2015年8月31日月曜日

養老鉄道「はかるくん」ダイヤ公開 乗れない電車で人を呼ぶ?




2015年8月31日に養老鉄道は電気検測車「はかるくん」のダイヤを公開しました。

はかるくん運行について

養老鉄道 「はかるくん」ダイヤ
養老鉄道 「はかるくん」ダイヤ
(拡大できます)

運転日: 2015年9月8日
運転区間: 桑名~大垣間一往復
編成: C#614-514+TF25

電気検測車である「はかるくん」を「桑名~大垣」間で運行すると発表しました。この列車は新幹線で言う「ドクターイエロー」にあたる車両で、線路や架線などの地上設備の検査を行います。ダイヤや編成は2015年4月15日の運行と同じです。

「はかくるん」は近鉄線内では2両編成で運行しますが、線路幅の違う養老鉄道線で運行する場合は、2両のうち1両の台車を履き替えて一般車両に連結して検測を行います。今回は610系2両を大垣寄りに連結して計3両編成で運行を行います。

養老鉄道はもともと近鉄の一部でしたが赤字路線であったため、子会社化して近鉄から分離されることで生まれました。路線の運営を養老鉄道が行い、車両などの設備は近鉄から借りるという形を取っています。そのため「はかるくん」による検測が行われたりします。

今回のダイヤでは養老駅で長時間の運転停車を行います。なので上手く撮影ポイントを選べば複数回の撮影が出来そうです。「1日にフリーきっぷ」が大人1500円で販売されているので、それを駆使するのも良いと思います。

今後変更や運行中止の可能性もあるので、撮影に行かれる方は養老鉄道ホームページお知らせの「2015/8/31 電気検測車「はかるくん」が運転されます。」が走行をします。」もご確認ください。

また、養老鉄道からのお願いにもあるように私有地・鉄道会社敷地への無断立ち入りや乗客の方・沿線の方に迷惑がかからないよう撮影しましょう。今回トラブルが起きると次回もダイヤを公開してくれるとは限りません。自分達のためにもなるのでマナーを守り楽しく撮影しましょう。

ダイヤを公開する意図は?

養老鉄道からは今回ダイヤを公開する意味については特に発表されていないので、私の考えになになりますが、やはり沿線活性化と収益アップのためだと思います。

検測車両というのは一般の方は乗れないので、本来ダイヤを公開する意味はありません。しかし、鉄道ファンからすれば珍しい車両は見てみたいものなので、公開すること自体には需要があります。

今回ダイヤが公開されたのは赤字路線である養老鉄道でのダイヤです。そこから考えると収益改善というのが一番の目的だと思います。

なので、極力養老鉄道を利用して撮影に向かうことが養老鉄道への貢献と次回もダイヤを公開することに繋がると思います。


2015年8月25日火曜日

えちぜん鉄道が新幹線線路をレンタル




福井駅高架化工事によりえちぜん鉄道が新幹線ホームへ一時的に乗り入れることになります。今回はそのことについて紹介します。

えちぜん鉄道新幹線の線路へ

えちぜん鉄道福井駅に停車するMC6001形
えちぜん鉄道福井駅
後ろの高架が北陸新幹線福井駅

福井市では駅と鉄道が市を分断し、交通の妨げなどになっていたため鉄道と駅の高架化工事を進めています。現在工事が完了しているのはJR在来線と北陸新幹線で、残すはえちぜん鉄道の高架化のみとなっています。しかし、スペースの関係で現在えちぜん鉄道が運行している線路・駅をそのまま高架化する必要が出てきました。

一部完成している北陸新幹線福井駅
一部完成している北陸新幹線福井駅
2014年冬撮影

そこで、完成している北陸新幹線の高架へ仮設アプローチ線を設け、えちぜん鉄道がを新幹線ホームを間借りします。次に、現在のえちぜん鉄道が運行している線路を一度撤去して、その場所にえちぜん鉄道高架線を建設します。最後に新幹線ホームへのアプローチ線を撤去して、本来のえちぜん鉄道の高架に繋げて完成するという方法をとることになりました。そのため2015年9月27日より新幹線線路へ乗り入れ、3年ほどかけて高架化工事を行います。

余談ですが、似たような理由から東海道新幹線建設時に、阪急京都線が東海道新幹線の線路を間借りして走ったことがあります。

新幹線開業後は幻の駅となる新幹線新福井駅

仮設線は「福井口~福井」駅間に設けられるので、福井口から順に解説したいと思います。

福井口駅は現在の位置から福井駅側の踏切を挟んだ場所に、仮設駅として移設されます。

そこから福井寄りに進むと北陸新幹線へ続くアプローチ線に続きます。このアプローチ線を登ると、北陸新幹線高架上に対向式の仮設新福井駅が見えてきます。

新福井駅から新幹線の線路を進むと新幹線福井駅に到着します。この新幹線福井駅が、えちぜん鉄道の高架化工事が完了するまではえちぜん鉄道福井駅となります。

最終的には「福井口~福井」駅間が高架線となります。なので、仮設福井口駅と新幹線本線上に仮設された新福井駅は、撤去される予定です。

今回写真が少ないので非常に分かりづらいと思います。グーグルアースで既に建設され仮設線を見ることが出来るので、福井口駅から福井駅まで順にたどってみることをお勧めします。私の説明より簡単に理解できると思います。

