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2022年6月12日日曜日

上越新幹線275km/h運転復活とさよならE2系




 JR東日本は2022年6月7日に、2023年春から上越新幹線の最高速度を再び275km/hへ引き上げると発表しました。これと同時上越新幹線より2022年度末にE2系を引退させ、E7系に統一すると発表しました。今回は再び275km/h化されること、E2系がこのタイミングで引退する理由を考察します。

今回は全区間で275km/h化

JR東日本E2系新幹線
上越新幹線から引退するE2系
写真の下枠交差パンタグラフのタイプは
既に引退済み
275km/hに速度が引き上げられるのは、「大宮~新潟」間で上越新幹線全区間となります。現在同区間は240km/hが最高速度で、30km/h速くなることになります。後述しますが、以前は下り一部列車が一部区間でのみ275km/h運転が実施されていました。

これにより所要時間が最大7分短縮されると発表しています。275km/hで運行するのはE7系です。E7系は設計こそ275km/hですが、260km/hでの運行しかしておらず、これで本来の性能が発揮されることになります。これに合わせて上越新幹線はE7系に統一され、E2系は2022年度末に一足早く上越新幹線から引退となります。

2019年5月にも275km/h化することをJRは発表していたのですが、当時は2022年度末実施予定としていたので、若干計画は遅れたことになります。

高速化発表化以降、車両を使った試験や工事などを進めてきました。速度が上がれば騒音も増えるので、防音壁のかさ上げや形状の変更、吸音壁を設置することで騒音が大きくならない工事が実施されています。また、高速走行をするとどうしても架線が揺れやすくなるので、架線をより強く引っ張って張る工事を行うことで、地上設備でも高速化を実施しました。

復活する275km/h運転

1990年3月10日~1999年12月4日の間で、「上毛高原~浦佐」間の下り勾配を利用して、越後湯沢を通過する下り速達列車の一部だけでトンネル区間を中心に275km/h運転を実施していました。

これは谷川連峰を超える際の高低差を利用したもので、上毛高原駅が標高約440m・越後湯沢駅が約355m・浦佐駅が約118mと下りが続いているのが分かります。この区間は半分以上がトンネル区間で、騒音も問題になりにくい構造です。それを利用して275km/h運転を実施していました。(標高は駅中心部の地上1Fを基準にしたものです。)

この列車には、専用の4編成の200系だけが使われていてました。ATC関係を275km/h用に特別改造し、ブレーキ性能や騒音対策が強化され検査基準も厳しくした特別編成でした。

その後275km/hは中止されてるのですが、これは200系以降の車両で車両性能が向上したことや、ほくほく線が開業し「はくたか」乗り換えなど越後湯沢駅の重要性が高まったことが理由とされています。

E7系統一で車両性能向上で275km/h復活へ

JR東日本E7系新幹線
上越・北陸新幹線で活躍する
E7系
2021年10月までは最高速度が240km/hのE4系が上越新幹線で運行されており、これも速度アップの障壁だったと考えられます。

現在上越新幹線で運行しているE2系は、275km/h対応のE2系1000番台で、東北新幹線では275km/hでの運行が可能です。そして、公開されているカタログスペックだけで言えば、E7系と大差はありません。しかし、E7系はE5系の技術を取り入れ、最高速度とスペックを落とした車両なので、E2系よりは性能が高く高速運転しやすいはずです。

また、E2系は順次廃車の進められている古い車両です。安全性や信号制御を考えると、東北新幹線で275km/走っているから、上越新幹線もそのまま走れるという単純な話ではないはずです。走れるか走れないかで言えば上越新幹線でも275km/hで走れるでしょうが、引退が近い車両へ手間をかけるのは得策でないという判断になったのだと思います。

上越新幹線がE7系に統一されることで、すべての車両性能や座席数が統一されることになりまうす。これによりダイヤを考える上で単純化できることや、ダイヤが乱れたときへの対応が楽になります。

東北新幹線でE2系が残る理由としては、最高速度がE2系と同じE3系が速度上のボトルネックとして残っており、E3系は今後置き換えることが予定されているからだと思います。E3系はE2系と連結して運行されているので、E3系の引退と同時期に東北新幹線でのE2系も引退になると予想します。

そういった理由からE2系の置き換えを上越新幹線で先に進め、東北新幹線でのみの運行とし、E7系で統一しての速度向上の実施という判断なのではないしょうか。240km/hを最高速度として、E2系の上越新幹線での繁忙期の臨時運行が今後あるかは、気になるところです。


2022年6月7日火曜日

報道の印象と違う?蒲蒲線計画の都と大田区の合意について解説




 大田区と都が2022年6月6日に合意した新空港線(通称:蒲蒲線)の発表内容について解説します。見ていただくと報道とは印象も変わってくる部分もあるかと思います。最初に簡単にまとめて細かい点を解説していきます。

京急1000形
蒲蒲線は京急への乗り入れも目指すが
実現なるか…

簡単には補助金の支払の一部と大田区が主体になることを合意

1 大田区は、整備主体となる第三セクターに出資、都市鉄道利便増進事業の採択に向けた調整など、本事業を推進する主体となる。

2 東京都と大田区は、都市鉄道利便増進事業の地方負担分について補助を行う。その負担割合は、東京都が3割、大田区が7割とする。 

3 大田区は、整備主体となる第三セクターとともに、本事業の事業計画の検討に当たり、事業費の圧縮に努める。 

4 本事業の都市計画決定及び都市計画事業認可の後、大田区が本事業を特別区都市計画交付金制度の対象事業とすることができるよう、東京都と大田区は調整を行う。 

5 空港アクセス利便性の向上に資する京急蒲田から大鳥居までの整備について、東京都と大田区は、引き続き実現に向けた関係者による協議・調整を行う。

6 上記合意事項の実現に向けて、東京都と大田区は、責任を持って必要な対応を行う。

大田区ホームページ
「新空港線(矢口渡~京急蒲田)整備事業について」より引用

上の文章は2022年6月6日大田区と都が合意した発表したことについて、大田区ホームホームページにあった内容です。

以上より簡単に解説すると、大田区が事業の中心となり、今後第三セクターを設立する。都と大田区で「都市鉄道利便増進事業」という制度の補助金の支払い割合を合意した。今後もコスト削減に努める。都と大田区で具体的な計画を決め、特別区都市交付金という都からの出資を受けられるようにする。今回決まったのは東急多摩川線矢口渡駅~京急蒲田間で計画路線の一部分、京急蒲田~大鳥居間は今後も協議する。それらが実現できるよう、都と大田区は努力するといった具合です。

実際に路線建設に至るには様々な申請が必要で、そういったことはまだと分かります。なので建設を決定したわけではありません。

それではそれぞれについて、1~6を細かく見ていきたいと思います。

1.大田区が中心に事業を進める

この新規路線は線路や駅を第三セクターが建設し保有し、東急など鉄道会社へレンタルして実際に運行を行してもらう想定です。なので、大田区が第三セクターに出資することで、中心的に事業を進めることができます。それで中心に事業を進めるとなったのです。

都市鉄道等利便増進法というのがあり、その法律に基づいて行われるのが都市鉄道利便増進事業です。これを利用すると国・自治体が3割づつ費用を補助金で負担してくれて、実際の支払いは残り3割のみでよくなります。なので事業が認可されるように努力するということです。

2.都と大田区で補助金の支払い割合決定

先ほどの都市鉄道利便増進事業で自治体が3割支払うとありましたが、この割合を都が3割・大田区7割と決めたということです。総事業費が1360億円の予定なので、単純計算で自治体支払い分が3割で453億円、大田区はその7割で約317億円支払うことを合意したことになります。

実際には都からの資金や第三セクターへの出資があるので、支払い金額はそこから増減します。

3.コスト削減を頑張ります

これに関してはあまり言うことはないのですが、1000億円を超える事業なのでコスト削減を頑張りますというこです。

4.東京都からの資金を受けられるようにする

簡単に言うと計画をちゃんと決めて、都から認可してもらい、都から資金を受け取れるようにするという話です。

この辺りは私も理解しきれてないので、間違っていたら申し訳ないのですが、解説していきます。

都市計画法という都市の開発に関する法律があるので、まず大田区が具体的な計画を決めた都市計画を決定します。そうすると都道府県、この場合は都が認可することで、都市計画事業というものになります。そしてその財源が都が交付する特別区都市計画交付金制度というわけです。

5.今決まっているのは路線の一部分

今回の話の対象となっているのは、「矢口渡~京急蒲田」間で計画の一部のみ、「京急蒲田~大鳥居」間は引き続き調整するということです。報道によると2030年代に、部分開業を目指すとしています。

新空港線(通称:蒲蒲線)は東急矢口渡駅から蒲田駅・京急蒲田駅を経て、京急空港線大鳥居駅まで繋がる路線です。元々「矢口渡~京急蒲田」間を第一整備、「京急蒲田~大鳥居」間を第二整備として分割して建設する予定です。なので、第一整備の区間のみ話がまとまったということです。

6.これからも対応を続けていく

このように見ると実際の路線新設にまだまだなことだらけとわかります。なので、引き続き都と大田区がで対応していくということです。

以上が大田区と都が合意した内容の解説です。こうやって見ると報道の内容や印象と違うところも見えてきたのではないでしょうか?

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2022年5月19日木曜日

東武鉄道新型特急500系リバティ 半蔵門線には直通しない?




