快なスピードを駆け抜けていきました。普段目にすることが少ないものなので、これもかなり驚きました。

函館方面ホームには戻らず新幹線ホームを見学します。見学するといってもホームに入れるわけではありませんが、開業したら絶対に見ることの出来ない線路上からのアングルでホームの様子を見ることが出来ます。この日は見ることができませんでしたが、運が良いと深夜試験の留置で停車しているH5系を見ることが出来ます。見学の数日前に北斗星で通過した際は停車しているH5系を見て、一人大喜びしていました。

北海道新幹線線路
北海道新幹線線路
奥には作業員の方が見えます

建設中の奥津軽いまべつ駅ホーム
建設中の奥津軽いまべつ駅ホーム

新幹線ホームは2面3線で雪対策のためにスノーシェルターのような屋根で覆われています。ホームには稼動柵が取り付けられる予定ですが、見る限り設置途中のようです。

津軽今別駅駅名板
津軽今別駅駅名板
JR北海道管轄だと分かる

今度は青森方面ホームへ向かいます。こちらにももう一つプレハブの待合室があり、こちらでも工事関係者の方が休んでいました。ホームは函館方面同様に仮設ホームで、仮設ホームの場所に線路が新たに敷設されるようでした。

ホームに到着してしばらくすると、列車接近放送が鳴り始めました。立っていると危ないと思ったので、しゃがんで柵側に身を寄せながら通過する新青森行き789系特急「スーパー白鳥」の撮影に備えました。

海峡線津軽今別駅を通過する789系スーパー白鳥
津軽今別駅を通過する
789系スーパー白鳥

実際に列車が通過すると思ったより速度は出ておらず拍子抜けでした。工事関係の方も多いので、若干速度を落して通過するのかもしれません。

一通り見学は終わったものの乗車予定の白鳥が到着するには時間があります。そこで津軽二股駅まで一旦戻り、駅横にある道の駅「アスクル」へ向かいます。

津軽二股駅横の道の駅アスクル
津軽二股駅横の道の駅アスクル
中へ入ると思ったより広いです。食事コーナーから特産コーナーまでいろいろあります。食事をする時間はなかったので特産コーナーを見ましたが、地域で採れる海産物やキノコのほかイノシシ肉などがありました。

一通り見てリュックに突っ込んでおいて腐らない食べ物とパッケージのデザインで、「とろろこんぶ」500円を購入しました。中身は今別産のととろで、パッケージは485系時代の「はつかり」が青函トンネルから飛び出してくる写真です。鉄道ファンなら心惹かれるデザインだと思います。

海峡線津軽今別駅に到着する485系3000番台白鳥
函館行き485系特急「白鳥」

そんなこんなで時間を潰すと、出発時刻が近づいてきました。函館方面ホームへ向かい、最後の485系特急定期運用である特急「白鳥」で津軽今別駅を後にしました。

津軽今別駅と津軽二股駅の映像

新幹線駅の建設の様子や仮設ホームの様子などそうそう見れるものではありません。8月10日までですが、見に行ってはどうでしょうか?
北海道新幹線で輝きを失う蟹田駅 津軽線レポート Part1
のんびりローカル津軽線 津軽線レポート Part2-前回

※関連記事
JR北海道 8月10から津軽今別駅全列車通過へ
北海道新幹線「奥津軽いまべつ」10往復停車の要望、実現可能か?

のんびりローカル津軽線 津軽線レポート Part2




津軽線レポートとして、津軽線と建設中の北海道新幹線「奥津軽いまべつ駅」についてレポートします。前回の津軽線「青森~蟹田」に続き、今回は津軽線「蟹田~三厩」について紹介します。

キハ40で出発

蟹田駅構内で入換えを行う津軽線キハ40
蟹田駅構内で入換え中の
津軽線用キハ40

津軽線に乗って三厩へ向かいます。三厩へは蟹田駅から出発するキハ40系ディーゼル列車で向かいます。北海道新幹線と平行する区間ですが、会社線が違うために平行在来線にはなりませんでした。日中は1両での運行で、かなりのローカル線ぶりを見せてくれます。この時は朝の時間帯でしたが、蟹田駅から高校生の方が多く乗り込んできました。終点の一駅手前の津軽浜名駅に高校があるので、そこまでの通学客です。それでも車内が満席になるようなことはありませんでした。

