2017年1月11日水曜日

意欲的な新型車両 西武40000系2017年春運行




2015年8月24日に西武鉄道は30000系通勤電車の後継として、40000系を2017年春から運行開始予定だと発表しました。
記事作成日: 2015.08.24/記事更新日: 2017.01.11

池袋駅停車中の西武300000系
現在最新形式の30000系

意欲的な車両設計

車両概要

車体: アルミダブルスキン
設計最高速度: 120km/h
導入車両数: 10両×8編成=80両
車両制作会社: 川崎重工業

「進化したスマイルトレイン」をキーワードとした40000系を2016年~2019年にかけて8編成80両導入し、2017年春から運行を開始すると発表しました。

イメージ画像から読み取ると、先頭車両は東京メトロ10000系のように前後に丸みをおびたデザインで、地下鉄乗り入れのための貫通扉が付いています。ヘッドライトも運転台下部の低い位置ではなく、運転台上のLED行き先表示機横の高い位置に変更されています。先代の30000系と比べると、デザインが一新されています。

側面はアルミ構体らしいすっきりとしたものです。カラーリングとしては30000系を引き継いだようなトーンですが、窓下ではなくドアが塗装されています。また、裾絞り構造ではなく、箱型のフラットな側面となっています。

西武鉄道は20000系、30000系と日立製作所製の車両を導入していましたが、今回は川崎重工業からの導入となります。1927年以来久々の導入です。

車内はかなり意欲的な設計となっています。先頭車両の1つ目と2つ目のドアの間の窓は大型のものとなっていて、小さなお子さんが楽しめる設計になっています。さらに、このスペースは車椅子やベビーカーや大型荷物を置ける「パートナーゾーン」となっていて、多目的な利用が出来ます。

東武東上線TJライナー車内の様子
TJライナーの座席

一部編成は座席をクロスシートとロングシートに変更出来るデュアルシートが採用されます。イメージとしては東武東上線のTJライナーと似た感じです。大型の背もたれや肘掛で座席の快適性が向上する反面、ロング時の扉間の着席定員は7人から6人に減ります。各ドア上には液晶モニタが搭載されるほか、シャープ製空気清浄機も搭載されます。

足回りは従来どおりVVVF制御ですが、近年多くの鉄道会社で採用の相次ぐPMSM(永久磁同期電動機)を採用していて、30000系より消費電力が低減されます。

8月25日に東芝が発表したプレスによると、24ユニットのVVVF装置とPMSMが西武鉄道へ納入されます。このVVVF装置は一つで8個のモーターを制御できるとあるので、1編成あたりのMT比は6M4Tか5M5Tになりそうです。
『西武鉄道によると「40000系」の運行路線は西武池袋線、新宿線、拝島線を予定。なお一部の編成は地下鉄直通対応車両となります。』
『』は鉄道情報サイト鉄道新聞からの引用ですが、一部編成は地下鉄にも乗り入れます。従来通りのロングシート車は地下鉄へ、デュアルシート車は地上用といった感じになりそうです。

また、現在副都心線や有楽町線に乗り入れいている6000系はリニューアル工事などを行っていて、車両の寿命・車内サービスを考えてもまだまだ使えます。しかし、都心や他社線へ乗り入れる地下鉄直通車は目立つ存在です。西武鉄道のイメージ的な意味で、一部車両を置き換えるのかもしれません。

西武秩父・横浜方面への座席指定列車として運行

西武鉄道は2016年6月16日に地下鉄・横浜方面の座席指定列車として40000系を使用すると発表し、2017年1月10日に運賃などの詳細を発表しました。

運行開始は3月25日からの予定で、指定席列車の愛称は「S-TRAIN」になりました。

ちょっとお高いかも? 指定席料金

S-Train 運賃・停車駅表
運賃・停車駅表
PC・スマホで拡大できます

平日は「有楽町線豊洲駅~西武池袋線所沢駅」間を、休日は「みなとみらい線元町・中華街~西武秩父線西武秩父駅」間での運行となります。乗降が出来る駅の他、乗車や降車のみの駅が設定されています。

指定席料金は平日であれば510円の定額です。休日の場合は乗車する駅によって異なり、310~1060円の幅となっています。子供料金も設定されており、大人の半額となります。

他の列車との運賃を比較すると、西武秩父からの最大指定席料金1060円はちょっと高いのかなという印象を受けます。他の列車との比較ですが、同じような趣旨の東武鉄道TJライナーの最大料金が「森林公園~池袋」で410円、西武鉄道の特急レッドアローが「池袋~西武秩父」で710円、JR東日本の普通グリーン車の休日料金の最大が1040円(事前割引780円)となっています。

詳細を発表していないので推測になってしまいますが、基本的に他社線への乗り入れがある関係上指定席料金も分け合う必要があると思われます。そのためある程度高くなってしまうのは仕方ないと思います。しかし、リクライニングもしない椅子などの貧弱な設備で1000円超えてしまうのはちょっと高いような気もします。


所要時間は若干早く

平日に走る列車の所要時間については、若干早くなります。有楽町線内は追い越し不能なので変わりませんが、西武線内はラッシュ時乗り入れてる最速列車の準急より早くなるために短縮されます。

休日の列車については「元町・中華街~飯能」はFライナーと概ね同じ所要時間です。「飯能~西武秩父」については特急より一駅停車駅が少ないぐらいなので、特急並みの所要時間を実現しています。

東武と西武対象的な戦略へ

同じような座席指定列車を走らせながらも、東武と西武は違う選択をすることになりました。約12kmと有楽町線との並走距離の長い東武は、副都心線開業に合わせて東上線の魅力と収益を引き上げるためにTJライナーを運行開始しました。それに対し並走距離が6km程度と短い西武は、以前より地下鉄方面への利便性を拡充し今回の列車運行に至りました。

同じ地下鉄相互乗り入れをする会社でも、並走距離の違いだけで反対の戦略をとる両社です。東武も地下鉄直通の急行を走らせたり、利便性重視の姿勢に変ってきました。土休日の東上線~地下鉄直通列車であれば、単純に需要を食い合ったりはしないと思います。東武ファンの私としては、東武が追随するかも注目です。

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4 件のコメント:

エカジ さんのコメント...

ttmjrmさんは、過去の記事でも永久磁石同期電動機の英略を「PSMSモーター」と書かれていますが、
Permanent Magnet Synchronous Motorなので「PMSM」ではないでしょうか?

ttmjrm さんのコメント...

エカジさんの仰る通り、正しくは「PMSM」です。
誤字で「PSMS」と記載してしまいました。誤字の多いブログなので、ご指摘は助かります。

エカジ さんのコメント...

やはり東芝製のPMSMとVVVFインバータが採用されるようです。

西武鉄道新型車両向け電気品受注について
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2015_08/pr_j2401.htm#PRESS

ttmjrm さんのコメント...

エカジさん、情報提供有難うございます。記事のほうにも反映させました。
そろそろ東芝以外のPMSMが出るかと思ったりもしたのですが、中々出ませんね。

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