2015年4月22日に東武鉄道が発表した新型特急500系「リバティ」について、車両の仕様などを中心に解説します。そして半蔵門線に直通出来るにも触れていきます。運用に就いては「万能特急東武500系リバティ 縦横を駆ける」をご覧ください。
記事作成日: 2015.04.22/記事更新日: 2022.05.19

500系特急電車スペック

東武日光線を走る500系特急リバティ
東武日光線を走る500系特急リバティ

編成概要

東武500系編成表
500系編成イメージ

車両形式: 500系
初期導入車両数: 3両×8編成=計24両
導入路線: 東武本線
運行開始日: 2017年4月21日
製作会社: 川崎重工
デザイナー: 奥山 清行

最初に発表された導入車両数は、3両×8編成=24車両の特急車両です。2016年度に導入され、2017年4月21日から運行を開始しました。基本的には2編成を連結した6両で運行します。その後も追加の導入が行われ、2022年現在3両×17編成=51両が在籍しています。

運行路線は東武スカイツリーライン(伊勢崎線)・日光線・鬼怒川線・アーバンパークライン(野田線)・野岩鉄道線・会津鉄道線と、本線系統であればどこでも走れるようになっています。

6両の編成のスペーシアは東武と野岩鉄道の境界駅である新藤原駅まで乗り入れていますが、そこから先は変電所容量の関係で乗り入れが難しいという話を聞いたことがあります。3両編成の小回りのよさが生かされています。

製造は川崎重工です。東武鉄道での採用は1946年に戦後の輸送力不足改善のため国鉄から割り当てられた63系以来となります。(川崎重工に吸収合併された汽車製造が8000系を作っているので、これを含めると変ります。)

デザイナーは北陸新幹線E7系や山手線E235系、中央線特急E353系などを手がけた奥山 清行氏です。

スペーシアの後継ではない

春日部駅に入線する東武100系
特急スペーシアとして活躍する
東武100系特急電車
発表時のプレスリリースで「特急スペーシア、特急りょうもう等に加えて、特急列車のさらなる利便性を向上を目的に」とあるように、新しい選択肢としての導入で既存特急車両の後継ではありません。スペーシアが6両を基本としていることからも後継ではないとすると納得できます。 

 導入当時は1800系の改造車である東武300系が6両×2編成=計12両、350系が4両×3編成=計12両在籍していました。ちょうど24両の導入で、全て置き換えられることも予想されましたが、この時は300系の置き換えのみとなりました。 

 追加車両により、200系廃車開始による「りょうもう」の一部運用、「きりふり」廃止とスペーシア廃車開始により350系と100系が担っていた定期特急や臨時特急の役目も果たすようになりました。 そして2021年に100系スペーシアの後継車N100系が発表されたので、スペーシアの後継車としてはそちらが担います。

また、車体の構造的にはATS-Pさえ搭載すればJRへの乗り入れることも可能だと思いますが、今のところ予定は無いようです。

気になる地下鉄直通

500系発表前に特急車の地下鉄乗り入れを検討するような話もありましたが、そちらはTHライナーが運行されたので、地下鉄乗り入れは無くなったようです。それでも実際可能なのか考えてみます。

地下鉄の乗り入れの障害になるものとして、前面貫通扉と車体幅の制約があります。500系は前面貫通扉はなんとかなりますが、車体幅やカーブの制約で怪しいです。

前面貫通扉は地下鉄を走る上で、非常口用に絶対に設置する義務があります。500系は貫通扉は増解結用が付いているので、設置義務は満たしています。しかし、そのままでは駄目で、貫通扉から地面に降りる非常用階段を取り付けるよう改修が必要です。

地下鉄はトンネルの大きさの関係で車体幅が大きい車両は入れない場合があります。500系の車体幅は2870mmです。これに対し半蔵門線直通対応車50050系が2770mm、日比谷線直通対応車20000系列が2874mmとなっています。

なので、半蔵門線に関しては車体幅的に無理です。日比谷線は車体幅だけで見れば問題ありませんが、東京メトロ13000系や70000系が舵操舵台車を装備して20m車の乗り入れに対応したのを見ると、カーブの問題で難しそうです。やはり500系の地下鉄乗り入れは、今後も無いと思います。

車両外観

下今市駅留置中の東武500系
下今市駅留置中
スペーシアが白系の塗装で明るめの帯が入っていたので、全体的にだいぶ締まった印象を受けます。

下今市駅で停車中の東武500系リバティ
下今市駅での分割作業
前面は貫通型で分割・併結が可能な形状で、今までの東武特急が非貫通型であるのと対照的です。旧成田エクスプレスの253系に似た形状ですが、253系が車掌しか通行できないのに対し、旅客も通行可能なタイプとなっています。

連結作業中の東武鉄道500系リバティ
連結作業中

分割作業の動画

分割や併結時には貫通幌のロックは駅員が行い、貫通幌の収納や外側の扉の開閉は自動的に行う、半自動方式となっています。そして、車内の運転台側の扉のロックなども手作業で行います。連結時には連結部がオレンジに点灯し、注意喚起の音が流れます。一部自動化されていると言っても作業量は特段減ったわけではないので、6050系と比べて作業時間が短縮されているなどの印象はありませんでした。

東武鉄道500系リバティ 上部前照灯
上部前照灯

東武500系ヘッドライト・テールライト
下部ヘッドライト・テールライト
ヘッドライト専用のライトが貫通扉上、ヘッドライト・テールライトを兼ねたものが前面下部についています。LEDタイプのもので非常に指向性が高く、写真の通り横からだと点灯しているのが殆ど分かりません。また、下部の前照灯は日中では3分の1程点灯し、夜間は全て点灯するようになっています。

東武鉄道500系側面LED行先表示器
側面LED行先表示器

東武鉄道500系リバティのロゴ
側面ロゴ

側面の行先表示器はスタンダードなフルカラーLED表示器を採用しています。側面にはリバティのロゴが貼られています。

電装部品など

SS182M(TRS-16M)

東武鉄道500系リバティ搭載東芝製VVVFインバータ
東芝製VVVFインバータ
足回りはには東武30000系で試験を行っていた永久磁石同期モーター(PMSM)が採用されるほか、東武鉄道では初めてアクティブサスペンションダンパーが採用されます。モーターはPMSMです。2017年4月21日に東芝がモーターを納入したと発表しました。台車は東武車では一般的なボルスタレス台車が採用されています。

実際に乗ってきましたが、発車時のモーターやインバーター音などはスペーシア100系と比べると、非常に静かに感じました。揺れについてもアクティブサスペンションダンパーがある分、少なく感じました。

東武鉄道500系リバティのパンタグラフとクーラー
パンタグラフとクーラー
パンタグラフは先頭車と最後尾に一つづつ搭載されています。クーラーは屋根上に集中式の物が、一両につき一つづつ搭載されています。最近は屋根まで塗装されている車両もありますが、そういった特徴はありません。

車内サービスとしてWi-Fiや2Aまで対応のPC用電源も用意されます。車内サービスについては「万能特急東武500系リバティ 縦横を駆ける」に記載しているので、そちらもご覧ください。

走行から分割シーンまで撮影しました


2022年4月29日金曜日

野田線日立製新車で減車に8000系・10030系引退? 東武鉄道新型通勤車両導入へ




東武鉄道は2022年4月28日に東武野田線(アーバンパークライン)へ新型車両の導入を発表しました。これに合わせて車両の長さを6両から5両へすると発表しました。新型車両についてや、それに伴って起こる車両動向などを予想します。

70000系に次ぐ新形式で導入

野田線で運行中の60000系

導入線区: 野田線
導入時期: 2024年度
車両形式: 不明
導入車両数: 不明
製造メーカー: 不明

東武鉄道は野田線(アーバンパークライン)へ新型車両の導入を発表しました。発表したプレスの内容はかなり大雑把なもので、導入時期が2024年度で野田線に導入するとだけが分かっています。これに合わせて編成の長さを現行の6両から5両に減車するとも発表し、この点は大きな変化です。

車両は環境に配慮した省エネタイプで、サービス・快適性の高い車両との文言もありますが、具体的な内容は今のところありません。

車両形式は不明ですが、新形式が導入されるようです。東武鉄道での最新の通勤車両は70000系です。70000系は日比谷線直通用に操舵台車採用し、仕様を東京メトロの13000系と合わせ実質同形式であるなど特殊な車両です。もう一つ前の形式である野田線60000系は最終導入が2015年であり、PMSMやSiCなど現行の技術は採用されていません。以上の経緯や技術的な一新を考えると、新形式となるのは納得できます。

日立製で最終的には25編成導入?

8000系と10030系は引退?

鉄道チャンネルによると25編成導入です。7編成が最初から5両での製造、18編成が4両で製造されます。4両編成の車両は、車両の組み換えを行って全編成5両とするとしています。これはプレスに無い内容なので正確性はよくわかりませんが、これが事実だとするといくつか予想が出来ます。

まず18編成が4両編成で落成し車両の組み換えで5両にする場合、ちょうど60000系が18編成在籍しているので、60000系から1両抜いての組み換えとなります。60000系は日立製作所製なのでメーカーを揃えるのが無難で、日立製が濃厚となります。また、60000系はT車含めた各車両に運転に必要な機器が搭載されており、簡単に組成変更ができません。60000系もある程度長い期間かけて更新工事が必要になると予想されます。

ただし、60000系含む日立製の車両はA-Trainという規格化がされており、内装のモジュール化や電装部品の取り付けが工夫されており、内装も走行機器も比較的簡単に更新できるよう設計されています。なので昔の車両ほどの更新工事の大変さは無い設計にはなっています。

野田線で運行している8000系は16編成、10030系が9編成となっています。ちょうど導入車両数と一致します。それらは全て新車で置き換えられることとなります。

野田線で運行中の80000系
野田線で走る8000系は導入から40~50年経っているため、全編成が引退になると予想されます。

野田線で運行中の10050系
野田線で運行中の10030系50番台
10030系列は導入から30年経っており、2022年に初の廃車が発生しました。更新工事で転属させるのは微妙なとこではあるのですが、ローカル線区にも8000系が残っておりそちらの置き換えが必要なため、転属と廃車両方が行われると予想されます。

本数維持で減車は他社にも波及するか?

