2015年6月29日月曜日

西武鉄道 黄色い6000系の詳細発表




西武池袋線100周年イベント発表時に今後詳細を発表するとしていた黄色い6000系電車の詳細について2015年4月13日に西武鉄道から発表がありました。

「黄色い6000系 電車」について

運行期間: 2015年4月18日~2016年3月(予定)
使用車両: 6000系(50番台)6157編成
運行区間: 西武池袋線(池袋~飯能間)・狭山線・有楽町線、東京メトロ副都心線・有楽町線、東急東横線、横浜高速鉄道みなとみらい線

西武池袋線100周年を記念して6000系のラッピング電車が運行されます。2000系や9000系のようなカラーリングをイメージしたもので、車体全体をグレーから黄色に変更します。

使用車両は6000系の中でもアルミ車体の6157編成が使用されます。この車両は地下鉄乗り入れ対応車両なので、西武線以外にも東京メトロ線や東急線などでも運行されます。

東武東上線への乗り入れは行われませんが、6000系は有楽町線の終点で東上線と共用してる和光市駅までの運用が存在するので、東上線でも運が良ければ姿を見ることができそうです。

1編成しか用意されないこと、長期間運用されることから点検などで運転しない日も発生します。さらに広く運用されるので見ることは難しいと思います。

しかし、運行初日の4月18日は臨時列車の運転を実施する予定なので、初日だけは狙って確実に見ることが出来ます。ダイヤなどの詳細は西武鉄道ホームページで後日発表されるそうです。

※追記
4月18日のダイヤが発表されました。
池袋14:15→石神井公園14:26→ひばりヶ丘14:32→所沢14:42

4月18日以降は当日分は西武線各駅かお客様センターで知ることが出来ます。

タクシーも黄色へ

2015年6月29日に西武ハイヤーは「NV200 タクシー」の黄色い車体をベースに銀の帯を巻き「幸運の黄色い電車」をイメージした「幸運の黄色いタクシー」として運行を開始すると発表しました。

6月30日には所沢東口で展示を行い、7月1日には多摩・埼玉地区でプロモーション走行を行います。詳しくは西武ハイヤーのホームページをご覧ください。

あとがき

黄色の珍しい列車といえば東急のHikarie号が思い浮かびますが、運用されている路線の多くがが被るので、珍しい車両通しのすれ違いが期待できそうです。

そして、登場時は黄色帯だった東京メトロ7000系がリバイバル塗装で元に戻れば更に面白いなどと思うので、東京メトロさんには期待したいところです。

また、日産製 NV200はニューヨークのイエローキャブでも採用されている車です。そっちの繋がりでもキャンペーンをやれば面白いのではないかと思います。


2015年6月27日土曜日

リニア603キロ世界記録更新と北海道新幹線15年度試験 同日に実施




リニアの世界新記録更新と北海道新幹線の15年度試験開始が同日の2015年4月21に行われたのであわせて紹介します。

鉄道総研で保存しているMLX01
2003年に581km/hを記録したMLX01
鉄道総研にて撮影

リニアは10年で世界新記録を20km/h更新

2015年4月21日に鉄道で人を乗せての記録として世界最速の603km/hを記録しました。

2003年12月2日に有人世界最速の581km/hを記録して以来、しばらく有人での記録更新が行われていませんでしたが、2015年4月16日に590km/hへ記録が更新されました。その時に4月21日には600km/hを越える試験を行うと発表がされ、予告通りに600km/hを越えることができました。

この記録は2003年と比べると22km/hのアップで、鉄軌道を使ったフランスのTGVの世界記録574.8km/hより30km/h近い記録更新です。

2003年時は山梨リニア実験線開通時から走るMLX01系列を使っての記録でした。今回の記録は実験線を18.4kmから42.8kmへ延伸し、車両も山梨実験線では初のフルモデルチェンジを行ったL0系を使って初めて達成した記録更新です。

今回の試験の目的は実際の営業時に必要な設備を最適化するため550km/hの試験を行い見極めるという目的の一環として行われました。山梨リニア実験線は、将来営業線へ転用可能なように設計されています。そして、2015年度中に営業運転に向けての線路建設着工が行われる予定です。工事により実験線の線路が延びるにつれて、更なる最高記録の更新が期待できると思います。

