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2023年6月11日日曜日

さらば快速SL銀河 - 列車運行・ダイヤ編




 2023年6月11日で運行を終了したSL銀河のダイヤや見どころ、運行の特徴などを紹介します。

たっぷり1日乗れて東北を元気づけた列車

釜石駅に到着する快速SL銀河
釜石駅に到着する快速SL銀河
SL銀河は2014年4月12日より運行を開始した列車です。東日本大震災の復興支援という名目で、春から秋にかけて土休日にほぼ定期運行という形で運行されました。列車種別としては全席指定席の快速列車です。2023年6月11日の臨時運行で、運行を終了しました。

車両は蒸気機関車がC58型239号機と、客車をディーゼルカーに改造したキハ141系700番台を牽引と、非常に面白い列車です。車両についてはここでは魅力を書ききれないぐらいで、以下の別記事で紹介しています。


運行が廃止になる理由としてJR東日本は車両の老朽化を挙げています。老朽化自体は事実としても収益性の厳しさが大きく、復興が一区切りついたという点にもあると私は思います。

快速SL銀河ダイヤ
快速SL銀河ダイヤ
(拡大可能)
運行区間は釜石線全区間にあたる「花巻~釜石」間90kmを、約4時間半で走り抜けます。運賃は片道乗車券が1690円、それに加えて指定席料金が860円かかります。途中の遠野駅には機関車の給水を兼ねて1時間以上停車するので、列車を乗り通しながら観光ができました。更に列車は2日で往復での運行で、初日は下り「花巻→釜石」・翌日は上り「釜石→花巻」となっていて、釜石の観光を組み込むことでより深い列車の旅をすることが出来ました。

それでは盛岡駅を起点に通常運行時の列車の区間や駅ごとのみどころを紹介していきます。

乗る前・降りて楽しい回送区間

SL銀河の楽しいところは、乗る前・降りてからもあることです。

SL銀河は盛岡駅近くのSL車庫にて整備されます。そこから回送されて、花巻駅より営業列車となります。その発車前・発車後から楽しむことが出来るのです。

転車台が楽しいSL検修庫

検修庫より出庫するC58形蒸気機関車
SL検修庫より出庫するC58
盛岡駅西口から南に進むとあるのが盛岡車両センターSL検修庫です。ここでC58型239号機は点検や給水に石炭の補給を行い、運行に備えます。

この検修庫は24時間見学スポットが解放されており、下り列車運行日は朝7時ごろから1時間ほど出発の準備を、上り列車運行日は18頃から30分ほど機関車を車庫に入れる様子を見ることが出来ました。

列車が出る・入る時に方向転換するため、転車台で機関車を回転させます。その姿も見どころたっぷりで、運転手さんが汽笛を鳴らすサービスも行ってくれました。

※転車台…車両を回転させる台のこと。電車と違ってSLは運転台が片方向にしかついていないため、転車台で方向を反対にする必要がある。

機関庫出庫の様子

客車と連結する盛岡駅

機関車とは別に客車は盛岡駅西口から北側に進んだ盛岡車両センターに停車していて、そこで検査や給油を行います。

なのでSLと客車をどこかで連結や切り離す必要があり、それを盛岡駅構内で行います。下りの連結の場合は8:20頃、上りの切り離しの場合は17:30頃駅ホームで実施されています。

客車が機関車を引っ張る珍風景

盛岡駅を発車する回送列車
「盛岡~花巻」間は回送でお客さんは乗せないのですが、その回送姿が非常に独特です。

盛岡から釜石に列車が向かう場合、花巻の線路の配線の関係で列車は花巻駅で、進行方向が前後逆転をします。しかし、花巻駅には機関車の向きを変える転車台はありません。そのためバックで「盛岡~花巻」間を走るのですが、その時後ろについてる客車がSLを引っ張って走る、日本でここだけの姿を見ることができました。

しかもそのスピードが遅いため、盛岡駅で発車を見送っても後から出発する普通列車で追い越して、先に花巻駅に到着することが出来ます。(その逆パターンの花巻駅から盛岡駅でも可能)なので、盛岡での転車台や連結を見てからも列車に乗ることが出来ました。

花巻駅回送から入庫までの様子
最初に回送の映像が見れます。

平野・山 様々な姿を見せる釜石線

釜石線は花巻~釜石間を結ぶローカル線です。足ヶ瀬駅周辺を頂点に、内陸部の平野から峠を抜けて太平洋側の釜石に抜けるローカル線です。そのため区間によって様々な姿を見せます。

川に沿って田畑を走る「花巻~春山」間

花巻を出ると春山駅のあたりまではのどかな景色を走ります。まだのこの辺りは勾配が緩く、SLも軽快に走ることが出来ます。景色も田んぼが多く、猿ヶ石川に沿って線路は走ります。

めがね橋を越えて 「春山~遠野」間

めがね橋を通過するSL銀河
めがね橋を通過するSL銀河
「春山~遠野」間はまだ勾配はきつくないものの、少し山に入ってきます。この区間で特に有名なのは、「宮守~柏木平」間にかかる通称めがね橋です。