25編成の導入が正しければ、運行本数はおおむね今まで通りとなります。今後は人口減少と高齢化で需要減少が見込まれており、それに対応する形です。

首都圏は地方の人口を吸い取る形で人口が増加していましたが、限界を迎える予想はコロナ関係なく以前からありました。特に通勤などの需要は人口減少に加え高齢化も加わるため、利用者の減少はより大きいものと予想されます。関東私鉄各社は2020年頃までは減車より増車を行ってきましたが、いよいよ減らす段階となったようです。

利便性を維持しつつ需要に合わせるなら短編成化し本数を維持するのが最も無難なやり方で、今回はまさにその形です。おそらく他の私鉄各社も本腰を入れて利用者減少対策を行ってくるでしょうが、同様の動きとなるかも注目です。


東武鉄道ペーシア後継N100系導入へ JR・地下鉄乗り入れは無し




 東武鉄道は100系特急スペーシアの後継として、N100系を2023年度に導入すると2021年11月11日に発表しました。これにより100系の一部の置き換えが進むと思われます。今発表されている内容から、解説やスペーシアとの比較をしていきます。

記事作成日: 2021.11.15/記事更新日: 2022.04.29

カーボンニュートラルを打ち出した車両

置き換え予定の
東武100系スペーシア

型式: N100系
導入車両数: 6両×4編成
運行路線: スカイツリーライン・日光線・鬼怒川線
車両製造会社: 日立製作所

車両形式はN100系、愛称はまだ未定です。しかし、「Connect & Updatable~その人、その時と、つながり続けるスペーシア~」をコンセプトに打ち出しているため、スペーシアという名前は何らかの形で残りそうです。

COP21が実施されている中での発表で、製造から運行までカーボンニュートラルを打ち出し、実質CO2排出量が0になる予定です。他の交通より環境に優しい鉄道の要素を、より強く打ち出した形です。保守的な東武鉄道としては、素晴らしい取り組みだと思います。

導入車両数は6両×4編成の24両を予定しています。現在100系スペーシアは9編成が在籍しているため、半分程度がまず置き換えられると思われます。

白ベースの前面展望特急

カラーリングは今のスペーシアと同じ白ベースで、日光東照宮より着想を受けた仏閣や日本人形に使われる白色塗料の胡粉(ごふん)をイメージした色となります。スペーシアとは違い車体帯は無く、窓付近に黒のアクセントが入ります。先頭車両の前面デザインは、近鉄特急の「ひのとり」に似たデザインです。大型側面窓は先頭車両のみ窓割も違って六角形のデザインとなります。

車両製造メーカーは日立製作所となります。50000系・60000系と日立製作所を採用していた東武鉄道ですが、70000系は近畿車輛・特急500系リバティは川崎重工製だっため、久々の日立製作所製です。日立製作所はアルミ合金使った特急から通勤電車まで対応出来る、「A-Train」シリーズを売りにしています。そのため車体も100系スペーシアと同じくアルミ合金が引き続き採用される模様です。

大幅に変更された座席構成

座席数212席で、現行のスペーシアの284席より大きく減っています。座席の配置は大きく変更され、より観光と外国人観光客の需要に特化したものとなりました。

東武日光側の先頭車1号車はカフェカウンターのあるラウンジ車で、「コックピットラウンジ」の愛称が付きます。100系スペーシアでは営業を終了したビュッフェですが、日光・鬼怒川の商品を提供するカフェカウンターとして形を変えて継続します。運転台後ろは大型ガラスの仕切りが採用された展望車にもなっています。

2号車はプレミアムシートです。2+1列配置のJRグリーン車に似た構成で、料金も値上げが行われると予想されます。

3・4号車は2+2の従来通りの座席配置です。

5号車は通路側の仕切りが大きく座面・座席が固定されたボックスシートが採用されます。このタイプの対面式の座席は海外で見られるもので、海外需要を意識しての採用だと思います。

浅草側先頭車の6号車は100系でも採用されていた個室になります。個室は5室あり、4部屋は100系と似た4人用です。そのうち運転台に最も近い部屋は他より広く「コックピットスイート」という愛称で、7人まで利用出来る部屋になります。通常個室の2部屋分を使っただけあり、私鉄最大の個室を謳っています。こちらも大型ガラスの仕切りが採用された展望車です。

JR乗り入れは今のところなしで地下鉄線は不可

運行路線はスカイツリーライン・日光線・鬼怒川線鬼怒川線駅までとしています。500系リバティが汎用性重視で、東武本線系統の様々な路線に乗り入れられるのと比べると対照的です。また、6両固定という関係もあり、変電設備の容量が厳しい野岩鉄道や会津鉄道には乗り入れないようです。

100系スペーシアのうち3編成がATS-PなどJR乗り入れ対応装備を装着しており、日常的に栗橋駅からJR線に入りJR新宿駅まで乗り入れています。今発表されている線区には含まれていないため、今のところJR線には入らないようです。今後についてはあり得るかもしれません。スペーシアはJR乗り入れ編成のほうが、暫くは確実に運行継続されそうです。

また、先頭車両が非貫通デザインで法律上必須の非常時脱出用貫通扉がないため、どうやっても地下鉄乗り入れ対応は法律上出来ません。そのため地下鉄乗り入れはあり得ません。

そのまま廃車?100系スペーシア

置き換えが行われた後の100系スペーシアですが、今のところ発表はありません。順当に考えれば、特急りょうもう用の200系がDRCの部品流用車で部品単位では50年物で、そちらへの玉突き転属となります。

ただ、単純にそうならない可能性が高そうです。東武100系も導入が平成初期のため30年程度経っています。普通の鉄道会社が行っている、VVVFなどの電装系などの大幅な機器更新を行っていません。そう考えると車両の痛み具合によっては廃車のほうが安くつく可能性もあります。実際そういった判断もあったのか、N100系の導入を待たずに2022年に初めての廃車が発生しました。
 
なので今後の導入時に転属させるのは微妙なところとなってきました。


2022年3月31日木曜日

東上線の電車も走るかも? 有楽町線「豊洲~住吉」間延伸決定へ




 2022年3月28日に東京メトロ有楽町線の「豊洲~住吉」間の延伸が決定しました。開業は2030年代半ばの予定です。延伸区間の解説を中心に、もしかしたら東上線からの回送列車が走るかもという点にも最後触れます。

川越市駅に到着する東京メトロ10000系
有楽町線でも使われる
東京メトロ10000系

約5kmの延伸へ

建設キロ: 4.8km
事業者: 東京メトロ
総建設費: 約2690億
開業目標: 2030年半ば

都区内東部の利便性向上、スカイツリーや豊洲市場などの観光地へのアクセス向上、東西線の混雑緩和を理由に建設が決定されました。

建設区間は「豊洲~住吉」間4.8kmです。ルートは半蔵門線住吉駅側からみると、東京都道465号線四ツ目通りの真下を通り南下し、JR東日本のレールを管理している越中島貨物駅付近の汐見運河とぶつかったところで西へ向かい、新木場側から豊洲駅直前で有楽町線に合流し終点の豊洲駅に至る経路です。

途中駅は3駅作られる予定で、新駅二つと既存駅との接続駅1つとなります。住吉側から見ていくと江東区千石2丁目あたりに新駅が一つ、既にある東西線の東陽町駅に接続して一つ、汐見運河にぶつかったところから西へ向かって首都高9号深川線とぶつかったあたりの江東区枝川2丁目のあたりに新駅が一つ、そして豊洲駅に至ります。

第三セクターなどを作るのではなく、事業者は東京メトロです。なので利用者としては東京メトロと同じように使え、負担は小さくなっています。

建設費は約2690億円です。同時に申請された南北線の延伸区間が2.5kmで1310億円なので、概ね距離に比例して倍額となっています。詳細な費用の調達方法や内訳は調べられなかったのですが、整備新幹線など様々な運輸事業に関わっている独立行政法人の鉄道・運輸機構からの融資や補助金により建設されます。最近の鉄道建設事業を見ると東京メトロの実質的な負担は建設費の3割ぐらいと予想します。

やっと準備されていた設備が活躍へ

始点と終点となる半蔵門線の住吉駅と有楽町線の豊洲駅は、開業時から元々延伸が可能なようになっている構造で駅が作られています。

どちらの駅も今営業用で使っている線路とは別に延伸路線用の線路が設置されており、留置線や臨時のホームスペースとして活用されています。

どういった形の乗り入れ形式となるか

列車の運行形態について発表はまだありません。

配線の構造的に半蔵門線は押上方面からの列車が、有楽町線は和光市方面からの列車が延伸区間に乗り入れが可能です。

有楽町線と半蔵門線の都心部の駅の位置関係を考えると大きく乗り入れる意味はあまり無さそうに思えます。また有楽町線各駅から住吉駅より、半蔵門線各駅から豊洲方面への需要の方がまだありそうに思えます。

そう考えるとピストン運行か、半蔵門線側からの住吉駅への乗り入れとなりそうです。

本線列車との顔合わせや

東上線からの検査列車が直通するかも?

東上線からの営業列車が走ることは無いと思いますが、一部回送列車が走る可能性はありそうです。

東武東上線と越生線は他の東武鉄道の路線からは独立しています。そして、東上線車両の全般検査や重要部検査を行っていた川越工場を閉鎖しました。そのため秩父鉄道を経由して南栗橋の工場まで検査列車を送るという、変わった形態になってしまいました。それが豊洲駅で半蔵門線と繋がれば、地下鉄車両は比較的簡単に東上線と本線を行き来することが出来るようになります。

半蔵門線は車両限界が有楽町線より少し小さく地下車でも50070系の一部しか乗り入れ不可能な点、半蔵門線の信号システムにCBTCを導入する予定などの問題点もあります。しかし、乗り入れ開始が10年以上先なので、東上線の地下車の大半の9000系もさすがに更新がされている可能性が高く、その頃には有楽町線もCBTCに更新となってもおかしくないので、東上線の検査を行う車両が走る可能性は十分ありそうです。

先ほど説明したよう東上線と越生線の位置の関係上、普段は本線との車両とは顔を合わせません。しかし、地下鉄線を経由しては顔を合わせており、中目黒駅で日比谷線直通の本線の車両と東上線からの副都心線直通の車両が他社の駅で顔を合わせています。なので新線が開業されれば、豊洲駅でも顔合わせをするようになるかもしれません。


2022年2月20日日曜日

新型制御で高速化の希望になれ!新型振り子式「やくも」




 特急「やくも」用に導入される273系振り子式特急電車と、273系に採用される新しい技術「車上型の制御式自然振り子方式」について注目したいと思います。

ベースは271系?