正式にギネスへ認定へ

2015年6月26日にJR東海は、4月に行われた試験走行での記録603km/hが、6月25日にギネス記録に認定されたと発表しました。

北海道新幹線2015年度試験開始


こちらも予定通りの開始で、4月21日により北海道新幹線の2015年度列車走行試験が開始されました。

予定されているのは4月21日~7月30日までで、来年度開業する区間の全線にあたる「新青森~新函館北斗」間で試験が行われます。全線通しでの試験は5月下旬の予定です。

以前発表された内容の中に線路や電気設備を計測する車両「East-i」のによる検査というのがありましたが、こちらも期間中に予定通り実施される見込みです。

8月以降は営業運転に向けた乗務員訓練も開始する予定です。

※関連記事
East-i北海道へ 4~7月北海道新幹線試験


2015年6月26日金曜日

軽量化に省電力 鉄道に広がるSiC半導体




東京メトロや小田急などで採用が始まり、今後新幹線でも使われるであろうSiC(炭化ケイ素)とはどんなもので、どんなメリットがあるかなどを解説していきたいと思います。

新橋駅に到着する東京メトロ1000系
SiCを採用する
東京メトロ1000系


そもそもSiCとは?

鉄道など大きな電力を使う機械では、電圧などを制御するパワー半導体が使われています。そのパワー半導体の原料といえばシリコン(ケイ素)ですが、長年の改良により性能アップの限界を迎えています。そこでSiC(炭化ケイ素)という化合物が、シリコンに代わる素材として注目を集めています。

SiCを使うメリット

・オン抵抗が小さい
・耐熱性が高い
・高速な動作が出来る

一般的なシリコンを使った半導体と比べると、「通電時の抵抗が小さい」「耐熱性が高い」「より高速な動作が出来る」というメリットがあります。これらの特製により高効率な電力変換ができ、発熱が減ることや耐熱性高いことから、冷却システムの小型化が可能になります。

SiCのデメリット

・歩留まりが悪い
・劣化が早い

鉄道など信頼性の求められるものへ使用できるようになってきてはいますが、SiCには製造時の技術的課題が残されています。歩留まりが悪いという言葉は聴きなれないかもしれませんが、要は製造時の不良率が高いということです。さらに、製造時に上手く作れるかが長期使用時のSiCの劣化の鍵を握っていて、現状はまだ完全に製造技術が確立されてるとは言いづらく、シリコンよりも信頼性は低いのです。

しかし、これはデメリットでありますが、メリットでもあります。長年の改善で改善の余地が少なくなってきているシリコンと比べれば、改良の余地が多く残されていると言えるからです。

広がる鉄道での利用

実用化の始まった通勤電車

鉄道の場合ではモーターを制御するVVVFや車内電源用のSIVなどのインバーターにパワー半導体が使われています。SiCを使ったインバーターと高効率のモーターに変更した東京メトロ01系の場合では、従来のシステムと比べると営業運転中の消費電力を38.6%削減できたと三菱電機は発表しています。

このような大きな消費電力削減などを見込んで、新型車両の東京メトロ1000系で採用されたほか、車両更新用としても小田急1000形で採用が始まっています。

新幹線の軽量化にも大きな恩恵

SiCは新幹線の軽量化と消費電力も実現しそうです。JR東海が行った実用化に向けた試験によると、N700系のインバーターにSiCを採用し変圧器やモーターも見直しを行ったところ、編成あたり10トンの重量を削減できたと発表しました。このうち7トンがインバータの軽量化によるもので、SiC使用でインバーターの冷却装置を小型化できたことが一番重量削減に役立っています。

これにより機器配置や設計の自由度の向上や消費電力の削減を見込めるとも発表しています。まだ正式に採用されてはいませんが技術的には実用化の目処がついたとのことで、近いうちにSiCを使用した新幹線が走ることになると思います。

次世代の酸化ガリウムも動き出す

SiCの次を見据えた動きも出ていて、それは酸化ガリウムという素材を使った半導体です。簡単に言えばSiCをもっと高性能にしたものを目指して研究されているものです。

日本では情報通信研究機構(NICT)を中心に2020年の実用化を目指していますが、SiCもまだまだ伸びる余地があるものなので、競い合いつつ延びていくと予想されています。