めがね橋は宮守駅近くにある橋で、正式名称は宮守川橋梁です。愛称の由来は橋の構造で、コンクリート製のアーチ構造がめがねに似ているため付きました。谷状になっている宮守川付近を越えるために作られ高さも17m以上あるので、下から見ても乗って見ても迫力があります。

見方によっては列車が空を飛ぶように見え、宮沢賢治の銀河鉄道の夜のモデルになったとも言われています。

私も降りてSL銀河の走る姿を見ましたが、本当に空を走るようで美しかったです。

河童の町 遠野

遠野駅でC58形の石炭を均す乗務員
遠野駅で炭水車の石炭を均す様子
SL銀河が上りも下りも長時間停車するのが遠野駅です。この駅ではSLの簡単な点検の他、給水を行います。上りの場合釜石から遠野までで、水を5t以上使ってしまいます。SLは最大17tの水を積めるので終点までに切れてしまうことはありませんが、万全を期すためにもここで補給します。到着後すぐにこの作業は実施され、列車の到着の合間を縫って再度連結されます。

遠野駅でのC58への注油
遠野駅での駆動部への注油
大きな作業は遠野駅のみで行われますが、古い蒸気機関車はデリケートのため、殆どの駅で停車時に車軸の温度を測ったりして、状態を監視する作業は行われています。

また遠野は河童で有名な街です。遠野物語で紹介され、日本中で有名になりました。駅前の交番も河童型だったり、なんか不気味な河童の絵があったり町を挙げて河童を推しています。

遠野駅停車中の快速SL銀河の車内
遠野駅停車中の車内
長時間停車で殆どの乗客が降りている
河童が言われるというカッパ淵までは5kmほどあるので、タクシーを使えばギリギリ戻ってこれるくらいの距離なので、駅前で散策というのが無難なルートです。駅前散策なら1時間以上あるのでお昼を食べたり、ちょっとしたお茶したりと色々楽しめます。

ちなみにカッパ淵は本当に居るのか!?ってくらい浅かったりします。妖怪だから多分大丈夫なんでしょう… そして遠野物語は青空文庫で無料で読めるので一度読むのに超おすすめです。

峠越えの「足ヶ瀬~陸中大橋」間

遠野を越えるといよいよ峠越えです。足ヶ瀬駅を頂点に仙人峠という峠となっており、そこを越えると釜石まで下っていきます。途中いくつも見どころがあります。

足ヶ瀬~陸中大橋間はほとんどがトンネルとなっています。特に上有住~陸中大橋間は勾配がきつい区間です。直線で線路を結ぶと勾配が急過ぎる、オメガ型に線路が敷設されており、オメガループの愛称で呼ばれています。

この区間は勾配を緩和した形であってもなお、蒸気機関車にとっては厳しい急勾配区間となります。花巻行きの上りSL銀河の場合、機関車だけの自走で上りきることは出来るのですが、トンネル内を低速で大量の煙を吐き出しながら上ることになり、機関車の機関士が大変なだけでなく、隙間から車内に煙が入り込むため乗客も大変です。その急勾配を克服するために連結しているのが、客車のキハ141系です。

協調運転中のキハ141系の運転台
協調運転中の運転台
ブレーキレバーは刺さっていない
SL銀河の客車は気動車を改造した車両で、ディーゼルエンジンが搭載されています。そこで客車側にも運転手が乗り込み、上り勾配では蒸気機関士の機関士たちと無線で連携し、必要に応じてエンジンで客車で機関車を押し上げます。ブレーキに関しては機関車側で一括制御しているため、客車の運転手は操作しないのも特徴です。このような別の駆動方式の列車同士が協力して運転するのを、協調運転と言います。このような客車が機関車を押し上げる方式は、SL銀河だけで行われていました。

上りの足ヶ瀬~陸中大橋間が協調運転の主な実施区間ですが、雨であったり秋で枯れ葉で線路が滑りやすい場合は、それ以外の区間でも実施し、定時運行を出来るようにしています。釜石線は太平洋側勾配のほうがきついので、特に上り列車は、釜石を出て上り区間に入ったらすぐ実施する場合もあります。

また、足ヶ瀬駅は峠の頂点にあたるため、駅に到達すれば列車の難所は乗り越えたことになります。そこで乗客の乗り降りのない運転停車を行って、勾配を上った機関車の不具合が無いか確認する作業が実施されます。

鉱山の積み込み設備の残る陸中大橋駅

陸中大橋駅のホッパーの遺構
陸中大橋駅のホッパーの遺構
釜石と言えば明治時代からの製鉄の町ですが、それを支えた鉱山が釜石鉱山です。釜石鉱山は陸中大橋駅は、その鉱山からの鉱石の積み込みを行う駅でした。そのためホッパーと呼ばれる上から鉱石を貨車に落として積み込む設備の遺構が残っています。

SL銀河は列車の行き違いのために上下ともに、少し長めに停車します。なので、停車中にホームからその遺構を見ることが出来ます。

もう一つの起点 釜石駅

陸中大橋駅も過ぎると30分ほどで海辺の町釜石駅です。SL銀河の終着駅です。

釜石駅の転車台で方向転換するC58形
転車台で方向転換するC58
SL銀河は釜石駅に到着すると、機関車は客車と切り離されます。駅の南側の列車到着後歩いて見に行くことが出来る距離にあり、まずそこで機関車が方向転換をします。なので、転車台に乗るのは到着時だけです。