形式: 273系特急形直流電車
車両数: 44両 (4両×11編成)
営業時期: 2024年春

JR西日本は2022年2月16日に特急「やくも」向けに、273系を44両導入すると発表しました。運行開始は2024年春で、これにより最後の国鉄型特急電車となった381系を順次置き換えます。それに合わせて2022年3月19日より381系の国鉄色リバイバル運転を行います。

デザインはシルエットのみ明かされており現在検討中としていますが、シルエットを見る限り関空特急「はるか」で活躍する271系をベースにしているようです。

現在の発表ではVVVF化による省エネルギー化・バリアフリー化・防犯カメラ設置・Wi-Fiとコンセント整備と目新しくないものも多く目につきますが、日本初の「車上型の制御式自然振り子方式」採用という大きな特徴もあります。

日本国内では電車での振り子式の新形式は20年以上採用がなく、在来線特急界では明るいニュースです。

山を貫き瀬戸内海と日本海を結ぶ

「やくも」と381系

273系が導入される特急「やくも」は、山陽本線・伯備線・山陰本線を経由して「岡山~出雲市」間を結ぶ特急列車です。新幹線により活躍の減る在来線特急ですが、瀬戸内海と日本海を結ぶ路線は無いため、今でも「やくも」は1時間に1本をベースに設定されている重要な特急です。

山を抜けてカーブの多い区間を走る関係で、1973年に中央線の特急「しなの」・1978年に阪和線と紀勢線の特急「くろしお」・最後に1982年特急「やくも」と381系特急電車を採用した路線です。

381系は自然振り子式と呼ばれる車体傾斜装置が搭載されていて、カーブに入ると遠心力で車体が傾くことで、カーブでも乗り心地を損なわず高速で通過することが出来ます。ただし、車体傾斜装置は乗り心地を維持するための装置のため、あらかじめ線路や架線を高速走行可能な用にする工事が必要です。

381系は485系や183系に似た見た目をしていますが、振り子装置以外にも車体を鋼鉄製からアルミ製にしたり、冷房を床下にするなどして低重心化する工夫があります。

カーブの多い路線に採用された381系ですが、老朽化の問題により「やくも」以外では引退しています。そして485系が引退して今では、「やくも」は最後の国鉄型特急電車が定期運行で活躍する貴重な列車ともなっています。

コストが重くても採用された振り子式

振り子式車両は台車や場合によってはパンタグラフも構造が特殊化するため、コストの関係で採用を減らしています。その代わりとしてカーブの通過速度は振り子式より多少劣るものの空気ばねの空気量を調整して車体を傾けるため、構造が他の一般列車とほぼ同じでコストがあまりかからない空気ばね式の車体傾斜装置がが採用が増えています。

最近で振り子式が採用されたのはJR四国が空気ばね式では技術的にどうしても難しかった場合と、かなり消極的な理由でした。また、「くろしお」に至っては、381系の後継車では車体傾斜装置自体を省いてコスト削減がなされることもありました。

コストがかかっても振り子式が採用されるのは、それだけ「やくも」がまだ重要だと思われているからなのだと思います。

新型制御で少しでも安くなるか?

381系自然振り子式はカーブに差し掛かるだけで勝手に車体が傾く反面、車体がカーブに入ってから車体が傾くため乗り心地が悪くなるデメリットもあります。そのため乗り物酔いが起きやすく、「ぐったりやくも」などという不名誉なジョークもあったりしました。

そのため最近の振り子式車両は制御付き自然振り子という方式を採用しています。線路上にあるATS地上子の位置を記録したマップデータと車両側の計測装置による位置情報を基に、カーブに入るタイミングに合わせて機械的にアクチュエータを制御して少し車体を傾けはじめ、その後は自然振り子式同様に勝手に車体が傾くという仕組みです。

273系ではそれに代わり「車上型の制御付自然振り子方式」が採用されます。詳しい情報はプレスにはJR西日本のプレスには載っていませんでしたが、2020年の鉄道総研の研究成果にその技術と思われるものの詳細「車体傾斜車両向け高精度自車位置検出システム」が出ていました。

それによると従来の方式はATS地上子の位置が変わるたびに車両側にデータを入れかえが必要だったり、大きな駅を走行時に本来の経路とは違う線路を走ると位置を見失う場合がありました。それを車体に搭載したジャイロセンサーによるヨーイング角(大雑把にはカーブ時の車体の傾きみたいなもの)と走行速度からカーブの角度を計算し、車両に搭載された線路のマップを照合して±2mの精度で位置を検出します。これにより車両上のデータメンテナンスを10年程度まで伸ばせるとしています。

最近の日本の特急車両は乗客の減少や高速網との勝負に負けているため、高速化技術よりコスト削減の技術ばかりに投資される傾向にあります。今回の技術は車体傾斜装置の導入コストを、大きくではないものの下げる技術の一つです。車体傾斜による高速化は線路側に改良も必要のため依然コストがかかりますが、空気ばね式にも適用できるこの技術と空気ばね式車体傾斜装置であれば、以前よりもハードルが下がっているのも事実です。こういったご時世でなかなか難しいにしても、もう少し攻めの鉄道車両が増えてくれると良いと願って少し大げさですが、ブログ記事タイトルをつけさせて頂きました。


2022年2月11日金曜日

そもそもパタパタって何? さよなら京急川崎駅パタパタ表示器




 京急川崎駅に残された最後の通称「パタパタ」表示器、正式名称「反転フラップ式案内表示器」について紹介します。

京急川崎駅 反転フラップ式案内表示器
京急川崎駅
反転フラップ式案内表示器

そもそも「パタパタ」って何?

「パタパタ」の愛称でよばれている表示器は、「反転フラップ式案内表示器」と呼ばれるものです。フラップと呼ばれる薄い鉄板をパタパタ切り替えることで、行先や列車種別を表示します。1953年に東京駅に設置されたのが日本では最初のようです。

最近ではおしゃれな卓上時計ぐらいでしか見かけなくなりましたが、以前は大きな駅や空港に多く設置されていました。今では国内だと関東では京急川崎駅が最後に、一部の関西私鉄駅や空港にわずかに残るのみとなっています。

フラップを転換する必要があるため、表示を切り替えるの時間がかかります。また、鉄板に文字や記号などを使う場所にあった印刷をする必要があるため、基本的に特注品になりコストもかかりますし、新しい表示をするにはフラップの交換が必要になったりもします。そのため最近では、切り替えが早く簡単にデータの更新で新しい表示が出来る、LEDや液晶をモニターを使った表示器が一般的になっています。

京急川崎駅のパタパタ

京急川崎駅 反転フラップ式案内表示器

関東最後のパタパタは京急川崎駅の下りホームだけに1台だけ設置されています。京急のプレスによると1986年12月26日に京急川崎駅に設置されたのを皮切りに、一時は10駅にまで設置されていました。このパタパタは二代目の表示器とのことです。古くなり部品交換も難しく、他の駅同様2月中旬に更新が行われます。

京急川崎駅下りホームは日中でも毎時18本の発着本数があり、緩急接続可能な1面2線の構造です。そのため表示内容も列車の「発車順番・発車番線・種別・行先・時刻・車両数・補足情報」と、7種類のフラップで多くの情報が表示できます。段数も三段の表示で、一度に3本の列車の情報が表示可能です。

この表示器は複数の機能が一体になったタイプでパタパタだけでなく、上部に停車駅表示のランプやパタパタ横にアナログ時計が付属しています。

京急川崎駅 反転フラップ式案内表示器の時計
時計の下にある「京三製作所」のロゴ

製造は信号装置やホーム設備を多数製造している、国内鉄道装置大手の京三製作所です。

表示切替は列車が発車する行われます。上段から下段と順番に表示が切り替わっていきます。

京急川崎駅 反転フラップ式案内表示器をズームしたところ
ズームして撮影

下からよく見ると、フラップは上下2分割されていて、だいぶ痛みがあるのも分かります。

このように他の表示器にはない様々な特徴をもったものです。仕方がないとは言え、なくなるとちょっと寂しいものですね。何気ない表示器にも、今後は目を配って見ていきたい気持ちになりました。



2022年1月30日日曜日

まさかの東武乗り入れ ー 相鉄・東急新横浜線2023年開業




2023年春開業予定の相鉄・東京新横浜線「日吉~羽沢横浜国大」について、鉄道趣味的な観点から概要を解説します。

記事作成日: 2022.01.29/記事更新日: 2022.01.30

東急5050系
乗り入れに使用予定の東急5050系

開業区間は10km

相鉄・東急新横浜線路線図
新横浜線路線図

2023年3月に開業する予定の区間は東急日吉駅~相鉄横浜国大駅の約10kmとなります。

相鉄側が既に開業している相鉄新横浜線西谷~羽沢国大駅から4.2㎞1駅延伸する形で、東急側からは日吉駅から途中に新綱真島駅を挟んで2駅延伸する形で5.8kmの新線東急新横浜線が開業します。

これは「神奈川東部方面線」と呼ばれていたもので、「相鉄⇔JR」の相互直通と「相鉄⇔東急」の相互直通二つの計画をまとめていたものです。既に羽沢横浜国大駅より行われている相鉄とJRの乗り入れに加えて、今回の新線開業ですべて完成となります。

これにより東急方面から東海道新幹線新横浜方乗り換えの利便性向上や、相鉄方面からの都心への利便性向上が期待されています。

相鉄側から新横浜駅へが10・8両編成がラッシュ時10本・日中4本、東急側から新横浜駅へが10・8・6両編成がラッシュ時14本・日中6本の運転予定です。

新横浜駅が唯一2面3線の日常的に折り返し可能な駅なので、6両の列車はそこまででそれ以外が相互直通する形になるようです。

新横浜駅には5社11路線の超複雑乗り入れ

東急が複数の路線と乗り入れていることや、相鉄が東急線から更に地下鉄経由して「渋谷・新宿・永田町・大手町」など都心への乗り入れを目的としていたため非常に複雑な乗り入れになってしまいました。

東急からは「東横線・目黒線」、相鉄からは「相鉄本線といずみ野線」が乗り入れます。

それに加えて東急東横線を経由して「東京メトロ副都心線とその直通先の東武東上線」の2路線、東急目黒線を経由して「東京メトロ南北線とその直通先の埼玉高速鉄道」と「都営三田線」3路線が乗り入れます。

路線の分岐駅である西谷と日吉は折り返し設備は比較的充実している駅なので、ダイヤ乱れ時の影響はある程度抑えられると思います。しかし、これだけの複雑だと、どこかの路線の運休など大きなダイヤ乱れが起きると、小さな影響は波及してしまうと思います。

まさかの東武鉄道参入

そして誰もが予想だにしていなかったのが東武鉄道東上線の直通です。乗り入れ区間も最近観光客が増えてる川越までではなく、東上線の10両編成の列車乗り入れ可能最北端の小川町までを予定しています。一方で東武鉄道と同じような境遇の西武鉄道は乗り入れは、需要などから今のところする予定は無いと発表しています。判断としてはこちらが無難です。

これにより東上線からは新横浜駅での新幹線乗り換えや日産スタジアム(横浜国際総合競技場)へ行きやすくなり、相鉄方面からは川越観光や小川町・長瀞方面の観光やトレッキングがしやすくなります。

今でも東上線は東急・メトロの車両を使って「元町・中華街⇔小川町」に東上線無料最優等列車の快速急行を運転しているので、確かに下地はありました。

しかし、はっきり言って東上線が乗り入れる意味は、利便性や観光の意味から考えてもほとんどありません。東上線から東海道新幹線を使うならそれこそ品川駅で良いですし、相鉄方面から川越・小川町方面への観光需要の掘り起こしを期待するのは難しいのは明白です。案内に東上線が入ることで、多少認知度向上が狙える程度が分かりやすいメリットだと思います。

西武鉄道も似たような取り組みとして「元町・中華街⇔西武秩父」を繋ぐS-Trainを運行していますが、遠さだけでなく指定席料金の値段も相まって苦戦しており、それが乗り入れをしない決断に繋がったと思います。