あとがき

今回も素人なりに調べて記事にしてみました。何かありましたら気軽にコメント欄のほうへお願いします。


関連記事
2020年7月ついに運行開始 新型新幹線N700Sを解説


2015年6月23日火曜日

JR北海道 北斗星引退記念の商品発売




2015年6月22日にJR北海道と北海道キヨスクは寝台特急「北斗星」の引退を記念して、記念入場券とオフィシャルブックレットを販売すると発表しました。

五稜郭駅を通過する北斗星

オフィシャルブックレット

価格: 1000円
発売日: 2015年6月23日
初回生産数: 5000セット(追加生産の予定あり)

発売箇所

札幌駅: 北海道四季彩館札幌西店・東店・改札内北店、札幌光栄堂書店パセオ西店 (計4店)
函館駅: POっPO(函館駅ショッピングモーPiAPO内)、北海道四季彩館函館駅前館(計2店)
通販: 北海道キヨスク「北の特急便」


JR北海道監修の「オフィシャルブックレット」「A4クリアファイル2種類」「観光入場券の専用台紙」のセットです。JR北海道のグッズということで、ブックレットに掲載されている写真はJR北海道保有の機関車である、ED79形やDD51形が牽引する場面だけです。

発売日の6月23日に通販サイト「北の特急便」を見たところ、多くの注文で商品到着には1~3週間はかかるそうです。発売日でこの様子は北斗星の人気の高さを伺わせます。

初回生産は5000セットですが、販売状況に応じて追加生産する予定とあるので、焦らず購入することができます。

特別デザインの入場券

発売額: 170円
発売駅: 札幌駅、長万部駅、八雲駅、森駅、函館駅

「北斗星」停車駅である5駅で特別デザインの記念入場券が発売されます。デザインは数種類あるようです。オフィシャルブックレットに付属する専用台紙に収めることができます。

発売は各駅のみどりの窓口で行われ、枚数制限を行う場合もあるそうです。郵送は行わないそうなので、各駅へ足を運ぶ必要があります。

北斗星グッズなのに北斗星では買えない

「北斗星」ではワゴンなどの車内販売で記念グッズの販売をおこなっています。しかし、定期運転の終了にあわせて、JR北海道は車内でのオリジナルグッズ販売を終了してしまいました。そのため、「北斗星」車内で今回のグッズを買うことは出来ません。通販で購入できるので困る点はありませんが、やはり寂しいものです。

オフィシャルブックレットもJR北海道販売ということで、JR東日本所属の電気機関であるEF81形やEF510形が牽引する姿はありません。こちらに関しては、今後JR東日本から似たようなものが出れば面白いと思うので期待したいところです。

コンプリートが難しい入場券

「北斗星」の運行時刻表を見て頂くと分かるのですが、函館駅と札幌駅を除き入場券販売駅での停車時間は1分程度です。なので「北斗星」に乗車しただけではコンプリートできません。函館駅は15分停車で窓口6時からなので急げば購入も不可能ではありませんが、機関車の付け替えが見られなくなるので鉄道ファンとしては悩ましいとろこです。

また「札幌~函館」間は距離にして318kmもあるので、運賃だけでも5720円です。さらに列車本数が少ないので、特急を使って集めるにしても半日、普通列車を使ってならまる一日がかりになります。なので、一人で全駅コンプリートを目指すのは大変なものになりそうです。

ただ、夏休み中なら「北海道東日本パス」や「青春18きっぷ」を使って安く集めることも出来ます。普通列車を使って集める場合は、列車に乗る以外の時間も多くなるので、夏休みの思い出に他の目的と合わせてコンプリートするのも楽しいと思います。

※関連記事
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今年も発売 2015年度分北海道&東日本パスを発表
JR北海道北斗星グッズ販売終了 他の点でも少しづつ撤退


2015年6月18日木曜日

TWILIGHT EXPRESS 瑞風 運行経路発表




2015年6月18日にJR西日本は2017年春から運行予定のクルーズトレイン「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の運行経路を発表しました。今回はその発表について紹介したいと思います。

芦原温泉駅を通過するトワイライトエクスプレス
TWILIGHT EXPRESS 瑞風 の前身にあたる
トワイライトエクスプレス

基本は3つのコースへ

現在の「特別なトワイライトエクスプレス」とは異なった運行経路で、琵琶湖周遊は全てのコースからなくなりました。基本的にどのコースも一日当たり1箇所観光地へ立ち寄る形となります。また、同じ経路でも上りと下りで立ち寄り場所を変えることで、変化をつけようとしています。それではそれぞれのコースについて紹介します。