釜石駅で炭水車に石炭を積み込むC58形
炭水車に石炭を積み込むC58形
SL銀河は片道で約2tの石炭を消費します。なので、無補給の場合盛岡までの往復は心もとない状況です。そこで釜石駅で、石炭の補給を行います。石炭の積み込みをホイールローダーによって行い、積み込んだ石炭を機関士さんが炭水車の上に乗って均す貴重な光景を見ることが出来ます。その後簡単な整備を行い翌日へ備えます。

切り離された客車も簡単な整備を行います。簡単な清掃だけでなくディーゼル車のため、給油を行って翌日までホームに留め置かれます。

釜石駅での出発準備の様子

大人数で支えるSL銀河の運行

今時の電車であれば運転手さんと車掌さんの二人か、運転手さんだけの一人で長い通勤電車を運行できます。しかし、SL銀河ではそれと比べ物にならない人数で運行しています。

まず蒸気機関車だけで、最低2人が必要です。蒸気機関車は運転手さんにあたる機関士さんの他に、釜に石炭をくべる機関助士の最低二人が必要です。SL銀河では長時間での運転のため、機関助士が2人いるので機関車だけでも3人乗っています。

そして客車側にも複数名乗っています。まず協調運転をするための、客車の運転士さんが1人に走行中の不備に備える整備関係の乗務員さんが1人乗っています。それに加えてドアの開け閉めや検札をする車掌さんが2人乗っています。

これに加えて観光列車であるため、ラウンジカーでの物販や車内のプラネタリウムを案内したりする販売さんが2人乗っています。

そして場合によっては更に乗り込むことも想定できるため、9名を超える人たちにより運行されており、以下に手間がかかっているか分かります。

夢へ消える銀河鉄道

このように非常に魅力的な運行を行う列車だったのですが、廃止になってしまいます。車両数がたったの4両で、1日に片道運行しか出来ない列車かつ、乗務員も非常に多く乗っているので完全にボランティア列車です。キハ141系の誕生経緯を考えると、客車は限界近いものがあります。

もうちょっと値段が上げてキハ110なんかを改造して運行という方法もあるのでしょうが、あまり高いと乗る人も減り、それでも黒字にするのは難しいのを考えると運行継続は難しいのでしょう。

ローカル線の経営が厳しさを増すのを考えると、不採算列車は切り捨てるしかないのでしょうが、ますます人を呼び込むのが難しくなるのは明白です。モチーフとなった銀河鉄道の夜同様、はかない旅路が決まっていた列車なのかもしれません。


2023年6月10日土曜日

さらば快速SL銀河 - 車両編C58形・キハ141系




  2023年6月11日で運行を終了する快速 SL銀河の蒸気機関車や客車について解説します。

蒸気機関車とディーゼル車の珍列車

SL銀河は蒸気機関車での運行で、蒸気機関車での運行自体が珍しいものでした。しかし、それだけでなく上り勾配など蒸気機関車だけでは辛い場面では、ディーゼルカーを改造した客車が蒸気機関車を押していく珍しい運行形式でした。客車の老朽化が理由で、2023年6月11日の臨時運行を最後に運行を終了しました。

この記事では車両を中心に紹介します。ダイヤや見どころなどは下記の別記事で紹介しています。

日本で2列車だけのC58形

釜石線釜石駅停車中のC58形239号機
釜石駅停車中のC58形239号機
JR東日本はC57形180号機・C58形239号機・D51形498号機・C61形20号機の4両の蒸気機関車を所有しています。

その中でSL銀河で使われている蒸気機関車はC58形239号機です。電車でも通勤用や特急用といったように役割があるように、蒸気機関車にも役割があります。C58はローカル線用の客車と貨物両方を牽引するための蒸気機関車でした。そのためパワーを抑えて軽くした設計にし、路盤が幹線より貧弱なローカル線に入ることが出来るようになっています。

JR東日本の他の蒸気機関車と比較すると、役割による違いが分かります。C58は他の3車種の機関車より車体が軽く、客車を引くパワーが弱くなっています。速度はC57とC61が旅客用で最高速度が100km/hに対し、C58は貨物用でパワーに割り振っているD51と同じ85km/hで抑えめになっています。

C58形の運行はSL銀河の他、秩父鉄道のパレオエクスプレスでも使用されていて、日本ではこの2列車でしか見ることが出来ません。秩父鉄道で活躍するのは、363号機です。

C58形は431両製造されたので、途中で仕様変更が行われています。383号機以降ではボイラーの拡大や炭水車の容量アップが行われました。SL銀河やパレオエクスプレスで使用されているのは383号機より前の車両なので、言わば前期型と言えるタイプのC58形です。

東北で活躍した239号機

239号機は1940年に製造され、1972年まで活躍した車両です。川崎重工で製造され、最初は愛知県稲沢機関区に配置、1年で奈良機関区へ転属、2年後の1943年には岩手県宮古機関区へ転属し約30年活躍、1970年に盛岡機関区へ、翌年1971年に八戸機関区へ最後の転属、そして1年の活躍のちに休車となり、1972年に正式に廃車となりました。

