2022年6月7日火曜日

蒲蒲線(新空港線)ってどんな計画でメリットや問題は?




 羽田空港へ向かう新空港線として計画されている通称「蒲蒲線」が、どんな計画でどんなメリットや問題があるのか紹介します。

記事作成: 2022.06.06/記事更新: 2022.06.07

そもそも蒲蒲線って?

東急5050系
蒲蒲線に乗り入れるかもしれない
東横線の列車
蒲蒲(かまかま)線という通称で呼ばれている新空港線ですが、東急矢口渡駅から京急大鳥居駅までを結ぶ計画の路線です。

東急多摩川線矢口渡駅を出て環八を越えたあたりで分岐し、まず地下に潜ります。そこから蒲田駅・京急蒲田駅を経て、京急空港線の大鳥居駅手前で空港線に合流し、大鳥居駅に至ります。そこから京急空港線に乗り入れて、羽田空港を目指します。蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶのが、蒲蒲線という通称の由来です。

これによって東京メトロ副都心線・東急東横線方面から東急多摩川線を経由して列車を乗り入れさせ、東京西部や埼玉方面からの羽田空港へのアクセス向上を狙っています。

矢口渡~京急蒲田間を「一期整備」、京急蒲田~大鳥居間を「二期整備」とし、二段階で新設する計画です。一期整備区間を2030年代までに完成を目指しています。

計画の中心は大田区が担います。線路などの設備を大田区が出資する第三セクターが整備し、実際の営業は東急が運行することを大田区は想定しています。総事業費は1360億円を見込んでいます。

どこまで計画は進んでいるのか?

必要予算や路線の大まかな計画を立てるところは既に完了していて、予算の出資割合や出資者を募っている段階です。今決まっているのは都と大田区が補助金の支払いについて、一部合意しているところです。

この後に出資者同士や運営を委託する東急などと調整を行い、実際に国などに計画を申請して認可や補助金などを受けられるようにし、実際の建設に移る必要があります。なので、かなり実現性が高まっていますが、まだ本当に計画が実施されるか分からないところがあります。

時間よりも乗り換えの楽さ?

効果が期待させている東横線方面渋谷駅から、どんぶり勘定ですがどの程度早くなるか予想してみたいと思います。

今の山手線・京急の場合、山手線「渋谷~品川」間が約13分、京急「品川~羽田空港第1・第2ターミナル」が快特で約15分、乗り換えが5~10分と考えると32~37分といったところでしょうか。

東急経由で東横線「渋谷~多摩川」間が現在と同じ急行で約13分、多摩川線「多摩川~蒲田」間は現在と同じ普通で11分と想定、「蒲田~京急蒲田」間を3分程度と想定、京急線「京急蒲田~羽田空港第1・第2ターミナル」は現在の急行と同じ11分と想定で、38分程度という予想になります。

蒲蒲線への列車を東急線内特急で、京急蒲田から大鳥居以外止まらない快特とほぼ同じ停車駅にすれば、もう少し早くはなるかもしれませんが、5分早まれば御の字といった具合だと思います。ただ、後述する東急線の本数や京急の立場を考えると、特急や快特並みにするのは難しいとも思います。

こう見てみると時間的には大幅に早くなるかは微妙なところです。ただ、計画が謳う通り東横線や副都心線方面からであれば、乗り換えがなくなる分こちらを選択する人も少なくないと思います。

もう少し具体的なメリットは?

想定としては東横線・副都心線を経由して東武や西武からの列車も直通することで、新宿方面に埼玉方面からの羽田空港へのアクセスが向上します。南北線や都営三田線と直通する目黒線からも東横線に簡単に乗り換えられるので、多くの人が羽田空港へアクセスする際に楽になると思います。

蒲田駅と京急蒲田駅は800mほどあります。そこが鉄道で結ばれれば大田区内の移動も楽になります。

鉄道会社としては東急と京急が関係してきますが、東急に関しては主体が大田区であるので、比較的小規模な投資で新たな乗客を確保できる可能性があり、乗らない手は無いといった感じです。