2015年8月22日土曜日

クルーズトレインは北斗星を救えるか




クルーズトレイン運行がブルートレイン復活の糸口になるのではないか?という考えについて書きました。

北斗星のテールマーク
運行を終了する北斗星

最新技術の結晶のクルーズトレイン

JR東日本はクルーズトレイン四季島を2017年春に運行開始予定です。この車両は最新の鉄道技術で作られた電車です。

青森駅停車中のHB-E300形
ハイブリッド気道車HB-E300形

この車両の先頭車両と最後尾には発電用エンジンを搭載していて、非電化区間では発電機を回すことでモーターを駆動することが出来ます。これにより電化区間ではパンタグラフからの給電、非電化区間では発電機の電力で走行できます。イメージとしてはハイブリッド気道車にパンタグラフをつけたようなものです。

このようなシステムは日本では珍しいものの、ディーゼル発電機で走る電車は海外で見ることが出来ます。イギリスでは日立製の高速鉄道車両AT-200形に同様のシステムが搭載されています。

この技術が北斗星のようなブルートレイン復活の鍵の一つだと私は思います。

電車による弊害

日本の鉄道の主流は電車が一般的で、これが寝台列車の運行を妨げる要因の一つです。

電車は各車両にモーターを配置できるために加速度に優れます。それに対し客車列車は機関車にしか動力がないため加速度には限界があります。この問題により寝台列車などの客車列車はダイヤ上の制約が生まれ、運行本数の多い通勤時間帯や高速走行する電車の多い区間を走行しづらくなります。

さらに数少ない客車列車のために乗務員の訓練を特別に行わなければなりません。これも面倒の一つです。これはディーゼル列車主流の非電化区間でも同様の問題です。なので寝台列車を電車化できれば、これらの問題については解決できることになります。

設計の流用によるコスト削減

電車化が解決の糸口の一つと紹介しましたが、コストの問題があります。寝台列車は運行の手間の割りに儲かりにくい列車です。なので、コストをかけて車両製作するのは難しいのです。サンライズエクスプレスのような電車寝台が広がらないのは、そういった理由があると言われています。

そこでクルーズトレインと設計・部品を共通化します。こうすることで、一から作るよりはコストを削減出来、部品を共通化することで維持費も下げることが出来ます。

電気式気道車による追い風

JR東日本とJR北海道では老朽化した気道車の置き換え用として、大規模な電気式気道車の導入を発表しています。仕組みとしては四季島から電化区間の走行能力を省いただけです。なので、構造はほぼ一緒です。

似たような仕組みの車両が多く走れば、まったく違う仕組みの車両を走らせるより訓練・運用が楽になるのは明白です。これも一つのチャンスだと思います。

それでも山済みの課題とJRのやる気

クルーズトレインの運行で庶民には手の届かない形にはなってしまいましたが、寝台列車の継続で北斗星などのブルートレイン復活の望みは残りました。

裏日本と呼ばれる日本海側へ向かう寝台列車「あけぼの」は、車両の限界まで運行されました。サンライズエクスプレスについては、最後の定期寝台列車として運行を続ける予定です。新幹線や飛行機、高速道路が発達しても寝台列車を必要としている地域はまだあります。寝台列車は完全に時代遅れになったのとも違うのです。

そんな中クルーズトレインの技術は、寝台列車が持つ問題を補えるのは間違いないと思います。しかし、問題はこれ以外にも山積みで、一番の問題はJRにやる気があまり無さそうなことです。この一つの問題は、山積みになっている他の問題と同じぐらい大きな問題に感じます。

確かに寝台列車を復活させるのはリスクのわりに儲からない話で、私企業としては乗り気になれないのも理解できます。ですが、少子高齢化と過疎化で日本の形が変っている今だからこそ、議論だけでもするべきだと思います。JR単独での運行が大きなリスクとなってしまった今、JRが私企業ということを理解した上で、自治体や国に地域企業も議論に参加するべきなのではないでしょうか?

