2017年9月30日土曜日

2018年投入予定 新型新幹線N700Sを解説




JR東海は2016年6月24日に東海道・山陽新幹線向けに新型新幹線車両N700Sを投入すると発表しました。試験車両にあたる確認試験車を2018年に、2019年より量産車の投入を開始し2020年春の運行を目指します。今回はそんなN700Sについて解説します。
記事作成日: 2016.06.24/記事更新日: 2017.09.30

東京駅に到着するN700A
東海道・山陽新幹線で
現在最も新しい形式のN700A


最高のN700系

N700SのSは最高という意味の「Supreme」という単語に由来します。

2016年6月24日発表

・「SiC」などの採用による軽量省電力化
・柔軟な車両編成への対応
・新型先頭車形状にによる騒音低減
・フルアクティブ制振制御の採用
・リチウムイオン電池採用による非常時居住性改善
・走行機器や車内のモニタリング強化
・地震時のブレーキ短縮
・全席コンセント設置


2017年9月28日発表

・パンタグラフの構造変更
・台車の構造変更による軽量化
・6極駆動モーター採用
・歯車装置の歯車の形状を変更

N700Sの特徴をプレスから読み解くと、以上のようなものがあると思います。また、最初のプレスから一年以上経った2017年にも、更なる技術的な概要が発表されました。それでは順に紹介したいと思います。

SiCなどの採用による軽量省電力化

新幹線は長年軽量化と省電力化が図られてきましたが、今回一番大きな鍵を握ると思うのが「SiC」の採用です。「SiC」は炭化ケイ素の略です。従来半導体と言えばシリコン(ケイ素)でしたが、炭化ケイ素を使うことで、より高性能で耐熱性に優れたパワー半導体を作ることが出来ます。そして高性能な分同じ性能を求めるのであれば、小型省電力化が可能になるわけです。さらに耐熱性に優れているため、冷却機器の小型化で装置全体を小型に出来ます。

N700Sでは他の機器の見直しと共にインバーター冷却システムを走行時の風で冷やす走行冷却方式に変更するインバーター装置の見直しとで、16両編成あたり11t削減しました。軸重あたりでは11tを達成しました。消費電力ではN700Aと比べて7%削減可能となります。

柔軟な車両編成への対応

「SiC」の採用などで装置が小型になったことで、床下機器の配置も大幅に見直されました。従来は8種類あった床下機器のパターンを4種類に絞ることで、設計変更なく16・12・8両の柔軟な編成を可能としました。これをJR東海は標準車両と読んでいます。

これにより国内外問わずに低コスト・タイムリーに車両が供給可能になります。

新型先頭車形状の採用

N700系は「エアロダブルウィング」という形状を採用していますが、新しく「デュアルスプリームウィング」という形を採用しました。ボートの船底に採用されているような形に非常に近くなっています。

これにより更に走行時やトンネル進入時の騒音を低減できます。

グリーン車にフルアクティブ制振制御の採用

現在採用されている制振技術の「アクティブサスペンションダンパー」は、車体と台車をつなぐ油圧ダンパーを進行方向に対し垂直に設置し、電子制御によりダンパー内の弁の堅さを変えて横揺れを軽減する技術です。

今回採用された「フルアクティブ制振制御」は基本的な構造は「アクティブサスペンションダンパー」と同じですが、弁ではなく油圧ポンプを使う点が大きな違いです。今までのようにダンパ-の堅さを変えてゆれを軽減するのではなく、油圧ポンプでダンパーの油に力を加え振動を打ち消すことを可能にします。

今回採用されるのは編成中のグリーン車のみです。これによりグリーン車の振動は、人が分かるレベルで減るとしています。

リチウムイオン電池採用による非常時居住性改善

鉄道車両には非常時などのためにバッテリーが搭載されていますが、N700Aで採用されたいた鉛蓄電池からリチウムイオン電池に変更されます。これにより電池の重量30%・体積50%低減されるにも関わらず、電池容量はより大きなものとなります。

