2017年12月3日日曜日

鉄道技術展2017に行ってきた「広がる無線無線信号システム・ディーゼルエレクトリックの波」編




前回の「山手線の新技術・足元を支える台車技術」編引き続き鉄道技術展2017について、テーマ別に紹介していきます。今回は「広がる無線無線信号システム・ディーゼルエレクトリックの波」編です

広がる無線無線信号システム

大崎駅停車中のE233系7000番台
首都圏発の無線信号システム運用中のJR埼京線
日本ではJR東日本の仙石線に続き、埼京線でATACSによる無線信号が2路線で運用されているに留まります。一方海外の新規路線などでは無線信号が普通になりつつあります。そして日本の信号メーカーも各々が開発を進め、それぞれ特色を出そうとしています。

無線障害への耐性が強み

日本信号

そんな中日本信号は前回に続きSPARCSについて展示していました。このSPARCSは日本信号が開発したシステムの名前で、北京の地下鉄で採用されています。

無線信号システムはシステムが簡素化される分、機器が減ったことによる故障率の低減やコスト削減などのメリットがあります。しかし、無線の電波自体が届かなければ上手く動作しないという、当たり前のようなデメリットがあります。そして電波が上手く届かない理由に、電波の妨害・干渉などがあります。

SPARCSはこの部分に強く、北京の地下鉄での採用コンペで競った3社の中では1番だったそうです。近年は様々なものが無線化されていて、電波の干渉や使える帯域の減少などの問題は増える一方です。身近な例だとスマホやパソコンを繋ぐ無線LANも、各家庭同士がたくさんの無線LAN機器を使うことで、速度低下などが発生しています。この妨害に強いという特徴は、今後無線信号が普及する上で非常に需要なのではないかと思います。

より強固なシステムへ

京三製作所

京三製作所は無線信号システムを補う技術を展示していました。一つはドップラーアンテナによる速度計測です。鉄道車両は車軸に速度を計測するための速度発電機という装置を装着していますが、雨で車輪が滑ったりすると誤差が発生します。それを避けるためにドップラーレーダーを搭載し、地面に向けて電波を照射することで速度を求めるという技術です。

二つ目はGNSSと呼ばれるGPSなどを利用した衛星測位システムの位置情報を元に、速度を計算する方法です。スマホのナビで自分の位置が間違って表示されたりしますが、単純に位置情報を利用すると同様の問題が発生します。そこで位置情報を求めた後で明らかにおかしい情報を捨て、使えるデータだけを使うようにしています。

技術的な点以外に注目すべきなこととして、二つ目のGNSSを使った技術ではある程度技術を開放している点です。特許自体は京三製作所が持っているものの、場合によっては他社に無料使用を認めるというものです。

パソコンの世界では当たり前のことですが、鉄道業界では珍しい用に思います。こういった取り組みが広がり上手くいくのかも、興味深い点です。

ディーゼルエレクトリックの波

ディーゼルエレクトリック方式は、ディーゼルエンジンで発電してその電気でモーターを動かし走る、海外では割とポピュラーな方式です。日本ではJR貨物のDF200形が採用ていて、JR東日本・北海道も国鉄型気動車の置き換えで本格採用を決定しています。そのディーゼルエレクトリックを支えるのに必要な、ディーゼルパワーユニットも展示されていました。ディーゼルパワーユニットはエンジンを中心に複数の機器まとめ、一つのユニットとしたものです。

日本に食い込めるか
富永物産・MTU

富永物産のブースには、珍しい海外製ディーゼルパワーユニットが展示されていました。〇〇物産とあるように、製造を行っておらず商社としての展示です。製造はMTUフリードリヒスハーフェンという、ロールスロイス系列の会社です。船舶・鉄道・農機など様々な分野のディーゼルエンジンを作る会社です。

展示されていたのは「PowerPacks」と言うシリーズで、ヨーロッパでは約6500台の納入実績があるそうです。このエンジンユニットは必要に応じて様々な組み合わせが可能です。エンジンのみで走ることも、発電機として使いモーターで走ることもでき、設置も床下から屋根上まで対応しています。なので、ケースごとに細かいオーダーメイドに対応します。

良いところでも悪いところでもある日本企業の保守的な風土もあってか、今のところ日本の営業車での実績はないそうです。展示されていたものも、日本で試験で使われていたものだそうです。そこで今は日本企業の海外向け案件に力を入れていこうと、考えているそうです。


ブラッシュアップで生まれた日本製DPU
中村自工

中村自工は様々な熱交換機や鉄道部品を作っている会社で様々なものを展示していましたが、一際目を引いたのはディーゼルパワーユニットです

冷却装置にあたる熱交換器を中村自工が自社製造し、それに小松製ディーゼルエンジンや東芝製永久磁石同期モーターを組み合わせた、オールジャパン仕様の製品です。以前からこういったものが欲しいという話はあったそうで、試作もしていたそうです。それをさらにブラッシュアップして製品化に至ったそうです。

こちらは先ほどの「PowerPacks」とは対象的な製品です。仕様用途は、完全にディーゼルエレクトリックタイプの車両に絞ったものです。調整的な細かい仕様変更はあっても、オーダーメイドのような大幅な変更に対応した製品ではないそうです。

今回二社がディーゼルパワーユニットを展示していましたが、作っている会社も製品コンセプトも対照的でした。日本の気動車は変革期入ると思うので、様々な会社が競争していけば、趣味的には面白くなり技術的にも更に良くなると思います。今後も同行に注目したい部分です。

前回「山手線の新技術・足元を支える台車技術」編

鉄道技術展2017に行ってきた「山手線の新技術・足元を支える台車技術」編




2年に一度行われる鉄道技術展に行ってきたので、テーマごとに紹介します。今回は「山手線の新技術・足元を支える台車技術」編です。次回は「広がる無線無線信号システム・ディーゼルエレクトリックの波」編をです。
記事作成日: 2017.12.01/記事更新日: 2017.12.03

鉄道技術展2017ロゴ

鉄道技術展とは?