そういった状況でも最近の東武鉄道は比較的チャレンジしようとしているので、その一環なのだと思われます。相当な工夫が必要だと思いますが、どう需要を掘り起こすのかも注目です。

様々な車両が乗り入れ予定

相互乗り入れがほぼ確実な車両
相鉄: 20000系・21000系
東急: 5050系・5080系・3000系・3020系

新横浜まで乗り入れる可能性がある車両
都営: 6300形・6500形
東京メトロ: 9000系
埼玉高速鉄道: 2000系

乗り入れるかもしれない車両
東武鉄道: 9000系・9050系・50070系
東京メトロ: 10000系・17000系

参考-JR相鉄相互直通車両
相鉄: 12000系
JR: E233系7000番台

はっきりしたことは実際の運行開始までは分かりませんが相鉄と東急の相互直通を行う車両として、新横浜線の事業者である相鉄と東急の車両が使用されるようです。2社の車両は両方の路線へ乗り入れ可能なよう信号システムの工事が完了されています。東急車は5050系が西武・東武含めた全線乗り入れ可能、それ以外の東急・相鉄車は東武・西武以外の直通先全路線に乗り入れ可能な仕様です。

一方で都営・東京メトロ・埼玉高速鉄道の車両は相鉄への乗り入れ工事が確認されておらず、新横浜駅までかイレギュラー運用時のみ新横浜駅までとなる可能性が高そうです。埼玉高速鉄道などは特にそうですが、事業者によってはメリットが小さく乗り入れに工事・メンテナンス費用がかかる乗り入れには消極的です。そういった事情によるものと思われます。

東上線への乗り入れは本数が相当少ないと予想されるので、相鉄と東上線両方が乗り入れ可能な東急5050系を使うのが一番簡単な方法です。ただ、技術的には新横浜駅まで乗り入れ可能なはずなので、東武車乗り入れも可能性としては僅かに残っています。また、副都心線で使われている10000系や17000系が乗り入れることは運用が複雑になるので無いと思いますが、技術的には東武車同様に可能なので、可能性としては同様という具合です。

参考ですがJRと相鉄の相互直通車は、信号システムの関係や地下鉄乗り入れ装備がないため東急・地下鉄方面への乗り入れができないため、JRと相鉄のみの相互直通となります。

現状わかっている情報としてはこのような感じです。この記事は順次加筆・修正していく予定です。



2021年12月17日金曜日

小田急50000形ロマンスカーVSE 2023年廃車へ- 連接台車の歴史に幕を下ろすか?




小田急電鉄は50000形ロマンスカーVSEの2022年3月11日までの定期運行終了と2023年秋の廃車を、2021年12月21日に発表しました。なぜ廃車に至るかの考察と、今後も連接台車特急の運行自体は可能ということを解説していきます。

定期運行終了の後廃車へ

小田急電鉄50000形VSE
運行を終了する予定の
小田急電鉄50000形VSE
2022年のダイヤ改正前日にあたる2022年3月11日に、50000形特急電車VSEの全編成にあたる計2編成の定期運行を終了すると発表されました。

理由としては車体の経年劣化や機器更新が難しくなってきていることが、プレスリリースに記載されています。

小田急のプレスリリースにも明記されていますが、イベント列車としての運行は継続されるため、完全な運行終了ではありません。繁忙期など臨時列車ので運行もあるかもしれません。しかし、23年秋には引退予定とあるので、定期運行終了後1年程度で廃車が決定しています。

今のところ新型の特急の発表はありません。2022年のダイヤ改正で特急の運行本数が削減されるため、今のところ車両自体が必要ないと考えられます。新型や既存の車両が追加されるかは、旅客需要がどの程度戻ってくるかによるでしょう。

10000形LSEが長野電鉄に譲渡され、富士急には20000形RSEが譲渡され今も活躍しています。前例としてはロマンスカーの譲渡はあり得るので、VSEの譲渡による新天地での活躍も期待したいところです。

コストとホームドアによる影響が大きいか

早期の廃車になったのはコストとホームドアが大きいと思われます。

一般的な鉄道車両では15~20年で制御装置などが古くなるので、その時期に大幅な車両部品の交換を行います。そうしたタイミングで座席などの内装や塗装などの外装にも手を加え、今後15~20年程度使えるようにします。そして30~40年程度を寿命として廃車にするのが一般的です。

VSEは2004~2005年にかけて2編成製造されました。17年経つのでちょうど更新が必要な時期なので、機器の劣化であればそうした措置を行えばよいだけなので、それ自体は運行終了の大きな理由にはなりません。ただ、機器更新は大きなコストがかかるので、何らかの問題がある場合、それを区切りに廃車にする場合もあります。

小田急は1957年に登場した初代ロマンスカーである3000形SE車以降、伝統的に連接台車の特急列車を多く採用してきました。日本での連接台車の採用は少なく近年では路面電車の採用が中心で、近年で特急電車での採用は小田急のみです。そのため車両部品が特殊であることは事実で、編成数が少ないことや特急車両が高速走行で元々高価な部品を使っているのを考慮すると、VSE専用の非常に高価な部品があることは想像できます。

小田急に限らずホームドアの設置が進められていますが、VSEは連接台車であるため通常の特急電車より1両あたりの長さ短くドア位置も変則的であるため、小田急線のホームドア取付の障壁になっていると指摘されていました。現在のホームドアは様々なタイプのものが開発され、VSEへの対応自体は可能だと思います。しかし、VSEだけのために特殊なホームドアを採用しないので済むのであれば、そちらのほうが良いのは間違いありません。

以上のことを考えるとホームドアとVSEの相性が悪かった上に、車両全体の部品を大幅に交換する時期に差し掛かっていたため、この際廃車という方向になったと想像できます。

※連接台車…連接台車は車輪などが取り付けてある台車が、2つの車両の中間にある構造のもの

連接台車特急は復活は出来るが…

今後もホームドアにより連接台車が運行できないかですが、連接台車でも特急という特殊な運用形態上通常のホームドアへの対応は可能です。

特急車両は通勤電車と違い乗降人数が少ない関係で、ドア数が多少減ったりドア位置が変則的でも問題ありません。なので、単純にほかの20メートル車と合うように、ドアがついている車両を設計すれば良いだけの話です。あとはホームドアの開閉プログラムを、ドアがついている箇所のみ開くようすれば良いのです。

さらにロマンスカーならではの利点もあります。一般的な車両では運転台からの乗り降りを考慮して、編成長にあわせた乗務員用の乗り降り設備もホームドアには必要です。ロマンスカーでは運転台が二階にある特殊構造を採用することも多く、その場合は乗客用出入口から乗務員も乗り降りします。なので乗客用のドア位置だけを合わせさえすれば良いのです。

以上から理屈の上では通常のホームドアへの対応は可能です。ただ、本来停車しない駅などへの緊急停車などの非常時を考えると、20mのボギー車が良いのも事実です。色々な事件も増えている現代では、単純なドア位置以外も考慮に入れる必要はあります。

連接台車の意義と小田急らしさ見出せるか?

初代ロマンスカーSE車では軌道へのダメージを最小減にした上で高速走行が可能なよう、技術的な理由から連接台車が採用されました。車両の軽量化・高性能化が進み線路設備が充実した今の小田急電鉄で、技術的な理由で採用をこだわる理由は少なくなっています。小田急でも50000形の先代である30000形EXE、後継である70000形GSEとボギー台車のロマンスカーは多数運行されています。

※ボギー台車…台車が車両に2個付いたいわゆる普通の台車。日本の鉄道車両は基本的にボギー台車です。

しかし、高速走行時有利な物理的特性や、車両ごとを区切らないで済む連接台車ならではの車内づくりができるメリットが全てなくなった分けではありません。50000形VSEが先代30000形EXEの展望席など観光特急らしさの無さと、連接台車の特性を生かしたより快適で特徴ある車内空間を求めて生まれた車両で、それを証明しています。

特急電車でもロマンスカーは箱根への観光列車で、他の特急以上に非日常感を求められる車両です。そういった非日常感を作るために連接台車を採用した、誰もが認める独創的な車両を今後も運行して欲しいと願っています。


2021年8月10日火曜日

2022年度から磐越西線一部再非電化へ - ゆくゆくは磐越西線全線非電化へ?




 2022年度より磐越西線「喜多方~会津若松」間が非電化工事を開始予定と報道されたことから、なぜ非電化するかや今後の磐越西線について考えてみたいと思います。


予定されているのは「喜多方~会津若松」間16.6km

会津若松駅に停車するJR東日本E721系とキハ40系
左が磐越線電化区間を走るE721系
右が磐越線非電化区間を走る今は引退したキハ40系
JR東日本が非電化化を検討しているのは磐越西線の「喜多方~会津若松」間で、営業キロにすると16.6kmで6駅が対象となっています。

福島民友新聞の8月4日の記事によると、8月3日に喜多方市はコスト削減を理由にJR東日本より2022年度から「喜多方~会津若松」間の再非電化化の予定を説明されました。これに対し市側は観光や直通列車への影響を懸念したと報道されました。

役目を終えつつある電化

磐越西線は福島県郡山駅~新潟県新津駅を結ぶ、全線営業キロ換算で175.6kmの路線です。そのうち約半分にあたる福島県内郡山駅~喜多方駅間の81.2kmが交流電化されています。

E721系指定席車両
快速列車に連結される指定席車両
この交流電化は1967年により一度に全線で行われ、上野駅から会津若松・喜多方へ直通する特急や急行が運行されるようになりました。その後東北新幹線が開業し、特急列車は「郡山~会津若松」へ縮小されていきました。高速道路の磐越道の延伸などもあり、現在では特急も廃止され快速列車に指定席が連結されるのみとなっています。

磐越西線は会津若松駅を起点とし運行系統が二分されています。「郡山~会津若松」間が電車列車、「会津若松~新津」間が非電化列車という住み分けになっていて、全線直通する列車はありません。その中で郡山方面への列車2本・喜多方方面1本が電化区間全線を走る列車となっています。

優等列車がほぼ廃止され電化区間の全線直通列車が減った今、市側の懸念はもっともなものですが、電化区間が縮小されてたとしても影響はかなり小さいのは事実です。

JR東日本は地上設備を減らしたい

鉄道は車両だけでなく架線・信号・踏切など地上にも設備が必要です。

JR東日本は将来の乗客や働き手の減少を見越して、地上設備のメンテナンスやコスト削減ののための投資を進めています。例えば海外でも進み始めている信号の無線化技術の開発や、踏切制御の無線化も進めています。それに加えてかなり以前から電車の架線を無くす、架線レス技術にも注目していました。そのため鶴見線では燃料電池車の実験などもする予定です。

その点架線を取っ払ってディーゼル列車など走らせるのは、ハイテクではありませんがシンプルな方法です。

交流車両は高価・電気式でディーゼルも高性能化
磐越西線全体の非電化化も現実的?

