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2022年6月18日土曜日

電車の顔の話 普通電車編 - 鉄道雑学




列車の顔と呼べる先頭車両のデザインですが、目的や会社によって色々な形があります。そんな列車の顔について見ていきたいと思います。今回は比較的新しい普通列車を中心に紹介します。

列車には目的ごとの顔がある

JR東日本E231系とE233系
JR東日本E231系とE233系
先頭車両のデザイン、列車の顔と呼べるデザインに明確なルールがあるわけではありませんが、傾向はあります。

普通列車は機能性を最優先したデザイン。特急列車では機能性だけでなく、会社のイメージにも繋がるため、デザイン性を重視したデザイン。新幹線であれば速度を重視したデザインになっています。

今回は比較的新しい普通列車のデザインを見ていきたいと思います。

コストと機能を優先したい普通電車

普通列車のデザインは箱型のデザインが多い傾向にあります。お客さんを安く快適に沢山乗せるには、まずスペースが重要です。そのため最もスペースが有効利用できる箱型になります。それに加えて走る場所によって、乗客の多さ・連結の必要性・気象条件に合わせての装備が考慮されます。

特に通勤列車は大量の車両を用意する必要があり、単純化されたデザインが理想です。単純なデザインであれば破損したときの修理も簡単ですし、平面的なら掃除の手間も減ります。

方向性としては同じはずですが、各社こだわりがありデザインでは結構違ったものとなります。

例えば、JR東日本は装飾は最低限でシンプルなデザインを採用する傾向にあります。特にE231系以降の通勤電車はその傾向が強い車両が多いです。

一方で私鉄は住宅地開発など沿線事業も手掛けることからイメージを大事にします。そのためコストがかかってもデザインを重視することがあります。相鉄の新車では車のようなグリルがありますが、ラジエーターを冷やす必要のない鉄道では無意味なものです。本当にデザインのためだけに、お金をかけているのです。

通勤電車の顔

それでは各社の通勤電車の顔を見ていきたいと思います。

JR東日本E235系
JR東日本E235系
JR東日本の通勤電車の最新形式のE235系です。非常にシンブルなデザインで、大型の一枚窓を採用し、上部にヘッドライトとテールライトと行先表示機を備える最小限の構成です。窓ガラスが大きいため、非常に見晴らしの良い構造になっています。

JR東日本の場合、以前は山手線など混雑する首都圏を走る短距離を走る通勤電車と、混雑はするものの駅間の長い郊外を走る首都圏の郊外電車で設計を変えていました。今では効率化と技術の進歩で、通勤電車に寄せた共通のデザインとなっています。

JR西日本323系
JR西日本323系
JR西日本の大阪環状線323系です。大阪環状線という通勤路線の特性を考えれば、大型の一枚窓の構成でも良いのですが、JR東日本とは対照的に近郊型車両に寄せて共通化されています。

東京メトロ17000系
東京メトロ17000系
JR東日本とは違い3分割された構造の東京メトロ17000系です。地下鉄車両は非常用脱出扉を前面に設けることが必須なので、そのため扉があります。ただし、非常用で普段は使わないので片側に寄せることで、出来るだけ運転手の視界を確保しています。ある程度曲面も使われており、そこはコストのかかっている部分のはずです。

京王電鉄9000系
京王電鉄9000系
京王電鉄9000系です。都営新宿線に乗り入れるために、非常用の貫通扉を設けています。東京メトロと違い、貫通扉は端に寄せないデザインを採用しています。コストのかかる曲面ガラスを採用して、運転手の側面の視界を確保しているのがポイントです。

相模鉄道12000系
相模鉄道12000系
通勤電車ではかなり例外的な見た目重視の相模鉄道12000系です。車のようなデザインで、ヘッドライトはリング状のデザインが入り、フロントグリルのような装飾が施されています。鉄道でいえば完全に不要な装備で、デザインのためだけのものです。これは相鉄のブランド戦略の一環で、鉄道車両以外も含めてデザイン性を高め企業価値を高めようとするものです。車両カラーリングではよく見られますが、通勤電車のデザインでここまでやるのは珍しい方だと思います。

静岡鉄道A3000形
静岡鉄道A3000形
静岡鉄道のA3000形です。静岡鉄道は清水市など静岡県の都市部を走る私鉄です。地方私鉄は中古車を導入することが多いのですが、都市部で運行しているので比較的経営基盤が強く、自社設計の新型車両を導入しています。

都市部で需要が安定しているため、2両の固定編成での運行で貫通扉はありません。こちらもデザイン性を重視しており、コストアップに繋がる編成によって異なるカラーリングを採用しています。

近郊型やローカル線のデザイン

都心部近郊やローカル線のデザインも基本は同じですが、需要に合わせて連結できるようになっていることが多く、そのため通路用の貫通扉を設けることが多いです。また、地方の非電化私鉄では、新潟トランシスの車両が採用されることが多く、よく見ると似ていることが多いのです。

