記事作成日: 2015.10.16/記事更新日: 2016.09.30
三江線とは?
三江線(さんこうせん)は芸備線三次絵駅(広島県三次市)から山陰本線江津駅(島根県江津市)108kmを結ぶ、JR西日本のローカル線です。地図を見ていただくと分かりますが山の中をひたすら走る路線で、都市間輸送というよりは地域輸送が主です。例えば三次駅~江津駅の移動の場合、自動車であれば高速を使って1時間30分・下道で2時間ですが、三江線を使うと早い列車でも4時間を切るぐらいの時間がかかってしまいます。
こうした路線の環境から輸送密度は非常に低く、2014年度は1キロあたり50人という数字でした。それを打破すべく沿線市町村は利用促進活動などを行っていますが、あまり改善していないのが現状です。
ローカル線と言えば国鉄型などの古い車両を思い浮かべる方も多いと思いますが、使用車両はJR発足後に製造されたキハ120形です。この車両はJR西日本のローカル線用16m車で、レールバスの流れを汲む車両です。JR西日本の様々な地区で運転されている車両なので、マニア向けの人気で集客が期待できる車両ではありません。
全線廃止報道へ
そんな2015年10月16日に中持ち上がった廃線の報道ですが、内容としては部分的な廃線ではなく全線の廃線です。これは意外な話だと思いました。
と言うのも2013年の台風で江津~浜原間50.1kmが被災し、2014年7月に全線復旧をしたばかりでした。このときの復旧費用は自治体も4割ほど払っていて、費用面での協力もある程度なされている状況でした。近年自然災害などで廃線することがよくありますが、その場合は輸送密度が低くJR単独での復旧は厳しいので自治体に支援を求めるものの自治体も厳しい財政で支払えず、結果廃線となるのが多いパターンです。
もちろん日ごろの営業にも費用はかかるので仕方ない面もありますし、長い目で見れば廃線を免れない路線の一つだと思います。しかし、復旧費用の援助や鉄道利用の促進などがJRローカル線としては比較的しっかり行われている上に、復旧から時間も経たずにここまで大胆な廃線の話が持ち上がるのは珍しいと思えます。
2018年4月1日廃線へ
廃線報道から約1年が経った2016年9月30日に、JR西日本より正式な廃止発表がなされました。JR西日本の主張を簡単にまとめると、「旅客流動は通院や買い物など市町内主体の距離が短いものが主体。元々輸送密度が微かになっている上に、5年間利用促進活動も行うも旅客の減少が続いている。自然災害のリスクが高まっており、復旧時のコストが見合わない。」などとしています。
繰り返すようになりますが、三江線は全国的に見ても赤字が酷い路線です。廃線自体は避けられなかったとは思います。それでも自治体も努力は続けていたので、もう少しだけ頑張れなかったのか?とは思ってしまいます。
そういった個人の感情抜きにして考えると、三江線の赤字が相当酷かったこと、経営に余裕が無いわけではないJR西日本としても、区切りを入れざるえなかったのが現状です。私たち鉄道ファンにはもう出来ることは殆どないですが、三江線の最後に向けて何か花道が作ってやれないかとぼんやり思うばかりです。
0 件のコメント:
コメントを投稿