個人サイトなどを参考にさせていただいたのでやや怪しい部分もあるのですが、所属機関区から考えるに東北地区で活躍するも、釜石線での活躍はあまり無かったようです。宮古機関区時代は山田線・小本線(岩泉線)、八戸機関区時代は八戸線での活躍が中心だったと推測されます。ただ、釜石線でのC58の運行はちゃんと存在していました。

その後盛岡市にある岩手県営運動公園で1973年から2012年まで保存されました。屋外でしたが、屋根付きだったので良い状態で保存することが出来ていました。

そこで東日本大震災の復興支援を兼ねたSL銀河運行計画が立ち上がり、2012年に運びだされ2013年に運転可能な状態へ、2014年にはSL銀河として運行を開始しました。運行可能にするにあたって、当時からあった設備を元にするだけでなく改造も行われました。

C58形239号機のスノプロー
C58形239号機のスノプロー
緑色のATS車上子も見える
まず信号設備をATS-P・Psの搭載、防護無線用にデジタル無線も搭載しています。これによりJR東日本ほとんどの路線を走行可能です。

それに加えて外観の改造として保存時からの変更で、ヘッドライトは形状を変えず違う型番のものに、スノープローを小型のものに、重油タンクのボイラー上から炭水車への移設、集煙装置の撤去を行っています。

スノープロー … 列車の先頭に取り付けられた小型の雪かき
重油タンク … 蒸気機関車は燃焼パワーを上げるために重油も一緒に燃やすタイプも多く存在する。そのために重油のタンクも付いている。
集煙装置 … 煙突に付ける煙の流れを変える装置。トンネル内などで使用し、煙を後ろに流すようにして、機関車の乗務員が煙にまかれるのを防ぐ。

改造に改造を重ねたキハ141系700番台

蒸気機関車と同じぐらい重要なのがキハ141系です。釜石線は太平洋側に急勾配のトンネル区間があり、機関車だけで登ることも出来るのですが、煙が多くなり機関士と乗客両方がきつくなること、雨や落葉の季節は滑りやすくなり列車の定時運行が難しくなるため、客車にもエンジンが付いていて、SLを押し上げます。

そのために採用されたのがキハ141系なのですが、この車両誕生からSL銀河の客車になるまでが、独特な車両です。キハ141系は客車を改造してディーゼルカーにした車両です。なので、客車→ディーゼルカー→客車という変わった経歴を持っています。

苦肉の策で生まれた50系

キハ141系は50系客車が勿体ないという理由で生まれたのですが、まず50系の誕生の経緯も独特なので簡単に紹介します。

50系は国鉄時代に作られた普通列車用では最後の世代の客車です。50系が作られた1970年ごろには、古くなった客車列車は電車かディーゼルカーにする方針で、新しい列車はどちらかを中心に作られていました。ただ、それだけでは更新が追い付かず、貨物の減少で電気・ディーゼルカー機関車余っており、労組との兼ね合いもあって、地方の混雑路線用に、妥協案として作られたのが50系客車です。

そのため通勤列車を意識したお金をかけない構造で、出来るだけシンプルな構造に大型の引き戸の乗降口、つり革のあるセミクロスシートが採用されました。

本州向けが50系、北海道向けに窓・発電機・ブレーキを寒冷地仕様にした51系が、1978年から1982年に作られました。

勿体ないから生まれたキハ141系

千歳線札幌駅停車中のキハ141系
札幌駅停車中のキハ141系
50系自体が客車からの転換の過渡期に生まれたので、当然すぐに役目を終えていきます。国鉄からJR北海道になり、余った51系を再利用しようとして生まれたのがキハ141系です。沿線の発展で混雑するようになった札沼線向けに、車体をなるべるそのまま再利用し、エンジンを載せてディーゼルカーにしたて上げました。

キハ141系のうちキハ141・142形とキサハ143形は、もっとも安くしたて上げられた車両です。台車は古い急行用のキハ56系からの廃車発生品を利用し、その他の必要部品は新しいものを使っています。キハ141・142形は1990~1995年にかけて作られました。エンジンを持たないキサハ143形は1995年に作られました。

パワーアップ型として、当時最新のキハ150系の部品を使って台車も新しいものを使ったキハ143形も1994~95年に作られました。

そしてまた客車になったキハ141系700番台

釜石線釜石駅停車中のキハ141系700番台
釜石線釜石駅停車中の
キハ141系700番台
そしてSL銀河の運行の時改造用の気動車として白羽の矢が立ったのがキハ141系です。札沼線の混雑区間が2012年に電化されたので、気動車であった141系が余る状況となっていました。それに目を付けたJR東日本がJR北海道から入手した流れです。JR北海道からエンジン付きのキハ141・キハ143形1両づつと、エンジン無しのキサハ144形2両が導入されました。外観・内装と走行機器両面から改造が行われました。

釜石線釜石駅停車中のキハ142-701
キハ142-701
車両により様々な星座がデザインされている
見た目の改造は宮沢賢治の銀河鉄道をモチーフに改造されています。外観は青をベースに星座がデザインされました。

キハ141系700番台車内
改造されたボックスシート
内装は元の通勤仕様から、古い客車風のボックスシートへ変更された他、車内販売のあるラウンジカーやミニプラネタリウムが設置され、完全に観光仕様に変更されています。

