2016年1月3日日曜日

北海道新幹線青函トンネル問題を整理する その2




前回の北海道新幹線青函トンネル問題を整理する その1の続きとして青函共用走行問題の回避・緩和案から話をしたいと思います。
記事作成日: 2014.10.04/記事更新日: 2016.01.03
苗穂工場に留置されるトレインオントレイン試験車両
苗穂工場内のトレインオントレイン試験車両

青函共用走行問題の回避・緩和案

1.新幹線と貨物の運行時間帯を分ける
2.すれ違い時のみ新幹線が減速
3.トレインオントレイン(以後TOTと呼ぶ)
4.第二青函トンネル建設
5.トンネルの中心に隔壁を設ける
6.コンテナ載せ換え

それでは一つづ見ていきましょう。

1.新幹線と貨物の運行時間帯を分ける

これは一番安くて技術的にも一番簡単な方法ですし、新幹線1往復程度の高速走行が具体案として実現に向けて検討されています。

しかし、青函トンネルは保守時間を除くと常に列車が走っていることや北海道本州間の物流で大きな割合占めていることを考えると、1往復分でも運行時間を分けて運休時間が延びれば北海道本州間の物流へのダメージが生まれること予想されています。さらに長距離貨物は遅延もよくあるので、今以上にダイヤのやりくりが大変になるのが想像できます。

2.すれ違い時のみ新幹線が減速

デジタルATCや以前紹介したATACSなど新しい信号システムの登場により柔軟性が向上しているので、比較的安く簡単に可能な案です。

しかし、安全性という点では今までに無い試みなので、これから実証することが必要です。青函トンネルの共用走行が始まった後に、様子を見ながら実用化に向けた技術開発が必要になると思われます。

3.トレインオントレイン

これは貨物列車を新規開発した貨物新幹線に載せて走るというもので、新幹線との速度の問題やコンテナの飛散防止対策も可能かつダイヤ上の制約も大幅に緩和できるので一見良さそうですが、問題も多いのです。

・開発に1000億が見込まれること
・ダイヤの関係上貨物を載せる貨物新幹線がとても多く必要になる
・新幹線に貨物列車を載せるので軌道への負荷が大きい
・載せ換え時間を入れると100km/hで青函トンネルを走るのと変らない

などメリットも多いのですが解決の難しいデメリットが多いのも事実です。

4.第二青函トンネル建設

最強の解決策であり試算では4000~5000億の費用が見込まれています。この額自体は今の青函トンネルを作ったのと変らないぐらいの金額で、物価上昇も考えると安いと言えます。

どうして安く建設できるのかというと、今ある青函トンネルの側に作ることで青函トンネルの作業坑や地質調査を流用すること、最初に掘った時よりも向上した技術で可能にします。しかし安いというのは最初に掘ったトンネルとの比較で「常識的に安い!」とは言いずらい金額であり、トンネルの数だけ維持費が増大するのも問題です。

5.トンネルの中心に隔壁を設ける

トンネルを改良する案では現実的な費用で1600億程度が見込まれます。隔壁を設置するに当たって隔壁の自重にトンネル路盤が耐えられるようにするため、トンネルの中心・線路脇にもアンカーを打つ必要があるので、工事内容としてはそこまで単純ではありません。

すれ違い列車については問題を解決できるだけでなく、貨物の飛散問題も回避できます。ただし、速度自体は向上しないので、貨物列車の後続が新幹線の場合には制限が残ります。そして費用が1600億と決して安くないのもデメリットです。

6.コンテナ載せ換え

2016年1月1日に北海道新聞「青函に時速200キロ「貨物新幹線」検討 新幹線は東京へ最速3時間台」の記事で明らかになった検討案です。文字通りの方式で、2020年前半に専用コンテナクレーンでH5系ベース新幹線貨物列車にの載せ換えて200km/h程度で走行できるようにするというものです。車両基地建設なども含めてコスト800~1000億で、TOTを下回る可能性があります。

新幹線に貨物列車は走っていないので、完全新規開発となります。ただ、TOTに比べれるとコンテナのみを載せるので線路への負担が小さく重心も低いので、TOTより高速に運行できる可能性が高いです。M250系スーパーレールカーゴは比較的軽い荷物専用なので単純比較は出来ませんが、電車貨物の技術も0ではないので技術的難易度もTOTよりは下がります。

デメリットとして貨物の載せ換え時間がありますが、北海道新幹線延伸時に貨物の運転区間も伸ばせば帳消しに出来ます。最終的に札幌まで貨物新幹線を延伸すれば、有珠山の影響で室蘭本線が運休になっても貨物が運べます。ただし、最高速度が200km/h程度が限界だと厳しいかもしれません。北海道新幹線も将来的には320km/h運転、さらには360km/h・400km/hとなっていくかもしれません。その時貨物が200km/h程度だとダイヤ的に面倒になってくる可能性があります。この話は案が持ち上がった段階なので、FGTのように大きな課題が出てくる可能性がありますし、私のような素人ではフワフワした話しか出来ません。ただ、他の方式にはない可能性がいくつもあるように感じます。


こう全てを見ると1と2の案を組み合わせるのが、今の時点では現実的といったところでしょうか。青函トンネル自体はゾーン539の相性があるよう50kmちょっとの区間です。この区間を現在の予定140km/hで新幹線が走行すると20分程度かかってしまうのに対し、普通の新幹線のように260km/hなら10分程度で走行できます。東海道新幹線の涙ぐましい努力を見ると、この区間もどうにかして高速化したくなるのも分かります。今後の技術開発やアイディアに期待ですね。

関連記事
第二青函トンネルのメリットから建設まで考える

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2 件のコメント:

mayora751 さんのコメント...

北海道新幹線開業について水を差すようですが…。
2016年1月17日11時で江差線(輸送障害)、津軽線(自動車との接触事故)に10本ほど停車となっています。これは多少ならずとも日常ある訳ですから、共用するトンネルを通過する貨物の定時性あっての新幹線と位置付けとして、解決すべきは山積していますが、さらにトンネル以外にも有るという要素も考えさせられます。

mayora751 さんのコメント...

北海道新幹線開業について水を差すようですが…。
2016年1月17日11時 江差線(輸送障害)、津軽線(自動車との接触事故)に10本ほど停車となっています。これは多少ならずとも日常ある訳ですから、共用するトンネルを通過する貨物の定時性あっての新幹線と位置付けとして、解決すべきは山積していますが、さらにトンネル以外にも有るという要素も考えさせられます。

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