お金を出す出さない以外で協力するだけでも、運行復活のハードルは下がるはずです。


2015年8月15日土曜日

北斗星廃止発表から振り返る




記事整理と備忘録として去年の北斗星廃止報道から臨時北斗星終了までを簡単に振り返りたいと思います。

廃止発表は新聞から

北斗星のヘッドマークとEF510形
北斗星を牽引するEF510形と北斗星ヘッドマーク

2015年12月4日から5日にかけて、新聞各社は北斗星廃止を一斉に報じました。内容としてはJR関係者が車体の老朽化や青函トンネルの問題などを挙げたといったものでした。その後12月19日発表のJR東日本・北海道のダイヤ改正プレス内で正式に廃止についてと、2015年4月からが臨時運転することが発表されました。

この発表を受けて2015年1月には青い森鉄道・IGRいわて銀河鉄道が通過する青森県・岩手県がJRへ要望を出すものの、廃止という決定は覆りませんでした。

2月13日には定期運行ラストランの上野行き・札幌行き2列車の切符が発売され、即時完売となったことが新聞各社から報道されました。

ラストランとなった3月13日にはNHKが上野駅の出発や郡山出発の映像を生中継するなど、鉄道ファン以外からも注目を集める運転となりました。

JR東日本車だけの臨時運転

2015年3月2日には臨時北斗星の始発の切符が発売されました。報道などはされませんでしたが、サイバーステーションで確認したところその日のうちに開放B寝台も満席になっていたので、発売すぐに売り切れとなったようです。

4月2日からの臨時運転では青森到着までの時刻が大幅に早められ、乗車時間が延びました。発車時刻が早まったおかげで今まで見ることの出来なかった山々に夕日が沈む景色を見ることが出来るようになりました。

今まで客車はJR東日本とJR北海道の客車を1編編成に連結していましたが、JR東日本単独の編成へ変更となりました。運転本数は削減され、カシオペアと同じ一編成による隔日での運行になり、北海道新幹線の試験による運休も度々実施されました。

夏に近づくにつれて10時ちょうどに発券してもらっても購入が難しくなっていて、7月には10時打ちも不可能な状況になっていました。そして7月22日には8月21日分の札幌行き最後の乗車券が発売時刻の10時には即時完売したとの報道がされました。

北斗星廃止による上野駅ホーム入場規制の掲示物
上野駅に貼り出されている掲示物

来週8月22日が最終運転予定で、翌日の上野23日到着で北斗星の運転に幕が下ろされます。上野駅には入場規制の掲示物が既に貼りだされています。

沿線の撮影地では既に混乱が見られたりしているので、あと一週間ほど何事もなく運転が終わることを願うばかりです。


2015年8月11日火曜日

JR北海道 留萌線「増毛~留萌」間を廃止




JR北海道が留萌本線の廃止を自治体へ打診したとの報道があったので、今回はそのことについて解説していこうと思います。
記事作成日:15.06.27/15.08.11更新

来年度中にも廃止

2015年7月28日の北海道新聞でJR北海道は早ければ2016年秋にも廃止する意向で今後自治体と協議すると報道がありましたが、JR北海道が2015年8月10日に「留萌~増毛」間を2016年度中に廃止すると発表しました。

まず、ここ最近で廃止になったJR北海道の江差線「江差~木古内」間の例を見てみましょう。江差線の場合は2012年8月に廃止の意向発表、2013年3月にバス転換を自治体と合意、2014年5月バス転換の実施が行われました。

これを今回の例と比較してみると前回は半年以上かけて協議したのに対し、今回は急いでいるようです。廃止届けは1年前までに出さないといけないので、来秋の廃止となると数ヶ月以内に合意・廃止届けをだす必要があります。急ぐのはそれだけJR北海道の経営が悪化しているということなのかもしれません。

「増毛~留萌」間を先行区間

2015年6月27日の北海道新聞によるとJR北海道は安全対策の追いつかない留萌線全線の廃止を検討すると報道されおり、今後「留萌~増毛」間以外も廃止になる可能性があります。

JR北海道ワースト3位の輸送密度

留萌線は「深川~増毛」間を結ぶ全長66.8kmの路線です。そのうち先行して廃止を検討しているのは、「留萌~増毛」間16.7Kmです。車両は1両で、1日の運行本数は約7往復程度です。大半の列車が「深川~増毛」間を通しで運転していて、一部列車は留萌を境に運行しています。

特急や快速列車の定期運行はありませんが、GWなどに臨時列車としてディーゼル機関車がトロッコ客車を牽引する「増毛ノロッコ号」が、函館本線を経由して「旭川~留萌」間で運行されることがあります。

JR北海道発表の「平成26年年度 決算社長談話」によると2014年度の区間別の輸送密度ワースト3位は、「札沼線 医療大学~新十津川」が81人/キロ/日・「石狩線 新夕張~夕張」が117人/キロ/日・「留萌線 深川~増毛」が114人/キロ/日で、留萌線は下から3位の輸送密度です。

ちなみに「江差線 木古内~江差」は2014年度が618人/キロ/日、2013年度が165人/キロ/日でした。2014年度は廃止発表があったので、この人数だったのだと思います。

競合する交通として深川留萌自動車道があります。道央道に接続する「深川~留萌大和田」までが開業しており、2019年には留萌まで開通する予定です。さらにこの自動車道を使って留萌経由の高速バスを道央バスや一部の人間に有名な沿岸バスが運行しています。

「札幌~留萌」間の高速バスと鉄道を簡単に調べてみましたが、上手く特急スーパーカムイに乗り継げれば高速バスと同じ程度の所要時間ですが、鉄道が特急料金と乗車券で5040円・高速バスが道央バスの場合で2370円と半値になります。これはかなり厳しい状況です。

廃止はある程度折りこみ済みか?

