2016年4月6日水曜日

寝台特急カシオペア 団体臨時で運行継続へ




寝台特急カシオペアが北海道新幹線開業の3月26日までには定期運行の終了し、それ以降は団体臨時として運行することについて紹介します。
記事作成2015.06.03/更新2016.04.06

上野駅に到着する寝台特急カシオペア
寝台特急カシオペア

カシオペア・はまなす定期運行は新幹線開業まで

まず今後について簡単に説明します。

下り北斗星の最終運行日である2015年8月21日に2月までの運行計画が、12月18日には3月の運行計画がJR東日本・JR北海道より発表されました。はまなすは最低限の運休で上りの時刻変更のみ、カシオペアも3月20日「札幌発→上野行き」の最終運行日までは現在とほぼ同じ体制で運行されます。

新幹線開業後についてはJR北海道とJR東日本から、急行はまなすと共に定期運行終了の発表がされました。そして2016年2月18日にはカシオペアが団体臨時列車として運行続けることを、各種報道機関が報じ、2016年4月6日にはJR東日本が正式に運行を発表しました。臨時列車としては6月4日か運行を開始します。

それでは各経緯を見ながら、今後についても紹介したいと思います。団体臨時の情報については以下の紹介記事をご覧ください。
※関連記事寝台特急カシオペア 6月から団体臨時運転開始

青森県などは運行継続を要望

『北海道新幹線の走行試験と調整しながら、下半期も運行したい―と前向きな回答があったという。一方、2015年度末の北海道新幹線開業後のカシオペアの運行については、「JR貨物やJR北海道と調整が必要」などとして明言を避けたという。』
『』内はデーリー東北新聞社ウェブ版の2015年6月3日の記事「「カシオペア」10月以降も運行継続 青森県など要望にJR東日本回答」より引用したもので、青森県・岩手県のカシオペア運行の要望に対するJR東日本の回答です。

なぜ青森県が存続を求めたかと言いますと、青森県は東北新幹線の延伸により第三セクターとなった青い森鉄道へ多額の援助を行っています。そしてJR東日本やJR貨物の列車が同路線通る際、通行料を支払っています。この通行料は結構な額です。2013年度のJR東日本から青い森鉄道への支払額は3億8800万円で、青い森鉄道の旅客運輸収入のうち約18%になります。

つまり、寝台特急の運行本数が削減されると青い森鉄道は収入が減り、多額の援助を行っている青森県としても困るため存続を求めているのです。これは三セクを補助する他の県も一緒で、岩手県のほか北海道新新幹線開業後を見据えて北海道もJR東日本とJR北海道へ寝台特急の運行継続を求めています。

なので、運行本数の多い「北斗星」廃止だけでも大きな収益減なので、カシオペアだけでもと存続を求めるのは分かります。

3月以降も要望したが・・・

『北海道新幹線開業後のカシオペアの運行について同社は「JR北海道単独での運行は難しい」との認識を示し、「今後、JR東日本などと協議をしていく」と回答したという。』
『』内はデーリー東北新聞ウェブ版2015年7月16日の記事「JR北海道に「カシオペア」維持要望 青森県、岩手県など」からの引用ですが、青森県・岩手県の来年3月以降の要望に対し、JR北海道はかなり渋い答えをだしました。

前回の継続要望に続き、再度JRへ要望を提出しました。寝台列車の存続要求は以前からずっとしていることなので、存続を要望したからどうこうなるというわけではないのが現実です。なので、JR各社のやる気次第というわけになるのですが、JR東日本がクルーズトレイン「四季島」の北海道乗り入れ自体にはポジティブな発言をしてるのに対し、カシオペアの運行に関してはネガティブな発言していることや(関連記事のカシオペアは本当に老朽化しているかを参照)、JR北海道が多くのことをやる余力がないのが大きかったと思います。

北海道新幹線開業で廃止へ

※1『札幌―上野間での運行を実質的に廃止する方向で調整していることが1日、分かった。年に数往復程度、臨時運行させる可能性がある。』
※2『JR東日本とJR北海道は、来年3月に予定している北海道新幹線の開業に合わせて、寝台特急「カシオペア」(上野―札幌)を廃止する。』 
※1内は北海道新聞2015年9月2日報道の「「カシオペア」実質廃止 「はまなす」「白鳥」も JR2社調整」 から、※2は朝日新聞デジタル2015年9月15日報道の「「カシオペア」廃止へ 北海道新幹線開業で機関車使えず」からの引用です。

9月に入り廃止の報道が出てきました。9月2日の報道では「方向で調整」とやや含みのある表現でしたが、9月15日の報道では「廃止する」という断定的な口調の報道がされました。しかも、朝日新聞や産経新聞という大手新聞社からの報道です。

廃止報道では多くの方が想像してた通りのもので、北海道新幹線開業に合わせて廃止。クルーズトレインとして年数回の乗り入れを検討するというものです。廃止の理由としては、機関車を調達することが難しいことが決定打となりました。それ意外としては、カシオペアの遅れが新幹線に影響する懸念などもあったようです。

近年の夜行列車廃止では、公式な発表より先に新聞に情報を小出しして、その後正式に廃止の発表を出す場合がよくあります。今回も同じ流れとなりました。2015年9月16日にJR北海道北海道新幹線開業日に関するプレスで、急行「はまなす」とともに「カシオペア」の定期運行の廃止が正式に発表されました。