山陽コース(一泊二日)

下り: 京都・大阪駅~倉敷駅~(日付変更)~岩国駅~下関駅
上り: 下関駅~宮島口駅~(日付変更)~尾道駅~大阪・京都駅

東海道本線・山陽本線経由の運行で、琵琶湖周遊が無くなった以外は「特別なトワイライトエクスプレス」と同じ経路での運行です。下りは倉敷駅で有隣荘、岩国で吉川資料館へ、上りは宮島口駅で宮島観光、尾道駅ではクルージングやホテルへの立ち寄りとなります。

山陰コース(一泊二日)

下り: 大阪・京都駅~城之崎温泉~(日付変更)~東萩駅~下関駅
上り: 下関駅~出雲市駅~(日付変更)~鳥取駅~京都・大阪駅

こちらは「特別なトワイライトエクスプレス」の山陰コースとはだいぶ変更が加えられいます。東海道本線~山陽本線~伯備線~山陰本線経由から、東海道線・山陰本線経由になっています。下りは城之崎温泉駅で散策、東萩駅で松下村塾などへ、上りは出雲市駅で出雲大社、鳥取駅で鳥取砂丘へ立ち寄ります。

山陽・山陰コース(二泊三日)

京都・大阪~岡山駅~(日付変更)~宍道駅・松江駅~(日付変更)~東浜駅~京都駅

こちらは上にある山陽コースと山陰コースを繋げた形となります。東海道本線~山陽本線~下関駅~山陰本線の経由で運行です。岡山駅では後楽園、宍道駅・松江駅ではたたら製鉄の「菅谷たたら山内」と茶室「明々庵」、東浜駅では駅前の浦富海岸へ立ち寄ります。


以上が簡単な各コースの説明となります。各観光地での立ち寄りでは一般公開されていないような場所へも見学出来るようにもするそうです。

ここで既に運行をおこなっているJR九州のクルーズトレイン「ななつ星」と簡単に比較してみたいと思います。1日あたり1箇所というのはどちらも同じです。ただ、「ななつ星」では基本の1箇所のほかに任意で、朝の散策などが追加されています。そして、全てのコースが車中箔の瑞風に対し、「ななつ星」の最長コース三泊四日のコースでは2日目は旅館泊となっています。日数が違うので単純な比較は出来ませんが、お年を召した方などは2日連続での車中泊でも疲れるかもしれませんし、何とも言えないところなのかなと思います。

もうしばらく運行を続ける「特別なトワイライトエクスプレス」からのフィードバックで今後もプラン変更があるでしょうし、より良いクルーズトレインになることを願っています。

※関連記事
トワイライトエクスプレス臨時運転開始 山陰・九州へも


2015年6月14日日曜日

東武池袋駅発車メロディー変更 さよなら「Passenger」とTJライナー7周年




2015年6月8日に東武鉄道は池袋駅の発車メロディーを6月14日からクラシック音楽に変更すると発表しました。これにより長年使われてきた「Passenger」が聞けなくなりました。そしてTJライナーが6月14日に7周年を迎えたのを記念して、ヘッドマークが付けられました。

変更は6月14日始発から

東上線を走る50090系TJライナー
東上線を走るTJライナー

現在の各ホームのメロディー

1・2番線-「Passenger」
3・4番線-「Memoria」
5番線-「時ジロウ20」

6月14日からのメロディー

1・2番線-「ケッヘル K.136より第一楽章アレグロ(モーツァルト)」
3・4番線-「アイネ・クライネ・ナハトムジークより第三楽章メヌエット(モーツァルト)」
5番線-「交響曲第6番『田園』より第一楽章アレグロ・マ・ノン・トロッポ(ベートーヴェン)」

変更は各ホームから発車する6月14日の始発列車から変更となります。東武鉄道のプレスによると変更理由として、「東京芸術劇場など、多くの芸術文化資源がある芸術文化創造都市“池袋”の玄関口である駅にふさわしい、芸術文化振興の試みとして実施するものです」ということを挙げています。

