JR東日本は2022年6月7日に、2023年春から上越新幹線の最高速度を再び275km/hへ引き上げると発表しました。これと同時上越新幹線より2022年度末にE2系を引退させ、E7系に統一すると発表しました。今回は再び275km/h化されること、E2系がこのタイミングで引退する理由を考察します。
今回は全区間で275km/h化
上越新幹線から引退するE2系 写真の下枠交差パンタグラフのタイプは 既に引退済み |
275km/hに速度が引き上げられるのは、「大宮~新潟」間で上越新幹線全区間となります。現在同区間は240km/hが最高速度で、30km/h速くなることになります。後述しますが、以前は下り一部列車が一部区間でのみ275km/h運転が実施されていました。
これにより所要時間が最大7分短縮されると発表しています。275km/hで運行するのはE7系です。E7系は設計こそ275km/hですが、260km/hでの運行しかしておらず、これで本来の性能が発揮されることになります。これに合わせて上越新幹線はE7系に統一され、E2系は2022年度末に一足早く上越新幹線から引退となります。
2019年5月にも275km/h化することをJRは発表していたのですが、当時は2022年度末実施予定としていたので、若干計画は遅れたことになります。
高速化発表化以降、車両を使った試験や工事などを進めてきました。速度が上がれば騒音も増えるので、防音壁のかさ上げや形状の変更、吸音壁を設置することで騒音が大きくならない工事が実施されています。また、高速走行をするとどうしても架線が揺れやすくなるので、架線をより強く引っ張って張る工事を行うことで、地上設備でも高速化を実施しました。
復活する275km/h運転
1990年3月10日~1999年12月4日の間で、「上毛高原~浦佐」間の下り勾配を利用して、越後湯沢を通過する下り速達列車の一部だけでトンネル区間を中心に275km/h運転を実施していました。
これは谷川連峰を超える際の高低差を利用したもので、上毛高原駅が標高約440m・越後湯沢駅が約355m・浦佐駅が約118mと下りが続いているのが分かります。この区間は半分以上がトンネル区間で、騒音も問題になりにくい構造です。それを利用して275km/h運転を実施していました。(標高は駅中心部の地上1Fを基準にしたものです。)
この列車には、専用の4編成の200系だけが使われていてました。ATC関係を275km/h用に特別改造し、ブレーキ性能や騒音対策が強化され検査基準も厳しくした特別編成でした。
その後275km/hは中止されてるのですが、これは200系以降の車両で車両性能が向上したことや、ほくほく線が開業し「はくたか」乗り換えなど越後湯沢駅の重要性が高まったことが理由とされています。
E7系統一で車両性能向上で275km/h復活へ
上越・北陸新幹線で活躍する E7系 |
2021年10月までは最高速度が240km/hのE4系が上越新幹線で運行されており、これも速度アップの障壁だったと考えられます。
現在上越新幹線で運行しているE2系は、275km/h対応のE2系1000番台で、東北新幹線では275km/hでの運行が可能です。そして、公開されているカタログスペックだけで言えば、E7系と大差はありません。しかし、E7系はE5系の技術を取り入れ、最高速度とスペックを落とした車両なので、E2系よりは性能が高く高速運転しやすいはずです。
また、E2系は順次廃車の進められている古い車両です。安全性や信号制御を考えると、東北新幹線で275km/走っているから、上越新幹線もそのまま走れるという単純な話ではないはずです。走れるか走れないかで言えば上越新幹線でも275km/hで走れるでしょうが、引退が近い車両へ手間をかけるのは得策でないという判断になったのだと思います。
上越新幹線がE7系に統一されることで、すべての車両性能や座席数が統一されることになりまうす。これによりダイヤを考える上で単純化できることや、ダイヤが乱れたときへの対応が楽になります。
東北新幹線でE2系が残る理由としては、最高速度がE2系と同じE3系が速度上のボトルネックとして残っており、E3系は今後置き換えることが予定されているからだと思います。E3系はE2系と連結して運行されているので、E3系の引退と同時期に東北新幹線でのE2系も引退になると予想します。
そういった理由からE2系の置き換えを上越新幹線で先に進め、東北新幹線でのみの運行とし、E7系で統一しての速度向上の実施という判断なのではないしょうか。240km/hを最高速度として、E2系の上越新幹線での繁忙期の臨時運行が今後あるかは、気になるところです。
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