蟹田駅を出発すると中小国駅に停車します。ここは津軽線と海峡線の分岐点新中小国駅信号所の手前にあたるので、本当の分岐駅にあたります。しかし、函館方面へ向かう列車は全て通過し、停車する列車は三厩へ向かう普通列車のみの無人駅であるため、運賃計算などの書類上の分岐駅といった感じです。

ちなみに函館からの特急列車が全て通過する関係上、例えば「木古内~小国」間を利用する場合、実際に乗る列車の経路は「木古内~蟹田~中小国」ですが、「蟹田~中小国」往復分の運賃は支払わなくて済む特例があります。

中小国駅を出て新中小国駅信号所を通過すると非電化区間に入ります。中小国の次の駅太平駅を出ると、津軽二股駅です。「太平~津軽二股」は山を抜ける関係上、乗車時間が10分を越える区間です。

北海道新幹線をアンダーパスする津軽線
アンダーパスする津軽線より撮影した
北海道新幹線の高架橋

車体を木々に擦り付け、人気の無い山の中を抜けると北海道新幹線と海峡線の合流アプローチが見えてきます。畑や人家も少し増えてきて、津軽二股駅へ到着します。津軽二股では降りず、一旦三厩へ向かいます。(本当のところは寝過ごて、急遽予定を変更しただけなんですが・・・)

ここからは田畑や人家が見える田舎らしい風景が今別駅まで続きます。今別駅を出ると山間部を抜け、海辺の集落を走ります。終点一個手前の津軽浜名駅では高校生達が降りていき、車内はすっかり寂しくなりました。

津軽線より見える車窓
津軽線の車窓
夏の空が気持ち良い

津軽浜名駅を出ると海岸線を走り、海が見えてきます。津軽線という海っぽい名前が付いていますが、海がよく見えるポイントは「瀬辺地~蟹田」「津軽浜名~三厩」と意外と少ないものです。

津軽線三厩駅に停車するキハ40
1面2線のホームに停車するキハ40

列車は津軽浜名駅から5分もしないで終点三厩駅へ到着します。三厩駅は1面2線の有人駅で、「新中国信号所~三厩」間の津軽線非電化区間では唯一の交換駅になります。しかし、「蟹田~三厩」間は1編成の列車が往復するのが基本で、交換設備も臨時快速「リゾートあすなろ」号が運行の時ぐらいにしか使われていないようです。

津軽線三厩駅駅舎
三厩駅駅舎

地理的に見るとこの駅は津軽線としては最北端の駅ですが、JR東日本最北端としては大湊線下北駅があります。また、海峡線の竜飛海的駅から15kmも離れていない場所に位置していて、この駅から外ヶ浜町営バスで青函トンネル記念館へ向かうことも出来ます。なので、北海道新幹線の非常時には本州側の基地として、何らかの役目を果たすときがあるかもしれません。

北海道新幹線で輝きを失う蟹田駅 津軽線レポート Part1-前回
絶賛工事中津軽今別駅・奥津軽いまべつ駅 津軽線レポート Part3-次回

2015年7月17日金曜日

さよなら北斗星の旅 海峡線・青函トンネル編




北斗星乗り収めの旅について紹介します。前回の本州編Part2に引き続き海峡線・青函トンネル編について紹介したいと思います。

北斗星と新幹線がすれ違う!

津軽線から見える北海道新幹線の高架
北斗星から見える北海道新幹線の高架橋
津軽線内より

連結から約2時間後の4:15分頃に青森駅を出発します。「青森~函館」間は進行方向が変っての運転となります。青森駅を出ると青函トンネルへ続く津軽線へ入ります。10分も走ると田園地帯に入り、進行方向左手には北海道新幹線の高架橋が見えてきます。北斗星を撮影するために、多くの鉄道ファンも沿線でカメラをかまえていました。

そしてさらに15分ほど経つと、進行方向右手に陸奥湾から上る太陽を見ることが出来ます。朝早い時間にもかからわらず、多くの方が景色を眺めていました。

海岸沿いから内陸へ戻るとすぐに蟹田駅へ停車します。この駅でJR東日本とJR北海道の乗務員が交代します。最近まで走っていたトワイライトエクスプレスにカシオペアや急行はまなすと、青函トンネルを越える全ての列車で乗務員交代が行われます。

