2017年1月28日土曜日

第二青函トンネルのメリットから建設まで考える




青函トンネルは北海道新幹線の開業で貨物列車・新幹線双方のボトルネットとなっています。そこでもう一本掘ってしまえば良いというのが第二青函トンネルです。そこで、デメリット・メリットや、建設するならどういう形が良いかを考えて行きたいと思います。

新函館北斗駅に停車中のJR東日本E5系
青函トンネルを越え東京を目指す
北海道新幹線E5系はやぶさ

デメリットは何といってもコスト

メリットについてはいくつかあるので、最初にデメリットの話をはじめます。それはずばりコストです。問題となるコストについては下の主に二つです。

・建設コスト
・維持コスト

まず一つ目の建設コストですが、青函トンネルは1961年から1988年の20年以上に渡りつくれた海底トンネルです。そのため多額の費用がかかりました。

青函トンネル完成から更に20年以上の月日が流れ、土木技術も大きくは進歩しました。それでも多額のコストがかかる見込みです。詳しくは後述しますが、第二青函トンネルのために青函トンネルの設備を流用することで、一定のコストを抑えることが可能です。それでも国の試算(2012年頃試算)では単線トンネルで5000億円・複線トンネルでは5800億円、北海道新聞に掲載されていたゼネコンの試算(2016年頃試算)では単線トンネルで3900億かかるとしています。

次に維持コストです。厳密にいくらかかっているかは調べることができなかったのですが、JR北海道が2億円以上を青函トンネルを保有する鉄道・運輸機構に払っていることや、鉄道運・輸機構が修繕費用に13億の支出を記載してる年もあったので、毎年相当額がかかっていることだけは分かります。それが単純に二倍にならないにせよ大幅に増えることは間違いありません。

様々なメリット

・輸送上のボトルネック解消
・安全性の向上
・修繕時に余裕が生まれる

まず何と言っても輸送上のボトルネックが解消されることです。北海道新幹線の開業した今でも、新幹線は在来線特急「スーパー白鳥」が走っていたころと同じ、140km/hが最高速度なっています。これは高速で走行すると貨物列車とのすれ違い時に貨物列車のコンテナが吹き飛んでしまう危険性や、追い越し設備がトンネル内にないので先行する貨物列車に追いついてしまうなどの理由などのです。そのためトンネルがもう一本になれば、二倍近い速度を出すことが可能になると思われます。

次に安全性の向上です。先ほども触れましたが、青函トンネルには貨物列車も発しています。そのため貨物列車から荷物が落下したりという可能性もあります。そういった環境で高速に走る危険性も存在します。更に青函トンネルには作業用に使われた坑道が残っており、それらが緊急時の避難設備にもなっています。しかし、それら坑道は全区間にわたりあるわけではない上に、一部にケーブルカーが設置されるのみで、鉄道車両やバスなどが走行することが出来るわけでもありません。そのため避難時には人力に頼る部分が大きくなります。トンネルがもう一本あり、もう一つつなぐことが出来れば、緊急時はそちらから迅速に脱出することが可能になります。ちなみに同じ海底トンネルであるユーロトンネルは単線トンネル二本で複線分とすることで、最初から安全性を高める設計となっています。

最後に修繕の問題です。日本は列車を運行しながらの修繕を得意としているので、運行したままでの修繕も不可能ではないと思われます。しかし、運行中の修繕となれば列車の運行する時間を制限したり、列車の合間を縫っての効率の悪い修繕となってしまいます。また、青函トンネルは世界で初めての長大海底トンネルとして設計されたため、修繕の技術が完璧に確立されているとは言いにくい部分があります。なので予想外の事態が発生し、修繕が必ずしも簡単に行えるとは限りません。それらの点からトンネルがもう一本あれば大きく負担が減ります。

掘るなら第一青函トンネルの隣一択

・地形的問題
・地質調査の問題
・掘削時の設備流用
・地上線路設備の流用

コスト増を許容して様々なルートを検討出来るのあれば別ですが、コストを考えると地形・掘削時・線路設備の以下のような様々な観点から青函トンネルの隣一択となっています。ボスポラス海峡の沈埋トンネルのような工法もありますが、ここでは現行の青函トンネルと同じ掘削する形を想定したいと思います。

津軽海峡線は蟹田から木古内を通り、函館湾を沿って遠回りしています。これには理由があって、青函トンネルは津軽海峡の中でも本州と北海道の距離が短く、水深が比較的浅い場所を通っているためです。青函トンネルが通っているとこは津軽海峡の他の場所と違い、地形的に盛り上がっているところになっています。そのため青函トンネルが通っている場所のそば以外にトンネルを敷設すると、どこでもコストと技術的難易度が上がってしまうのです。

トンネルを掘るには地質の調査が必要です。青函トンネルのルートを選定する時には、漁船からダイナマイトを爆発させるなどして反響から地質を推定するなどの調査が時間をかけて行われました。時代が進んだと言ってもルートを変える場合には、調査レベルから大きな手間がかかると思われます。

海底は水分を含んだ軟弱な地質の場所も多くあります。そういった時は凝固剤をひたすら流し込むなどして、固い地質に改質上で掘削が行われます。過去の掘削では実際掘ってみないと軟弱な場所が完全に把握できないこともあり、地質の変化と凝固剤の注入に追われての作業でした。そういった点で、スケジュール管理や凝固剤注入の作業検討などで過去のデータが非常に役に立つはずです。

海底トンネルを掘削する場合、メインのトンネル以外にも作業や試掘用のトンネルが必要になります。青函トンネルの隣に掘る場合では、青函トンネル掘削時に作られた既にある設備を流用することが出来るのです。

地上の線路設備につていも、大きくルートが変わる場合には新たな線路の敷設が必要となります。この点を最小にするためにも、出来るだけ現行ルートに近い場所を選ぶ必要があります。

総合的な判断が必要

鉄道の方を持ちがちな鉄道ファンの視点から見ても、青函トンネルをもう一本掘るほうが必ずしも良いとは思えません。しかし、現状の交通網設計はバラバラに行われているように思えます。単純な採算性でなく、モーダルシフトや鉄道以外も含めてどう交通体系を発展せさせるかを考えて決断して欲しいものです。

※関連記事
北海道新幹線青函トンネル問題を整理する その1
北海道新幹線青函トンネル問題を整理する その2

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