走行機器はキハ141・キハ143形共にエンジンが換装され、信号システムをATS-SnからJR東日本用のATS-Psに変更、防護無線をデジタル式に交換されました。

それに加えてSL専用の装備として、SLと情報をやりとりする機能が追加されています。協調運転時に信号システムのデータのやり取りが出来るようになった他、デリケートなSLの車軸の温度を客車側から監視するシステムが搭載されました。

SLはまだまだ走れるが客車は本当に厳しい

SL銀河の運行終了後の車両の行方ですが、機関車は何らかの形で活用され客車は廃車という流れになりそうです。

先ほど紹介したようにキハ141系は、40年前に製造された客車をベースに改造して生まれた車両です。更に走っていたのが北海道で、雪により腐食しやすい環境でした。もちろんSL用に改造するにあたって改修もしていますが、今後さらに走るのであれば更なる改修が必要になってくると思われます。

一方で機関車のほうはJR東日本であればどこでも走れるよう改修されているので、元々長期で使用されることが想定されていると思われます。

ただ、客車については改修してから10年程度なので、もう少しは走れてもおかしくなかったと思うので、JRの経営状況で前倒した感も否めないところもあります。


2021年11月27日土曜日

205系の異端車 珍しいJR相模線205系500番台を紹介




 205系の中では少し変わった経緯や特色を持つ、相模線用205系のJR東日本205系500番だについて解説します。

205系では珍しい短編成用新製車

橋本駅に到着する205系500番台
橋本駅に到着する
JR205系500番台
相模線の205系500番台は、205系が新規製造時に通勤線区を中心に投入された中、4両編成という短い長さで投入された珍しい車両になります。

205系は国鉄末期からJR初期に製造された通期電車で、回生ブレーキの採用などで高性能・省電力化した反面高価になってしまった201系を反省し、コストを抑えつつ性能と省電力を維持した上に更なる軽量化を進めた通勤電車です。

赤羽駅を出発する埼京線205系
10両編成の
JR埼京線205系
通勤電車であるため新規製造時、初期の国鉄時代投入線区は山手線や東海道線緩行線(関西地区)に投入され、その後のJR発足後の平成初期に阪和線・横浜線・京浜東北線・埼京線・相模線・南武線・中央総武緩行線・京葉線・武蔵野線と通勤線区を中心に新製投入が行われました。

上で挙げた新製時の投入線区を見ると分かりますが、首都圏や関西の混雑線区が中心の投入が行われました。そんな中で郊外線区の特徴が強い相模線への投入は、珍しいものでした。

顔が特注の500番台

相模線205系500番台先頭車両
専用デザインの前面
相模線用の205系は500番台という区分を与えられています。この500番台という区分は、相模線用の205系のみで使われています。つまりその205系だけが持つ特色があります。

205系500番台は1991年春3月16日に相模線電化されるの期に、4両13編成が新製投入が実施されました。そのため全ての車両が1991年1月から電化直前3月までに製造された兄弟車両となっています。13編成のうち第12編成にあたるR12編成中間2両と、R13編成はJR大船工場製造でそれも特徴です。ちなみに大船工場は技術維持のため107系、205系・209系・E217系のごく一部の製造を行いました。

500番台だけの大きな特徴として、前面デザインがあります。JR初期という時代や電化というタイミングもあり、205系500番台の専用のデザインとなっています。地下鉄車両のような、運転台と反対側に縦型の大型窓を採用しています。

丸形ヘッドライトの0番台とは違う前面デザインは、京葉線・武蔵野線用のメルヘン顔と言われたデザイン、阪和線用の前面展望を考慮して運転台側窓をちょっと窓を大きくした205系1000番台があります。

今ではどの205系にも付いているスカートですが、最初から装着しているのはこの205系500番台からとなっています。

短い4両編成

205系のうち新製時に4両で投入されたのは、相模線と阪和線向けの車両だけとなっています。これも一つの特徴です。

もっとも現在は首都圏を中心に、E231系やE233系投入により余剰になった205系を2~4両に短編成化した車両が、新たに日光線・宇都宮線・鶴見線・南武線・仙石線(宮城県)で活躍しているため、短編成の205系というのは珍しくはなくなりました。

原型と改造後の特徴が同居する

205系500番台は投入時からずっと相模線で活躍している車両です。運行時に必要な改造は少しづつ行われているものの、転属時に行われるような改造は行われていないため、登場時の原型と改造後の特徴が同居しているのも特徴です。

JR205系500番台の車内
更新があまりされていない
205系500番台の車内
車内は登場時からあまり改造されていないように見えます。他の205系が転属時などに行った、ドア横の座席の仕切りの増設なども行われていません。つり革も優先席付近以外は登場時に近く、丸形の持ち手にベルトタイプの紐を採用しています。モケットも山手線や埼京線205系などで標準的に使用されていたものが、引き続き採用されています。

205系500番台の白色LEDライト
前面ではヘッドライトは初期の白熱電球タイプから、白色LEDに変更されています。一方で、行先表示器は方向幕タイプで、列車番号表示器は7セグメント表示のデジタルタイプが引き続き採用されています。