今度は新幹線との合流アプローチが見えてきました。蟹田駅を出発して15分程過ぎた5:00頃に津軽今別駅を通過します。この駅は本州でありながらJR北海道管轄の唯一の駅です。北海道新幹線開通後は在来線の駅としては役目を終え、新幹線の駅となります。そのためホームは仮設ホームになっています。急行はまなすが通常ダイヤの運転日の場合、この駅の前後で下り北斗星とすれ違います。

通過する際によーく駅を眺めていると、驚くことに新幹線H5系が停車していました。深夜試験を終えた後に津軽今別駅へ留置しておくことがあるのは知っていましたが、実際見ると違った感想が生まれます。北斗星がまもなく廃止されることを考えると、隣りの線路に新幹線が停まっているなんてのは今だけのものです。本当に良い思い出になりました。

青函トンネルへ突入

津軽今別駅を通過するとすぐに、いよいよ北海道へ向けて青函トンネルへ進入します。青函トンネルに入ると基本的には真っ暗で外は何も見えません。たまに本州へ向かう貨物が横をすれ違う程度です。

ただ、二箇所ほど明るくなっているポイントを通過します。それは竜飛海底駅と吉岡海底駅です。この二つの駅は非常時に備えて作られた非常用の海底駅で、本州と北海道の端っこに位置しています。以前は観光目的で見学出来るように停車する列車もあったのですが、北海道新幹線運行に備えて停車列車はなくなってしまいました。しかし、万が一に備えていつでも停車できるように灯りをつけて待っているというわけです。

北海道上陸

青函トンネルを40分ほど走ると山の中にでます。あまり実感は湧きませんが、これで北海道へ上陸です。トンネルを抜けて少し走ると新幹線との分岐アプローチを通過し江差線へ入ります。

江差線は海の横を走る路線で、津軽海峡や函館湾がよく見えます。海辺をよく見ていると昆布が干してあったり、北海道らしさも感じます。

しばらくは海沿いで人気の少ないところを走りますが、一時間もすると住宅が増えてきます。いよいよ函館に近づいてきた証拠です。ここでの次のイベントに備えてカメラの準備に入ります。

最終回北海道編へ続く
さよなら北斗星の旅 出発編(第1回)
さよなら北斗星の旅 本州編Part1(第2回)
さよなら北斗星の旅 本州編Part2(第3回-前回)
さよなら北斗星の旅 北海道編(最終回-次回)


2015年6月27日土曜日

リニア603キロ世界記録更新と北海道新幹線15年度試験 同日に実施




リニアの世界新記録更新と北海道新幹線の15年度試験開始が同日の2015年4月21に行われたのであわせて紹介します。

鉄道総研で保存しているMLX01
2003年に581km/hを記録したMLX01
鉄道総研にて撮影

リニアは10年で世界新記録を20km/h更新

2015年4月21日に鉄道で人を乗せての記録として世界最速の603km/hを記録しました。

2003年12月2日に有人世界最速の581km/hを記録して以来、しばらく有人での記録更新が行われていませんでしたが、2015年4月16日に590km/hへ記録が更新されました。その時に4月21日には600km/hを越える試験を行うと発表がされ、予告通りに600km/hを越えることができました。

この記録は2003年と比べると22km/hのアップで、鉄軌道を使ったフランスのTGVの世界記録574.8km/hより30km/h近い記録更新です。

2003年時は山梨リニア実験線開通時から走るMLX01系列を使っての記録でした。今回の記録は実験線を18.4kmから42.8kmへ延伸し、車両も山梨実験線では初のフルモデルチェンジを行ったL0系を使って初めて達成した記録更新です。

今回の試験の目的は実際の営業時に必要な設備を最適化するため550km/hの試験を行い見極めるという目的の一環として行われました。山梨リニア実験線は、将来営業線へ転用可能なように設計されています。そして、2015年度中に営業運転に向けての線路建設着工が行われる予定です。工事により実験線の線路が延びるにつれて、更なる最高記録の更新が期待できると思います。

