2016年6月17日金曜日

意外な会社が受注 日比谷線新型車両




意外な会社が受注した東京メトロと東武鉄道の日比谷線向け新型車両について紹介します。
記事更新日: 2017.02.28

東武もメトロも近畿車輛が受注

目黒駅に停車中の日比谷線03系
日比谷線から撤退が決定している東京メトロ03系
東京メトロから撤退の発表があった03系ですが、その後継車両を作る会社が近畿車輛である分かりました。2014年11月6日に近畿車輛から発表された内容によると、一編成あたり7両の20m車を計42編成受注したということです。03系は42編成が運行されているので、まるまる置き換えることが分かります。

新橋駅に到着する東京メトロ1000系
銀座線を走る日本車両製の東京メトロ1000系
最近の東京メトロは操舵台車という特殊な台車を使用してる銀座線1000系を除き、日立製作所からの納入が中心となっています。ステンレス車体でなくアルミ車体を好んで導入しています。それらから考えると、アルミ車体を得意とする日立の「A-train」シリーズか、操舵台車を採用するなら銀座線1000系と同じ日本車輛になりそうなところ、近畿車輛となったのはかなり以外でした。

アルミ製車両は日立以外も作れますし、現在日比谷線で運行中の03系も近畿車輛製で、新幹線なども作れるレベルの高い企業なので技術的に不足はありません。

東武鉄道も近畿車輛が

小菅駅に入線する東武鉄道20000系
現在日比谷線直通車として活躍する東武鉄道20000系列
また、今後の車両動向として気になるのは東武鉄道の動きです。今回の新型車両導入は日比谷線のホームドア化にあわせたものとなっています。なので乗り入れている東武鉄道も新型車両にする必要があり、こちらも新型車両の導入を発表しています。

そこで気になったことの一つ目はどこの企業が受注するかということです。近年は東武鉄道も日立製のA-trainばかりを導入しているので順当にいけば日立製の新型車両ということになります。しかし、東京メトロとの仕様共通化に合わせてか、近畿車輛が製造を担当することになりました。現在東武鉄道が運行している車両に近畿車輛製が無い事や、2006年導入の50000系以降は全て日立製だったことを考えると、こちらも以外な会社が受注したと言えます。

二つ目は現在日比谷線直通用に使用されている20000系列をどうするかということです。先代の2000系は比較的若い車両を野田線で走っていた3000系を置き換えるために改造して転属させましたが、野田線はホームドアの導入も始まったので野田線への転属はありえませんし、20m車が基本の東武鉄道ではどの路線でも使い勝手がよくありません。更に、野田線の8000系などの置き換えなくてはいけない車両が沢山あるので、そのまま廃車も厳しい状況です。そのような状態でどうなっていくかは興味深いものです。

2016年度から納入開始

東武鉄道と東京メトロが車両を共通仕様にすると2015年6月17日に発表されました。車輛形式は東京メトロが13000系で、東武鉄道が70000系となります。外観こそ違いますが、車内や足回りなどは共通化されています。

13000系が一足先に

越谷貨物ターミナルで陸送の準備をする13000系
越谷貨物ターミナルで陸送の準備をする
東京メトロ13000系
2016年度から2019年度にかけての導入予定で、2016年6月11日に近畿車輛から13000系第一編成が輸送開始されました。近畿車輛のある徳庵から越谷貨物ターミナルまでは鉄道輸送、そこから先はトレーラーによる陸送で千住検車区まで運ばれました。

越谷貨物ターミナルでの映像

車両は一気に運ばれるのではなく、何日かに分けて陸送されました。この後の甲種輸送では、東武70000系と同じ秩父鉄道線・東武線での輸送に切り替えられました。

70000系が2月末に到着

羽生駅の留置線に停車中の東武70000系
羽生駅留置線に停車中の様子
13000系の到着から遅れること半年以上、東武70000系が2017年2月27日に東武鉄道へ到着しました。いつも通り秩父鉄道を経由して、羽生駅からの搬入となりました。

※関連記事
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2016年6月16日木曜日

東上線90周年でリバイバル塗装2編成運行開始へ




東武東上線全通を記念して運行されている、青いボディに黄色のラインの特別編成列車「フライング東上号」について紹介します。6月には2度目の臨時列車も運行される予定で、ツアーについては記事最後に紹介します。
記事作成日: 2015.10.22/記事更新日: 2016.06.16

池袋駅停車中のフライング東上カラー50090系51092F
2016.03.26のダイヤ改正から運行開始した
朝ラッシュTJライナーの
一番列車にも51092Fが使用された

2編成がフライング東上号塗装へ

使用車両: 50090系51092F/8000系8198F
運行期間: 2015年11月28日より約1年間

2015年10月22日に東武鉄道は東上線全通を記念して11月28日により2編成のリバイバルカラー車両を運行すると発表しました。

今回再現されるのは1949年~1963年にかけて運行された臨時列車フライング東上号の塗装です。塗装は濃い青色に黄色帯で、フライング東上号が運行され中でも1950年~1952年に使用されたものが選ばれました。