鉄道技術展は2年に一度千葉県幕張メッセで行われる鉄道関係の見本一です。2017年は11月29日~12月1日の3日間の開催です。

三菱電気などの誰もが知ってる企業から、鉄道ファンでも知っている人が少ないような小さな企業まで、様々な企業が出展しています。

展示会内部の写真は公開することが出来ないので、普段撮った写真で捕捉していきます。

山手線の新技術


軽量化・耐雪製アップパンタグラフ
工進精工所

電車は電気を取り取り入れるパンタグラフを搭載していますが、この装置を製造しているのが工進精工所です。JR東日本・西日本の通勤車などから、新幹線のパンタグラフまでも手掛けています。

山手線E235系パンタグラフ
山手線E235系パンタグラフ
山手線に配備されているE235系では、新型パンタグラフが採用されています。このパンタグラフも作っています。実機も展示されていました。

209系のパンタグラフ
209系のパンタグラフ
くの字部分の枠は四角い
E235系で採用されているのはPS33系列のPS33Hです。軽量化を行い従来より軽いものとなっています。そしてパンタグラフの枠組部分がパイプ化され丸くなっています。この形状変更により雪が積もりにくくなっている他、材質も熱伝導の高いアルミのためすぐ解けるようになっています。

また、折りたたみ時の高さも従来より低くなっています。鉄道には車体限界と呼ばれる大きさの基準がありますが、折りたたみ時のパンタグラフが低くなった分で、更に車体の高さを高く取ることができます。これによりわずかですが、天井を高くしたりできるのです。

どれと比べて軽量で折りたたみ高さが低いかを聞き忘れてしまったので、調べようとしましたが、パンタグラフの細かい仕様が公開されていないので、その辺りの詳細はちょっと分かりませんでした。

また、枠組みについてですが、私鉄では錆びにくさを優先してステンレスを採用、JRは重さや電気抵抗を優先してアルミを採用する傾向にあります。なので、アルミ自体を採用している点については、珍しくないようです。

PS33系列はE231系に採用され、E235系に至るまでに小改良が加えられています。その点を考慮して見比べると、面白いかもしれません。

新幹線並みの検査装置
日立ハイテクファインシステムズ

以前は線路の検査は専用の車両を使って行ったりしていましたが、最近ではお客さんの乗っている営業車両にも取り付け、常に状態を計測して早期に異常を発見する流れになっています。

E235系にも様々な検査装置が搭載されていますが、その中の一つの軌道検測装置を納入しているのが日立ハイテクファインシステムズです。

このシステムは車体下部に取り付けたレーザーで線路の状態を測り、以前はドクターイエローやEast-iなどの、検測専用の車両にだけ取り付けられていました。検査できる項目は「上下・左右・ねじれ・レールの幅」と、線路の4つの状態です。営業列車に搭載されているものも、従来の検査車両に搭載されているもの並みの精度で、非常に高性能なものです。

検測車両はハイテク機器の塊です。そのため中小私鉄では持つことが難しいのが現状です。そこでJRでは営業列車にまで搭載されるようになった検測装置を、中小私鉄向けではどう考えているか質問してみましたが、いまだ高価な機器には変わりないのでまだ難しいとのことでした。

足元を支える台車技術


プレス加工で軽量化
日本車両

鉄道車両製造大手の日本車両のブースでは、小田急ロマンスカー70000形で採用された新型台車が展示されていました。

この台車の特徴は台車枠と車輪を繋ぐ、軸箱部分にあります。基本構造は小田急ロマンスカー(MSE)60000形で採用されている、タンデム式軸箱支持装置です。違うのは一般的に
別々に作られ、後から溶接されていた台車枠と軸箱がプレス加工で、一体化している部分です。

209系500番台の台車
209系500番台の台車
丸の部分がプレス加工になっている
これによりひび割れの発生しやすい溶接部が無くなり、ひび割れの検査が不要になっています。また、軸箱は強い力のかかる部分なので鋳造部品で重いものでしたが、その部分でも一定の軽量化を実現しました。

アナログでカーブを曲がる

新日鉄住金

新日鉄住金は様々な台車を製造していますが、仙台市営地下鉄2000系向けの操舵台車が展示されていました。操舵台車は本来台枠に対して垂直になっている車輪の車軸を、カーブ時には曲げる技術です。これによりカーブを滑らかに通過することが出来ます。

東武鉄道70000系 SC107(TRS-17M)台車
東武鉄道70000系 SC107(TRS-17M)台車
丸部分がリンク機構
操舵台車自体は以前からありましたが、新日鉄住金製の台車の特徴は簡単なリンク機構のみで実現していることです。車体と台車をつなぐリンク機構により、カーブで台車と車体が平行でなくなると、車軸を傾けるようになっています。現在では東京メトロ1000系・13000系、東武70000系などでも採用されています。

カーブで軸の向きが変わるということで、直進性に疑問を持つ方をいるかもしれませんが、その点は従来と変わらないそうです。ボルスタと台車による摩擦があるので、車両の揺れ程度ではリンク機構は作動しないそうです。また、高速走行時の安定性も変わらないとのことです。

東武鉄道70000系 SC107(TRS-17M)台車のディスクブレーキ
東武鉄道70000系 SC107(TRS-17M)台車
ディスクブレーキ
また、70000系・130000系ではブレーキ音が五月蠅いことが話題なっていますが、その点は新日鉄住金が担当していないディスクブレーキ部のほうが問題なのではないかとのことです。確かに東京メトロ1000系も、一つの台車のうち片側の車軸にモーター・もう一つの車軸にディスクブレーキで基本構造は同じなのに、それほど五月蠅くないように思います。

