2016年6月24日金曜日

2018年投入予定 新型新幹線N700Sを解説




JR東海は2016年6月24日に東海道・山陽新幹線向けに新型新幹線車両N700Sを投入すると発表しました。試験車両にあたる確認試験車を2018年に、2019年より量産車の投入を開始し2020年春の運行を目指します。今回はそんなN700Sについて解説します。

東京駅に到着するN700A
東海道・山陽新幹線で
現在最も新しい形式のN700A


最高のN700系

N700SのSは最高という意味の「Supreme」という単語に由来します。


・「SiC」などの採用による軽量省電力化
・柔軟な車両編成への対応
・新型先頭車形状にによる騒音低減
・フルアクティブ制振制御の採用
・リチウムイオン電池採用による非常時居住性改善
・走行機器や車内のモニタリング強化
・地震時のブレーキ短縮
・全席コンセント設置

N700Sの特徴をプレスから読み解くと、以上のようなものがあると思います。それでは順に紹介したいと思います。

SiCなどの採用による軽量省電力化

新幹線は長年軽量化と省電力化が図られてきましたが、今回一番大きな鍵を握ると思うのが「SiC」の採用です。「SiC」は炭化ケイ素の略です。従来半導体と言えばシリコン(ケイ素)でしたが、炭化ケイ素を使うことで、より高性能で耐熱性に優れたパワー半導体を作ることが出来ます。そして高性能な分同じ性能を求めるのであれば、小型省電力化が可能になるわけです。さらに耐熱性に優れているため、冷却機器の小型化で装置全体を小型に出来ます。

N700Sでは他の機器の見直しと共にインバーター冷却システムを走行時の風で冷やす走行冷却方式に変更するインバーター装置の見直しとで、16両編成あたり11t削減しました。軸重あたりでは11tを達成しました。消費電力ではN700Aと比べて7%削減可能となります。

柔軟な車両編成への対応

「SiC」の採用などで装置が小型になったことで、床下機器の配置も大幅に見直されました。従来は8種類あった床下機器のパターンを4種類に絞ることで、設計変更なく16・12・8両の柔軟な編成を可能としました。これをJR東海は標準車両と読んでいます。

これにより国内外問わずに低コスト・タイムリーに車両が供給可能になります。

新型先頭車形状の採用

N700系は「エアロダブルウィング」という形状を採用していますが、新しく「デュアルスプリームウィング」という形を採用しました。ボートの船底に採用されているような形に非常に近くなっています。

これにより更に走行時やトンネル進入時の騒音を低減できます。

グリーン車にフルアクティブ制振制御の採用

現在採用されている制振技術の「アクティブサスペンションダンパー」は、車体と台車をつなぐ油圧ダンパーを進行方向に対し垂直に設置し、電子制御によりダンパー内の弁の堅さを変えて横揺れを軽減する技術です。

今回採用された「フルアクティブ制振制御」は基本的な構造は「アクティブサスペンションダンパー」と同じですが、弁ではなく油圧ポンプを使う点が大きな違いです。今までのようにダンパ-の堅さを変えてゆれを軽減するのではなく、油圧ポンプでダンパーの油に力を加え振動を打ち消すことを可能にします。

今回採用されるのは編成中のグリーン車のみです。これによりグリーン車の振動は、人が分かるレベルで減るとしています。

リチウムイオン電池採用による非常時居住性改善

鉄道車両には非常時などのためにバッテリーが搭載されていますが、N700Aで採用されたいた鉛蓄電池からリチウムイオン電池に変更されます。これにより電池の重量30%・体積50%低減されるにも関わらず、電池容量はより大きなものとなります。

新幹線のトイレは水や排水量を削減するため水をポンプで吸い込む方式となっているので、停電時などには使えませんでした。今回電池の容量が大きくなったことで、停電のような電気が止める状況でも一部車両でトイレが使用可能になります。

走行機器や車内のモニタリング強化

近年では新幹線・通勤電車問わずに普通の車両に搭載したセンターでリアルタイムで車両や車外の状況を記録し、車両や地上設備の故障予防やメンテナンス低減に役立てようという取り組みが盛んです。N700Sでは既に採用済みの台車振動検知システムを強化するなどし、より多くのデータを取得して役立てる予定です。

一部通勤電車や新幹線には監視カメラが搭載されていますが、現状はドライブレコーダーのように後で見るためのものです。N700Sでは運転指令所はリアルタイムで映像が見ることが出来るようになり、非常時に乗務員への指示などでサポートが出来るようになります。


地震時のブレーキ短縮

ATCやブレーキデータの改善で、地震時の停車距離がさらに短くなります。N700Aは登場以降も改修を続けることで、登場時と今年度から増備される700A三次車では地震時に5%停車距離が短くなっています。N700Sではさらに5%短くなります。

東海道新幹線N700系置き換え用車両

N700Sは試験車両にあたる確認試験車を2018年に、2019年より量産車の投入を開始し2020年春の運行を目指しています。

2019年度までにJR東海所属の700系が全てN700Aで置き換えられる予定です。なので、N700SはJR東海所属のN700系置き換え用となるのが分かります。

JR西日本については700系の引退時期を発表していないので、700系もN700Sで置き換える可能性が高そうです。16両以外の編成にも対応しているため、JR西日本所属のひかりレールスターなども対象になるのではないでしょうか。

800系新幹線も時期としては2020年頃に置き換え時期を迎えるので、今後対象に追加されるか気になるところです。

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