50090系初のフルラッピングへ

池袋駅停車中の50090系51092FTJライナー
50090系51092号編成
1編成目の50090系は車両全体をシールを使ってラッピングする、フルラッピングで再現されました。50090系のカラーリング変更は今回が初めてです。

小川町駅停車中の東武鉄道50090系51092Fフライング東上号リバイバルカラー
フルラッピングが施された50090系51092F
東上線ではステンレスやアルミ車体の車両に広告用ラッピングを施すことは以前からありましたが、私が知る限りフルラッピングで車両全体を覆うのは今回が初めてです。主体側面だけでなく、先頭車両のガラス部分を含めてラッピングが行われています。

東武鉄道50090系51092Fフライング東上号リバイバルカラー側面LED表示器
LED行き先表示器とロゴ
側面の行き先LED表示器の下には翼を模した90周年記念ロゴがあしらってあります。

東武鉄道50090系51092Fフライング東上号リバイバルカラー車内広告
広告分部が東上線の写真などになっている
車内広告もステッカータイプの広告を除いて、東上線にちなんだものになっています。ざっと見た限りでは車両ごと違う写真などではなく、一車両で1セットのような感じです。

運行初日の映像

運行区間は「池袋~小川町」間で夕方はTJライナーや快速急行の運用に多く入りますが、日中はそれ以外の運用でも見ることが出来ます。運用は得に発表がないので、特定の運用などにはつかづ他の50090系と共通になるようです。

8000系3編成目の特別塗装

東上線を回送として走る東武鉄道8000系8198F
8000系8198F
もう一編成は8000系ワンマン化対応編成を50090系と同様のカラーリングへ変更します。現在越生線・東上線「小川町~寄居」間では現行塗装の8000系ワンマン車以外に、特別塗装のツートンカラーの81107Fとセイジクリームの81111Fが運行しています。今回新たに3編成目の特別塗装編成として加わりました。

小川町付近を走る東武鉄道8000系8198Fフライング東上号リバイバルカラー
50090系と同様の塗装が施された
8000系8198F
8000系8198Fは50090系とほぼ同様の塗装が施されました。。50090系がラッピングなのに対しこちらは塗装であるため、先頭車両の行き先表示器付近は従来通りに黒のままです。ヘッドマークは50090系がステッカーなのに対し、こちらは円形の板方のものが取り付けられています。

東武鉄道8000系8198Fフライング東上号リバイバルカラーの側面行き先LED表示器
側面行き先LED表示器
50090系とはロゴの位置が異なる
8000系も行き先LED表示器の側に記念ロゴが貼ってあります。51092Fとは位置が異なり、位置が横になっています。

東武鉄道8000系8198Fフライング東上号リバイバルカラーの車内
車内は特に変更されていない
51092Fとは異なり車内は特に変更されていません。内装から広告まで、通常塗装の8000系と同じです。

運行初日の映像

運行区間は営業運転で越生線全線・東上線「小川町~寄居」間で、森林公園への入出庫を兼ねた回送運用では東上線「坂戸~小川町」間でも見ることが出来ます。

運行初日には有料ツアーを実施

使用車両: 50090系51092F(池袋~小川町)/8000系8198F(小川町~寄居)
運行区間: 池袋9:16発→小川町10:50/10:55発→寄居11:11
募集期間: 2015年10月23日~11月20日
募集人員: 450名
開催日: 2015年11月28日

運行初日の11月28日に「東武東上線全線開通90周年ツアー」と銘打ったツアーが行われました。費用は大人9000円の子供8500円です。内容としては臨時列車に乗りながら東武博物館花上名館長によるフライング東上号についてのトークショーが発表されています。記念品としてステンレス製の乗車証明証と東上線・越生線全駅から150円区間分計45枚の切符と台紙のセットが配布されました。全駅の切符のセットだけでも6750円相当なので、切符収集をしてる方にとってはお得なツアーかもしれません。

運行初日の運用としては、8000系8198F始発電車からY71運用で「小川町~寄居」間で運行を開始しました。その後ツアー列車として運行された後、Y71運用へ戻りました。

51092Fはツアー列車として運行を行い、その後臨時急行列車から一般営業へ入りました。TJライナーや快速急行の運用に入ることが期待されましたが、有用運用は急行・快速運用についたのみでした。

快速急行やTJライナー運用にも

すれ違う通常塗装とフライング東上号塗装の50090系
通常塗装とのすれ違いも
運行2日目の11月29日にはTJライナーや快速急行運用にも入りました。通常塗装の50090系とすれ違うシーンも見ることが出来ました。

TJライナーや快速急行の映像

51092F使用の2度目のツアー列車運行


使用車両: 50090系51092F
募集人員: 各コースー350名
開催日: 2016年6月12日
料金: 大人7000円/子供6700円
Aコース: 池袋9:15発→森林公園検修区10:20頃
Bコース: 池袋13:02発→森林公園検修区14:20頃