JR東日本E721系
JR東日本E721系
東北地区を中心に活躍する、JR東日本E721系です。首都圏以外のJR東日本の車両は、連結や雪を考慮した構造となっています。そのため中心に貫通扉を装備し、連結時は車内の通行が出来る設計が多く採用されています。

JR北海道733系
JR北海道733系
札幌近郊で活躍するJR北海道733系です。中心に貫通扉を設け、連結時を考慮するのは他と同じです。それに加えて北海道は積雪も多く、駅間距離が長く高速走行を行います。そのためヘッドライトの数を多くし、視界確保や列車の接近をわかりやすくしています。

どの鉄道車両も踏切などでの衝突時に、運転手の安全確をする構造となっています。JR北海道の車両は、普通よりも運転台も高い位置にし前面を厚みのある構造にすることで、衝突の時の安全性がより高いものとなっています。

JR東日本GV-E400形
JR東日本GV-E400形
JR東日本の最新式電気式気動車のGV-E400形です。東北や新潟地区で活躍しています。こちらもヘッドライト上部に付け、中心に貫通扉を設けて連結を対応しています。ローカル線は最初1両単位で運行されるので、乗客数に柔軟に対応出来るよう1両から数両の連結を考慮した設計が一般的です。

JR北海道H100形
JR北海道H100形
こちらはGV-E400形の兄弟車にあたるJR北海道H100形です。全く同じでも良いのですが、733系同様の理由だと思いますがライトが運転台下にも増設されているのが分かります。

鹿島臨海鉄道8000形
鹿島臨海鉄道8000形
鹿島臨海鉄道8000形です。この車両は非電化私鉄では多く採用されている新潟トランシス製の車両です。ライトの位置が違ったりはしますが、新潟トランシスの車両はよく見ると似ている部分があったりします。

今回の紹介はここまででざっくりした解説として各社の傾向などを紹介しました。他にも色々な顔の理由があるので、是非どうしてそういう形なのか考えてみると楽しいと思います。


2015年4月10日金曜日

消える青函特急 狭軌最速の789系と最後の485系特急定期運用




北海道新幹線開業で消えるであろう青函特急についての2回目です。今回は車両という視点か紹介します。

最速の789系

蟹田駅に到着するJR北海道789系
JR北海道789系

789系はJR北海道所属の特急車両で2002年の「スーパー白鳥」運行開始に伴い製造されました。青函トンネル内を140km/hで走り、「青森~新函館」の本州と北海道を結んでいます。

在来線経由の特急「はくたか」廃止でほくほく線内での160km/h運転が消えた今では、国内狭軌最速の列車となっています。

「スーパー白鳥」用の789系0番台の他に札幌地区で運行する「スーパーカムイ」「すずらん」用の789系1000番台もあります。

北海道新幹線運行開始後は「スーパー白鳥」は廃止予定で、789系0番台は785系の置き換え用として札幌地区へ転属するとJR北海道が発表しました。

最速の秘密

789系は基本的に6両編成で運行をしています。そのうち半分の3両がモーターつきの電動車です。モーターのパワーも強力な230kwの強力なモーターを採用しています。

これがどれくらい強力かと言いますとほくほく線内を160km/hで運行していた681系は9両のうち3両が電動車で、220kwのモーターを採用しています。つまり編成あたりの電動車数とモーター出力共に681系を上回るものです。これは青函トンネル内を安全に下るためと、140km/hでトンネル内上り勾配を駆け抜けるためです。

青函トンネルは長い下り勾配が続くので、速度が出過ぎないようモーターを発電機にしてブレーキをかけています。逆に上り勾配では最高速度140km/hを維持して走り抜けます。そのためモーターなどの電気系にはある程度余裕を持たせた設計にしてあります。

しかし、これほど強力な電気系にしていても過電流でモーターに電気を流すケーブルが発煙するトラブルが2015年4月に発生しました。詳細は今だ不明ですが、それだけ青函トンネルが過酷ということだと思います。

最後の485系

木古内駅停車中の485系3000番台
JR東日本485系3000番台

485系は広がる国内の電化区間に対応すべく交流50/60Hzと直流に対応する、国鉄時代に作られた車両です。

なかでも特急「白鳥」で使われる485系3000番台は車内や外装などを大きく改造しリニューアルした車両で、JR東日本の所属の車両です。

モーター出力は789系小さい120kwですが、それを補うために6両編成のうち4両が電動車になっています。これにより古い車両でありながらも青函トンネル内の下り勾配では140km/h運転が可能になっています。

最後の特急定期運用

485系は万能型特急列車として日本全国で運行されていましたが、約50年前に設計された車両ということもあり特急定期運用は「白鳥」のみになっています。

2015年3月のダイヤ改正までは特急「北越」でも485系3000番台が活躍してまいしたが、北陸新幹線開業にともない「北越」が廃止され運用は消えました。

この特急「白鳥」も北海道新幹線開通とともに消える予定なので、それと共に485系の特急定期運用は消滅すると思われます。車両についてもこの白鳥で使われていた485系3000番台は全廃になる予定です。ただし、ジョイフルトレイン用に改造された車両や快速列車ではもう少し活躍を続けます。


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