磐越西線は交流電化されているのですが、そこを走る交流用電車を簡単に言うと、直流用電車に交流を直流にする変換機を追加で載せた車両です。なので、その分通常の車両より少し高価になっています。

路線単体で見ると電化コストが高くても、周辺路線との車両の融通やメンテナンスコストに貨物列車との兼ね合いで電化が必要な場合があります。しかし、磐越西線の電化区間の場合、既に半分は非電化区間であり郡山側にも非電化路線の磐越東線があり、そちらと車両を融通しあえるようになります。そして郡山には非電化列車の車両の点検の出来る車両工場もあり、メンテナンス面でも問題ありません。

そして最近登場した電気式ディーゼル列車はエンジンで発電した電力で走る列車なのですが、加速性能は普通の電車並みに進化していてディーゼル列車より上です。正確な値段は不明ですが、ディーゼル列車よりはコストが高いものの、メンテナンスコストで有利になると考えられるます。

それらを踏まえると電気式ディーゼル列車のような新しい車両でを導入することで、利便性を落とさず非電化化も不可能ではありません。そして車両コストはあまり変わらないものの、地上の電化設備の分でコストを減らすことは可能かもしれません。

部分的な非電化化工事の結果や、701系の廃車に合わせた今走っている車両の転用計画など次第では、全線の非電化化の検討も決して不思議なことでは無いと思います。


2020年10月3日土曜日

JR東日本 初の電気式気道車GV-E400系投入へ




2015年5月19日にJR東日本は新潟・秋田地区へ新型電気式気道車を投入すると発表しました。電気式気動車の本格採用はJRでは初めてで、2019年8月よりGV-E400系として、営業運転を開始しました。
記事作成日: 2015.05.19/記事更新日 2020.10.03

初の電気式気動車GV-E400系

新潟地区で運行を開始した
GV-E400系
投入されるのはハイブリッド気道車ではなく、新型電気式気道車です。仕組みとしてはディーゼル発電機で発電した電気を使い、モーターを駆動する方法です。国内ではJR貨物所有のDF200形ディーゼル機関車が採用している方式です。従来の気動車と比べこの方式を採用するメリットは電車の技術を流用することができ、部品などの共通化が可能になることです。逆にデメリットしては構造が違うため、従来の気道車との連結が難しくなると思われることと、ディーゼルエンジンだけでなくモーターなども積むのでコストが上昇すると思われることです。ただ、メンテナンスや部品共通化も含めた運用コストで、こちらを選択したのだと思われます。

ハイブリッド気動車が今回採用されなかったのは大型蓄電池の分コストがかさむだけでなく、停車加速が多い普通列車だとリチウムイオン電池の痛みが激しくなり、運用コストも更にかさむからだと思われます。特に山岳線だと電池の痛みや重量によるデメリットは大きくなります。

ハイブリッド気動車は電池を積んでる分駅停車時や発車時のエンジン使用を抑え、騒音を低減しています。しかし、蓄電池を最低限しか積んでいない電気式気道車は、発車時など電機が大量に必要になるタイミングでエンジン音をフル回転するので、普通の気動車とほぼ同じで結構うるさいのも特徴です。

車両形式名は400番台となりました。HB-E210系やHB-E300系の次の第四世代として、400番台となりました。GV-E400形が両運転台タイプの1両で運行できるタイプ、GV-E401形とGV-E402形が片側運転台の2両以上で運転するタイプです。

新型車両仕様

小川町駅留置中のGV-E400系
試験で八高線に貸し出されている
秋田地区用GV-E400系

最高速度: 100km/h
主発電機: 290kw
主電動機: 95kw
エンジン出力: 331kW(450PS)/2,100rpm

投入数: 1両編成×19編成、2両編成×22編成、計63両
投入時期(新潟地区): 2017~2019年度
投入時期(秋田地区): 2020年度

GV-E400系とキハ110系
GV-E400系とキハ110系
車体は軽量ステンレス製ですが、今までの形式と違いすそ絞りはありあません。丸みの無いデザインなので、キハ110系を彷彿させます。スカートとスノープロ―は一体型で、密着連結器と電気連結器を装備します。電気連結器は一段タイプです。

GV-E400系のヘッドライトと警笛と行先表示器
警笛は屋根上
ライト類はLED
今のところ寒冷地を中心に投入されているので寒冷地対策だと思いますが、警笛類は屋根上に設置されているだけでなく、保護用の板も上部に設置されています。

ライト類は前照灯も尾灯もLEDタイプです。行先表示器は最近採用の進むフルカラーLEDではなく三色タイプに近いもので、コストが削減されているようです。

GV-E400系のVVVFインバーター
VVVFインバーター
構造的にはハイブリッド気道車から、蓄電池を抜いたものとほぼ同様です。実際エンジンはDMF15HZB-Gで、HB-E210系と同じものを採用しています。ただ、台車や主電動機やインバーターは違うものを採用もしています。特にインバーターはSiC素子を使用したものとなり、最新の技術が適応されています。

GV-E400系台車
動台車のDT87
E233系などと似たデザイン
全車両0.5Mで車両のうち片側の台車だけにモーターが搭載されていて、もう片側は付随台車でモーターが搭載されていません。つまり1両あたりのモーター出力は、95kw×2の190kwとなっています。カタログスペックだけを見るなら、走行性能はE231系に近いものだと思います。

起動加速度は従来のキハE120系と同じ1.58km/hと、それより速く一昔前の通勤電車並みの2.3km/hの切り替えが可能です。この機能はハイブリッド気動車にも搭載されています。

また、ハイブリッド気動車がモーターと蓄電池で回生ブレーキが使えるのに対し、電気式気動車は最低限の蓄電池しか搭載していないので、それは出来ません。搭載電池もアルカリ蓄電池で、リチウムイオン電池ではありません。ただ、抑速ブレーキ時にはモーターをブレーキに使い車内の機器で電力を使用する、抑速制御モードを備えています。

埼京線で既に無線信号システムのATACSが導入され、ローカル線でも無線信号システムの開発が進められており、海外では一部導入もされています。GPSとその補助衛星の準天頂衛星みちびき用と、次世代閉塞用のアンテナ取り付けの準備工事が既にされおり、将来的に対応が可能となっています。

投入路線(新潟地区)

羽越本線(新津~酒田)、信越本線(新津~新潟)、米坂線 (米沢~坂町)、磐越西線(会津若松~新津) 

置き換えられた
只見線キハ40系

2019年8月より営業運転を開始し、2020年3月のダイヤ改正で上記路線すべてのキハ40系の置き換えを完了しました。

投入路線(秋田地区)

奥羽本線秋田駅停車中のJR東日本キハ40系
置き換え対象と思われる
秋田地区のキハ40系

津軽線 (青森~三厩)、五能線 (東能代~川部)、奥羽本線(秋田~東能代、弘前~青森)

解説

部品納入予定次期として、先行納入が2017年9月からの3両分、2019年3月から60両分の納入を求めていました。そのため2018年から試運転を行い、少数の車両による営業運転が2019年8月から、本格投入による営業運転が2020年3月のダイヤ改正となりました。

置き換え対象はキハ40系が中心です。これにより従来タイプの気動車キハE120系の配置転換も実施され、只見線の新潟地区・福島地区両方に集中投入されました。従来の気動車との共通運用が難しくなるのと将来の只見線全線復旧も見据え、運用をシンプルにする思惑もあったのかもしれません。

現時点では63両の投入となっていますが、将来的には150~250両(今回の63両は含めて)の投入を検討しているとも発表しています。

車両の導入発表と同時に公募の発表も行われました。公募はJR東日本が支給する、「ブレーキディスク・ブレーキライニング・列車無線・ATS」以外で行われ、車両全体から台車や車体などのパーツ単位の「設計・製造・保守(40年以上)」についての提案を、国内外から受け付けました。

八高線で試験開始

GV-E400系の屋根上アンテナ
上二つの台座が準備工事のもの
真ん中二つが営業運転で使用されるもの
半円状のが今回の試験用
一番下の白くて丸いのがドコモの携帯アンテナ

車両の紹介で次世代閉塞システム用の準備工事が行われていると紹介しましたが、八高線で踏切の制御システムに絞った試験が2020年9月から開始されました。2021年1月までの試験予定です。

 従来ローカル線の踏切では、線路にある車上子を通過するとケーブルで踏切に信号が送られ、遮断機が開閉していました。踏切内に車が止まっているなど非常時については、踏切近くにある特殊信号機が発光し運転手が手動で非常ブレーキをかけていました。

今回の試験ではGPSのような衛星測位システムを使って車両の位置を特定し、踏切の近くの場合は携帯電話の回線を使って遮断機を制御します。踏切内に車が止まっているなど非常時は、携帯電話回線を使って列車に情報が送られ、自動で非常停車出来るようにするものです。携帯電話の通信が不能になった場合は、列車は非常停止し踏切も遮断機が下りるようになっています。

メリットとしては地上子やケーブルが無くなるので、メンテナンスが楽になることです。これにより初期投資とメンテナンス費用が20%低減できるとなっています。ケーブルが無い分物理的な障害にも強いはずです。

一方で携帯回線の影響をそのまま受けるので、災害時の安定性などは未知数な部分もあります。

JR北海道も導入へ

JR北海道もキハ40置き換え用として同じ仕様の車両を導入すると発表しました。詳しくは関連記事のほうをお読みください。

※関連記事
JR東日本が八戸線キハ40置き換え車両を公募 その狙いは?
JR北海道新型気道車の概要発表 JR東日本と共通化へ
JR東日本 新型蓄電池車EV-E801系男鹿線へ投入


2020年7月11日土曜日

2020年7月ついに運行開始 新型新幹線N700Sを解説




2016年16月24日に製造することが発表され、2020年7月1より運行を開始したN700Sについて紹介します。
記事作成日: 2016.06.24/記事更新日: 2020.07.11

東京駅に到着するN700A
東海道・山陽新幹線で
現在最も新しい形式のN700A


最高のN700系2020年7月1日運行開始

JR東海は2016年6月24日に東海道・山陽新幹線向けに新型新幹線車両N700Sを投入すると発表しました。そして試験車両にあたる確認試験車を2018年に、2019年より量産車の投入を開始し2020年7月1日に運行を開始しました。N700SのSは最高という意味の「Supreme」という単語に由来します。

