2014年12月5日金曜日

寝台特急「北斗星 」 なぜ廃止になるのか




寝台特急「北斗星」の廃止が報道されましたが、今回廃止に至った理由について私なりに解説したいと思います。

上野駅停車中のEF510形
北斗星を牽引するEF510形とヘッドマーク

青函トンネル・北海道新幹線問題

開業前の今起きている問題として工事や試験のための時間をとるのが難しいということです。青函トンネルは特急列車と貨物列車が走っていて、夜中の保守の数時間以外は列車を止めることが出来ません。これは貨物列車が長距離を走る関係でダイヤに制約があること、夜間に夜行列車が通過するためです。

その中で、少しでも列車を止めてまとまった運行停止時間を増やしたいと考えれば、ライフラインの要素の強い貨物列車を残し、観光要素が強く重要度の落ちる夜行列車のほうを止めるとなってしまうのです。

さらに北海道新幹線開業後は、青函トンネルでは新幹線と貨物列車が同じ線路の上を走るということになりますが、これにより別の問題が起きます。

新幹線は青函トンネルを走る際に貨物列車とすれ違う際に新幹線の風圧でコンテナが破損したり、吹き飛んだりしないように、現在運行されている特急「スーパー白鳥」と同じ140km/hで走る方向で考えられています。そのため貨物列車を一部時間帯で走らせないようにして、時間を限定して新幹線の速度を上げようという案が出ています。その案を実現すると、青函トンネルを走れる新幹線以外ので本数が減ってしまうのです。

さらに新幹線と貨物列車を走らせるために設備の複雑化も避けられないことや、今までに無い運行方式を採用することで保守の時間を今まで以上に必要とすることも、運転本数が減ることに繋がると考えれます。

車両老朽化や運用の問題


「北斗星」の車両は1988年に登場し老朽化していますが、客車や機関車の新規製造はリスクが高く簡単に踏み切れないのが現状です。

一つ目の理由として北海道新幹線の開業が控えていたために、先行きが不透明だったこと。

二つ目は製造の費用が高くつくことす。
電車が主流となった今では客車を作るとなれば一から考えなくてはなりません。おまけに車内の内装を凝ったものにする必要があるので、高い一品ものの部品を数多く使うことになり、通常よりもコストが更に上がってしまいます。

また、青函トンネルを走る電気機関車についても新しくする必要性が出ているのですが、現在青函トネルを走る電気機関車ED79形はJR北海道が運用しています。新幹線のための準備だけでも費用が嵩んでいる中、数々の不祥事で予算がギリギリになっています。そのなかで電気機関車を用意するのは非常に難しいのです。また、JR貨物から機関車を借りるという選択肢もありますが、導入数は必要最低限になると思うので、貨物列車以外にまわすほどの余裕は無いと思います。

三つ目としては運用の都合です。
寝台特急の客車は走らない間は車庫に置いておくしかなく、効率的に使用することが出来ません。
更に、寝台特急以外の用途では使うことが難しく、つぶしの利かない使い勝手が非常に悪い車両です。

四つ目として運行のコストが大きいことです。
寝台列車は普通の列車には無い様々な作業や人員が必要で、ホテルのようなリネンや客室の清掃や食堂車を運営するためのスタッフなどです。そういった特殊なコストも発生するため利益を上げるにはクルーズトレインのように思いっきり値段を上げるか、乗客を多く詰め込み車内のサービスを大幅にカットするなどの必要があります。サンライズエクスプレスなどはオール二階建てにして詰め込み、車内サービスをカットするという方式といえると思います。

いろいろな理由を挙げてみましたが、正直なところ運行を難しくしている理由は挙げたらキリがない状況です。

あとがき


「北斗星」もあと少しで最後を迎えようとしています。冷静に廃止の理由を考えれば考えるほど運行が難しいことが見えてきてしまいます。
本当に難しい時代です・・・

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