同日にコンサートやTJライナー7周年イベントも


池袋駅リニューアル発車メロディお披露目・TJライナー7周年記念イベント

リニューアルの同日「16:40~17:00」にイベントが開かれます。会場は池袋駅構内南改札側・5番線付近で行われるため、入場券や乗車券など駅構内に入るための切符や定期が必要です。

このイベントではプロの演奏家による生のミニコンサートや、同じ日に運行開始7周年を向かえるTJライナーの始発に合わせて池袋駅駅長が出発合図を送ります。


また、この同日に運行される「TJライナー1号17:00発」と「TJライナー2号18:00発」にて、オリジナルコースターが配布されました。

ヘッドマーク掲出

池袋駅停車中の50090系TJライナー

掲出期間: 6月12日~25日
使用編成: 50090系50091編成

ヘッドマークはリニューアルより一足早く12日金曜日から掲出されます。ヘッドマークはステッカー式で、今回の発車メロディー変更に合わせて楽器と星をあしらったデザインとなっています。

TJライナー7周年ヘッドマーク
七つの星とホルンをあしらったヘッドマーク


あとがき

今でこそ東上線の各駅にも発車メロディーが備わっていますが、今使われている「Passenger」という曲は東上線ではおそらく最初の発車メロディー導入だった、池袋駅への発車メロディー導入時からずっと使われていた曲です。今は1・2番線だけですが、導入後から長らくは全ホームで使用されていました。なので、古くからの東上線ユーザーには非常になじみのある曲だと思います。

東武池袋駅は東京芸術劇場の目と鼻の先にあるので、こういった曲への変更は相応しいと思います。しかし、長くから使われてきた「Passenger」だけは変更するのではなく、クラシック風にアレンジすることも出来たのではないかと思ってしまい、この点だけは残念に思います。

今年で7周年を迎えるTJライナーですが、運行開始以来ずっと上向きです。運行開始時は50090系は4編成でしたが、増発に伴い2編成増備されました。今年も木曜日に1本増発されました。来年は朝の運行も始まるので、どんな8周年を迎えるか楽しみです。


2015年6月12日金曜日

カシオペアは本当に老朽化しているのか?




2015年6月9日にJR東日本社長が「老朽化していることもあり、一定の時期には判断せざるを得ない」と発言したと報道されました。今回はその発言が実際どうなのかを考えてみます。

客車としては若手

札幌駅を発車する寝台特急カシオペア
カシオペアで使われているE26系客車

カシオペアに使われている車両は、電気機関車のEF510形と客車のE26系で構成されています。客車のE26系はカシオペアの運行開始に合わせて製造されたもので、カシオペア及びE26系は1999年から営業を開始しました。一方電気機関車は、運行開始時から2010年までは国鉄時代に作られたEF81形を使用していましたが、2010年よりJR東日本としては初の新規製造電機機関車である最新形式のEF510形に変更されています。なので老朽化していると言うのは、E26系客車のことだと思われます。

現在客車を使った寝台列車は、急行「はまなす」、寝台特急「北斗星」「カシオペア」の3列車です。このうち「はまなす」と「北斗星」は国鉄時代から使われている客車をメンテナンスしながら使っています。なのでE26系は断然若い車両だと言えます。鉄道車両の寿命は比較的長く30~40年程度使われることは珍しくなく、一般的な基準ではまだ使えるはずです。

特別な存在が原因?

ただ、いくつか気になる点もあります。一つ目は特注の車両であることです。E26系はカシオペアのために作られた唯一の車両で、他の列車で使われたことはありません。さらにオール2階建てのステンレス客車という構造も、国内では唯一のものです。それに対し「北斗星」や「はまなす」で使われてる車両は、国鉄時代から使われている実績のある車両です。そういった意味で使いずらさがあるのかもしれません。

二つ目は内装の問題です。走るだけならまだまだ十分使えると思います。しかし、営業開始から15年の月日が経っていることを考えると、内装などは大幅な改修や更新を考えなければいけない時期です。その点では確かに老朽化していると言えます。

三つ目は客車列車が少なくなっていることです。JR東日本とJR西日本が新しく作るクルーズトレインは、いずれも客車ではありません。近年業務上の問題などでJR各社は機関車が客車を引っ張るという方式をあまり良く思っていません。正直なところ、これが一番の理由ではないかと思います。

先日は青森県への回答で、もう暫くは元気に走る可能性が見てきたと思ったらこのニュースです。最後の寝台客車として元気に走って欲しいと思いますが、どうなることでしょうか・・・