205系500番台のJRマーク
先頭車両のJRマーク
側面の行先表示器は方向幕がそのまま採用されています。先頭車両のドア横には最近はあまり見られなくなった大型のJRマークのシールが貼りつけられています。

ドア横には半自動ドアボタンが設置されています。このスイッチは205系では珍しく登場当時から搭載されているのも特徴です。

走行機器は大半がそのまま

走行機器については間違いが無いよう調べたつもりですが、間違いがあった場合はご了承ください。

205系500番台の台車
台車
台車はボルスタレス台車で電動車にDT50Dを採用し、付随車にTR235D採用しています。モーターは120kWのMT61を採用しています。

205系500番台の主制御器と励磁装置
主制御器と励磁装置
主制御機器は登場時のまま界磁添加励磁制御で、主制御機器にCS57形・励磁装置にHS52A形を採用しています。

205系500番台の床下機器
コンプレッサーはレシプロ式でMH-3075A-C2000Mを採用していて、昔ながらのブロロロ!という音を聞くことが出来ます。発電機はDM106で、SIVへの改造は行われていません。

205系500番台の冷房装置のAU75G2M
ベンチレーターと
冷房装置AU75G2M
屋根上の冷房装置はAU75系列を使用していて、私が見た編成ではAU75GMとAU75G2Mを採用していました。そして空気取り入れようのベンチレーターもそのまま付いています。

このように多くの機器は登場時を維持していますが、いくつかの走行機器は更新されています。

更新された205系500番台のパンタグラフPS33E
ひし形パンタグラフPS21より更新された
シングルアームパンタグラフPS33E

パンタグラフは登場時はひし形パタングラフのPS21形を採用していましたが、雪に強くメンテナンスもしやすいシングルアームパンタグラフのPS33E形に変更されています。

モニター装置はPC-98シリーズの産業用版FC-9800をベースにしていたMON5型を採用していましたが、MON3型に更新されています。

さよなら205系500番台

そんな205系500番台ですが、2021年11月18日に新型車両のE131系500・580番台の運行が開始されました。

運行開始まで11月18日までに大半の編成が置き換え可能な9編成が完成しているものの、運用は1日1運用程度にとどまっています。今後順次運用が拡大していくと見られます。

今の置き換えペースであれば来年のダイヤ改正には全てが置き換え完了となりそうです。なので相模線での活躍を見たければ、マナーを守って今年度中をお勧めします。

このまま廃車?

元々郊外線区用に作られたので半自動ドアが付いていて地方私鉄向けにはぴったりな反面、需要の減っている地方では4両は持て余し気味な上に、車内も手を加えられていないので大きな改造が必要な場合多いと思われます。

一方でインドネシアのジャカルタでは4両の205系が走り始めて、需要はありそうです。ただ、インドネシア政府が中古車両の輸入を終了する方向で、205系の輸出は武蔵野線からの分でひとまず終了となっているようなので、そちらも微妙です。

このまま廃車になってしまう可能性は大きそうに思えますが、どうなっていくでしょうか。



2021年2月13日土曜日

東京メトロ17000系を紹介 - 有楽町線・副都心線用7000系置き換えへ




 東京メトロ7000系置き換え用に副都心線・有楽町線に導入される東京メトロ17000系を紹介します。

17000系の導入で7000系は引退へ

東京メトロ17000系試運転列車
東上線で乗務員訓練する17000系
東京メトロ17000系は東京メトロ有楽町線と副都心線用に、10両6編成と8両15編成が導入される予定です。10両編成は日立製作所製、8両は近畿車輛製と製造メーカーが違うのも特徴です。

営業路線としては東京メトロ有楽町線・副都心線の他、直通先の東武東上線・西武池袋線・東急東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線となります。相鉄線については不明です。

置き換えが行われる
東京メトロ7000系
有楽町線と副都心線開通時から使用されている7000系は、10000系の導入時にも一部置き換えが行われました。そして今回の17000系で全てが置き換えられ、引退します。

丸みのある可愛い先頭車両

東京メトロ17000系先頭車両
先頭車両
車体はアルミ合金です。先頭車両は丸みのあるデザインとなっており、スカートも丸みのある柔らかいデザインとなっています。地下鉄用のため前面から脱出できるよう非常用の扉が付いています。

デザインのイメージ図を見たときはいまいちに感じましたが、実際に見てみると良い可愛いらしい良いデザインに感じました。

東京メトロ17000系日本製鉄MTC-001連結器
日本製鉄MTC-001連結器
連結器は密着連結器です。銘板による日本製鉄製で型番はMTC-001のようです。

東京メトロ17000系行先表示器
行先表示器
行先表示器はフルカラーLEDで、列車番号もフルカラーLEDが採用されています。

東京メトロ17000系LEDヘッドライト
前照灯
前照灯と尾灯ともにLEDが採用されています。前照灯はLEDを束ねたものを二つ備えます。

東京メトロ17000系尾灯
尾灯
前照灯の下に尾灯用の赤色LEDが搭載されます。こちらはまるでなく、デザイン性のあるものが採用されています。

東京メトロ17000系側面帯
側面帯
先頭車両のアクセント部
側面の帯は7000系や先代の10000系と違い、白が1色無くなっています。また、先頭車両だけアクセントがあります。

