2015年2月18日水曜日

JR九州経営安定基金から考える 公とJRの関係




JR九州は2016年度に株式上場を目指しています。それにあたり「経営安定化基金」というものにも焦点があたっています。今回はその部分に注目したいと思います。

そもそも経営安定化基金とは?

「経営安定化基金」は国が国鉄分割時に利益の見込めないJR九州・四国・北海道の経営を補助する目的で作られました。

JR九州の場合3877億円を運用することで生まれる毎年120億円程度の利益が、鉄道路線維持の補助などにあてられています。

株式上場時に経営安定化基金はどうなる?

現在JR九州は黒字化を達成しているので国は株式上場を行おうと考えています。しかし、黒字を生み出しているのは鉄道事業ではなく、不動産や商店など多角化で始めた他の事業です。鉄道事業単体で見ると赤字で、人口減少を考えると今後は赤字が増えると予想されています。

そこで国は「経営安定化基金」3877億円を新幹線貸付料2205億・鉄道資産維持費1672億といった具合にJR九州へ譲渡することへ決めました。

今のように運用をして補助という形で鉄道を支えるのはなく譲渡ということになったのは、大雑把に言えば「国が民間企業に関与するのは良くないので手切れ金とする」ということです。

確かに完全民営化するなら一理ある理屈だと思います。しかし、今のように運用益でJR九州を補助して基金は国庫にいつでも返せるようにしても良いのでは?と思う方もいると思います。なぜそうならないかは「経営安定化基金」の運用益が株や債権の運用益でなく、事実上の税金を国が運用益という形で支払っている事情もあると私は考えています。

公とJRはどう向き合えばよいか

JRは国鉄のような自体を避けるために民間企業として自立するべく生まれた企業です。JR東日本・東海・西日本は莫大な利益を生み出す人口・新幹線を持つ地域で運営しているので、「赤字路線は自分達で何とかしなさい」というのは間違っていないと思います。

しかし、それ以外のJR北海道・四国・九州の鉄道路線は黒字化するのが不可能な状況で、国や自治体などの公が何らかの形で関わらないと維持できないのが現状です。

JR九州に関しては他で黒字化の目処がついているから一先ず良いものの、JR北海道・四国は今のままでは完全な民営化など絶対に出来るわけがありませんし、将来のJR九州もまた国のお世話になる可能性があると思います。

そう考えると今のような「表面上民間で上場を目指しています」というような状況が良いとは思えません。もう一度JRの有り方を考える時期に来ているのではないでしょうか。

あとがき

2015年2月18日掲載の東洋経済の記事「JR九州は、このままでは上場できない 3877億円の「税金」を懐に入れていいのか」を見て、何か論点が違うなと感じ今回のような記事を書くことにしました。あまり上手く説明が出来ているとは自分でも思えないのですが、何となく今の状況がわかってもらえればと書いて見ました。

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