運行から半年も過ぎた6月12日に、臨時ツアー列車が運行されます。使用車両は50090系51092です。ツアーは池袋を出発し森林公園検修区にて自動車両洗浄機を通過し下車、そのまま8000系リバイバル塗層3編成撮影会約一時間となっています。ツアーのおまけとして、「記念乗車証・先行方向版レプリカ・駅間書類等送付用往復袋レプリカ・ツアー限定弁当」の4点が付きます。注意として、Bコースだけ花上名誉館長と鉄道ジャーナリスト渡辺史絵さんが同乗します。

ダイヤとしてはAコースに関しては、回送共に11月の臨時列車とおおよそ同じダイヤとなっていました。先行する急行電車を追いかけるダイヤです。映像をみて頂くと分かりますが、外観などに特に変更はありませんでした。行き先表示器の表示は「団体専用」となっていました。

1年ほど走ることになる二つのリバイバルカラー編成ですが、日常やイベントなど様々な場面で楽しませてくれることになりそうです。

関連記事
久々の寄居直通! 東上線団体臨時ブルーバード号50090系


2016年6月8日水曜日

最後の6扉車は総武線か田園都市線か? 消える6扉車




過酷な通勤ラッシュを少しでも改善するために苦肉の策で生み出された6扉車が消えようとしています。そんな6扉車についてや、6扉車同様に通勤ラッシュのために考えられた5扉車やワイドドア車についても紹介します。
記事作成: 2015.01.09/記事更新: 2016.06.08

そもそも6扉車とは?

6扉車とは混雑が大きい路線のために運用されている車両で、編成のうち特に混雑が酷い位置に1・2両組み込まれます。扉が6つある以外の特徴としてラッシュ時には座席を折りたたみ、多くのお客さんが乗れるようになっています。確かに効率性は高り車内の快適性も上がったのですが、あまりの殺風景さに一部マニアは家畜電車などと揶揄していました。

山手線E231系500番台の6扉車
山手線に連結されていた6扉車
ホームドア設置に伴い引退した
導入路線も混雑が非常に激しい路線ばかりでした。しかし、次第に姿を消していくことなりました。通勤人口の減少を見据えた対応・幅広車体投入により埼京線や横浜線からは姿を消していきました。それに加え山手線・京浜東北線は、上野東京ライン・湘南新宿ラインなどのバイパス路線の拡充や更にホームドアの設置の妨げになるなどがあって姿を消したのだと思います。

通勤ラッシュを少しでも快適にするため悪口も言われつつ働いてきた6扉車が無くなるというのは、日本の勢いが無くなった感じもしてちょっと寂しいと感じます。

中央・総武緩行線が最後の6扉車になる?

千葉駅に停車するE231系と209系
6扉車を連結する中央・総武緩行線のE231系
先ほどの説明のように6扉車は減少を続け、現在ではJR中央・総武緩行線E231系と東急田園都市線5000系で採用するのみとなりました。

東急電鉄が2015年1月9日の発表で、2020年までに東横線・田園都市線・大井町線の全駅へホームドアを設置するにあたり6扉車45両を4扉車へ置き換えると発表しました。JR東日本も2016年6月8日に山手線E231系500番台の中央・総武緩行線への転属と千駄ヶ谷駅へホームドアを設置すると発表しました。なので、こちらも6ドア車は2020年までに消えることになりそうです。

この記事を書いた当初は、2つの車両工場を持つJR東日本のほうが先に6扉車を廃止する可能性もなんて思っていましたが、2017年春~2020春にかけての山手線E235系投入の玉突きで、E231系500番台を中央・総武緩行線に投入することになった現状を見ると、中央・総武緩行線が最後の6扉車運行路線となりそうです。

同様に消える5扉車と戦い続けるワイドドア車

東武鉄道20050系の5扉車
東武鉄道20050系の5扉車
6扉車に似た車両として、5扉車というものがあります。関東で運行しているのは日比谷線に乗り入れる東武と東京メトロの車両です。日比谷線は東武・メトロ共に新型車両の投入が決まっていて、2016年度から2019年度にかけて投入されます。なので、2019年度には見ることが出来なくなりまそうです。

関西では京阪電鉄が5扉車を運行していますが、こちらはまだ運行を続けそうです。ラッシュの5扉時は座席を天井に格納し、それ以外の時間は2つの扉を閉め切って天井から座席が降りてくる仕組みです。私はまだ乗ったことがないので、いずれ乗りに行きたいものです。

東京メトロ15000系ワイドドア車
東京メトロ15000系ワイドドア車
こうして関東の多扉車が消える中、まだまだ活躍を続けそうなのが東京メトロ15000系ワイドドア車です。見ての通り扉を大きく・座席を減らしてラッシュ時の耐えるコンセプトです。以前は小田急でも運行していましたが、今では運行を止めています。そんな流れに逆行して近年も投入が続けられていて、東西線の混雑がいまだに酷いというのが分かります。ホームドアもワイドドアに対応したものが開発中で、10年以上の長いスパンで運行を続けそうです。


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