本来ディスクブレーキは車軸に対して垂直に取り付けられて動くことはありませんが、操舵台車ではそれではブレーキが壊れてしまうので、ディスクブレーキのキャリパー部分で対応しているそうです。なので、1000系の標準機台車を狭軌用に改良が加えられた時に発生した構造的な部分か、それ以外の材質の改良など純粋なブレーキの改良による部分が原因なのかもしれません。


2017年12月1日金曜日

全面塗装が復活! 京急新1000形1200番台17次車




2017年11月29日京浜急行電鉄は、全面塗装を復活させた新1000形17次社を、2018年1月より導入すると発表しました。

消えた赤と白

京浜急行新1000形アルミ車
新1000形アルミ車
アルミに全塗装が施されている
京浜急行では2002年より新1000形が運行していますが、登場時より5年間に製造された車両は、アルミボディに赤と白の全面塗装が施されていました。

京急新1000形のアルミ車とステンレス車
アルミ車とステンレス車の連結
その後2007年より登場した車両は、ボディの素材がステンレスに変更され一部にシールが施されるのみとなっていました。

京浜急行新1000形1800番台
ほぼ全面塗装と同じになった
新1000形1800番台
2015年に入りシールによるフルラッピングという形で、全面塗装に近い形となっていました。

復活の赤と白

そして2018年度の1月から運行始める17次社より、ステンレスに塗装をする形で全面塗装が復活します。JR貨物・九州、南海電鉄、松本鉄道、江ノ島電鉄の一部車両でステンレスに塗装した車両が走っていますが、関東大手私鉄では初となります。

どの会社も塗装されている車両数は多くないのですが、京急は今後の新造車両は基本的に塗装するとしています。日本で最大規模のステンレス塗装車両が走るようになるかもしれません。

また、京急の前進である大師鉄道が1898年に創設され、2018年は京急120周年となります。それにちなんだ1000形1200番台という形式名が割り振られます。

車内は16次車ベース

車内は16次社ベースです。車両端にボックスシートとコンセントを設けています。液晶画面一型の二画面タイプになります。

京急らしさの赤と白

ステンレスに一部シールの車両が出たときは、鉄道ファンの間からは大部不評な声が出ていたように思います。私個人の意見としても、確かに京急らしくないしシールデザインもかっこよくない印象を持っています。

ステンレスは塗装する必要がないので、塗装をするというのは見栄えの面でしか役に立ちません。鉄道業界も合理化の嵐なことを考えると、出来るだけ塗装はせず安くしたいという会社としての意図も透けて見えていたのも、何とも言えないところです。

時代は流れ少子高齢化で通勤客が減り、ブランドイメージを高めることで客を繋げとめようと鉄道各社がしています。相鉄は車内を高級感のあるものにし、メタリックブルーで外観も美した新車を投入したりと、単純な快適性以外にも力を入れています。そうした流れも今回の復活に一役かったのではないでしょうか。

合理化の嵐で各社特徴を出し合うという流れがやっと止まったのであれば、今後が鉄道ファンとしては非常に楽しみなことです。競争が盛んになることで、鉄道を利用するすべての人に恩恵が生まれれば良いのですが、どうなるでしょうか。

2017年11月19日日曜日

東武ファンフェスタ2017とファンフェスタ号をリポート!




2017年11月19日に東武鉄道の南栗橋管理区で実施された東武ファンフェスタ2017と、それに合わせて運行された臨時特急について紹介します。

今年も実施東武ファンフェスタ2017

東武ファンフェスタ撮影会で展示された車両たち
右から 500系・100系・200系・1800系
8000系・60000系・70000系
毎年この時期に開催される東武ファンフェスタが11月19に開催されました。内容も概ね例年通りのものでした。風が強く寒かったものの、晴れていたので青い空と車両たちという組み合わせを見ることができました。

撮影会展示車両は6車種

上の写真で分かるように撮影会の展示車両は、特急車両が「500系 100系 200系 1800系」と4車種、通勤車両は「8000系 60000系 70000系」の3車種でした。今年は他社の車両はありません。

東武60000系と70000系
東武60000系と70000系
特急リバティは2016年12月に、日比谷線直通用の70000系は2017年2月に甲種輸送が実施されて東武鉄道にやってきました。そのため東武ファンフェスタでは初披露です。

車体吊り上げは8000系

工場で吊り上げられる東武8000系
工場で吊り上げられる8000系
東武ファンフェスタに限らず鉄道系イベントでは定番の車体吊り上げは、野田線(アーバンパークライン)で運行する8000系でした。70000系の投入が優先されているので、もう少しの間は野田線で8000系を見ることが出来るでしょうが、撤退するのも時間の問題です。そういう意味では良いものが見れたと思います。

なかなか見られない? アントとヨ5000形

体験乗車用のアントとヨ5000形
体験乗車用のアントとヨ5000形
子供向けの体験乗車用としてアントとヨ5000形を連結したものが運行されていました。ヨ5000形自体が動いているものがなかなか見られない中、アントと連結するなんて更に珍妙な編成となっていました。

子供たち的にはそこまで喜ばない気もしますが、鉄道趣味的にはかなりきているものだと思います。

何故か寝台特急「北斗星」

「北斗星」幕の14系
「北斗星」幕の14系
遊び心なんでしょうが、寝台特急「北斗星」幕の14系が留置されていました。SL大樹用に購入された急行「はまなす」編成の14系ですが、「北斗星」用の24系から14系に改造された車両などもあったりして、そういう繋がりでこのネタになったのでしょうか?