正式にギネスへ認定へ

2015年6月26日にJR東海は、4月に行われた試験走行での記録603km/hが、6月25日にギネス記録に認定されたと発表しました。

北海道新幹線2015年度試験開始


こちらも予定通りの開始で、4月21日により北海道新幹線の2015年度列車走行試験が開始されました。

予定されているのは4月21日~7月30日までで、来年度開業する区間の全線にあたる「新青森~新函館北斗」間で試験が行われます。全線通しでの試験は5月下旬の予定です。

以前発表された内容の中に線路や電気設備を計測する車両「East-i」のによる検査というのがありましたが、こちらも期間中に予定通り実施される見込みです。

8月以降は営業運転に向けた乗務員訓練も開始する予定です。

※関連記事
East-i北海道へ 4~7月北海道新幹線試験


2015年6月7日日曜日

北海道副知事 はやぶさの宇都宮停車を要望




2015年6月5日の産経新聞で北海道副知事が北関東からの需要取り込みや修学旅行需要の拡大を狙って「はやぶさ」を宇都宮へ止めて欲しいとJR北海道へ要望し、JR北海道はJR東日本と検討したいと応じたと報道されました。

大宮駅に到着するE5系新幹線

確かに宇都宮に停まらないのは勿体無い

そもそも何故このような話が出たかを解説します。今のところ発表されている情報では、「東京・仙台~新函館北斗間のはやぶさ」と「盛岡・新青森~新函館北斗間のはやて」2系統が運転される予定です。なので、宇都宮から北海道へ新幹線で行くには、大宮駅か仙台駅で「はやぶさ」に乗り換える必要があります。

普通のお客さんであれば乗り換えで済むのですが、修学旅行となる短い乗り換え時間で大勢の生徒が移動するのは大変なのが想像できます。また、航空機との競争を考えた場合では、羽田空港に近い東京より北関東などのほうが競争力が大きくなるります。その時、北関東のお客さんが不便になるは勿体無いのない話です。そう考えたときに、最速達の「はやぶさ」を停車させるのは無理にしても、「はやぶさ」に準じた速達型の「はやて」を1日1往復でも良いので走らせて見ても良い気はします。

ただ、北海道向けの需要と言っても函館までの需要で、その中でも小さい北関東からの需要です。修学旅行の話にしても、今のところは増えるだろうという希望的観測で、具体的な需要の話ではありません。JRとしてもその辺が懸念事項なんだとは思いますが、開業時どういったダイヤを発表してくるかは気になるところです。


2015年5月27日水曜日

加速する整備新幹線計画 新幹線はどこまで伸びる?




日本の都市を広く結ぶ新幹線ですが、まだまだ延伸予定があります。そういった整備新幹線の建設が早まっている現状について、紹介したいと思います。

東京駅に到着するE7系
整備新幹線として延伸した
北陸新幹線の車両

建設予定の整備新幹線

2016年 北海道新幹線 新青森~新函館北斗間開業 (JR北海道)
2022年度より前 九州新幹線西九州ルート(長崎ルート) 武雄温泉~長崎間(JR九州)
2022年度 北陸新幹線 金沢~敦賀間 (JR西日本)
2027年 中央リニア新幹線 品川~名古屋間(JR東海)
2030年度 北海道新幹線 新函館~札幌間(JR北海道)
2045年 中央リニア新幹線 名古屋~新大阪(JR東海)

今建設が決まっているのはこれだけです。2014年から2015年にかけて行われた政府の検討会「整備新幹線の取り扱いについて」で、「九州新幹線は出来るだけ早く・北陸新幹線は3年・北海道新幹線は5年」の前倒しが決定し、以上のような予定になっています。

前倒しが決まった背景には人口減少が進む中、早くに建設したほうが経済効果がより大きく出来るというのがあったようです。

これを実現するには財源の問題がありました。そのため将来入ってくる貸付料を前倒しして活用したり、鉄道・運輸機構がJR貨物に払っている補助金「貨物調整金制度」を減額して財源にあてることの検討、それでも足りない分は国・自治体が負担することで目処をつけました。

しかし、財源以外にも問題があります。九州新幹線と北陸新幹線の延伸区間はフリーゲージトレインの導入(以下FGT)を前提にしている区間です。FGTは新幹線と在来線の両方へ乗り入れることが出来る画期的な車両ですが、技術的には課題が残っています。なので、開業の前倒しに技術開発が間に合わないおそれもあります。