一方で京急は微妙な立場です。アクセス向上の期待できる東京西部や埼玉方面の乗客は、今であれば品川から京急に乗って、羽田空港に向かう乗客が多く含まれています。品川から羽田空港と大鳥居から羽田空港では、当然前者のほうが京急の利益は多くなります。しかし、新しい経路での需要創出が多少考えられる事や、JRも新しい羽田空港への路線を計画しているので、乗らざる得ないといった状況なのではないでしょうか。

そして主体となる大田区としては、この新路線による効果で街づくりの起爆剤としようとしています。具体的にはリニア完成による羽田空港の国際線への発着枠増加するとの予想からの外国人需要の増加、空港や京浜工業地帯への近くという立地、飲食店の多い土地柄、そういったものを絡めて街の活性化や企業誘致へ繋げようと考えているようです。

大田区民の負担は少なくない

予算について実際に決まったわけではありませんが、今決まっている都市鉄道利便増進事業の負担割合を見るに、単純計算300億円を少し超える負担は決まっています。第三セクターへの出資も考えると、ほかの補助金などを活用しても300億円は確実に越える負担になりそうです。

ただ、大田区は区の予算を3000億円で組める規模なので、普通の都市では考えられない予算規模でも、何とかならないわけではありません。しかし、区民への負担は決して小さくないと言えます。

難しい車両の問題

予算さえ付けば第一期整備の矢口渡~京急蒲田間は、実現可能です。ただ、車両や運用については、調整がかなり面倒になりそうです。多摩川線の列車が乗り入れるだけであれば問題ないのですが、東横線方面からの列車乗り入れが多摩川線を走るのに課題があります。

最初に車両についてですが、多摩川線の列車は18mの3両固定編成です。東横線や副都心線の列車は、20mの8両か10両編成のどちらかです。多摩川線の列車が東横線方面へ乗り入れるのは、需要に対して車両数が少なすぎる上に、ホームドアの問題があります。東横線の列車が多摩川線方面へ乗り入れるには、18mより長い20mへ車体・8~10両の長い編成に対応できるよう、線路や駅を様々な改造が必要があります。ただし、車体の問題に関しては、18m路線の20m化は日比谷線という例があるので、線路側は最低限で主に車両側の対応で可能な場合もあります。

運用については東横線があっちこっちに乗り入れているので、そこへ更に乗り入れ路線を増やすという点です。東横線はみなとみらい線・東京メトロ副都心線が既に乗り入れており、さらに東急新横浜線が乗り入れる予定で、各乗り入れ路線には更に複数の路線が乗り入れてます。既に超複雑な乗り入れ路線網に、更に多摩川線経由で蒲蒲線乗り入れるという問題があります。

また、多摩川線は今は普通列車しか運行しておらず、特急など駅を通過する列車はありません。もし特急として走らせるのであれば、駅を通過できるようダイヤや設備の調整が更に必要になります。

難しい線路の幅の問題

第一整備までは、面倒というだけで不可能ではありません。問題は第二整備の京急蒲田~大鳥居間です。

大鳥居から先は京急の線路を走るわけですが、京急の線路幅は1435mmで東急の線路幅は1067mmで幅が違い、このままでは走れません。技術的には線路を4本や3本ひいて、両方の幅に対応させることは可能です。しかし、線路が増える分メンテナンスが大変になり設備故障原因も増えるので、鉄道会社的にはやりたくないというのが本音です。

フリーゲージトレインという線路の幅が違っても走れる車両を使う案もあるのですが、車体コストが高くなることや開発がとん挫に近い状態で完成していないので、現時点では案としてはほぼ無い状態です。

さらに空港線は結構な本数の列車が走っているため、京急としては、お客さんを取られてしまうかもしれない蒲蒲線からの列車へ本数を割きたくないとも想像できます。

そういった理由から京急への乗り入れに関しては、実現が疑問視されているだけでなく、京急へは京急蒲田での乗り換えで対応して、第一整備で計画が打ち切りになるのではという見方もあります。

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