※関連記事
寝台特急カシオペア 10月以降も存続の見込み


2015年6月10日水曜日

JR北海道新型気道車の概要発表 JR東日本と共通化へ




2015年6月10日にJR北海道はキハ40の置き換え用として導入予定の新型気道車の試作車について発表しました。

置き換え対象のキハ40

電気式でJR東日本への共通化へ

JR北海道は今年の3月20日に発表した「安全投資と修繕に関する5年間の計画」で、老朽化してたいたキハ40の置き換えを発表しましたが、今回はその置き換え用車両とその試作車について発表がありました。

試作車(量産先行車)の特徴

・2両投入予定
・両運転台
・冷房装置搭載
・ワンマン設備
・対応トイレや車椅子スペースなどによるバリアフリー化
・JR東日本と共通設計の電気式気道車


量産を前提とした試作車の投入は以前の発表通り2017年に行われます。その後走行試験や二冬期検証などを行い、2020年より量産車の投入を行います。置き換え予定のキハ40は、国鉄時代の32~37年前に作られた車両です。

新しい発表としてはJR東日本が先日発表した電気式気道車との共通化です。JR東日本は最終的に150~250両の導入を予定しているので、JR北海道単独での新型車両投入より設計・製造の面で大きくコストを削減出来そうです。

車両の詳細なスペックや仕組みなどは以前書いた記事を参照して頂きたいのですが、電気式気道車はエンジンで発電した電気を使ってモーターで動く車両です。架線から電気を受ける代わりに発電機を使う以外は、ほぼ電車と同じ仕組みです。

JR東日本の電気式気道車は2017年度末の1~3月頃に投入となりそうなので、JR北海道向けも同じ頃投入されると思われます。また、JR北海道と東日本で平行して試験・車両投入が行われることになりそうです。

最終的な車両投入数は現在JR北海道が保有してるキハ40の140両より下回る見込みとも発表されました。「安全投資と修繕に関する5年間の計画」にて、コスト削減の一環として列車間合いの抜本的拡大というのがあったので、運行本数減による必要車両数削減が行われるのだと思われます。

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2015年6月9日火曜日

神戸電鉄 新型車両6500系発表




2015年6月9日に神戸電鉄と川崎重工から1000系の代替用として、2016年春に新型車両6500系を導入すると発表がありました。

実質6000系のマイナーチェンジ

神戸電鉄6500系編成図 (イメージ)
神戸電鉄6500系編成図 (イメージ)


形式: 6500系
定員: 354名/編成(座席117名、立席237名)
導入時期: 2016年春
導入車両数: 1編成3両(Mc-T-Mc)
製造メーカー: 川崎重工

6500系は全系列の6000系より8年ぶりの新形式、6000系第二編成よりは6年ぶりの新型車両導入となります。新形式とは言っても神戸電鉄がプレス内で触れている通り、外観・車内共に6000系に準じたデザインとなります。なので、マイナーチェンジに近い感じのようです。製造は神戸電鉄へ長年車両供給を行っている川崎重工です。

6500系での変更点として車内では、つり革の紐の長さを短いものと長いものの2種類にしたり、袖仕切り・ドア上の液晶ディスプレイの大型化を挙げています。液晶ディスプレイはイメージ図を見る限り、親会社の阪急が採用しているような21:9の横長のものを1枚、従来通り千鳥配置にするようです。

走行機器に関しては「全密閉型高効率主電動機や最新の半導体素子を使用したVVVFインバータ制御装置を採用する」とあるので、6000系とは若干違うものになりそうです。また、4両編成の6000系では全車両がモーター付きのM車でしたが、6500では中間車はモーター無しのT車となります。

編成図のパンタグラフとクーラーの位置はプレスのイメージ図より予想しました。今までの実績から考えるとクーラーは分散型を1両に2基だと思いますが、パンタグラフに関してはイメージ図に無かっただけで先頭車にもう一基搭載される可能性が高そうです。


阪神新型ジェットカー 5700系発表




2015年3月30日に阪神電気鉄道は新型普通用車両5700系1編成4両の導入を発表しました。

5700系について

阪神電鉄では普通列車用と優等列車用で使用車両を分けています。この違いは駅間距離が短い阪神線の事情にあわせるため、普通列車の加速・減速度を優等列車用より大きくとっているからです。