東京メトロ17000系ピクトグラム

ピクトグラムは上部に配置され非常時脱出用のドアコックも高い位置にあり、ホームドアがあっても問題が無いように配慮されています。

屋根上機器

東京メトロ17000系アンテナ
先頭車両のアンテナ
東京メトロではデジタル無線の導入をすすめており、先頭車両にはデジタル無線や乗り入れ先の他社線用に合計3本のアンテナが搭載されます。

東京メトロ17000系パンタグラフ
パンタグラフ
パンタグラフはシングルアーム式を採用し、10両編成では1両づつに1基で計4基搭載しています。そのため7000系や10000系のように1両に2基搭載する車両はありません。

東京メトロ17000系クーラー
冷房装置
冷房装置には集中式を採用し、1両に1基搭載されます。性能は58kWで7000系よりは橋梁であるものの、10000系とは同じ能力です。

冷房のカバーは全体的に角ばったものが採用されています。全体的に柔らかいデザインを採用しているので、ちょっと違和感を感じます。

床下機器

東京メトロ17000系台車FS781
FS781を採用
東京メトロでは整備不良とボルスタレス台車の特性により、苦い思い出があります。そのため10000系に続きモノリンク式ボルスタ台車を採用します。

東京メトロ17000系の台車銘板
銘板より日本製鉄製と分かる
形式はFS781で日本製鉄製です。モーター車もトレーラー車も同一の台車を使用します。

モーターはPMSM(永久磁石同期モーター)205kWを採用します。4M6Tで10両編成のうち4両がモーター車で、和光市方面を1号車とした時2・4・7・9号車がモーター車です。このMT比・モーター車の位置・モーター出力は07系と同じで、5M5Tの10000系と比べると先祖返りと言えるかもしれません。

ちなみに有楽町線・副都心線のMT比・出力の変遷としては、7000系(VVVF更新車)5M5T・165kW→07系4M6T・205kW→10000系5M5T・165kW→17000系4M6T・205kWとなっています。

加速度は3.3km/h/s、減速度3.5km/h/s、非常時減速度4.5km/h/sです。営業最高速度は110km/hで、設計最高速度は120km/hです。

ブレーキは回生ブレーキと路面ブレーキを備えます。

東京メトロ17000系SiC-MOSFET VVVF
VVVF(SiC-MOSFET)
VVVFは三菱製でフルSiC(炭化ケイ素)のMOSFET方式です。モーター車1両につき1群の、計4群を搭載します。

東京メトロ17000系SIV
SIV
ハイブリッドSiC
一方でSIVはSi(シリコン)も併用する三菱製ハイブリッドタイプを5・6両目に搭載します。SiCがこなれて来たといっても、扱う電流が少なく費用対効果の小さいSIVにフルSiCはまだ採用されないようです。

東京メトロ17000系コンプレッサー
コンプレッサー
コンプレッサーはオイルフリースクロール式で4台で1ユニットとしたものを、3・6・8号車に搭載します。

各先頭車両にはATO・ATC・ATSと自社と各社の信号システムを処理するための各種機器が搭載されます。また無線制御システムのCBTCにも対応準備がされています。

東京メトロ17000系TIS装置
TIS
車両のモニタリング装置としてTISが搭載されます。これにより車両の各装置の状態がモニタリングされます。そしてTISで収集された情報がTIMAへ送られ、指令室や車両基地でリアルタイムに監視できるようになっています。

VVVFで省エネ性能が大きく進みましたが、SiC-MOSFETやPMSMの採用で更にもう一段進んだ省エネ車両となっています。これら13000系とほぼ同じ仕様ですが、13000系は舵操舵台車で台車やMT比が特殊でした。なので東京メトロの20m車としては、この仕様がしばらく標準として採用され改良されていくと思います。

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2018年8月9日木曜日

首都圏205系最後の楽園「JR武蔵野線」




205系が活躍する首都圏の主要通勤路線としては、武蔵野線が最後の路線となりました。武蔵野線に在籍する205系0番台と5000番台にスポットを当てます。
記事作成: 2017.10.28/記事更新: 2018.08.09

205系 通勤輸送からローカル輸送へ

武蔵野線東所沢駅に到着する205系5000番台
武蔵野線で活躍する
205系5000番台
205系は国鉄末期より登場した通勤電車です。国鉄では数少ないステンレスボディの車両で、関東と関西の通勤路線に投入されていきました。関東では山手線を中心にした、首都圏の通勤区間へ投入されていきました。山手線の最長11両編成などと、10両前後の長大編成を中心に長らく活躍を続けていました。

宇都宮線を走る205系600番台
宇都宮線向けに改造された
205系600番台
そんな205系でしたが、JR東日本時代の最新型の通勤電車が投入されることで徐々に活躍の幅を狭めていきました。通勤路線での役目を終えた205系達は、短い2~4両編成に改造され、今では関東近郊のローカル路線などを中心に活躍の場を移しています。

活躍を縮小する中唯一首都圏の通勤路線で205系が活躍しているのが、武蔵野線です。JR東日本の他路線の205系が短い2~4両編成ばかりになる中、8両固定編成を維持しています。(205系600番台も宇都宮線内での運用では、4両2編成を連結して、最大で8両となります。)

バリーエーションも豊か!

