2015年10月30日金曜日

DMVについて考える




開発の中止が決定しているDMVですが、国交省では技術の評価検討が続けられています。2015
年10月30日には国交省による中間取りまとめが発表されました。そんなきっかけもあったので、今回はDMVについて紹介・考えて行きたいと思います。

DMVとは?

まずはDMVについて説明したいと思います。DMV、(Dual Mode Vehicle デュアル・モード・ビークル)は、マイクロバスをベースにJR北海道が開発した線路と一般道を走る車両です。道路走行時は普通のタイヤで走り、線路走行時は前後から小型の車輪を繰り出し前輪を浮かせ、後輪は動力伝達用として線路に接地させて走ります。2004年に最初の試験車両が完成し、改良を続けられながら2014年まで試験が行われました。しかし、JR北海道の相次ぐトラブルにより開発する余力がないとのことで、2014年に開発の終了が発表されました。

メリット・デメリット

DMVのメリットはなんと行っても線路と道路を走ることが出来る点です。これにより線路を使い定時性を確保した上で途中から道路へ入り、自由に目的地へ行くことが出来ます。線路から道路へは専用設備が必要にはなりますが大掛かりなものではないので、比較的自由に接地できます。次にバスベースなので車体価格が比較的安価というのもメリットです。

逆にデメリットとしては車体がバスベースであるため定員が少なく、朝ラッシュなどでは積み残しがでる可能性があります。DMV同士で連結することも可能ですがDMVの定員は28名(DMV920)と、列車1両と同じ定員にしようとすると3両は連結する必要がありデメリットが大きくなります。そして車体が軽いため既存の鉄道用信号が使用することが出来ず無線式の信号システムが必要になることや、積雪により脱線が発生することが考えられます。

その他の走行性能については鉄道車両並を確保できているとしています。車両の耐久性や耐火性などについても基準は満たしています。

新しい技術で見えてきたこと

DMVの開発は終了しましたが、鉄道界隈の新たな流れによりDMVに適用できそうな技術や事例も見えてきました。

一つ目はBRTです。BRTは専用道路を設けることで鉄道と同じような定時制を確保しつつも低コストで運行が行え、一般道へ乗り入れることで自由に目的地を設定することができます。ただし、バスを使用するため輸送量が小さい地域向けです。デメリットとして一般道との交差地点で速度を落す必要があったり、鉄道同様駅以外での専用軌道内でのすれ違いが難しかったり、私道のため設備維持費がかかり鉄道より大幅コスト減とはならない点があります。東日本大震災の復旧として運行の幅を広げたBRTですが、DMVの想定する目的・運用に似ています。得に一般道への乗り入れという点でBRTの事例はDMVが大きく参考にすべき点だと思います。

二つ目はATACSです。ATACSは無線を利用した次世代の信号システムです。列車の情報詳細に把握することで、よりきめ細かく運行を行うことができます。さらに、無線をベースにすることで保守の手間や災害時の復旧スピードの加速も見込まれています。現在ATACSはJR東日本やJR西日本が試験を行っていて、実用化が近づいています。この技術をDMV転換時に導入することで、DMVのデメリットである信号システムについては解決できます。

DMVはどんな想定で利用すべきか

以上簡単に説明をしきましたが、これらを踏まえてDMVにあった環境を考えてみたいと思います。

まず輸送量についてですが、ラッシュはバスでは捌くことの出来ない輸送量であることが条件だと思います。朝もバスで捌ける程度の需要であればBRTへ転換したほうが安く運行出来るからです。なので、ラッシュ時間帯は鉄道車両を中心に運行し、DMVは鉄道車両のフォローという形になります。ラッシュ以外の空いている時間帯はDMVを積極的に活用し、一般道への乗り入れなども行います。

次に一般道への乗り入れは慎重に選定したほうが良いと思います。BRTでも一般道への乗り入れが行われていますが、混雑する道路を少し走るだけでもダイヤに及ぼす影響は多きいようです。なので、極力空いている道路・時間帯を選択し乗り入れ、ラッシュ時は一般道への乗り入れは極力避けたほうが良いと思います。

最後に雪についてです。雪については解決する方法がありそうにないので、温暖な地域での運行を選択するしかなさそうです。

一時期はローカル線の救世主としてもてはやされたDMVですが、JR北海道の開発中止宣言もあってか下火になってしまいました。また、BRTのような新たな選択肢との比較も厳しく行わなければなりません。こんな状況の中日の目を見ることが出来るのでしょうか・・・

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