現在普通列車用として使用しているのは1995年より運行を開始した5500系と5500系のマイナーチェンジ車両で2010年より運行を開始した5550系の2形式です。普通車両用のフルモデルチェンジは約20年ぶりとなります。

外観は1000系のようにステンス地をベースにドア付近に丸い大きな青色シールを貼っています。車内・車外ともに全ての照明器具でLEDが使用されています。

主電動機(モーター)は永久磁石同期モーターを使用しています。車内はつり革・握り棒の増設や車内保温のためのドア開閉ボタンが設置されています。案内装置として横長大型液晶がドア上に設置されます。製造メーカーは1000系と同じ近畿車輛が行います。

7月には試乗会も

※追記2015.06.09

7月26日には試乗会が実施されると発表されました。試乗会の参加はインターネットから応募で、抽選で150名の人数が募集されています。応募期限は7月12日までで、参加費は無料です。

発表されているダイヤは「梅田駅9:27発→甲子園駅9:57着10:47発(5番線)→石屋川車庫11:03着・11:56発→梅田駅12:45着」で、「梅田~石屋川車庫」間を一往復します。

甲子園駅では撮影会・クイズ大会・グッズ販売、石屋川車庫では撮影会が行われます。甲子園駅の配線の関係上、抽選に漏れてしまっても4番線ホームからじっくり車両を見ることが出来そうです。

参加を考えてる方は阪神電車HPのお知らせで6月9日発表の「新型車両5700系試乗会開催のお知らせ~7月26日(日)開催~」をご覧ください。

あとがき

一つ気になるのは先日紹介した全閉内扇型主電動機が採用されているのかということです。

この方式の主電動機は阪急1300系で採用実績があり、阪急が採用したメーカーは東洋電機です。阪神も多くの東洋電機の主電動機のモーターを採用しているので、5700系も東洋電機製のものを採用している可能性は高いと思います。

ただ、その主電動機は採用されて日が浅く故障が多いなんて噂もあるので、5700系がどのタイプを採用するかは興味深いなどと思っています。

※追記2015.03.31
コメントにて永久磁石同期モーター(以後PMSM)採用なら東芝採用なのでは?というご指摘を頂きましたが、東洋電機ではPMSMを量産していないので東芝製の可能性が高いはずです。基本的な部分を見落としていました。ご指摘ありがとうございます。

2015.04.01
東芝のプレスリリースで5700系用の主電動機・VVVFインバーター装置・車内案内表示機(液晶モニタ)を納入したと正式に発表されました。

※関連記事


2015年6月7日日曜日

北海道副知事 はやぶさの宇都宮停車を要望




2015年6月5日の産経新聞で北海道副知事が北関東からの需要取り込みや修学旅行需要の拡大を狙って「はやぶさ」を宇都宮へ止めて欲しいとJR北海道へ要望し、JR北海道はJR東日本と検討したいと応じたと報道されました。

大宮駅に到着するE5系新幹線

確かに宇都宮に停まらないのは勿体無い

そもそも何故このような話が出たかを解説します。今のところ発表されている情報では、「東京・仙台~新函館北斗間のはやぶさ」と「盛岡・新青森~新函館北斗間のはやて」2系統が運転される予定です。なので、宇都宮から北海道へ新幹線で行くには、大宮駅か仙台駅で「はやぶさ」に乗り換える必要があります。

普通のお客さんであれば乗り換えで済むのですが、修学旅行となる短い乗り換え時間で大勢の生徒が移動するのは大変なのが想像できます。また、航空機との競争を考えた場合では、羽田空港に近い東京より北関東などのほうが競争力が大きくなるります。その時、北関東のお客さんが不便になるは勿体無いのない話です。そう考えたときに、最速達の「はやぶさ」を停車させるのは無理にしても、「はやぶさ」に準じた速達型の「はやて」を1日1往復でも良いので走らせて見ても良い気はします。

ただ、北海道向けの需要と言っても函館までの需要で、その中でも小さい北関東からの需要です。修学旅行の話にしても、今のところは増えるだろうという希望的観測で、具体的な需要の話ではありません。JRとしてもその辺が懸念事項なんだとは思いますが、開業時どういったダイヤを発表してくるかは気になるところです。