2016年6月24日発表

・「SiC」などの採用による軽量省電力化
・柔軟な車両編成への対応
・新型先頭車形状にによる騒音低減
・フルアクティブ制振制御の採用
・リチウムイオン電池採用による非常時居住性改善
・走行機器や車内のモニタリング強化
・地震時のブレーキ短縮
・全席コンセント設置


2017年9月28日発表

・パンタグラフの構造変更
・台車の構造変更による軽量化
・6極駆動モーター採用
・歯車装置の歯車の形状を変更

N700SはN700A系をベースにフルモデルチェンジした車両で、発表当時より順次新しい技術について発表されていきました。それらについてすべてのではありませんが、解説したいと思います。

SiCなどの採用による軽量省電力化

新幹線は長年軽量化と省電力化が図られてきましたが、今回一番大きな鍵を握ると思うのが「SiC」の採用です。「SiC」は炭化ケイ素の略です。従来半導体と言えばシリコン(ケイ素)でしたが、炭化ケイ素を使うことで、より高性能で耐熱性に優れたパワー半導体を作ることが出来ます。そして高性能な分同じ性能を求めるのであれば、小型省電力化が可能になるわけです。さらに耐熱性に優れているため、冷却機器の小型化で装置全体を小型に出来ます。

N700Sでは他の機器の見直しと共にインバーター冷却システムを走行時の風で冷やす走行冷却方式に変更するインバーター装置の見直しとで、16両編成あたり11t削減しました。

消費電力ではN700Aと比べて当初7%削減可能としていましたが、運行開始時の資料では285km/h走行時6%の削減となっています。これはN700Aの275km/h走行時の消費電力よりもわずかに少ない値です。

柔軟な車両編成への対応

「SiC」の採用などで装置が小型になったことで、床下機器の配置も大幅に見直されました。従来は8種類あった床下機器のパターンを4種類に絞ることで、設計変更なく16・12・8・7・6両の柔軟な編成を可能としました。これをJR東海は標準車両と読んでいて、国内外問わずに低コスト・タイムリーに車両が供給可能になります。

6~8両まではオールM車による編成とし、12両の場合は10M2T、16両の場合はオールMか14M2Tの組み合わせを可能としています。

新型先頭車形状の採用

N700系は「エアロダブルウィング」という形状を採用していますが、新しく「デュアルスプリームウィング」という形を採用しました。ボートの船底に採用されているような形に非常に近くなっています。これにより更に走行時やトンネル進入時の騒音を低減できます。

さらに前照灯も大型化され、視認性を向上しています。この前照灯はLEDを採用していますが、消費電力はN700Aの半分になっています。

グリーン車にフルアクティブ制振制御の採用

現在採用されている制振技術の「アクティブサスペンションダンパー」は、車体と台車をつなぐ油圧ダンパーを進行方向に対し垂直に設置し、電子制御によりダンパー内の弁の堅さを変えて横揺れを軽減する技術です。

今回採用された「フルアクティブ制振制御」は基本的な構造は「アクティブサスペンションダンパー」と同じですが、弁ではなく油圧ポンプを使う点が大きな違いです。今までのようにダンパ-の堅さを変えてゆれを軽減するのではなく、油圧ポンプでダンパーの油に力を加え振動を打ち消すことを可能にします。

今回採用されるのは編成中のグリーン車のみです。これによりグリーン車の振動は、人が分かるレベルで減るとしています。

リチウムイオン電池採用による非常時居住性改善

鉄道車両には非常時などのためにバッテリーが搭載されていて、通勤電車では近年リチウムイオン電池が採用されています。N700Aで採用されたいた鉛蓄電池からリチウムイオン電池に変更されます。これにより電池の重量30%・体積50%低減されるにも関わらず、電池容量はより大きなものとなります。

通勤電車では大容量のリチウムイオン電池の採用で、停電時にその場に停車が危険と判断した時に、電池だけでゆっくり走る機能が採用されはじめています。N700Sも同様の機能を新幹線として初めて採用します。

新幹線のトイレは水や排水量を削減するため水をポンプで吸い込む方式となっているので、停電時などには使えませんでした。今回電池の容量が大きくなったことで、停電のような電気が止める状況でも一部車両でトイレが使用可能になります。

走行機器や車内のモニタリング強化

近年では新幹線・通勤電車問わずに普通の車両に搭載したセンターでリアルタイムで車両や車外の状況を記録し、車両や地上設備の故障予防やメンテナンス低減に役立てようという取り組みが盛んです。N700Sでは既に採用済みの台車振動検知システムを強化するなどし、より多くのデータを取得して役立てる予定です。

一部通勤電車や新幹線には監視カメラが搭載されていますが、現状はドライブレコーダーのように後で見るためのものです。N700Sでは運転指令所はリアルタイムで映像が見ることが出来るようになり、非常時に乗務員への指示などでサポートが出来るようになります。

地震時のブレーキ短縮

ATCやブレーキデータの改善で、地震時の停車距離がさらに短くなります。N700Aは登場以降も改修を続けることで、登場時と今年度から増備される700A三次車では地震時に5%停車距離が短くなっています。N700Sではさらに5%短くなります。

停車時のブレーキアシスト

駅間を走行する時は速度を出し過ぎるとATCによる自動ブレーキがかかるようになっていますが、駅停車時の30km/h以下の速度でも状況に応じ自動ブレーキがかかるようになりました。

通常時は自動ブレーキは作動しませんが、停止位置までに停車出来ないスピードが出ているときは、それ以下のスピードになるよう自動ブレーキがかかるようになります。

パンタグラフの構造変更

現在のN700A系では4分割のすり板を採用した、在来線に似た形状のすり板をパンタグラフで採用していました。それがJR東日本E5系などで採用しているようなすり板を多く分割したタイプに変更されます。構造的にもJR東日本の多分割すり板に近いようですが、すり板の固定構造が微妙に違い、たわみ式すり板という名称が使われています。

JR東海系の新幹線では大型のパンタグラフカバーを装着することで、パンタグラフを固定する台座は小型の支持部の4点で固定するものを採用していました。それが大型の支持部2点で固定するものに変更されます。

台車構造の変更による軽量化

台車のフレーム構造を変更することで、フレーム内にあった補強材を減らし1台車あたり75kgの軽量化と溶接部分の数を減らします。フレーム内の変更がメインなので、大きな外観上の変化はなさそうです。


6極駆動モーター採用

最近の電車には交流モーターが使われていますが、この交流モーターの出力をサイズに変えずに上げる方法として、モーター内の極数をあげるというのがあります。この方法はパワーが上がる変わりに、同じ回転数を得るにはより高速なスイッチングの出来るインバーターシステムを必要するデメリットがあります。

N700SではSiCを採用したましたが、SiCは今までのSi(シリコン)を採用したインバーターより、より高速でスイッチングできます。そのため6極駆動のモーターを新幹線で初めて採用されたようです。

歯車装置の歯車の形状を変更

モーターの回転を車輪に伝えるため、間に歯車が入ります。この歯車の歯の形状が変更となりました。従来の物はハスバ歯車というもので、騒音が軸受けのダメ―ジが大きいものでした。今回採用されたヤマバ歯車は、それらが少ないものとなります。

JR東日本の新幹線試験車であるFASTECH 360でも採用されましたが、ヤマバ歯車はE5系では採用に至りませんでした。そのため営業車としては始めての採用という表現になりました。

耐雪構造の強化

台車の露出部を減らし台車付近の車体に融雪用のヒーターを搭載することで、列車の着雪を防ぐ機能が強化されました。

東海道新幹線N700系置き換え用車両

N700Sは試験車両にあたる確認試験車を2018年に、2019年より量産車の投入を開始し2020年7月1日に営業運転を開始しました。

一方2019年度ギリギリの2020年3月1日をもってJR東海所属の700系が全てが運行を終了し、N700Aで置き換えられました。なので、N700SはJR東海所属のN700系置き換え用として投入が続けられます。

JR西日本については700系の引退時期を発表していませんが、16両編成のB編成は3月13日に定期運行を終了しており、ひかりレールスター用の8両のみの運行となっています。今のところN700Sの導入は発表していませんが、いずれ導入が開始されると思われます。16両以外の編成にも対応しているため、JR西日本所属のひかりレールスターなども対象になるのではないでしょうか。一部では北陸新幹線の名前を挙げているところもありますが、雪に対する耐雪構造の関係やJR東日本との車両運用の関係で、将来の延伸時含めて無いのではと思います。

九州新幹線の800系新幹線も時期としては2020年頃に置き換え時期を迎えるので、今後対象に追加されるか気になるところです。

関連記事
東海道新幹線からJR東海700系引退へ


2019年11月29日金曜日

新横浜線部分開通 相鉄は都心へ




JRとの直通ため、相模鉄道新横浜線が2019年11月30日に開通します。相鉄新横浜線を中心に、今後開通する東急新横浜線についても紹介します。

記事作成日: 2018.12.14/記事更新日: 2019.11.29
※記事更新に合わせて記事タイトルも変更しました。


JR東日本E233系7000番台
新横浜線に乗り入れる
埼京線・川越線 JR東日本E233系7000番台

新横浜線開通で渋谷・新宿方面へ

相鉄ではJRと東急に直通するために工事を進めてきましたが、2019年11月30日に相鉄新横浜線が部分開通します。これにより相鉄とJR湘南新宿ライン・埼京線・川越線が直通することになります。渋谷駅や新宿駅を経由し最長距離を走る列車では、「相鉄海老名駅~JR川越線川越駅」を結ぶことになります。「海老名~横浜~新宿」間の場合、現状1時間10分~1時間30分程度の時間が、どの時間でも安定的に1時間程度で結ばれます。「海老名~新宿~川越」の最長列車の場合、2時間程度で結ばれます。

更に2022年下記には相鉄新横浜線が横浜国大駅より新横浜駅まで延伸し、東急が新横浜駅から日吉駅まで東急新横浜線を開業し、相鉄から東急東横線・目黒線、東京メトロ南北線、都営三田線、埼玉高速鉄道と4社へ乗り入れる予定です。

最終的に相鉄新横浜線と東急新横浜線が開通するわけですが、これは西武有楽町線と東京メトロ有楽町線と似た命名方式です。

運賃は横浜経由が安い

JRとの直通にあたり、乗り継ぎ割引の設定はありません。更に新線建設や高架化など多額の費用がかかる時に設定される、割増料金にあたる加算運賃が30円設定されます。そのため目的地によって横浜経由のほうが、安くなる場合が多いので注意が必要です。