リバティで縦横無尽と634型で鬼怒川へ

東武ファンフェスタに合わせて、東武トップツアーズが2本の臨時列車を運行しました。一本は「北千住→南栗橋」行きの臨時特急リバティと東武ファンフェスタでの写真撮影、二本目は東武ファンフェスタの写真撮影と634型の臨時特急スカイツリートレインとSL大樹のツアーです。


リバティは4回の方向転換

リバティを使った臨時は、「北千住→久喜→岩槻→南栗橋」の経路で運行されました。そのため、「久喜・春日部・岩槻・春日部」の4駅で進行方向を反対にして運行されました。

野田線を走る団体臨時特急リバティ
野田線を走る団体臨時特急リバティ
私用さえれた車両は500系1編成3両です。走った区間は日常的に走っているものですが、「東武動物公園~久喜」と「春日部~岩槻」については、日中の走行は今のところ稀です。

工場敷地内から下今市へ

南栗橋車両区から出発する634型スカイツリートレイン
南栗橋車両管理区から出発する
634型スカイツリートレイン
2つ目のツアーでは東武ファンフェスタの行われている南栗橋車両管理区より、団体臨時特急スカイツリートレインは出発していきました。東武トップツアーズによると、車両管理区からツアーは初だそうです。


634型は2017年のダイヤ改正より団体臨時車両となったため、南栗橋の駅では一目見ようと沢山の人が集まっていました。

展示車両回送でも少し面白いものが見れたので、後日追記したいと思います。動画についても順次アップします。

2017年11月18日土曜日

205系初の2扉車「いろは」 日光線へ投入




JR東日本は観光客向けに205系を2扉化した観光用列車「いろは」を1編成、日光線へ投入すると2017年11月17日に発表しました。運行開始は2018年4月1日としています。

日光線に観光用車両を投入

日光線宇都宮駅停車中の205系600番台
日光線で運行中の205系600番台
JR東日本は日光の観光名所いろは坂にちなんで、205系改造車の「いろは」を日光線に1編成投入します。これは2018年4月1日より始まる「本物の出会い 栃木」デスティネーションキャンペーンに合わせたもので、4月1日より「いろは」も運行を開始します。基本的には日光線の定期列車としての運行ですが、栃木県内の臨時列車としても運行の予定です。

日光方面への旅行となると、東武線を利用した経路がメインとなっていて、JRも日光線の観光需要については消極的なのが現状です。18きっぷや外国人向けのジャパンレイルパスを使った利用者もいるはずなので、日光線の活性化に繋がると思います。

日光線向けの205系は4編成小山車両センターに在籍していますが、2編成「いろは」あれば定期運行では毎時の運転が可能になります。SL大樹の運行開始と日光・鬼怒川地区が盛りあがってきてるので、もう一編成の増備にも期待がかかります。

205系初の2扉車

日光方面の東武線の車両は特急スペーシア・リバティなどの他、大分古くはなっているものの南栗橋から観光向けのボックスシート・トイレ付の車両を運行しています。それに対しJRは、元京葉線の205系の車両にトイレを付けた程度の車両しか運行していません。205系は完全に通勤輸送を前提とした車両なので、日光方面の観光輸送には応えられていいないのが現状です。

そんな中投入されるのが「いろは」です。現在の4扉ロングシートから、中間2扉を潰した
「2+1」列のクロスシートに変更します。新幹線や特急車両でも設置の進む大型荷物置き場や、車両端は椅子を取り払いちょっとしたパンフレットも置ける多目的利用のフリースペースも設置されます。そして木製つり革や蛍光灯のLED化など、内装には大分手が加えられます。更にFree-WiFiも搭載し、ネット環境も充実する予定です。

外装はステッカーにより前面ラッピングされ、ステンレスの色は目立たないものとなります。日光の観光名所をモチーフにしたロゴも張られます。

首都圏通勤路線から撤退した205系が、様々な郊外・ロール路線で運行開始しています。私鉄では観光色も強い富士急行にも譲渡されましたが、観光向けに座席や扉を大幅に改良したのは今回が初めてとなります。

2017年10月31日火曜日

東武鉄道 隅田川橋梁をライトアップ




東武鉄道は2017年10月25日に東武伊勢崎線の浅草駅付近にある隅田川橋梁を、2018年4月上旬ごろよりライトアップすると発表しました。

スカイツリーとのコラボも見れる

隅田川橋梁を渡る東武200系りょうもう
隅田川橋梁とスカイツリー
ライトアップされるのは東武伊勢崎線(スカイツリーライン)「浅草~とうきょうスカイツリー」間にある隅田川橋梁です。

浅草駅からとても近く、川沿いの遊歩道からはスカイツリーと一緒に列車が橋を渡るのを眺めることができます。そのためライトの配色は東京スカイツリーのライトアップに合わせて、「粋・雅・幟」の三色となります。LED照明を使い、動きのある演出が可能なものとする予定です。演出は地域のイベントに合わせたものも、予定されています。

ライトアップの時間帯は「日没後~終電」で、今のところ毎日見れる予定です。

2017年10月15日日曜日

E231系500番台 JR後初の山手線新型通勤電車




JRになり始めて山手線導入された新型車両で、E235系投入により中央総武各駅停車線へ転属する、JR東日本E231系500番台通勤電車を紹介します。

山手線の新型車両

山手線池袋駅へ入線するE231系500番台
池袋駅へ入線する
E231系500番台
山手線のATCをデジタルタイプのD-ATCに更新する際に、車両ごと更新する流れとなりE231系500番台に2002年から導入されました。

赤羽駅に到着する埼京線205系
山手線で活躍していたのと同型の205系
山手線では国鉄時代の1985年に205系が投入されていました。車体にはまだ補強用のビードがあり、制御システム界磁添加制御を採用しています。鉄道車両は40年程度使用するのが一般的ですが、私鉄ではビードレス車体やVVVFが採用されていく流れだったことを考えると、時代遅れになっている感じは否めませんでした。

中央総武各駅停車線のE231系
ベースとなったE231系0番台
車両を導入するのにあたり新形式を採用するのではなく、2000年より営業開始したE231系0番台を改良したものが導入されました。基本的な仕様は0番台と同じですが、いくつかの違いがあります。

JR東日本E231系500番台
ヘッドライトのデザインも違う
外観上の大きな違いとして、先頭車両の前面デザインがことなっています。枠部分は白いカラーリングとなり、ヘッドライトの形状も大きく違っています。