2015年6月5日金曜日

北陸新幹線 少しづつ変る利用者の流れ




開業して3ヶ月ほど経った北陸新幹線の利用者について、様々な点からどういった傾向になっているか紹介します。

東京駅へ到着するE7系新幹線

元々は6割が飛行機

従来は「金沢~東京」間の場合は、鉄路も空路も4時間程度の時間がかかっていましたが、空路が6割ほどの利用で勝っていました。

しかし、北陸陸新幹線が開業すると2時間半で東京まで結ぶようになり、時間では空路が大幅に不利になってしまいました。そこで航空会社は事前予約の割引額大きくしました。これにより通常運賃では新幹線より割高であるものの、割引運賃では新幹線を下回るようになりました。空港までの交通費を含めた場合では、「金沢~東京」間では新幹線に劣りますが、「富山~東京」では空路のほうが割安です。

変る流れ

そうしたなかで、富山県は県職員に空路の利用を求めるようにしました。これは運賃の安いほうを利用して経費削減をするほか、空路の利用者数減少で減便や撤退を防ぐためです。一方金沢県や市は新幹線のほうが安いということで、基本的には新幹線利用となっています。

また、石川県経営者協会の調査によるアンケートに答えた141社中、11.4%にあたる16社が新幹線利用を優先・優先する予定だと回答しました。

富山空港は地方空港としては便利なほうだと思いますが、それでも町の中心にあり旧北陸本線に接する富山駅よりは利便性に劣るということなのでしょう。また、小松空港は自衛隊と共用している関係で、空港がいきなりなくなることはありません。そういった事情も自治体の動きに影響したのではないでしょうか。

GWは新幹線好調

GW中の利用者は北陸新幹線開業で優位に立ったJRは、金沢支社管内の利用者が59%の増加しました。一方空路は小松空港と富山空港3割程度利用者が減りました。ただし、空路は飛行機を以前より小さいものへと変更したため、搭乗率では7割程度で以前より改善しています。

今回のGWは新幹線開業で北陸地域への注目が非常に高まっていたので、本来の数字とは違うようです。今年の秋にはJRの北陸ディスティネーションキャンペーンが開催される予定なので、まだ正確な数字を判断するのは難しそうです。それでもおおまかな流れとしては、新幹線へ流れているといえそうです。

鉄道ファンとしては新幹線が栄えるのは嬉しいことですが、交通機関同士の共存という点では悩ましい問題に感じます。


2015年6月2日火曜日

富士急ペットと一緒に乗れるフリー切符発売




2015年6月1日に富士急はペットと一緒に使えるフリー切符を「一緒におでかけフリーきっぷ」を、同日から発売する発表しました。

切符について

発売・利用期間: 2015年6月1日~
利用可能区間: 富士急線全線
有効日数: 2日
発売額: 2280円
発売駅: 大月駅、富士山駅、河口湖駅

発売期間は2015年6月1日からで終了は未定で、利用可能期間は通年となっています。有効日数は2日間で2280円となっているので、富士急線全線にあたる「大月~河口湖」の運賃が1140円なので、1往復すれば人間分だけで元がとれます。特急に乗る場合は別途特急券を買えば乗車することもできます。

富士急に限らずペットと一緒に鉄道に乗る場合は、ケージ(容器)に入れて手荷物料金を払うのが一般的です。この切符は1ケージ分の乗り放題券が含まれています。なので、ケージが2つになる場合は、2つ目以降から手回り品切符280円がかかります。

ペットを入れるケージの注意として、手足や首が出るものは不可です。また、「ペット(小動物)」と記載されているので、ペットの種類の問題ではなく大きさで乗車可能か分かれるようです。なので、中型犬以上のサイズなど、やや大きめなペットとの乗車を考える場合は問い合わをせしたほうが良いと思います。

ペットと一緒に出かけるとなると一緒に散歩出来るようなペットの利用が一般となると思うのですが、ペットを出した後もケージを持って歩くとなると邪魔だと思います。有人駅ではそういったケージの預かりサービスもあれば便利な気がします。また、事前購入できないのも残念な点だと思います。富士急はJR東日本からの直通列車も運行しているので、この切符を利用する場合はJRからそのままというのは難しいです。青い森鉄道ではコンビニで乗車券が発券できるので、そういったサービスがあればより一層便利になると思います。


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