そして2015年12月18日にダイヤ改正の発表と合わせて、3月の運行計画が発表されました。運行本数も大きく減ることなく運行されます。「上野発→札幌行き」の列車は上野基準で3月19日、「札幌発→上野行き」の列車は札幌基準で3月20日が最終運転日となります。3月22~25日の期間で地上設備の切り替えのがあるため、ダイヤ改正より一足早く廃止となります。

3月以降は団体臨時列車として運行開始

『JR東は廃止後、管内を周遊する列車としての活用を検討する一方、北海道への運行継続を模索。関係者によると、JR貨物が新たに開発した機関車を六月以降、青函トンネルを走るため借り受け北海道も運行できることになったという。』
※『』内は東京新聞2月18日報道の、「カシオペアが6月にも復活 JR東日本、団体列車に」より引用です。

難しいとされてきたJR貨物所有の青函トンネル用EH800形の貸し出しが可能になったということで、3月以降は団体臨時列車として運行を継続されることが報道されました。JR北海道は乗り入れに継続して否定的でありましたが、JR東日本はクルーズトレインについては積極的な意見をだしたりしていました。私の想像ですが、JR東日本の働きかけが大きかったのではないかと思います。

運行の詳しい日程については不明ですが、北海道乗り入れはお盆や年末年始などの物流が少なくなり機関車の運用に余裕が出る時期が中心になるのではないかと思われます。JR東日本管内の周遊運行も行う可能性が高いことを考えると、北海道乗り入れは年間でも数えるほどとなるのではないでしょうか。

いつまで走るのか?

定期運行最後の映像

一先ず運行の継続が決まったカシオペアですが、何が問題で定期運行を終了することになったかを見ながら、今後の運転について予想していきたいと思います。

青函トンネル区間が一つの障壁

以前に細かく書いた北斗星廃止に関する記事も参考にして頂きたいのですが、「カシオペア」の運行で問題となっているのは青函トンネルを含む共用区間です。新幹線開業後は共用区間での新幹線や貨物列車とのダイヤの問題と、新しい電機機関車の問題があります。

北海道新幹線が開業すると、夜間の整備を今まで以上に念入りな保守が必要なために、今までより深夜の運休時間をとる必要が出てきます。共用区間は新幹線の他に貨物列車も沢山走っているため、その合間を縫って運行するしかありません。そのためダイヤ面での調整が、今より難しくなってしまいます。しかし、お盆や年末年始などは物流量が減るため運行の余地が無いわけではありません。

もう一つの問題としては、北海道新幹線の開業で今使っている電気機関車が使えなくなることです。予算が逼迫してるJR北海道は、夜行列車数本のために機関車製造の費用を捻出することは出来ません。そこで考えられるのはJR貨物からのレンタルです。技術面で言えば、貨物用機関車での運行も可能です。平時は貨物だけで手一杯ですが、お盆などの物流が減る時期は余裕が生まれます。その時に限定して機関車を借りることで、運行継続に漕ぎ着けました。

国からの補助金の関係で使途が決まっているために、貨物以外での運行は難しいという話もありましたが、これは大丈夫だったようです。

車両については関連記事も参考にして頂きたいのですが、JR東日本の社長が老朽化しているため廃車にしたいとネガティブな発言をしています。この点も見逃すことが出来ない部分ではありそうです。

クルーズトレイン四季島は正式に乗り入れを発表

JR東日本が正式発表したクルーズトレインのコースにて、北海道への乗り入れが正式に発表されました。なので、2017年からは「四季島」が乗り入れることが確定しています。

「四季島」の乗り入れと車体の寿命が焦点か

「四季島」が乗り入れるにあたり、EH800形を必要とするかが一つ目の焦点です。「四季島」は最新の技術が詰まった車両で、在来線であれば電化・非電化問わず走行することが可能です。それでも、技術的にも特殊な青函トンネル区間をEH800形を使用せずに通過するのは難しいと想像できます。

その場合「カシオペア」と「四季島」が機関車を食い合ってしまうことになるため、優先度的に「カシオペア」の乗り入れは断念するしかありません。

車両の寿命ですが、「カシオペア」用の客車は客車としてみれば若手です。しかし、目に見える歪みが出ていたり、一編成だけという特異性もあり使い勝手がだいぶ悪くなっている可能性があります。そのため使い倒すよりは、比較的早く廃止にしたほうが得という判断もありえると思います。

以上の点をふまえると「トワイライトエクスプレス」同様に、クルーズトレイン運行開始後に廃止というのは十分ありえると思います。乗ることは難しそうですし、記録として早く撮影などしておくほうが良いかもしれません。

北斗星が廃止になり寂しい限りで、クルーズトレインに庶民は中々乗れそうにありません。寝台特急も本当に遠いものになってしまいましたね。団体臨時になっても庶民も乗れる寝台特急ということで営業を続けて欲しいものですが、果たしてどうなるでしょうか・・・

※関連記事
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最後の夜行急行「はまなす」の魅力と今後
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寝台特急カシオペア 6月から団体臨時運転開始

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

四季島はお金持ちの人の乗り物。庶民には関係ないものです。カシオペアでさえ豪華なものなのに。ただ、カシオペアは頑張ってお金を貯めれば乗れる現実化出来る夢の乗り物。まして札幌には16年位たたないと新幹線が行かない。不便です。蒸気機関車だっていまだにあるわけで、一つ位、庶民の夢の夜行列車を残してもいいのでは?

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