そしてもう一つは、政府が発表していない懸念として、震災復興やオリンピック特需のによる資材高騰の見積もりが甘いのではないかというものです。

私としては、大型インフラなどの地方への投資は必要だと思いますし、前倒し自体は悪くないのではないかと思います。しかし、新幹線に限らず作った物を後で十分生かせてないことが多いように思えます。そうした中での前倒しは、話が煮詰まらないうちに完成するような事態になってしまうのではないかと思います。作ることだけでなく作った後の議論も素早く行うことが、必要なのではないでしょうか。


2015年2月12日木曜日

北海道新幹線アクセス列車は「はこだてライナー」に決定




2015年2月12日にJR北海道は北海道新幹線アクセス列車の愛称を「はこだてライナー」に決定したと発表しました。

札幌駅停車中の733系
函館ライナーに使われる733系1000番台のベース車となる
千歳線などで使われている733系

「はこだてライナー」概要

運行区間: 「函館~新函館北斗」間
車両: 733系1000番台4両×3編成の計12両

千歳線で運行されている733系をベースに座席はロングシートで、「新幹線との連携・一体感」と「函館らしさ・北海道らしさ」「北海道の豊かな自然」「函館の異国情緒」などのデザインコンセプトを取り入れた車両です。

運行予定区間の「函館~新函館北斗」間のうち、「五稜郭~新函館北斗」が非電化のため、電化工事を行っています。

愛称募集について

列車の愛称募集は2014年11月20~12月22日に行われ、6173件の応募がありました。その中でも289件ともっとも応募数の多かった「はこだてライナー」に決定しました。応募数だけでなく「函館とライナーな掛け合わせた親しみやくす分かりやすい」という理由も選定時に考慮されました。

採用名以外にも2692種の名前が送られてきました。「函館リレー」「リレーはやぶさ・はやて」「いさり火ライナー」などがあったそうです。

さらに、今回列車名に採用された方の中から「金賞のオリジナルNゲージ1名」「銀賞の733系オリジナルマグカップ40名」が、応募された方の中から「銅賞のH5系オリジナルグッズ40名」が2月中旬ごろに送られる予定です。

あとがき

これで「白鳥」という名前は消えてしまいそうですね。歴史のある特急名なのでなんとか残って欲しいと思う反面、ライナー名にはふさわしくないとも思っていました。中途半端な形で残るよりは良いのかもしれません。

またいつか復活する日が来ると良いと思います。


2015年1月25日日曜日

酒田市の考える陸羽西線ミニ新幹線化




酒田市などが2015年2月4日に「鉄道講演会~陸羽西線を活用した山形新幹線の庄内延伸」という講演を実施するというので、どういった路線にすることを考えているのか簡単に紹介したいと思います。

東京駅に停車中のE3系つばさ
山形新幹線「つばさ」号で使われているE3系
東京駅にて

陸羽西線とは

陸羽西線は山形県新庄駅から余目駅を結ぶ全長43kmの路線です。車両はキハ110が使用されていて全線非電化です。

余目から酒田までは羽越線で12kmほどの距離になります。

陸羽西線をミニ新幹線化

山形新幹線の終点である新庄駅から酒田までフル規格でなく、ミニ新幹線で延伸することを検討しています。延伸するにあたり新規に線路を建設するのではなく、以下の理由から陸羽西線を利用することとしています。

・平坦でカーブが少ない
・観光地が多い
・すれ違い設備が多い
・電化を前提に建設されたので、橋梁・トンネルの改修が最低限で済む

失礼な言い方ですが前提に間違いがないのであれば、設備に関してはこの手の延伸計画のなかではまともな案ではあるようには感じます。ただ、採算などを考えると疑問は残りますが、JR東日本が公表する2013年度の1日平均の乗降客数データによると新庄駅「1605人」で酒田駅「1313人」で思ったより差がありません。それだけを見るなら無理では無いような気もしきますがどうなんでしょうか。

また、新潟方面からの延伸計画などもあったと思ったので、そちらとの絡みも気になります。

整備新幹線の前倒しで山形県全体で新幹線延伸しようという動きが高まっています。私は山形県の動向や状況については詳しくないので、少しずつ動向を追っていこうと思います。


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