武蔵野線では205系と209系が活躍していますが、大半は205系です。武蔵野線の205系は形式で見ると2形式が運行されていて、細かい違いいろいろ存在するのも、趣味として面白いところです。そこでそれぞれを紹介したいと思います。

少数派の0番台

武蔵野線205系グループでは0番台のほうが少数派となっています。車両の基本性能などは山手線などで走っていた、205系0番台と同じです。

武蔵野線はもともとは貨物列車が首都圏を迂回して運行できるよう建設され、後にその合間を旅客列車が走るようになりました。現在でも昼夜問わず貨物列車が運行されていて、列車の速度もかなり速いです。そのため貨物列車の合間をスムーズに走れるよう、6M2Tと加速度が良くなるよう調整されています。

205系0番台(メルヘン顔)

武蔵野線新座駅に到着する205系メルヘン顔
205系(メルヘン顔)
この車両は武蔵野線に新型車両として、直接かつ最初に投入されたタイプです。大きな違いは見た目の通り、先頭車両のデザインが異なっています。京葉線に直通する関係でディズニーランドを意識したとか言われていますが、真偽は謎のままです。そんな経緯から他の0番台と区別するために、「メルヘン顔」の愛称で呼ばれています。

この車両は京葉線にも投入されていましたが、京葉線向けの車両は上の写真にあるようにロカール線へ転属しています。転属した車両は改造され、宇都宮線の宇都宮以北・日光線で運行しています。

205系0番台(元南武線車)

武蔵野線新座駅に到着する205系M51編成
205系(元南武線車)
こちらは見た目が山手線で運行していたのと、近いタイプの車両です。元南武線所属の205系で、E233系投入により2編成が転属してきました。そのため武蔵野線の205系では、最後に投入された編成です。

武蔵野線205系のシングルアームパンタグラフ
武蔵野線205系では唯一の
シングルアームパンタグラフ採用
6M2Tと加速度が強化されているのはメルヘン顔と同じです。一番の特徴は武蔵野線205系グループの中で唯一、シングルアームパンタグラフを採用している点です。他の編成は全ててひし型パンタグラフです。

多数派の5000番台

武蔵野線205系グループでは、大多数を占めるのが205系5000番台です。5000番台は武蔵野線の103系を置き換えるために、様々な線区から集められた205系が使用されています。

その時にモーター車の数が足りず、すべての編成を6M2Tにすることが出来ませんでした。そこで電装部品を新しいものに交換し、対応しました。制御装置を界磁添加制御からVVVFインバータ制御に変更、モーターも直流モーターから交流モーターとて足回りを強化し、MT比こそ4M4Tであるものの必要な性能を満たせるようにしました。そして車両形式を0番台から5000番台に改めました。

205系の中でVVVFを採用しているのは5000番台だけで、5000番台が運行しているのは武蔵野線だけとなっています。

5000番台 (通常デザイン)

外観上は0番台と同じタイプの5000番台です。多くの車両が在籍しているため、編成によって細かい違いが見られます。

武蔵野線新秋津駅に到着する209系5000番
単色LEDタイプの行き先表示器

方向幕タイプの表示器
一番分かりやすいのは行き先表示器です。単色のオレンジ色タイプのLEDの物と、方向幕タイプの編成が存在しています。

扉の窓の大きさが違う205系5000番台
扉の窓の大きさが車両で違う
編成を組む際に集めてきた車両を一端ばらし、再組成を行って編成を組みました。その関係でドアの窓の大きさが、同一編成内でもバラバラのものもあります。

5000番台メルヘン顔

武蔵野線新座駅停車中の205系5000番台
5000番台唯一のメルヘン顔編成
5000番台に1編成だけにも、1編成だけメルヘン顔の編成が在籍しています。元々は最初に紹介した0番台です。

武蔵野線へ205系が大量転属してきた時に、モーター車が足りずに5000番台が生まれたわけですが、どうしても転属した車両だけでは足りませんでした。そこで既に在籍していたメルヘン顔の編成を1編成だけ改造し、数を合わせました。そのため元々連結されていたモーター車2両が抜かれ、転属してきた編成のトレーラー車2両を組み込みVVVF化しました。

5000番台化した時にに行き先表示器をLED化しています。武蔵野線のメルヘン顔の中では唯一のLED表示器なので、一発で見分けられます。

雨の武蔵野線で活躍する205系・209系

新小平駅で撮影した
武蔵野線205系全形式

さよなら武蔵野線205系

中央総武線を走るE231系0番台
転属前の中央総武線E231系
そんな205系たちの活躍する武蔵野線ですが、それももうすぐ終わりを迎えます。山手線へE235系が投入され、E231系500番台が中央総武各駅停車線へ転属します。それにより余ったE231系0番台と209系500番台が武蔵野線へ転属してきました。

西浦和駅に到着するE231系
武蔵野線で運行する
E231系0番台
E231系は2017年の中ごろより各種試験のための試験走行を行い、2017年11月上より運行を開始しました。JR東日本205系は郊外路線・ロカール線ではまだまだ活躍しますが、主要通勤路線での活躍は終わりが見えています。国鉄末期に生まれた通勤電車としての本来の仕事は、もうすぐ関東では見ることが出来なくなりそうです。


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