以前に新型電気式気道車導入の話で触れましたが、JR北海道は車両数を削減する方向ですでに動いています。そして高速道路の開通や高速バスの運行で、留萌線の競争力はかなり落ちているよう感じます。また、国や自治体からの投資で年々質が向上する道路に対し、民間が細々とやっているローカル線では競争力の向上は望めません。そのあたりを考えると少し前から廃止は既定路線だったのではないかと思います。

鉄道ファンとしては非常に残念に感じますが、JR北海道は他にも多くの路線を運行しています。他の路線が少しでも良くなるための投資として捉えたいと思います。

関連記事
JR北海道 2016年春より運行本数・駅削減


2015年8月7日金曜日

異種連結 秩父鉄道SL & デキ重連運転




2015年7月31日~8月3日の4日間、秩父鉄道ではSLとデキを連結して重連運転が行われました。今回はその撮影日誌です。

狙いはSL & デキ

2015年7月31日~8月3日の4日間限定でSLパレオエクスプレスにデキが連結されるということで、気まぐれで撮影に行くことにしました。

通常はC58形蒸気機関車363号機に14系客車が連結されての運行ですが、臨時運転ではC58形と14系の間に貨物列車の牽引で活躍するデキが連結された特別編成での運行です。前もって決めていた撮影ではなかったので、手軽に撮影できる寄居駅で撮影することにしました。

猛暑の寄居で待つ

狙いは上りの熊谷行きだったので、余裕を持って15時前に寄居駅へ到着しました。撮影の前に一先ず改札を出ます。

秩父鉄道寄居駅入場券
170円でペーパークラフト付き
ちょっとお得

寄居駅では観光用の入場券が売っているので、それを買って駅に入場することにしました。切符は昔ながらの硬券で、おまけでペーパークラフトも付属しています。

寄居駅ですれ違いをする八高線キハ110系
すれ違いでの一幕

まずは八高線の撮影です。15:16分過ぎに高崎行きが、15:17分過ぎには高麗川行きが入線して、行き違いを行います。15:18に二列車が同時発車で人も少なくなりました。どこで撮影しようか考えていましたが、ちょうど人も少ないので編成が見渡せる八高線ホームから撮影することにしました。

待望の列車到着

15:30過ぎにホームで駅員さんがアナウンスを始めました。いよいよ列車が到着するようです。列車は気持ち遅れて寄居ホームへゆっくり入ってきます。この日のC58の相棒は、青色のデキ503号機でした。

C58形とデキで重連運転をするパレオエクスプレス
寄居駅に入ってきたパレオエクスプレス

列車が到着するとホームにどっと人が降ります。先ほどまで閑散としていたホームが嘘のようです。停車時間が長いというのもありますが、バスツアーのお客さんが寄居駅でバスに乗り換えるからのようです。長いといっても5分程度停車時間ですが、SLやデキの運転手さんも一息入れてるような雰囲気でした。

寄居駅を発車する重連のパレオエクスプレス
C58形とデキのツーショット

列車はいよいよ発車します。先頭のC58が大きく警笛を鳴らし、少しおいてデキも警笛を鳴らします。SL独特の太い警笛とEL独特の高い警笛を聞き比べられるなんて、贅沢な時間です。警笛を鳴らし、一息おいて列車は走り出します。バスツアーのお客さんたちが列車に手を振り楽しそうです。

発車の様子など動画にまとめました


列車は最初こそ重々しい動きでした。しかし、二両の機関車のパワーで軽快に加速していき、すぐに見えなくなってしまいました。

重連運転は終わってしまいましたが8月6日から「ガリガリ君スタンプラリー」が始まります。夏休みは秩父鉄道を訪れてはどうでしょうか?


ブログ内を検索

オススメの投稿

東北新幹線列車分離が重大インシデントに当たらないのは正しいのか?

 東北新幹線が315km/h走行中に連結が外れるという前代未聞のトラブルが発生しました。こういった場合重大インシデントと呼ばれる事故に繋がりかねない事象とし、国土交通省が調査を行うのが一般的ですが、事故原因が分からないトラブル発生当日に重大インシデントには当たらないと国土交...