E231系500番台の車内液晶
車内液晶
内装の大きな違いとしては、ドア上の液晶モニターです。JR東日本では山手線205系でも文字放送用に一部液晶モニターが搭載されていましたが、この500番台から通勤電車へ本格採用しました。この当時主流だった4:3タイプの液晶を、各ドアごとに二つを搭載しています。左側が広告用、右側が案内用となっています。

電装系などの見えない部分もE231系0番台とほぼ同じですが、一つ大きな違いとしてはMT比の違いがあります。209系以降E233系が登場するまで殆どの形式で、高性能化した電装部品とコスト削減の関係で、最低限のモーター数に抑えていました。そのため地下鉄用を除き、原則2M3Tという比率が採用されていて、付属編成含めてが多くても1:1以下でした。しかし、500番台では6M5Tと僅かに1:1を超える比率となっています。

※MT比とはモーターがついている車両と、そうでない車両の比率です。Mがモーター車を表し、Tがモーターの付いていない付随車(トレーラー車)を表します。


変化する500番台

山手線に投入されてから以降も、各種の変更や改良がおこなわれていきました。

JR東日本E231系500番台の6扉車
6ドア車
先代の山手線用205系やベースとなったE231系0番台同様、500番台もラッシュ時の混雑緩和用の6扉車が組み込まれていました。しかし、山手線へホームドアを設置することが決定したにあたり、対応の難しい6扉車を廃車にすることとなりました。これが一番の変化です。それに合わせて列車停車時の最後の調整を自動で行う、TASCも取付られています。

JR東日本E231系4600番台
E231系4600番台
6扉車が抜けた分を埋めるために製造されたのが、E231系4600番台と600番台です。特に特徴的なのが4600番台で、窓割とドア位置が特徴的です。京浜東北線の異常時などに、山手線内を京浜東北線の車両が走行することがあります。その時に発生する、ホームドアに関する問題を回避するための工夫です。先頭車両のドア位置は衝突時のショック吸収構造の関係で、若干違うものとなっています。そして、山手線は11両編成に対し京浜東北線は10両です。そのため山手線10号車だけドア位置を京浜東北線に合わせ、山手線のホームドアのドア位置を両方の編成に対応出来るようにしたのです。

JR東日本E231系4600番台の台車
4600番台の台車
E233系同タイプになっている
600番台と4600番台はE231系の製造が終わりE233系が製造されていた時に作られた車両のため、外観のドアの形状や内装品に台車と一部部品がE233系と同じなっています。

E231系500番台の車外スピーカー
後付けされた車外スピーカー
その他の変化としては、当初から設置できるよう穴が開けられ蓋がされていた部分に、車外スピーカーが取り付けられました。先頭車両のスカート(排障器)も、直線的なものからV字タイプに変更されています。車内の蛍光灯がLEDタイプになるなどもありました。

山手線で活躍するE231系500番台の映像

E235系登場で転属へ

山手線E235系
E235系
E231系500番台を置き換えるべく、E235系が2015年に山手線へ試験用の一編成投入されました。当初はトラブル続きで、お世辞にも褒められたものではありませんでした。しかし、各種問題の洗い出しも大方終え、2017年春より本格的な導入が始まりました。

これによりE231系500番台に余裕が生まれたので、中央総武各駅停車線へ転属していくことになりました。転属に際してはホームドア用の機器を一部追加することと、車体のシールを黄色に変更するだけの小規模な変更にとどまりました。

今後2020年までに山手線はE235系へと置き換わり、E231系500番台はすべて中央総武各駅停車線へ転属する見込みです。

※関連記事
JR東日本通勤車の確立車 209系500番台とE231系0番台

2017年10月14日土曜日

東急2020系・6020系 2018年春運転開始




2017年3月17日に東急電鉄は2018年春より、田園都市線向けに2020系新型車両を導入すると発表しました。更に2017年10月12日には、姉妹車の6020系を大井町線へ導入すると発表しました。
記事作成日: 2017.03.21/記事更新日: 2017.10.14

2018年春から順次導入

東急電鉄8500系
東急8500系
田園都市線では2017年度現在古い順から、8500系・8590系・2000系・5000系の4種類が運行されています。この中でも8500系は1975年に登場した古い車両で、5000系などで置き換えが行われていきましたが、まだまだ多くの車両が運行している状況です。

8500系の置き換えを含めた理由で投入されるのが、2020系です。現在6000系が最新形式ですが、2020年オリンピックや2022年の東急100週年に向けて、変則的に2020系という車両形式が当てられました。2018年春に最初の3編成が運行開始し、その後も順次投入が続けられます。


5000系から一新

田園都市線の主力で最新形式の5000系と比べると、外観と内装は一新されます。外観は窓下に帯があるデザインから、ホームドアを見据えた車両上部に白とラインカラーの緑の帯をあしらったデザインとなります。

伊勢崎線を走る田園都市線の5000系
東急5000系
先頭車両のヘッドライトは首都圏の車両では珍しく、上部の行先表示器横に左右一つづつと連結器上の部分に左右二個づつと、計6つのヘッドライトが装備されます。山岳地帯や降雪地域では見通しを良くするため多くのヘッドライトを装備するのは珍しくありませんが、首都圏の通勤列車では珍しいです。

E235系の網棚上の液晶モニター
E235系の網棚上の液晶モニター
車内の内装は山手線E235系に近いものとなっています。各車両に車いすやベビーカー用のフリースペースを配置します。液晶モニターはドア上だけでなく、網棚上にも設置されます。座席は5000系の一部車両で採用されはじめているハイバック仕様で、座面の改良のほか背もたれが大型化されていて、通勤用の座席の中でも凝ったものとなっています。そのほかに空気清浄機も搭載されます

モーターなど電装系も最近の車両では一般的なものとなるようです。次世代半導体となるので、近年の標準SiC半導体を使用した高効率なインバーターが採用されるようです。さらに車両のモニタリング装置も従来より強化され、故障の防止に努めます。

