2015年4月24日金曜日

相次ぐSL復活計画 本当に勝算があるのか?




若桜鉄道の無動力運行が話題になりましたが、地方鉄道でSLの復活を考えているところがあります。実際地方鉄道の経営の役に立てるのか考えてみたいと思います。

秩父鉄道で運行されているパレオエクスプレス
秩父鉄道で運行されている
パレオエクスプレス

SLは収益を出せるのか?

結論から言いますと「出せる場合もちゃんとある」というのが私の考えです。そこでSLを運行することで得られる収益を考えると二つあると思います。

一つ目が運賃によるものです。これはお客さんがSLを乗る際に払った運賃が鉄道会社の利益になるというもので、SLに限らず鉄道会社の収益といえばこれが基本です。例としては大井川鉄道があると思います。SLの運行本数を多く設定し、沢山のお客さんに乗ってもらうことで収益の柱になっています。

二つ目は沿線への経済効果です。今のSLは通勤や通学の足ではなく、観光のために運行されています。なので、乗りに来る人が増えれば沿線観光地や宿泊施設への波及効果が期待できます。この例としてはJR東日本釜石線のSL銀河がこれにあたると思います。SL銀河は比較的費用のかかる大型SLを使用し運行本数も少なく、おそらくSL単体では利益が出ていないと思います。しかし、JRとしても震災復興の支援という面を打ち出しているのでSL自体の利益より沿線への経済効果を狙った大企業としての地域貢献と、新幹線に乗って東京から来てもらうなどのSL銀河に乗るまでの運賃収益に期待をしているのだと思います。

この二つの視点から考えた場合、地方私鉄に直接役立つのは一つ目のほうです。そして、一つ目の効果が十分狙えなくても経済効果を目的とし、自治体が出資し地方私鉄に運行を行ってもらうことで双方の利益を狙うのも一つの手だというのが見えてきます。

ただし、それはお客さんあっての話です。そこで問題になるのが集客の問題です。

アクセスがポイント

当たり前の話ですが、収益を出すにはお客さんに沢山来てもらう必要があります。そこで重要なのが都市圏からのアクセスです。

SLを運行している私鉄を見ると秩父鉄道や真岡鉄道などは東京に近く、アクセス自体が容易です。

大井川鉄道が最近直面している問題にツアーバスの規制があります。ツアーバスの度重なるトラブルにより、運転手一人乗務で運行できる距離が短くなりました。そのため、首都圏発大井川鉄道周辺へのツアーの場合は、運転手を二人用意する必要が出てきました。これによりコストが上がり、大井川鉄道を組み込んだツアーが減ってしまいアクセスが悪くなったのが原因で乗車率が悪くなっています。

去年はかなり作りこんだ機関車「トーマス」号を運行することで減少をカバーできましたが、これは短期的なものです。長期的な集客回復が今後も課題だと考えているようです。

また、都市圏からのアクセスが確立している「秩父鉄道」「真岡鉄道」「大井川鉄道」以外のSLを運行している路線はJRによるものです。その点から考えてもアクセスの重要性が見えてくるのではないでしょうか。

アクセスで明暗が分かれる可能性

ここでSL復活計画のある鳥取県「若桜鉄道」と岐阜県「明智鉄道」について考えてみます。

若桜鉄道の場合は大阪駅から郡家駅まで特急を使っても2時間はかかります。対して明智鉄道は名古屋駅から恵那駅まで快速で1時間足らずで行けてしまいます。

なので、若桜鉄道はアクセスの時点からハンデを持っていて、明智鉄道は大きなアドバンテージを持っているのが分かります。もちろんアクセスだけが勝負ではありませんが、その点を基本とした上での戦略・予測が重要だと思います。

とまあ、今回は素人なりに書いてみました。記事でも触れた「若桜鉄道」は熱心に面白い取り組みをしているように見えます。個人的にも頑張って欲しいと思っていますし、若桜鉄道としても今回記事にしたようなことは認識していると思います。なので、次の一手に期待したいところです。

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