新幹線のトイレは水や排水量を削減するため水をポンプで吸い込む方式となっているので、停電時などには使えませんでした。今回電池の容量が大きくなったことで、停電のような電気が止める状況でも一部車両でトイレが使用可能になります。

走行機器や車内のモニタリング強化

近年では新幹線・通勤電車問わずに普通の車両に搭載したセンターでリアルタイムで車両や車外の状況を記録し、車両や地上設備の故障予防やメンテナンス低減に役立てようという取り組みが盛んです。N700Sでは既に採用済みの台車振動検知システムを強化するなどし、より多くのデータを取得して役立てる予定です。

一部通勤電車や新幹線には監視カメラが搭載されていますが、現状はドライブレコーダーのように後で見るためのものです。N700Sでは運転指令所はリアルタイムで映像が見ることが出来るようになり、非常時に乗務員への指示などでサポートが出来るようになります。


地震時のブレーキ短縮

ATCやブレーキデータの改善で、地震時の停車距離がさらに短くなります。N700Aは登場以降も改修を続けることで、登場時と今年度から増備される700A三次車では地震時に5%停車距離が短くなっています。N700Sではさらに5%短くなります。


パンタグラフの構造変更

現在のN700A系では4分割のすり板を採用した、在来線に似た形状のすり板をパンタグラフで採用していました。それがJR東日本E5系などで採用しているようなすり板を多く分割したタイプに変更されます。構造的にもJR東日本の多分割すり板に近いようですが、すり板の固定構造が微妙に違い、たわみ式すり板という名称が使われています。

JR東海系の新幹線では大型のパンタグラフカバーを装着することで、パンタグラフを固定する台座は小型の支持部の4点で固定するものを採用していました。それが大型の支持部2点で固定するものに変更されます。なので、パンタグラフカバーもデザインが変わりそうです。

台車構造の変更による軽量化

台車のフレーム構造を変更することで、フレーム内にあった補強材を減らし1台車あたり75kgの軽量化と溶接部分の数を減らします。フレーム内の変更がメインなので、大きな外観上の変化はなさそうです。


6極駆動モーター採用

最近の電車には交流モーターが使われていますが、この交流モーターの出力をサイズに変えずに上げる方法として、モーター内の極数をあげるというのがあります。この方法はパワーが上がる変わりに、同じ回転数を得るにはより高速なスイッチングの出来るインバーターシステムを必要するデメリットがあります。

N700SではSiCを採用したましたが、SiCは今までのSi(シリコン)を採用したインバーターより、より高速でスイッチングできます。そのため6極駆動のモーターを新幹線で初めて採用されたようです。

歯車装置の歯車の形状を変更

モーターの回転を車輪に伝えるため、間に歯車が入ります。この歯車の歯の形状が変更となりました。従来の物はハスバ歯車というもので、騒音が軸受けのダメ―ジが大きいものでした。今回採用されたヤマバ歯車は、それらが少ないものとなります。

JR東日本の新幹線試験車であるFASTECH 360でも採用されましたが、ヤマバ歯車はE5系では採用に至りませんでした。そのため営業車としては始めての採用という表現になりました。

東海道新幹線N700系置き換え用車両

N700Sは試験車両にあたる確認試験車を2018年に、2019年より量産車の投入を開始し2020年春の運行を目指しています。

2019年度までにJR東海所属の700系が全てN700Aで置き換えられる予定です。なので、N700SはJR東海所属のN700系置き換え用となるのが分かります。

JR西日本については700系の引退時期を発表していないので、700系もN700Sで置き換える可能性が高そうです。16両以外の編成にも対応しているため、JR西日本所属のひかりレールスターなども対象になるのではないでしょうか。

800系新幹線も時期としては2020年頃に置き換え時期を迎えるので、今後対象に追加されるか気になるところです。

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2017年9月16日土曜日

まだまだ活躍! ワンマン対応東武8000系




かつては私鉄の103系と言われ10両編成でも活躍した東武鉄道の8000系ですが、今ではローカル線での活躍が大きくなっています。その中でも東武東上線と越生線で活躍する8000系にスポットを当てます。