注目すべきはブレーキシステムで、路面ブレーキとディスクブレーキの併用が復活しました。2000系などでは動力台車は路面ブレーキで付随台車はディスクブレーキとしていました。しかし、3000系以降は路面ブレーキに一本化されています。この後東横線で5000系が降雪時に雪やゴミでブレーキ力が弱まり、前方に停車する列車へ後続列車が追突する自体が発生しました。これを受けて復活に踏み切ったのではと思います。

姉妹車6020系大井町線導入へ

2017年10月12日に2020系とほぼ同一設計の6020系を2018年春に、大井町線へ導入すると発表しました。大井町線の急行用としての導入で、2編成14両がが導入される予定です。カラーリングの一部変更なのど、2020系との差異は小さなものとなりそうです。

2017年10月8日日曜日

JR東日本通勤車の確立車 209系500番台とE231系0番台




JR東日本の通勤車を確立したE231系0番台と、その基礎となった209系からE231系へ橋渡しをした209系500番台の二つにスポットを当てたいと思います。

JR東日本E231系
JR東日本E231系

209系からの橋渡しをした500番台

209系3100番台
元209系0番台の
209系2000番台
国鉄が民営化されJRになりましたが、暫くは国鉄時代から製造された車両を引き続き製造されていました。JR東日本では「重量半分・価格半分・寿命半分」という全く新しいコンセプトで通勤列車が制作されました。それが209系です。

JR東日本209系500番台
209系500番台
209系が運行開始し暫く立ち、次の通勤車両としてE231系を作ろうとしていました。しかし、車両の老朽化により車両の投入が前倒しされることで生まれたのが、209系500番台です。209系500番台は1998年と1999年へ中央総武緩行線へ投入されました。その頃ちょうどE231系の試験車が制作されたいたために、209系とE231系の中間的性質を持っています。

千葉駅停車中の209500番台とE231系
左がE231系 右が209系500番台
車体はE231系0番台とほぼ同じ仕様の幅広になっていて、大きく209系から変わっています。前面デザインもカラーリングが一部白という以外は、E231系と同じです。

JR東日本209系500番台の車内
209系500番台の車内
内装は209系0番台と500番台は、ほぼ同じになっています。この仕様はE231系0番台になっても引き継がれています。

209系500番台のパンタグラフ
209系500番台のパンタグラフ
一方で走行機器は違いを持っています。1998年の最初に運行開始したグループ209系に準じていましたが、翌年の1999年に運行開始したグループはモーターやパンタグラフがE231系と同一のものに変更されています。

当初すべての編成が中央・総武各駅停車線だけで運行していました。その後は中央・総武各駅停車線以外に、一時は京浜東北線で運行され、現在は京葉線と武蔵野線で運行しています。


JR東日本通勤車を確立したE231系

JR東日本E231系
JR東日本E231系
6ドアのステッカーが貼られている
2000年から営業開始したのがE231系です。209系をベースに、JR東日本の通勤車両を確立したと言えると思います。

基本的な性能はほぼ209系と同じです。小さな変化としては、主電動機(モーター)やインバーターやパンタグラフがシングルアームパンタグラフになった点です。大きな変化としては幅広車体が本格採用されたことやTIMSの採用です。

TIMSは列車情報管理システムと呼ばれるもので、モーターのような列車を直接動かすためのものからドアの開閉などと、列車を動かすための各種情報を総合して管理するシステムです。このようなシステムはMONというのが以前からあり、TIMSの発展型がE235系から採用されたINTEROSです。

通勤車両で形式番号の最初にEが付いたのも、この形式が最初です。

JR東日本E231系の6扉車
E231系の6扉車
基本的には209系500番台と同一仕様の外観・内装を持ちますが、唯一大きく違うのは6扉車がバリエーションに存在することです。E231系0番台では中央総武各駅停車線にのみ組み込まれ、同一線区を走る209系500番台には連結されていません。

JR東日本E231系の6扉車
E231系の6扉車
この座席は今までJR東日本で採用されてきた6扉車と同様に、扉数に合わせ小さいものとなっているほか、ラッシュ時は折りたたまれ車内の面積を広く出来るよう設計されています。

JR東日本では「山手線・京浜東北線・埼京線・横浜線・中央総武各駅停車線」で6扉車を運行していましたが、高齢化による通勤客減少・ホームドア設置・列車の増発による混雑緩和などにより廃止されていきました。現在では中央総武各駅停車線のみでの運行で、これもまもなく無くなる見込みです。

常磐線のE231系
常磐線のE231系
E231系は209系500番台に続き中央総武各駅停車線に投入されました。これにより中央総武各駅停車線は国鉄型置き換えられ、暫くは209系500番台とE231系の二形式体制が続きました。そして2002年には常磐快速線・成田線用にも投入されていき、今ではE231系のみとなっています。

JR東日本E231系1000番台
近郊型のE231系1000番台
そして通勤車のみにとどまった209系に対し近郊型の1000番台が設計され、関東近郊では通勤車も近郊型も同一設計の車両が走るようになっていきました。この点がE231系の一番の革新的な部分かもしれません。

JR東日本の通勤車を確立したE231系0番台も大きな変化が訪れています。山手線からE231系500番台が中央総武各駅停車線へ転属され、2017年に山手線へのE235系の導入が本格化し、多くのE231系500番台が転属してきました。これにより余剰となった車両が、2017年より武蔵野線に転属を開始しました。

今後もまだまだ活躍を続けるE231系を見守っていきたいものです。

※関連記事
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2017年10月2日月曜日

京王 座席指定新型車両5000系導入 車上蓄電池も搭載




京王電鉄は2016年3月16日に座席指定列車用の新型車両5000系を2018年度に導入すると発表していましたが、2017年9月29日より営業運転を開始しました。
記事作成日: 2016.03.16/記事更新日: 2017.10.02