たまに使う方は良いのですが、頻繁に使う方は利便性・時間・運賃のバランスに注意が必要です。

埼京線は一部減便へ…

埼京線の快速の「武蔵浦和~大宮」間が各駅になり、その分同区間の各駅停車が減ります。通勤快速については変更がありません。

日中の快速がメインということや、湘南新宿ライン・上野東京ラインと新宿・東京方面の速達列車が拡充されたことにより、影響は小さいと思います。しかし、影響がないわけではないので、嬉しいとも言えないのも事実です。

当面はJRがE233系・相鉄が12000系を使用

乗り入れに使用されるのはJRがE233系7000番台で、埼京線・川越線で使用されている車両を使います。乗り入れに合わせて増備が行われました。運用としては「海老名~川越」駅間で、全区間で運用されます。

相鉄側はJRのE233系をベースとした11000系に更に手を加えた、12000系を使用します。こちらの運用区間は「海老名~新宿」駅間の予定です。

内装と外装に違いはあるものの、どちらも基本的な仕様は同じです。12000系もATACSを搭載するので、運用上は全区間可能です。

また、相鉄線は信号システムをJRと同じ仕様のATS-Pに変更しています。そのためJR東日本の車両であれば、理論上は殆どの車両が相鉄に乗り入れ可能です。更に将来相鉄に乗り入れるであろう東急・メトロ・都営車についてもJRと同じATS-Pを搭載するようになるので、相鉄乗り入れ対応車はJRへの直通が可能になります。昔みたいな伊豆急直通の東急車など、見てみたいものです…

東海道貨物線の更なる旅客線化

JRへの乗り入れでは羽沢横浜国大駅からはJR方面への分岐があり、東海道貨物線を経由し鶴見で横須賀線と合流し、湘南新宿ラインと同じ経路で渋谷・新宿方面を目指します。東海道貨物線は現在一部の列車が旅客営業する以外は、貨物列車しか運行していません。この乗り入れで初めて一日を通しての旅客営業が開始されます。

利便性向上と複雑な乗り入れの課題

今回の新横浜線には、JR東日本湘南新宿ライン・相鉄本線が乗り入れる予定で、今後東急東横線・目黒線が乗り入れる予定です。これにより相鉄各駅から渋谷・新宿方面には二経路で、目黒方面には一経路で行くことが可能になり、利便性が向上することは間違いありません。

東急線は更に東京メトロ副都心線・南北線、都営三田線などと一体で運行を行っており、JR湘南新宿ラインは埼京線との一体運行を行っています。なので、乗り入れ先の路線が遅れることで、超広範囲に遅れが広がる可能性があります。

西谷駅・羽沢横浜国大駅・日吉駅などで、どこかで運休が発生した時には乗り入れ中止の対応が行われると思います。なので一つが止まって全体が止まるというようなことは無いと思いますが、軽微な遅延が大規模に広がることは避けられないでしょう。


2019年3月26日火曜日

東急2020系・6020系 2018年春運転開始




2017年3月17日に導入を発表し、2018年3月28日より運行を開始した東急電鉄2020系を紹介します。2017年10月12日導入を発表し2018年3月28日より運行を開始した東急6020系や、2019年3月26日導入が発表された3020系もう紹介します。
記事作成日: 2017.03.21/記事更新日: 2019.03.26

2018年春から順次運行

東急電鉄8500系
東急電鉄8500系
田園都市線では2017年度現在古い順から、8500系・8590系・2000系・5000系の4種類が運行されています。この中でも8500系は1975年に登場した古い車両で、5000系などで置き換えが行われていきましたが、まだまだ多くの車両が運行している状況です。

東武伊勢崎線で乗務員訓練を行う東急電鉄2020系
東武伊勢崎線で乗務員訓練を行う東急電鉄2020系
8500系の置き換えを含めた理由で投入されるのが、2020系です。2020系の前は6000系が最新形式でしたが、2020年オリンピックや2022年の東急100週年に向けて、変則的に2020系という車両形式が当てられました。2018年春に最初の3編成が運行開始し、その後も順次投入が続けられます。


5000系から一新

田園都市線の主力で最新形式の5000系と比べると、外観と内装は一新されます。外観は窓下に帯があるデザインから、ホームドアを見据えた車両上部に白とラインカラーの緑の帯をあしらったデザインとなります。

伊勢崎線を走る田園都市線の5000系
東急5000系
先頭車両のヘッドライトは首都圏の車両では珍しく、上部の行先表示器横に左右一つづつと連結器上の部分に左右二個づつと、計6つのヘッドライトが装備されます。山岳地帯や降雪地域では見通しを良くするため多くのヘッドライトを装備するのは珍しくありませんが、首都圏の通勤列車では珍しいです。

E235系の網棚上の液晶モニター
E235系の網棚上の液晶モニター
車内の内装は山手線E235系に近いものとなっています。各車両に車いすやベビーカー用のフリースペースを配置します。液晶モニターはドア上だけでなく、網棚上にも設置されます。座席は5000系の一部車両で採用されはじめているハイバック仕様で、座面の改良のほか背もたれが大型化されていて、通勤用の座席の中でも凝ったものとなっています。そのほかに空気清浄機も搭載されます

モーターなど電装系も最近の車両では一般的なものとなるようです。次世代半導体となるので、近年の標準SiC半導体を使用した高効率なインバーターが採用されるようです。さらに車両のモニタリング装置も従来より強化され、故障の防止に努めます。

注目すべきはブレーキシステムで、路面ブレーキとディスクブレーキの併用が復活しました。2000系などでは動力台車は路面ブレーキで付随台車はディスクブレーキとしていました。しかし、3000系以降は路面ブレーキに一本化されています。この後東横線で5000系が降雪時に雪やゴミでブレーキ力が弱まり、前方に停車する列車へ後続列車が追突する自体が発生しました。これを受けて復活に踏み切ったのではと思います。

2018年3月28日より運行開始へ

半蔵門線押上駅に到着する東急電鉄2020系
半蔵門線押上駅に到着する
東急電鉄2020系
2018年3月28日より運行を開始しました。田園都市線で運用されている車両は、8590系を除き東京メトロ半蔵門線を経由し、東武伊勢崎線まで直通運転を行います。しかし、2020系は当初半蔵門線の終点押上駅までの運用でした。運転台には田園都市線・半蔵門線内のみの運行を示すシール、通称サークルKマークが貼られています。

東武鉄道70000系と並ぶ東急電鉄2020系
東武鉄道70000系と並ぶ乗務員訓練中の東急電鉄2020系
営業運転前なのでサークルKシールが貼られている
田園都市線と半蔵門線での運行を開始した後に、乗務員訓練を東武伊勢崎線で行い、2018年10月1日より伊勢崎線への乗り入れを開始しました。



姉妹車6020系大井町線導入へ

急行運用に入る東急電鉄6020系
営業運転中の東急電鉄6020系
2017年10月12日に2020系とほぼ同一設計の6020系を2018年春に、大井町線へ導入すると発表しました。大井町線の急行用としての導入で、2編成14両が導入されました。運行は2020系と同じ、2018年3月28日より開始しています。

東急電鉄6020系Q SEAT
Q SEAT
基本的には2020系と同じ仕様ですが、大きく違うのは「Q SEAT」が連結されていることです。7両編成のうち1両がQ SEATで、座席が通常のロングシートではなく座席の方向が転換出来るマルチシートを採用しています。この車両は一部列車で指定席となり、着席保証サービスを12月14日からスタートしています。

更に姉妹車3020系導入へ

東急電鉄は2019年3月26日に目黒線へ3020系を導入すると発表しました。2019年秋に6両3編成が投入されます。

2022年度からは目黒線が8両編成化するので、数年だけ6両で運行するとみられます。なので、6両が見られるのは短い期間となりそうです。


2018年10月31日水曜日

西武鉄道地下鉄対応001系Laview導入 レッドアロー一部引退へ




2016年3月14日に西武鉄道は2018年度から新型特急車両を導入すると発表しました。車両形式は001系で、愛称は「Laview」となりました。
記事作成: 2016.03.14/記事更新: 2018.10.31

新たなフラッグシップトレイン001系「Laview」

導入車両数: 8両×7編成=計56両
運行開始時期: 2019年3月
制作会社: 日立製作所

2016年3月14日に概要が発表され、2018年10月30日に更なる詳細が発表されました。車両自体は2018年度に16両2編成、2019年度に40両5編成を導入を予定です。運行開始時期は当初2018年度としていましたが、2019年3月と変更となりました。運行路線も当初発表されていませんでしたが、池袋線・西武秩父線となります。

40000系・「52席の至福」とともにフラッグシップトレインと位置づけています。車両形式は001系で、愛称は「Laviewラビュー」となります。観光だけでなく、ビジネス特急としての位置づけも持ちます。特急料金については、値上げはありません。

デザイナーは女性建築家の妹島和世(せじま かずよ)氏が担当します。風景に溶け込むようなデザインがコンセプトです。車体はアルミ製で日立のA-trainなので、銀色です。しかし、その上に更に塗装を施し、滑らかな銀色のボディに仕上がっています。そして、国内特急の中でも最大級の側面ガラスや、黄色の大型シートを採用しています。

池袋線用特急車両置き換えへ

西武池袋駅に到着する10000系特急ちちぶ
西武10000系特急電車
現在西武鉄道で運行している特急車両は10000系のみとなっています。愛称ニューレッドアロ(NRA)です。運行開始こそ1993年ですが、床下機器は不要になった通勤車両機器を流用しておりやや時代遅れの装備となっている面は否めません。内装については新品で、2003年から更新もされています。ただし、最終増備車の10112編成は床下を含め完全新製となってていて、床下機器は他の編成とはまったく違う仕様となっています。

現在12編成が在籍しており、7編成が池袋線系統・5編成が新宿線系統へ配置されています。池袋線用の7編成が丸々001系へ置き換え、新宿線は10000系のままとなります。状態の良い10000系のみが、5編成残ることとなりそうです。

地下鉄乗り入れ対応へ

池袋線といえば東京メトロへの乗り入れを実施していますが、以前西武鉄道が副都心線への特急乗り入れを検討する発言していました。デザイン案を見る限り貫通扉は無かったのですが、実車には貫通扉が装備されています。2018年10月の発表での質問で、地下鉄乗り入れへの対応を明言しています。この部分がビジネス特急としての部分になるのではないでしょうか?


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