ローカル輸送中心へ

東武鉄道8000系81109F
越生線を走る8000系81109F
東武鉄道8000系は1963年から運行を開始し、約20年間製造されました。以来東武鉄道の様々な路線で活躍してきました。編成としては2・4・6両編成が製造され、2~10両編成と連結することで様々な輸送量に対応できます。そんな8000系も登場から時間がたち、幹線輸送の多くからは退いていきました。2017年に入った今では、幹線輸送としては野田線(アーバンパークライン)でのみ6両編成で活躍しています。

幹線から退いた8000系は栃木・群馬・埼玉・東京にある、東武鉄道のロール輸送へシフトしていきました。元々2・4両編成と小規模輸送にも対応していたので、暫くはそのまま対応していました。その後少しづつローカル線がワンマン運転へと変わっていったので、ワンマン輸送用の機器を搭載しました。ワンマン運転に転換した路線は、その時に運行車両を原則8000系のみとしました。でした。その後に更なるワンマン運転拡大で3両編成の8000系が求められました。8000系は床下機器の関係で3両編成には対応していませんでしたが、改造により対応した編成も登場しました。

ワンマン輸送対応へ

ローカル輸送へ対応するにあたり、ワンマン仕様へ改造されていきました。

東武鉄道8000系ワンマン車の車内
ワンマン車の車内
車内の様子についてはあまり大きな変化はありません。座席や化粧板などは特に交換されていません。座席の変化はスタンションポールが付いたくらいじゃないでしょうか。

東武鉄道8000系ドア上LED表示器
ドア上LED表示器
一番大きな変化はドア上のLED表示器と自動放送だと思います。ドア上には小型のLED表示器が付いています。改造された頃一般的に普及していたLED表示器に比べても、小型です。自動放送は英語放送対応のものが搭載されました。

東武鉄道8000系車外スピーカー
車外スピーカー
外観についても大きな変更は加えられませんでした。変化らしい変化と言えば、自動放送や運転手が放送されるためのスピーカーくらいのものです。

越生線と東上線の8000系

成増駅停車中の8000系
東上線と越生線の8000系は共通運用で、所属は森林公園研修区です。基本的な仕様は他の線区と同じですが、いくつかの特徴があります。

デジタルATC対応

一番大きな特徴はT-DATCの対応です。東上線の「池袋~小川町」間は東武型デジタルATCであるT-DATC化され、今までの東武型ATSは廃止されました。8000系の運行区画は従来の東武型ATS区間の越生線と東上線「小川町~寄居」間ですが、車庫のある森林公園とを往来するため、「坂戸~小川町」間を回送します。そのため森林公園所属の8000系はすべて対応しています。そのため上の写真や下の動画のような、越生線と東上線の臨時直通運転を行うことが出来ます。


台車とコンプレッサーは統一

8000系は製造期間が長かったため、仕様にはバラつきがあります。東上線・越生線の8000系では、台車とコンプレッサーについては同じものを搭載した車両が配置されています。

東武鉄道8000系FS396台車
モータ-車用のFS396
台車は初期型として形状が複雑なFS356(モーター車用)・FS056(付随車用)の組み合わせと、形状がシンプルになったFS396(モーター車用)・FS096(付随車用)の組み合わせがあります。越生線・東上線ではFS396・FS096を採用しています。

コンプレッサーもHS-20C・D3-F-R・HB-2000・C-2000Nと様々なものがありますが、HB-2000で統一されています。

MGも複数あるのですが、CLG-350DとCLG-704の2種類が採用されています。


どんどんカラフルに!

東武8000系セイジクリーム色とツートンカラー色
左: セイジクリーム
右: ツートンカラー
以前は青と水色の帯が入った車両だけでしたが、最近は様座な色の車両が登場しています。

東武鉄道8000系フライング東上色
フライング東上色
臨時列車やイベント列車としても運行されますが、普段は一般列車と運行されています。セイジクリーム色に関しては、古くなって錆びが浮いてきたりしています…



今回は越生線と東上線の8000系を取り上げましたが、今後は他のワンマン8000系を取り上げたいと思います。

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