ライナーも運行開始

車両形式: 5000系
制作会社: 総合車両製造
導入車両数: 5編成×10両=50両
運行開始日: 2017年9月29日
運行区間: 新宿~京王八王子・橋本

5000系はロングシートとクロスシートを切り替え、無料列車と有料列車の兼用できる車両として導入が決定されました。列車の運行開始は2017年9月29日より開始していますが、暫くはロングシート状態の一般列車として運転します。2018年春よりはクロスシート状態で、有料のライナーとしても運行を開始します。

京王電鉄5000系
京王電鉄5000系
京王電鉄は座席指定列車用として5000系を10両固定5編成導入します。製造は総合車両製造で、イメージイラスト通り東急5050系に試験的に組み込まれているような、車両側面が完全にフラットになっているステンレスのレーザー溶接が採用されています。もともと京王電鉄の採用するブロック工法はすっきりしたデザインですが、さらにすっきりしたものとなっています。

京王電鉄9000系
京王電鉄9000系
有料の特急車両を運行していなかった京王電鉄では、車両もスタンダードな通勤電車スタイルのデザインでした。その点からも脱却を図ろうとしています。一般列車として利用できるように扉は4つで側面は通勤電車的ですが、全面は流線型を採用し京王電鉄では今までにないデザインとなっています。前照灯はLEDライトを採用しています。とても明るいだけでなく、淵状にLEDを配置することでデザイン性も高めています。

座席はデュアルシート

東武50090系TJライナー座席
50090系デュアルシート
座席は関東私鉄で言えば東武鉄道50090系が採用しているデュアルシートと同じ構造となっていて、クロスシートとロングシートの両方に対応します。

京王電鉄5000系の座席
京王電鉄5000系座席
ロングシート状態
座席のカラーリングは茶色系で落ち着いた雰囲気です。50090系のデュアルシートはガタつきがあったりしますが、そういったものはなく乗り心地もとても良いです。背もたれも適度な柔らかさと感じました。

車内設備も充実

京王電鉄5000系の車内
車内
車内設備に無料Wi-Fi・電源コンセント・空気清浄機を装備するほか、通常よりも多い案内用液晶モニターはとかなり予算をかけています。

内装で一つ気になるのはSustinaの特徴であるロールバーの配置が若干変更されている点です。E235系では座席の手すりと一体になっていたロールバーですが、壁に埋め込まれるようなデザインとなっています。

京王5000系の車両端コンセント
車両端コンセント
コンセントは車両端の場合は手すり部分で、デュアルシート部は足元となっています。掃除用の車両端業務用コンセントもしっかり装備されています。

案内用の液晶モニターはドア上の二つだけでなく、通路上にも配置され充実しています。車両端を除く通路上の液晶モニターには、防犯カメラも搭載されています。

車上蓄電池システム搭載

注目の技術として車両に車上蓄電池システムを搭載している点です。文字通り車両に蓄電池を搭載するもので、プレスによると平常時には電力回生ブレーキで発生した電力を貯め、加速時などに供給することで省エネ性を高めます。非常時は橋梁などの危険ポイントに停車した場合は、自走用電源として活用します。

省エネ性という意味では京王電鉄でも採用している回生電力貯蔵システムとほぼ同じ役割ですが、非常時にどこに停車しても必要に応じて自走できるのがメリットです。似たような取り組みとして、東京メトロの場合は非常時に回生電力貯蔵システムから架線を通じて電力を供給するものがあります。運行本数などで駅に集約できるメリットがあるかなど、鉄道事業者ごと条件にあった非常時の電源や、回生電力の貯蔵方法が選択されていきそうです。


なぜ今ライナー?

運行系統は「新宿~京王八王子」と、京王相模線へ直通する「新宿~橋本」の2系統で運行します。運行時間帯は土休日・平日の夜間帰宅時間帯としています。京王線と並行するJR中央線では特急「あずさ・かいじ」のほかに、朝・夜のラッシュに510円で乗れる特急車両を使った「中央ライナー」が現在運行していて、サービス的にはやっと勝負できるという状況です。さらに2020年には中央線にグリーン車が連結される予定です。その点を踏まえると510円以下の追加料金で、運行開始後も将来のJRグリーン車を意識した戦略を組んでいくのではないでしょうか。

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2017年9月30日土曜日

2018年投入予定 新型新幹線N700Sを解説




JR東海は2016年6月24日に東海道・山陽新幹線向けに新型新幹線車両N700Sを投入すると発表しました。試験車両にあたる確認試験車を2018年に、2019年より量産車の投入を開始し2020年春の運行を目指します。今回はそんなN700Sについて解説します。
記事作成日: 2016.06.24/記事更新日: 2017.09.30

東京駅に到着するN700A
東海道・山陽新幹線で
現在最も新しい形式のN700A


最高のN700系

N700SのSは最高という意味の「Supreme」という単語に由来します。

2016年6月24日発表

・「SiC」などの採用による軽量省電力化
・柔軟な車両編成への対応
・新型先頭車形状にによる騒音低減
・フルアクティブ制振制御の採用
・リチウムイオン電池採用による非常時居住性改善
・走行機器や車内のモニタリング強化
・地震時のブレーキ短縮
・全席コンセント設置


2017年9月28日発表

・パンタグラフの構造変更
・台車の構造変更による軽量化
・6極駆動モーター採用
・歯車装置の歯車の形状を変更

N700Sの特徴をプレスから読み解くと、以上のようなものがあると思います。また、最初のプレスから一年以上経った2017年にも、更なる技術的な概要が発表されました。それでは順に紹介したいと思います。

SiCなどの採用による軽量省電力化

新幹線は長年軽量化と省電力化が図られてきましたが、今回一番大きな鍵を握ると思うのが「SiC」の採用です。「SiC」は炭化ケイ素の略です。従来半導体と言えばシリコン(ケイ素)でしたが、炭化ケイ素を使うことで、より高性能で耐熱性に優れたパワー半導体を作ることが出来ます。そして高性能な分同じ性能を求めるのであれば、小型省電力化が可能になるわけです。さらに耐熱性に優れているため、冷却機器の小型化で装置全体を小型に出来ます。

N700Sでは他の機器の見直しと共にインバーター冷却システムを走行時の風で冷やす走行冷却方式に変更するインバーター装置の見直しとで、16両編成あたり11t削減しました。軸重あたりでは11tを達成しました。消費電力ではN700Aと比べて7%削減可能となります。

柔軟な車両編成への対応

「SiC」の採用などで装置が小型になったことで、床下機器の配置も大幅に見直されました。従来は8種類あった床下機器のパターンを4種類に絞ることで、設計変更なく16・12・8両の柔軟な編成を可能としました。これをJR東海は標準車両と読んでいます。

これにより国内外問わずに低コスト・タイムリーに車両が供給可能になります。

新型先頭車形状の採用

N700系は「エアロダブルウィング」という形状を採用していますが、新しく「デュアルスプリームウィング」という形を採用しました。ボートの船底に採用されているような形に非常に近くなっています。

これにより更に走行時やトンネル進入時の騒音を低減できます。

グリーン車にフルアクティブ制振制御の採用

現在採用されている制振技術の「アクティブサスペンションダンパー」は、車体と台車をつなぐ油圧ダンパーを進行方向に対し垂直に設置し、電子制御によりダンパー内の弁の堅さを変えて横揺れを軽減する技術です。

今回採用された「フルアクティブ制振制御」は基本的な構造は「アクティブサスペンションダンパー」と同じですが、弁ではなく油圧ポンプを使う点が大きな違いです。今までのようにダンパ-の堅さを変えてゆれを軽減するのではなく、油圧ポンプでダンパーの油に力を加え振動を打ち消すことを可能にします。

今回採用されるのは編成中のグリーン車のみです。これによりグリーン車の振動は、人が分かるレベルで減るとしています。

リチウムイオン電池採用による非常時居住性改善

鉄道車両には非常時などのためにバッテリーが搭載されていますが、N700Aで採用されたいた鉛蓄電池からリチウムイオン電池に変更されます。これにより電池の重量30%・体積50%低減されるにも関わらず、電池容量はより大きなものとなります。

新幹線のトイレは水や排水量を削減するため水をポンプで吸い込む方式となっているので、停電時などには使えませんでした。今回電池の容量が大きくなったことで、停電のような電気が止める状況でも一部車両でトイレが使用可能になります。

走行機器や車内のモニタリング強化

近年では新幹線・通勤電車問わずに普通の車両に搭載したセンターでリアルタイムで車両や車外の状況を記録し、車両や地上設備の故障予防やメンテナンス低減に役立てようという取り組みが盛んです。N700Sでは既に採用済みの台車振動検知システムを強化するなどし、より多くのデータを取得して役立てる予定です。

一部通勤電車や新幹線には監視カメラが搭載されていますが、現状はドライブレコーダーのように後で見るためのものです。N700Sでは運転指令所はリアルタイムで映像が見ることが出来るようになり、非常時に乗務員への指示などでサポートが出来るようになります。


地震時のブレーキ短縮

ATCやブレーキデータの改善で、地震時の停車距離がさらに短くなります。N700Aは登場以降も改修を続けることで、登場時と今年度から増備される700A三次車では地震時に5%停車距離が短くなっています。N700Sではさらに5%短くなります。


パンタグラフの構造変更

現在のN700A系では4分割のすり板を採用した、在来線に似た形状のすり板をパンタグラフで採用していました。それがJR東日本E5系などで採用しているようなすり板を多く分割したタイプに変更されます。構造的にもJR東日本の多分割すり板に近いようですが、すり板の固定構造が微妙に違い、たわみ式すり板という名称が使われています。

JR東海系の新幹線では大型のパンタグラフカバーを装着することで、パンタグラフを固定する台座は小型の支持部の4点で固定するものを採用していました。それが大型の支持部2点で固定するものに変更されます。なので、パンタグラフカバーもデザインが変わりそうです。

台車構造の変更による軽量化

台車のフレーム構造を変更することで、フレーム内にあった補強材を減らし1台車あたり75kgの軽量化と溶接部分の数を減らします。フレーム内の変更がメインなので、大きな外観上の変化はなさそうです。


6極駆動モーター採用

最近の電車には交流モーターが使われていますが、この交流モーターの出力をサイズに変えずに上げる方法として、モーター内の極数をあげるというのがあります。この方法はパワーが上がる変わりに、同じ回転数を得るにはより高速なスイッチングの出来るインバーターシステムを必要するデメリットがあります。

N700SではSiCを採用したましたが、SiCは今までのSi(シリコン)を採用したインバーターより、より高速でスイッチングできます。そのため6極駆動のモーターを新幹線で初めて採用されたようです。

歯車装置の歯車の形状を変更

モーターの回転を車輪に伝えるため、間に歯車が入ります。この歯車の歯の形状が変更となりました。従来の物はハスバ歯車というもので、騒音が軸受けのダメ―ジが大きいものでした。今回採用されたヤマバ歯車は、それらが少ないものとなります。

JR東日本の新幹線試験車であるFASTECH 360でも採用されましたが、ヤマバ歯車はE5系では採用に至りませんでした。そのため営業車としては始めての採用という表現になりました。

東海道新幹線N700系置き換え用車両

N700Sは試験車両にあたる確認試験車を2018年に、2019年より量産車の投入を開始し2020年春の運行を目指しています。

2019年度までにJR東海所属の700系が全てN700Aで置き換えられる予定です。なので、N700SはJR東海所属のN700系置き換え用となるのが分かります。

JR西日本については700系の引退時期を発表していないので、700系もN700Sで置き換える可能性が高そうです。16両以外の編成にも対応しているため、JR西日本所属のひかりレールスターなども対象になるのではないでしょうか。

800系新幹線も時期としては2020年頃に置き換え時期を迎えるので、今後対象に追加されるか気になるところです。

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